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2010-02-01[n年前へ]

「ウェストを素晴らしく細くする」脳内トリック  (初出:2005年12月02日) 

 11月29日、nature.comに「ウェストを細くする脳内トリック」と題した記事が掲載されていました。科学者たちが、「ウェストが細く感じられる錯覚現象」を上手く使って、 人間の脳のどの部分が「体のサイズ」を把握しているかを調べたと、という副題がついています。本文を読んでみると、「ウェストが細く感じられる錯覚現象」が起きているときに、脳のどの領域が活発であるかをMRIで調べることで、「人間が外界や本人の - 大きさ - を脳のどの部分が処理・認識しているのか」を調べた、という研究でした。

 この記事を読んでまず感じたこのは、「ウェストを細くする」なんていう錯覚があるのか!ということです。記事によれば、「ウェストを手で触っているときに、その手の腱に振動を与え刺激してやると、(手の感覚から認識する)ウェストのサイズが現実より細く感じられる」という錯覚があり、その名も(鼻が伸び縮みするピノッキオの物語から名をとった)"ピノッキオ効果"です。どうです?あなたが女でも男でも、とても興味を惹かれるのではないでしょうか?

 そこで、さらに論文を読んでみました。すると、なんと最大28%もウェストが細く感じられたなんていう実験結果も書いてあります。「ウェストのサイズが28%も細く感じられる」というのが具体的にどのくらいか考えてみると、「81cm の超ポッチャリ体型」が「58cm のスーパー・モデル並み体型」に感じられた、ということになります。ビックリ仰天してしまうくらいの、恐ろしい!?錯覚です。もしも、この錯覚が悪用されたら!?なんていう想像もしたくなります。

 たとえば、彼氏が彼女の腰を両手で抱きしめているとき、彼氏のその両手首に「彼女がそっと自分の手を重ねてみる」のです。そして、彼女は「驚異の高速 - 貧乏揺すり - ハンドパワー」で彼氏の手に刺激を与えるわけです。…すると、その単純な彼氏は「ピノッキオ効果」で彼女の腰が「まるで折れそうなほどに細い」と錯覚してしまう、というわけです。山の中で猛特訓でもすれば、そんな必殺技も繰り出せたりするようになるかも!?しれません。

 …ところで、「ウェストが素晴らしく細くなる錯覚」があるのなら、もちろんこんな疑問が湧いてくるはずです。あなたが男性でも、あるいは女性でもきっと「バストが素晴らしく大きくなる錯覚」はないの?」と思うハズです。そんな内容については、次回の記事で書いてみることにします。

2010-02-02[n年前へ]

"ピノッキオ効果"で「Aカップ小胸」が「Iカップ巨乳」になる!? (初出:2005年12月03日) 

 昨日の記事、「ウェストを素晴らしく細くする」脳内トリック で、「最大28%もウェストが細く感じられる錯覚」を紹介しました。"ピノッキオ効果"と呼ばれる、触っているものの大きさが現実と異なって感じられる錯覚の話です。そして、「ウェストが素晴らしく細くなる錯覚」があるのなら、「バストが素晴らしく大きくなる錯覚」はないの?」という 愚問 疑問が浮かんだところまで書いてみたのでした。今回はその疑問の続きです。

 論文をさらに眺めてみると、「現実の場所と触っている場所のズレが生じたか」を示す実験結果が載っていました。そのグラフを眺めてみると、膨らむ方向に「おおよそ8cm程度の膨張(している錯覚)」を生じさせることもできています。もし、その膨張錯覚を上手く?胸部で生じさせることができたら、どうなるでしょうか…? 

 そこで、以前行った「ブラジャーのカップ形状」を研究した時の資料を眺め直してみると、(胸の)8cmの膨張というのは「80cm Aカップ」が「80cmのIカップ」になることに相当するようです…。ピノッキオはウソをついて鼻を伸ばしましたが、この効果を「小胸さん」が使えば、その胸はグングン伸びてH-IIAロケットもびっくりの「(宇宙まで飛び出しそうな)ロケットバスト」に思えてしまうのです。

