2000-12-11[n年前へ]
■今日のビックリ
計測関係の仕事の方がなかなか良い感じで進んでいる。そこで、計測用と後処理用のPCを分けるため、計測画像処理用にPCを買った。そのために見積もりをとったら、そのメモリーの値段にビックリしたなぁもう。何しろ、512MB PC133 ECC SD-RAM x 8 = 4GB程メモリーを積む予定だったのだが、メモリーの値段だけで110万円也、である。 これではちょっと高過ぎるので、しょうがないから256MB PC133 ECC SD-RAM x 8 = 2GBに変更すると、メモリーの値段がなんと30万円にまで下がった。ECC 512MBの値段の高さ恐るべし、だ。
2001-12-11[n年前へ]
■駅の向こうの真っ赤な朝焼け
小田原駅で。熱海を過ぎる頃、空が白く明るくなった。小田原に着く少し前は、海の向こうの水平線からちょうど太陽が昇っていた。さて、どんな一日になるのかな。(リンク)
■インターネット地球儀作ろう
なるほど、「インターネット地球儀を作れ」ということだったのか。それにしても、「オレ、マゼンダ嫌いなんだよね」でいいのだろうか?「カラーを考える」人が…。
2002-12-11[n年前へ]
■MEGUMI Tシャツ
お笑いパソコン日誌のアドバイスでMEGUMI Tシャツを眺める、ううぅ… 買おうかな…。 これ、女の人とかにプレゼントしたらたいがい怒りそうだなー。
■極楽とんぼ書類送検
なんか、この書類送検の一件にはとて〜も釈然としないものを感じる。加藤を逮捕するなら、「脱げ!見せろ!」とヒートアップした観客も同じように逮捕するべきじゃなかろか、と思ったり、不快に感じて警察に通報する客はそれ以前に学園祭の実行委員にでも抗議するべきじゃなかろか、とか、あるいは単にその学園祭の場から立ち去れば良いのじゃ?思ったりするのだった。
2003-12-11[n年前へ]
■プレゼンテーション用ポインティング・デバイス
少し前にジャイロ式の「空中マウス」と「Cordless Presenter」を買ってみた。キーボードを押したり、マウスを押しにPCの位置まで移動するのも間を持たせるのには都合がよいのだけれど、とりあえず興味があったので買ってみた。
無骨なことと少々不安定なことを除けば、空中マウスは最高に使いやすい。ジャイロの操作性も問題はなく、確かに空中でマウスを自由自在に操作できる。とはいえ、何だか少し不安定。もう少し、普段の生活の中?で試してみようかな。
というわけで、持っているときにはマウスとしては使えない、Cordless Presenterを単なるボタン代わりとして明日は使ってみよう。
2004-12-11[n年前へ]
■MacのExpose風ソフトEntbloess
winplosion よりもきびきび動くEntbloess. ただ、複数ディスプレイ接続環境では動作がちょっとヘンだけれど、とりあえずは動く。
■村上 保 〜季節のたより〜
村上 保 〜季節のたより〜。村下孝蔵の アルバムジャケットの切り絵で懐かしく思い出す人も多いかも。「村上保のきりがみ展」に気づかなかったことを後悔。「村上保イラストレーション集」の復刊を待つのも忘れずに、かな。
■Windows版EffecTV
ビデオカメラからの映像に対して、リアルタイムに映像効果(例)をつけるWindows版EffecTV.
2005-12-11[n年前へ]
■沼津
昨日締め切りの論文原稿をひたすら書く。夜、ジムの露天風呂に入って帰る途中に夜空に浮かぶ花火をみかかえる。…まだまだ、論文をひたすら書く。…というわけで、今日の景色もn年前から。
とりあえず、今日書いた論文は日本画像学会誌の来年2月号くらいに掲載予定。20ページ弱の(ページ数と図版数だけは)大作かも…。"inside out"も登場?してるあたりが楽しめるかも。
2007-12-11[n年前へ]
■豚もおだてりゃ木に登る
東インド会社で働いていたジョン・スチュアート・ミル、経済学者として知られているミルの言葉で有名なものが、「満足した豚であるよりは、満足しない人間である方がよい。満足した愚か者であるよりは、満足しないソクラテスである方がよい(「功利主義」)」という言葉だ。
この言葉は、「太った豚より痩せたソクラテスになれ 」というフレイズとなり、東京大学の卒業式で大河内総長が発した言葉として、しかし実際には語られなかった言葉として知られている。
この言葉を見た時に思い出したのは、サイモン&ガーファンクルが歌っていた「コンドルは飛んでいく」だ。「カタツムリよりスズメの方がいい」「もしできるなら 、もちろんスズメになりたい」と歌い始められる「コンドルは飛んでいく」だ。こういった「○○よりは、××な方がいい」という希望の比較には、色んなバリエーションがありそうだ。
A man gets tied up to the ground,
He gives the world its saddest sound.
