2008-08-16[n年前へ]
■五山送り火
京都の街は小さな盆栽に似ている。自転車で1時間も走れば、端から端まで移動できる。京都は結局、そんな小さな街だ。
8月16日の夜8時から、その小さな街の三方では、かがり火が焚かれる。そして、文字や形を浮かび上がらせる。それが、五山送り火だ。昔はもっと色々なところでかがり火が焚かれていたというが、今では「五山」送り火になっている。あくまで、五山送り火なので、焚かれる文字・形数が5つというわけではない。文字数で言うと、「大文字・左大文字・妙・法・舟形・鳥居形」の6つである。しかも、「妙」「法」は、左京区松ヶ崎の妙法山で焚かれるのだけれど、「妙法山」は、実際のところ、西山と東山という別の山に分かれている。だから、「6山(6箇所)送り火」というのが、実際の感じに一番近いと思う。
「実際の感じに一番近い」といっても、五山送り火すべてを眺めることができる場所があるのかどうかは、よくわからない。五山の場所・方向からすると、普通の場所からは全部を見ることはできそうにないように思えてしまう。それに、通り沿いにそびえるビルは視界を遮るし、見通しがいい場所には、たくさん人がいる。だから、「6山(6箇所)送り火」であっても、多くの場合、「3つくらいの文字・形」が見えれば「いい場所」であるように思う。
今年は、「大文字・左大文字・妙・法」の3(4)文字を見た。銀閣寺の上で燃え盛る「大文字」と金閣寺の上に燃える「左大文字」そして、京都の北に浮かび上がる「妙法」だ。少しの時間をおきながら、懐古的なネオンサインのようなオレンジ色の光を放つ文字を見ていると、蒸し暑い夏も、不思議に気持ち良く感じられてくる。そんな夜景を30分ほど眺める。