 以前私は、バストが飛び出す「イリュージョン・ブラ」を作ったことがあります。「カフェウォール錯視」を利用し、どんな小さなバストでさえもマルマル飛び出す巨乳に見せてしまい、小さなバストどころか真っ平らな胸でさえも、ロケットのように飛び出して立体感を感じさせてしまう、というそれはもうオソロシイ「イリュージョン・ブラ」です。そのブラジャーを見た女性たちの多くは、「水着に使うならともかく、ブラジャーだとほとんど役に立たない」という感想でした。「ブラジャーは男性相手に見せるものじゃないし、…見るシチュエーションでも、その後すぐに脱いでしまうし」というわけです。「触られたら、その膨らみがウソっこなのもわかっちゃうわけだし」と言うのです…。

 しかし、今回の錯覚応用技術!?は違います。暗闇でも、胸に触ってもノープロブレムのテクニックなのです(ホントにできれば)。…さぁ、「彼氏の両手首にそっと自分の手を重ね、高速 - 貧乏揺すり - ハンドパワーで彼氏の手に刺激を与え」て、"ピノッキオ・イリュージョン"を自由自在に使いこなす特訓をしてみるのはいかがでしょう!?

2010-02-03[n年前へ]

「磁気力」「フレミング左手の法則」で究極コンドーム (初出:2006年10月03日) 

 いつの時代も、「チタンネックレス」「ゲルマニウムネックレス」「マイナスイオンドライヤー」「酸素水」など、健康グッズが世の中には溢れています。色々なグッズがあると言っても、やはり「健康グッズ」の老舗中の老舗と言えば「磁気力」でしょう。

 そんな「健康グッズのキング・オブ・キングとも言える磁気力」を使った「コンドーム」が特許出願されているのを見つけて(リンク先は特許電子図書館)、思わず笑ってしまいました。何しろ、要約文を読むと、「従来のコンドーム、ペッサリーなどの避妊具と違い、磁性を持たせることにより、磁気が性器組織の血行を促進し、性交行為をより円滑にしたり、避妊具の認識を改めるさせる要素を持つ発明」と書いてあるのです。

 「磁気力が血行促進により肩コリをなくす」といった謳い文句はよく見かけますが、「性器組織の血行促進(によるアレのパワーアップ)」を謳っているというのには、やはり驚かされてしまいます。しかも、この特許がさらにスゴイのは「コンドーム、ペッサリーなど避妊具に磁性を持たせることにより、スチール製のモノに付着する、例えば冷蔵庫のドアに付着させて置いたりという、避妊具のイメージを改善しうる」という保管方法をも特許請求しているところです。

 「冷蔵庫のドアにコンドームを貼り付けておく」…これはまさに意識改革・文化大革命です。男女の文化が大きく変わること間違いありません。

 世の中にはスゴイ特許申請もあるものだなぁと感心しつつ関連特許申請を調べてみると、やっぱりあの人の特許申請もありました…。あの人と言えば、それはもちろんドクター中松です。発明の名称はズバリ「感度が向上するコンドーム(特許公開平7-136207」、特許の請求範囲は「磁気又は電導性を一部又は全部に有する事を特徴とするコンドーム」です。こちらの特許がスゴイのは、動作機構が詳細に説明されているところです。

 何と、「男性の抽送(ピストン)運動によりマグネットも抽送運動され、フレミング左手の法則により、女性性器内血管が発電し、その電流は女性のみならず導電性コンドームにより男性側にも流れ脳神経に達し、ベータードパーミンを脳内に発生させ、男女共に性感度が著しく増大する」と記述されているのです。まさか、高校生の頃に習った(磁界と電流と力の向きを示す)フレミングの左手の法則が、「男性のピストン運動(の起電力)」や「女性内部の血管での発電」に繋がっているとは思いもしませんでした。…ドクター中松の妄想発想力には本当に驚かされます。しかも、それが導電性コンドームにより男性の脳神経に達するメカニズムまでも解明しようとするところが、恐るべし…ドクター中松です。

 今回の2件の特許申請、「効果を信じる・信じない」はさておいて、その発想力・行動力は見習いたいものだ…とふと思います。繰り返しになりますが、「効果を信じる・信じない」はさておいて。

2010-02-04[n年前へ]

ミロのヴィーナスは「小胸さん」だった…!? (初出:2006年10月01日) 