人は大地に縛られて、
世界で一番悲しい音を奏でる。
I'd rather feel the earth beneath my feet,
Yes, I would, If I only could, I surely would.
足の下に大地を感じていたい。 できるなら、足の下に大地を感じていたい。
よく何かを作ろうとする時に、こう思う。世の中には最初から「完成形」をイメージできる人もいる。その一方で、「完成形」はイメージできないけれど、「比較をし続け、いいと思うイメージを選び続けることで、完成形を作る」ことができる人もいる。
「完成」に近いのは、実は「最初から完成形をイメージすることはできないけれど、比較・推敲を続けることができる人」なのではないだろうか。「満足したソクラテス」よりも、「満足しない豚・満足しない人間」の方が、実は何かを完成させることができるのではないだろうか。
2008-12-11[n年前へ]
■「板書画像をベクタライズしPPTファイルにするRubyスクリプト」を作る
「Office付属OCR機能で「板書画像を一発でPPTファイルにするRubyスクリプト」を作る」で、板書画像を文字認識した上で、パワーポイントのファイルに変換するRubyスクリプトを作ってみたわけですが、あまりの悪筆で板書文字をろくに認識してくれなかったりすることも多いと思います。また、板書にイラスト・説明図を頻繁に描くような人も、おそらく少なからずいると思います。
そんな時、「板書画像を自動でベクタライズした上で、パワーポイント上でイラストを再編集することができたら便利だろう」というわけで、「板書画像をベクタライズしPPTファイルにするRubyスクリプト」を作ってみました。その例がjpg2ppt.rbです。
require "win32GuiTest" jpg=ARGV[0] Win32GuiTest.img2PPT( jpg.sub(/\.jpg$/i,'.ppt'), Win32GuiTest.jpg2wmf(jpg), true)という具合でいつものように、処理本体自体は win32GuiTest に(とりあえず)入れてあります。
スクリプトを置いたディレクトリに"apps"という名前のサブディレクトリを作り 、その中にここからダウンロードしたPotraceのバイナリ・ライブラリ類を置いて、さらに、JPG2BMP に入っているバイナリ・ライブラリ類をを置けば準備完了です(win32GuiTestの末尾当たりを見れば、その汚い実装や変更方法がわかると思います)。後は、
ruby jpg2ppt.rb rakugakiv.jpgとスクリプトを呼べば、こんんなパワーポイントファイルができあがります。
PPT(パワーポイント)ファイルに貼り付けられた画像はベタライズされた上で、Windows Meta File形式でスライド上に貼り付けられているので、グループ化を解除していけば、後でベクター部品に分解された板書の再編集が可能、ということになります。
2009-12-11[n年前へ]
■エクセルでシミュレーション Vol.9 二次元非定常熱伝導問題の温度変化グラフも作ってみよう
この記事は、「エクセルでシミュレーション Vol.8 二次元非定常熱伝導問題を解こう」の続きです。前回の記事では、比較的薄い円形ベルトが回転するモデルで、ベルトの厚みがベルト内の熱拡散に対して十分に薄いという仮定の下での近似を行ったと考えると)三次元非定常熱伝導問題を解いているとも言えなくない・・・というような二次元非定常熱伝導問題を解く、エクセルの表計算シートを作り眺めてみました。もちろん、VBAはもちろん関数も使わず、ただセル間の加減乗除演算のみで、熱伝導方程式を差分化したものです。