 「迷宮美術館 第2集 」という本を読んでいると、面白い話が書いてありました。それは、「ミロのヴィーナスのプロポーションを測り、日本人女性の平均身長に換算してみると、Bカップになる」という話です。実は、「小さなバスト・くびれのないウェスト・大きなヒップ」だった…というのです。「豊潤」というイメージのあるミロのヴィーナスの体型が実はBカップ相当だった、というのは意外で面白い話です。

 面白かったあまり、本に記載されていた数値といくつかの資料をあたって、色々な身長の場合に換算した「ミロのヴィーナスのトップバスト・アンダーバスト・ウェスト・ヒップ・ブラジャーのカップ(参照:オッパイ星人のJIS規格)」を作ってみました。つまり、「もしも、ミロのヴィーナスの身長が○×cmだったら、どんなプロポーションになるか?」というデータを作ってみました。自分と比べてみたり、グラビア・アイドルと比べてみたり…ということができるわけです。

IMAGE

 たとえば、身長145cmの人だったら、「究極の美」を体現しているミロのヴィーナスのデータ「86Bカップでウェストが69cmでヒップは92cm」と勝負してみると面白いかも、というわけです。

 ところで、グラフ自体は身長175cmまでの場合を示しましたが、ミロのヴィーナスの実際の身長と同じ204cmの場合でも…ブラジャーのカップはCだったりします。やはり、かなりの「小胸さん」です。ちなみに、ミロのヴィーナスが「小胸さん」だった理由として、「ブラジャーというものがなかった当時は、大きな胸は形が崩れてしまうから」と書いてありました。ブラジャーがある現在に、ミロのヴィーナスを作り直したら、どんなプロポーションになるのでしょうか…?

2010-02-05[n年前へ]

「追跡コードの記事」と「紙幣偽造の現場」 (初出:2005年10月26日) 

 先週、「Xeroxプリンタに追跡コード」という記事を見かけた。「紙幣や証券の偽造」などの防止のために埋め込まれている追跡用コードの記事である。

 複写機やプリンタには、偽造紙幣などを防止するための技術が導入されている。偽造紙幣防止技術についての詳細は、公にはされていないが、そういった機能があることは、よく知られている。

 一昨年のNIP(Non-Impact Printing)というプリンタ技術に関する会議で「紙幣偽造犯の姿」に迫った報告があった。リンク先の画像は

  • 「偽札作りの犯人の年齢分布」
  • 「犯人が偽札作りを行った場所」
  • 「偽札作りの道具」

を示している。

 年齢で言うと、一番若い偽造犯は八歳(!?)である。これには、少し驚くかもしれない。また、「偽造の現場」は「住居」が最も多いが、「職場や学校はたまた図書館で偽造する偽造犯も多い」「アメリカとカナダでは、お隣同士でも偽造する技術手法が異なる」とか色々面白い話もある。

 偽造防止技術それ自体は公開されることは少ないが、関連情報は学会などで知ることができる。興味がある人はその辺りから追いかけてみると、偽造犯と偽造防止技術の攻防などが見えてきて面白いと思う。

2010-02-06[n年前へ]

「シークレットブーツ」と「韓国と日本の有名人」 (初出:2005年08月28日) 

 一昨日、韓国の出版社から(日本の出版社経由で)FAXが届きました。FAXの内容は、「一昨年出した本を韓国語で出版したい」という依頼です。日本で本を出すと、韓国の出版社からそういった依頼が来ることが多いものです。

 今回の本の中には、韓国の北にある国に君臨する偉い人の「シークレットブーツで増長させた身長」疑惑検証実験も含まれていたりするので、少し心配になったりもしています。

 「身長」といえば、先週こんなナゾに出くわしました。

 先日、テレビ局で、あるアイドルタレントと正面衝突しそうになりました。廊下の曲がり角で、危うくぶつかりそうになったのです。一緒に歩いていた女性ADの方が、「私、あの人のファンなんですけど、こんなに近くで見るのは初めてです!!」と嬉しがる言葉を聞きながら、私の頭に「ハテナマーク」が頭に浮かんできました。

 ぶつかりそうになったくらいなので、目線位置をよく覚えているのですが、そのアイドルタレントは私よりもほんの少し背が高いくらいに見えました。私の身長は163cmでとても小柄ですから、その人はせいぜい170cm程度であるように見えたのです。

 しかし、そのアイドルは身長が176 cmだと聞いていたので、何だか私は少し不思議な気持ちになり、首をかしげていたのでした。

 そんなわけで、芸能人の身長に興味を持ち、(噺の発端の国である)韓国と日本の名人の身長比較を眺めてみました。すると、背がすごく高いと思っていた和田アキ子が実は173~4cm程度だったりとか、(小柄だと思っていた)韓国人女優のチェ・ジウが174cmと背が高かったりと、私が勝手に想像していた身長と、実際(公称)の身長がずいぶんと違うことがとても新鮮に感じられました。

 また、韓国では、背が高い体型が好まれるので、俳優・女優共に背が高いのに対し、日本ではそういう好みがそれほどで大きいわけではないので、比較的背が低い俳優も多い、ということも知りました。

 それはともかく…先の「身長のナゾ」がどうなったかというと、実は今もそのヒミツはわからないままなのです。私が感じた「はてな?」のヒミツは結局解けずじまいです。

 その人(やその人が所属するグループ)の写真を眺めながら、私は今もクビをかしげ続けているのです。

2010-02-07[n年前へ]

「次世代スーパーコンピューターの事業仕訳け議論」と「冒険家のスポンサー」 

 次世代スーパーコンピューターの事業仕訳けに関する議論も一段落したようだ。「『(コンピューター性能で)世界一を目指す理由は何か。2位ではだめなのか』という言葉ばかりが独り歩きし、本来すべき議論が不十分になってしまった」という意見も多く見かけた。しかし、この言葉は、次世代スーパーコンピューターのような各種巨大科学プロジェクトが抱える問題、あるいは、問題と言う言葉に語弊があれば特徴と言い替える、の本質を実に的確に表現しているのではないか、と感じた。

 「科学(者)の文化」上は、「一番」とそれ以外は全く違うものである。そういう文化を背景にした意識が、科学者の頭の中には少なからずある。それは、「科学者はなぜ一番のりをめざすか―情熱、栄誉、失意の人間ドラマ (ブルーバックス) 」中の言葉を引用するならば、「科学と冒険には相通じるものがあるのである。それは冒険と同様、科学の世界でも、業績が高く評価されるのは、最初に発見を成しとげた人間に限られるからである」ということに尽きる。

 このような考え方。評価をする世界の中で生きる人もいれば、そればかりではない・そういうものとは違う世界で生きる人もいる、ということが、この次世代スーパーコンピューター開発に関わる問題が抱える本質のひとつではないか、と思う。

 片側の世界に住む人にとっては、それが当たり前のことであるがゆえに意識しないか・意識しても(あえて)言わないし、そうでない側に住む人にとっては、そうでないがゆえに(そんなことを)意識することは少ない。

 「科学者」が「(知の)冒険者」であって、(長年の生活の中で)考え方の底に冒険者と同じものがある、ということを意識すると、理化学研究所の平尾公彦副本部長(前東京大学副学長)が述べた「国民に夢を与える、あるいは世界一を取ることによって夢を与えることが、実は非常に大きなこのプロジェクトの一つの目的でもあります」という言葉も、実に理解しやすい。ここでいう「理解」というのは、何よりこの言葉を語るに至る「考え方」がわかる(その結果、その言葉が指すこともわかる)ということである。

 エベレスト(チョモランマ)発登頂・南極点一番乗りレース・初の大西洋横断単独飛行…そういう「冒険」と同じように、「初物」あるいは「その結果としての名誉」を追いかけ続ける人もいる。そういった冒険を見て、興奮し「夢」を感じる人もいる。そして、その一方でそういう「冒険」「夢」を「割に合わない」と感じる人もいる。

 「科学の世界では、業績が高く評価されるのは、最初に発見を成しとげた人間に限られる」というところから、「冒険家のスポンサー」として、次世代スーパーコンピューターのような各種巨大科学プロジェクトについて考えてみると、「意見の大きな違いを生む原因となる、価値観の違い」を理解することができ「問題」がわかりやすくなるように思う。

2010-02-08[n年前へ]

「プロ棋士と将棋ソフトの対局許可」と「競技(スポーツ)の本質」 (初出:2005年10月16日) 