今日は、計算領域の任意の部分の温度変化をグラフにする部分を前回のエクセルシートに追加してみようと思います。つまり、ベルト状に温度センサでも貼り付けたら、時々刻々と一体どんな温度が測定されるのかをシミュレーション計算時に表示させたい、というわけです。
このような需要は非常に多くあると思いますが、一体それをどのようにすれば作ることができるでしょうか?エクセルのシート上は、非定常問題を解いているので、その瞬間その瞬間の温度分布しかデータが残っていないように思われ、スタート時からの温度変化をグラフにするのは難しいように思えてしまいます。
しかし、「ガウスザイデル法でなく、ヤコビ法を用いて反復計算を行うために使ったテクニック」、すなわち、
エクセルは(セル間の循環参照がある場合に用いる)反復(収束)計算時には、表の左上をスタート地点として「Zの法則 」の順序にしたがって(つまり、左上→右、そして一個下の行をまた左→右という順番で)逐次的に解くという計算順序になります。ということを利用すると、「計算領域の任意の部分の温度変化をグラフにする」ということが、いとも簡単に実現できてしまうのです。種明かしは後回しにして、まずはそのようなことをしているエクセルシート動画を下に張り付けてみます。動画の上部分は前回と同じく「回転するベルトを平面上の等高線色付きグラフとして表示したものです。そして、その下にあるのが、「等高線色付きグラフ右横部にある灰色円部分」の温度変化を横軸:時間・縦軸:温度で時系列グラフにしたものです。
下の折れ線グラフを見れば、「等高線色付きグラフ右横部にある灰色円部分」の温度が時間を追って上昇していくようすをよく理解することができるのではないでしょうか。
種明かしはこうです。エクセルのシートのずっと下方(下の行のセルに)"=温度変化を知りたいセル"という式を入れます。ここでいう温度変化を知りたいセルというのは、たとえば、X24といったセルを示す番号です。ですから、実際に(一番下のセルに)入れるのは、"=X24"といったものになります。
そして、そのセルの上にあるセルをクリックし、=と入力した上で、その下のセルをクリックし"Enter"を押します。つまり、一個下の(さきほど"=X24"という式を入力した)セルを参照するようにするのです。そして、そのセルを選択した上で、上の方までズルズルズル~とコピーしてしまいます。
エクセルの(セル間の循環参照がある場合に用いる)反復(収束)計算時の計算順序を考えてみれば、今「ズルズルズル~とコピー」を行った列には、「古い計算結果が上、一番下が最新の計算結果」という順序のデータが格納されていくことになります。(上から下に計算が逐次行われていることを考えると)計算ステップごとに、一個値が上に移動していくので、結果としてそのように時系列的なデータを保持できる、というわけです(結局のところ、ヤコビ法を用いるために、バッファエリアを下に設けたのと全く同じパターンです)。
あとは、計算スタート時点からの(シミュレーション上の)経過時間なども同じように作り、散布折れ線図でも挿入すると、「上記のような「任意の部分の温度モニター機能付きの疑似三次元非定常熱伝導問題を解くエクセルシートのできあがり」となるわけです。もちろん、温度モニターは(上段で行ったことを他のセルに対してもしてやるだけで)いくつでも設置することができます。実に単純・簡単な(けれど巧妙な)実装ですがとても便利な機能です。
さて、ベルトの温度モニター機能も付きましたので、今度はセンシングしたベルトの温度を用いて、ヒーターの温度を(まずは簡単なPID制御でも使って)制御しベルトの温度分布を適正に調節する機能例でも、簡単に実装し(ハードウェアをいじっている)気分にでも浸ってみることにしましょうか。
2010-12-11[n年前へ]
■春分と秋分の日には京都に行こう!?