 「日本将棋連盟が女流プロを含むすべてのプロ棋士に対し、コンピュータ将棋ソフトと公の場で許可なく対局しないよう通知した」というニュースが、新聞各紙で報じられていました。対局を規制した理由としては、「プロ棋士とコンピュータとの対局の商品価値を高めるため」「強くなってきたコンピュータ将棋ソフトに人間が負け、プロ棋士がコンピュータより弱い、というイメージを持たれないようにするため」というふたつの理由が書かれていました。

 将棋とよく似たゲームであるチェスの世界で、コンピュータが人間に勝ったのは1997年のことです。IBMが作り上げたDeep Blueがチェスの世界チャンピオンだったゲリー・カスパロフに勝ち、それ以降はコンピュータの方が人間よりもチェスが強い時代になったのです。しかし、チェスと違い将棋の場合は「取った相手の駒を使うことができる」というルールなどにより計算量が膨大であるため、コンピュータ将棋ソフトが人間に勝つことは難しいと言われ続けてきました。

 たとえば、少し前であれば、「将棋ソフトとの対戦は(ソフトが弱くて)つまらない」と言われていたものです。しかし、すでに現在ではプロ棋士が負けるようなことも起き始めているといいます。

 こういったゲームの世界で、(人間が作り出したはずの)コンピュータに人間が太刀打ちできないということが増えていくのかもしれません。

 しかし、「相手に勝てないから(そんな勝負が)つまらない」かというと、それは違うように思います。今年、コンピュータと戦ったチェスチャンピオンのカジムダノフが「人間とコンピュータの対決」に関して、かつてこう語っています。

Sports are not about reaching a result. Sport is about developing your inner qualities.

競技(スポーツ)は記録や勝ちを手に入れるためのものではない。それは、私たちが自分の中ある価値を成長させるためのものだ。
 自分の中の才能を成長させようとするなら、「相手が弱くてつまらない」よりは、もしかしたら相手が強い方が楽しいのかもしれません。

 もちろん、…その勝負に負け続けるだけであれば、それはつまらく面白くない気持ちにもなるの確かでしょう。けれど、(強いコンピュータに鍛えられて)自分の将棋の腕が強くなることも、またひとつの事実であるのかもしれません。

 コンピュータの街でもあるサンノゼで知った、このカジムダノフの言葉はとても噛みごたえのある・力強い言葉です。

「たいていのスポーツは、勝った試合より負けた試合から多くを学ぶもんだろ」

 あだち充 「H2

2010-02-09[n年前へ]

「記憶の中の瞬間」と「スローモーション動画作成サービス」 (初出:2006年02月01日) 

 最近では、ビデオカメラを持っていることが普通になっているのでしょうか。

 たとえば、結婚していて子供もいるなんていう方の場合、かなりの高い確率でビデオカメラがあったりするのかもしれません。生まれたばかりのお子さんが「小さな手を広げている姿」、「運動会でトラックを走っている勇姿」、そんな風景を撮影するために、ビデオカメラを買ったという方々ををよく見かけます。

 少し前まで、といっても二十年近く前までは、「大事な一瞬をカメラで静止画として記録する」のが一般的でした。しかし、今は、動画記録可能なカメラも安く便利になっているために、「ちょっと良いなと思った景色を動画で記録する」ことも、ありふれた日常の1シーンになっているように思います。

 それでも、(動画を記録する)ビデオカメラではなくて、一瞬を捉える静止画を撮影する(スティル)カメラを使い続ける人、動画より静止画を好む人も多いように感じます。そういった人たちがまだまだ存在し続ける理由は色々あるのでしょう。たとえば、そんな理由の一つがこんなことです。

 それは、「一瞬ならともかく、ある程度の時間の”良い瞬間”を撮影するのは結構難しい」なんていう理由かもしれません。あるいは、「動画はデータ量が多くて扱いづらい」なんていう理由もあるかもしれません。…そして、理由の一つに、「人の記憶がそれほど”豊か”でない」ことがあるのではないか、と私は思うことがあります。

 人の記憶の中では、「長い動画を保存しておく」ことはできなくて、せいぜい「一瞬の風景を記憶しておく」ことしかできないのではないか。だから、「長い動画」を見たとしても、記憶の中の景色とは一致させることはできないのではないだろうか。そして、「一瞬の画像」では、「今イチ感」もあるけれど、「一瞬の風景」の方が(動画よりも)むしろ記憶の中の景色と一致して「懐かしい感じ」を強く呼び起こすのではないだろうか?と思ったりするのです。

 そんなことをふと思い出したキッカケは SONY BRAVIAのコマーシャル映像です。「サンフランシスコの坂の景色を背景に、数え切れない色とりどりのスーパーボールが弾み駆けていく、坂を跳ね降りていくスーパーボールや、一緒に飛び跳ねるカエル、建物の影からボールたちを振り返る男の子などが写されたスローモーション映像」を眺めたせいです。

 ほんの一瞬の風景が「スローモーションの走馬燈のように長く見える景色」になる、それは「記憶の中の景色」と実に良く似ているのではないだろうか、と思ったわけです。「記憶の中の景色」は動いてはいるけれど、それは普通の「時間が普通の”速さ”で動いている動画」とは少し違って「”ほんの一瞬の時間”が長く引き延ばされたような動画」なのではないだろうか、と思ったのです。

 だから、それはビデオカメラで撮影された動画よりも、まだ(静止画像を撮影する)スティルカメラによって記録された写真の方に近いのではないだろうか、とふと妄想をめぐらせてみたのです。だから、スティルカメラを好む人も多いのではないだろうか、と考えてみたのです。

 だとしたら、「スローモーションの走馬燈のような景色」を撮影することができるビデオカメラがあったら、「記憶の中の景色」と同じような景色を撮影することができるかもしれません。つまりは、「高速度に風景を撮影し、それをゆっくりと再生することができる」高速度カメラがあったとしたら、記憶に忠実な景色を撮影することができるかもしれない、とふと思ったのです。…とはいえ、高速度カメラなんてそうそう買えたものではありません。安くても、普通は100万円くらいのお値段になってしまいます。それでは、そう簡単に買えるわけがありません…。

 しかし、最近「普通のビデオカメラで撮影した動画や通常のビデオ動画などから、スローモーション動画を作る」というサービスを知りました。 例えば この動画(.wmv形式) から こんな品質のスローモーション動画(.wmv形式) を作成するようなサービスです。こんなサービスを使えば、値段が高い「高速度カメラ」を使わなくても、記憶に忠実な景色を再現することができるかもしれません。生まれたばかりのお子さんが「小さな手をゆっくりと広げていく瞬間」や、「お子さんが運動会で地面を蹴って走っている瞬間」のスローモーション動画を作成してみるのはいかがでしょうか。

 もしかしたら、それはまさに「記憶の中の瞬間」と同じ景色になるのかもしれません。

2010-02-10[n年前へ]

「爆乳ハリケーン」 (初出:2005年08月27日) 

 一昨日から昨日の早朝にかけて、台風11号(アジア名 MAWAR)が東日本沿岸をかすめていきました。私が住んでいる伊豆半島の付け根辺りでも、風速30m/s近い暴風が吹き荒れました。

 気象庁の風速に関する用語のページを眺めてみると、

  • 風速10m/s以上15m/s未満 = やや強い風
  • 風速15m/s以上20m/s未満 = 強い風
  • 風速20m/s以上30m/s未満 = 非常に強い風(暴風)
  • 風速30m/s以上(or 最大瞬間50m/s)= 猛烈な風
といったように定義されています。しかし、「強い風」とか「猛烈な風」ではどうも実感できません。具体的なイメージが湧きません。

 以前、私は「風を掌に受けたときに掌が受ける力を計算して、それを女性のバストでいうと、何カップ相当になるかテキトーな計算をしたこと」があります。つまり、風を掌に受けたとき、どんなバストを触っている感触と同じかを計算したことがあります。その計算結果が右のグラフです。

 横軸が風速、縦軸が掌が受ける重さで、その感触をバストの(カップ)で表現した場合の「カップ相当値」がグラフ中に記載されています。このグラフを使えば、「風速」を「カップ」で表現することができます。

 たとえば、風速14m/sでBカップ相当の平和的な「微乳台風」。風速28m/sならEカップ相当の「巨乳ハリケーン」。そして、風速42m/sともなると、Hカップの超弩級(ちょうどきゅう)台風ということになります。まさに「爆乳ハリケーン」です。今回の台風の場合、私が住んでいる辺りでは「Eカップ級 超ド級巨乳ハリケーン」が通り過ぎていった、ということになります。ほら、何だかとても(その凄さを)実感できるような気がしてきませんか・・・?