ニューヨーク マンハッタンの街並みは、道路が碁盤の目状に走っています。だから、「道のり」を考えるとき「各座標の差(の絶対値)の総和を2点間の距離とする」というマンハッタン距離を使うことができます。そしてまた、道が格子状に走るマンハッタンでは、5月28日と7月12日の夕暮れには「どの交差点でも道路の先に沈む夕日が見える」のです。もしも、空の上からマンハッタンの街を眺めることができたなら、どの道路にも夕日が奇麗に差し込んで、さぞかし美しい景色が見えるに違いありません。
マンハッタン距離を使うことができる街といえば、京都もそういう街のひとつです。東西南北方向に向けて、碁盤の目状に道が作られています。だから、太陽が真西に沈む春分と秋分の日近辺では、何本もの東西に走る道の向こうから夕日の光が差し込んでくる、ということになります。
「京都市内の距離空間はマンハッタン距離で計算できるのがいいね」「目的地までの東西距離と南北距離を足すだけでいいから、計算が簡単でいいよね」「どの平方根…じゃなかった、ルートでも距離は同じだしね」
「マンハッタン距離」と「続 理系風デート」
もっとも、京都は山に囲まれた箱庭のような街なので、実際に夕陽が沈むのは、それよりも南側になりますし、山並みに隠されて夕日が見えない場所もあるかもしれません。けれど、春分の日と秋分の日近くに、京都の街を上空から眺めたとしたら、美しく光が東西に走る景色が見えるかもしれません。
春分と秋分の日には京都に行って、清水寺や比叡山や大文字山に登り、夕日に照らされた街並みを眺めてみたくなります。京都の人たちは、千二百年の昔から、そんな道の向こうに沈む夕日を眺め続けてきたのでしょうか。
パリやロスにちょっと詳しいより
京都にうんと詳しいほうが
かっこいいかもしれないな。
そうだ 京都、行こう。 1993年 「秋〜清水寺」
2011-12-11[n年前へ]
■「同じ月を見ましょうか」「女性の超能力」『発想・実装力の魔法のエキス」など
最近の「走り書き」を少し整理して、「同じ月を見ましょうか」「女性の超能力」『発想・実装力の魔法のエキス」「秋葉原という宇宙と始まり」「天才の努力」「消し去られてしまいがちな、試行錯誤と自然な繋がりの過程」「通学路の冒険」といった話題。
昨夜は、たくさんの人たちが眺めた「月食」写真を見た。 遠く離れた人たちが、同じ月食を見ることができるのは、月が地上から遙かに遠く離れていたから、だろうか。…これが、地表数十km上空で生じる「流星」だったりするならば、みなが同じ景色を眺めることはできないのだから。(参考:あなたと見たい、流星群 同じ流星が見える距離)
月を眺め・語る言葉を読むと、英語の"I love you."を日本語で伝えようとするならば、「月が綺麗ですね」と書けば良い、と言ったと”される”夏目漱石の言葉を思い出します。
「(誰かと同じ何かを)一緒に眺めたい」という言葉、そしてその言葉を出させるに至る「心」を想像してみると、それは確かに、ひとつの"I love you."かもしれない、とも感じさせられますね。
ある女性の「その場・その先の展開を読む勘と運と、それを支える頭の回転」に驚く。そんな能力は、「場を読む」ことが求められる人生を経なければ獲得し得ないのではないかと、ふと考える。…そうだとしたら「オタクなぼくら」には、そんな超能力を手に入れることは、未来永劫できなさそうだ…と思う。
パノラマ写真で眺める「秋葉原ラジオセンター」の各店は、それぞれの店が、まるで小さな宇宙のよう。そして、 電気街としての秋葉原が誕生した頃の、生まれたての秋葉原ラジオセンターは、(秋葉原で育ったぼくらには)何だか新鮮でとても良いかも。
立体「赤青メガネ」の名刺って、何だかすごく面白い。こういう楽しいことを思いつき・さらに作っちゃうという「発想力と実現力」を育てる魔法のエキスは、街中を興味深く眺めていれば、きっとどこかに落ちていそうな気がする。
林家たい平師匠に、「大喜利をするための技術」について尋ねてみた。あれは本芸でなく余芸です、という言葉の後に、談志師匠は、天井にたくさんの言葉を貼り、あの言葉にはどんな噺をしようか、といつも考えようとしていたという話を聞きました。天才といわれる談志師匠でない凡才の私たちでも、そんな努力をし続けていたならば、縦横無尽にあらゆる話題を有機的に明晰に繋げることが、いつかできるようになるのでしょうか。
本芸を磨こう。
何かができあがるまでには「自然な試行錯誤の過程」があることが多い。しかし、たとえば、完成した技術や理論を説明するに際しては、そうした過程は消しゴムで消し去られ・削り取られて「論理的に必要十分な最小限の説明」がされる。…だから「その発想を追いかけることができなくて、わかりにくい」ということも生じやすい。
夏の朝、ランドセルを背負った女の子たちが、日陰だけを走り抜け学校に向かっていた。冬が始まっている今日は、日向(ひなた)をベースキャンプに、校門に向かい歩く男の子たちがいる。ほんの短い時間に、彼女・彼らは「大航海・大冒険」を楽しんでいる。…それに比べれば、おとなたちの「一日」が短く感じられてしまうのは、至極あたりまえの話、かもしれない。
そんな景色を見て、いつも歩く道とは違う道を通ってみた。すると、いつもとは違う発見があった。だから、こう思う。ランドセルを背負ったこどもたちを見習って、「同じ道を歩かず、なるべく違う道を歩いてみることにしよう」
2013-12-11[n年前へ]
■フェルメール「ミルクを注ぐ女」に描かれていたのは「空の水差しを押さえつける女」だった!?