2010-02-11[n年前へ]

「女性の平均顔」からわかる「生理周期で女の魅力がアップ&ダウン!?」 (初出:2005年11月03日) 

 「ホルモン量で女性の魅力がわかる (Hormone levels predict attractiveness of women)」という記事がnewscientist.comに掲載された。英国の聖アンドリュー大学の研究者たちが、18歳から25歳までの59人の女性たちの素顔を6週間にわたり撮影し続け、それと同時にホルモン量も計り続けた。そして、撮影された女性たちの顔写真を、同じく18歳から25歳までの男女29人に見せ、「魅力」「健康らしさ」「女性らしさ」という観点からそれらの顔写真を評価させた結果、「女性ホルモンの一つであるエストロゲンの量が多いほど魅力がある」と評価されたという。

 エストロゲンの量は女性の排卵日辺りに多くなる。つまり、女性たちは(生理周期の中で)排卵日辺りに魅力が最大レベルまでアップし、その後ちょっと魅力が下がる…というわけだ。

 その時期が、一番妊娠する可能性が高いということを考えると、(生物が生き残っていくためには)至極当然の現象なのかもしれない。それにしても、興味深い話だ。妊娠しやすい時期に女性は魅力的になり、その魅力に男性が惹きつけれられ、そしてこどもが生まれ種が保存されるというプロセスになっているのだろうか?生物のシステムの制御は実によくできているのか何なのか…実に面白い話だ。

 そこで、ためしに、研究者たちが作った、エストロゲンの量が最大レベルの(つまりは排卵日近くの)女性たちの平均顔と、エストロゲンの量が最小レベルの日の女性たちの平均顔を時系列的に(往復)モーフィングさせた動画を作ってみた(下に張り付けた動画)。この動画を眺めていると、確かにエストロゲンでパワーアップされた女性顔の方がなんだか柔らかい感じに見える。

 月が29.53日周期で姿を変えるように、その周期とほぼ同じ周期で、女性の顔がその姿を変えている、というのは何だか神秘的で不思議だ。

2010-02-12[n年前へ]

「転職したい企業ランキング」をクラスタ分析してみる (初出:2006年02月21日) 

エンジニア3000人大調査!転職したい企業ランキングBEST10」という記事を読みました。「エンジニア3074人に向けて実施した転職に関する意識調査をもとに、エンジニアが転職したい企業と理由を明らかにする」というものです。そこには、アンケート結果から「転職したい企業ランキング」と「その企業を選んだ代表的な三つの理由」が挙げられています。

 そこに書かれている「理由」は、それらの企業で働いている人たちではなく、転職先としての「イメージ」です。そのイメージは、実際には、その企業の実情とは異なっているのかもしれません。

 しかし、「その企業へ行きたいと思う人たち(未来のその企業の社員)の意識・指向」がそこに示されていると考えてみれば、そういった「イメージ」も、ある程度は、それらの企業の雰囲気と遠くないものだ、という見方もできそうです。

 ところで、記事中では「転職したい企業トップ10 (とその理由)」が挙げられているのですが、そのランキングをただ眺めているだけでは、今ひとつ特徴が見えてきません。たとえば、挙げられている企業の特徴などは、眺めているだけでは、なかなかわかりません。

Cluster    そこで、「転職先として選んだ理由」をもとに、各企業に対してクラスタ分析をしてみました。その結果が右上の図になります。この図では、左側に各企業が(縦に)並んでいて、似ている(近い)企業どうしが線で(左から順に)結ばれていきます。

 たとえば、トヨタ自動車と日本電気は、とても似ているのようで、わりにすぐ(左の位置で)線で繋がっているのがわかるはずです。また、トヨタ自動車と日本IBMなどはかなり遠く(似ておらず)ずいぶん後になってから(つまりは、右の位置で)ようやく線で繋がっていることがわかると思います。こうして眺めてみれば、各企業の特徴や似ている企業探し、などが簡単になります。

 例を挙げると、トヨタ自動車と日本電気の「繋がり」は「長期的な安定性」繋がり、です。また、上半分のグループは「給与・待遇がよさそう」繋がりで、下半分のグループは「技術者が働きやすい環境・設備」繋がり、です。…とそんな風に眺めていくと、色々なことが見えてきます。