フェルメール「ミルクを注ぐ女」に描かれていたのは「空の水差しを押さえつける女」だった!?を書きました。
…一番面白かったのが、「ミルクを注ぐ女」を3D化した際に気づかされたという、「絵画に描かれている、現実の世界ではありえないこと」でした。そのひとつが、「ミルクを注ぐ女」が持つ水差しは「ミルクが流れ出ることは不可能な角度だ」ということです。
確かに「ミルクを注ぐ女」を眺めてみると、「ミルクを注ぐ女」が手に持つ水差しからはミルクが流れ出ることは不可能であることに気づかされます。水差しから滴るミルクは、太さがほぼ一定でおおよそ真っ直ぐ鉛直になっていますから、ほとんど動かない(定常)状態の水差しからミルクが落ちているように見えます。その一方で、画を描く視点は、水差しの口より高い位置にあるにも関わらず、水差しの中(入口の奥)には(地球の重力に従って、水差しの口と同じ高さで・ほぼ水平面になっていなければならないはずの)ミルクが全く描かれていないのです。…つまりは、「ミルクを注ぐ女」が手にする水差しの中には、「流れ出す」ことができるミルクは存在していない、というわけです。
…画を描く時の風景を考えてみると、フェルメール「ミルクを注ぐ女」に描かれていたのは、実は「空の水差しを押さえつける女」だったのではないでしょうか。…実は「水差し」の腹部分は陶製容器上に乗せられていて、そんな陶製容器の上に乗っかった「水差し」をモデル女性はただ押さえつけているのではないだろうか?という気がしてきます。
2016-12-11[n年前へ]
■「平面的に見える満月」と「立体的な月蝕」の秘密
太陽と正反対の空に浮かぶ満月は、とても平面的に見える。まるで、真っ平らな円を切り抜いて、夜空に貼り付けたように見える。白いピンポン球を手に持って、光を当てながら眺めたときのような、「中央近くは明るくて、周辺部分が滑らかに暗く落ち込む陰影が付いた、立体感ある見え方」にはならない。
球の周りが徐々に暗くなる陰影は、物体表面に当たった光が、表面から外に帰っていく際に、周囲に等しく方向性を持たず返される時に生じる。そんな条件では、球の中心から端部までコサイン関数状の陰影が生じる。それでは、遙か古代に信じられていた平面状の月でなく、現実には3次元球体であるはずの月が陰影無く、真っ平らに見えてしまうのだろうか。
その秘密は、月表面の反射特性にある。月の表面は、その表面を照らす光を、その光が発された方向へ返す性質があるからだ(Diffuse Reflections from Rough Surfaces )。満月の時、月を基準にすると、月を照らす太陽は地球の後ろにある。そして、月を照らす太陽と同じ側に浮かぶ地球から月を眺めると、月の表面反射特性は「陰影がほとんどない、真っ平らな平面状の満月」を空に浮かび上がらせることになる。
自分を照らす光を、その光が発された方向へと返す再帰性反射と呼ばれる性質は、急峻な凹凸の表面形状や(交通標識などで使われる)透明ビーズ(やキャッツアイ)など、多くの材質で現れる。再帰性の反射性質が現れる理由は、たとえば、前者の急峻な凹凸形状の場合であれば、斜めから当たる光も、表面が急峻な凹凸形状*であれば、斜面(の法線方向に対し)垂直近くに光が当たり、その光が元来た方向へと帰って行きやすくなるからで、後者の透明ビーズでは、ビーン内部の反射により光が元いた場所へと戻っていくからだ。
通常の満月がとても平面的に見える一方、同じ満月の時期に稀に訪れる皆既月蝕中の月は、とても立体的に見える。それは、太陽からの光を地球が遮りつつ、けれど地球大気が屈折させた太陽光は、月表面を見事なまでな立体的でグラデーション豊かな、名カメラマン顔負けの素晴らしいライティングとなる。
次に日本で見ることができる皆既月蝕は2018年1月31日らしい。その満月を見ることができたなら、立体感溢れる月を眺めてみたいと思う。
*そうした形状の表面反射を表したモデルが、Oren–Nayarの反射モデル