 ちなみに、この記事を眺めながら、「このランキング中に登場しているある企業の社員の方」に、「この中に転職したい企業はあります?」と聞いてみました。すると、その人は「このクラスタ分析で(その人の勤める企業と)隣あっていた二つの企業(本田技研工業と日本IBM)」を挙げたのです。ということは、「自分が入りたい企業」を眺めるとき、意外このクラスタ分析の結果は役に立つものかもしれません。

 あなたなら、どの企業に転職・入社してみたいと思いますか?もしも、このクラスタ分析結果に示されている会社で働いている方がいたら、この結果をを眺めたとき、どんなことを思うでしょうか?

2010-02-13[n年前へ]

フィギアスケートの「芸術点」と「プレゼンテーション」と「定量化」 

 昔、フィギアスケート競技を観ていると、「技術点」と「芸術点」というふたつの言葉を解説者が語るのをよく聞いた気がする。どの程度の難易度の技を、どのように行っていったかを評価する技術点というのは、まだわかりやすいような気がしたけれども、「芸術点」というものは何だか少しわかりづらく感じて苦手だった。

 その「芸術点」=Artistic Impression はいつの間にか、プレゼンテーション・スコア=Ppresentation Score と名前を変え、さらには構成点=Program Component Scoreというように名称が変わっていた。「芸術点」が「プレゼンテーション・スコア」そして「構成点」と名前を変えれば、かつて感じた「わかりづらさ」「基準のなさ」が消えるかと思いきや、むしろ、「技術点」とどのように違うのかがわかりづらいものに思え、何だかつまらなくなってしまったような気がする。

 「芸術点」という基準のわかりづらい曖昧模糊とした点数が、どのように、どれだけ、聴衆に何かを伝えるかという「点数」を体現する言葉に変わり、そして、「構成」="Components"というさらに具体的で基準がはっきりとしているように見える「点数」で争われるようになっている。

 しかし、曖昧で、あやふやな Artistic Impression という言葉の方が、Program Component Score という言葉よりも、心を動かされる度合いを的確に現わしている言葉のような気がする。

 一見すると確かなものに感じられる数値の方が実はとても曖昧であやふやなもので、曖昧に見えるものの方が本当はとても確実なものだということは、よくあることではないかと思う。

"I want to be with you the rest of my life. Will you marry me?"
"Yes."
Announcement: "Obviously, she said, yes."
下に張り付けた動画の中では、"Score"とか"Presentation"とか、さまざまな言葉が出てくる。その言葉、ひとつひとつを聞きつつ、その言葉を発した解説者と同じように心動かされる。

2010-02-14[n年前へ]

“Fiancee Formula(婚約者の公式)”による「最適プロポーズ年齢計算機」 

 「結婚考えるべき時を割り出す方程式、豪大学教授が考案」という記事がありました。

 オーストラリアのニューサウスウェールズ大学で数学を教える教授が、バレンタインデーを前に、結婚を考えるのに最適な年齢を割り出すことができる方程式を発表した。

 「Fiancee Formula」と名付けられたこの方程式は、長年のパートナーを探し始める年齢と、最も遅くていつまでに結婚するかを元に計算をするもので、当たる確率は37%だという。

 それならば、というわけで、「“Fiancee Formula(婚約者の公式)”による最適プロポーズ年齢計算機」を作ってみました。それが下に張り付けた計算フォームになります。


まず、2つの年齢を(半角数字で)入力してください。
この年齢までに絶対結婚したいのは?:  歳
結婚を現実的に考え始めた(始める)年齢は?  歳



結果:  歳が、あなたが一番良い結果を得られる最適プロポーズ年齢です。

 この「方程式」は特に目新しいというわけでなく、「10人の応募者から人を雇おうと面接をしていく時に、もしも面接をした瞬間に雇う・雇わないを決めなければならないとしたら、どういう判断をしたら確率的に最適になるか?」という問題(クイズ)とか、あるいは、その(まさに今回の記事と同じ題材の)「結婚バージョン問題」を単純化したものでしょう。

 現実には、「年齢にしたがって変化するさまざまな重み関数」を適用してやらなければならないでしょうし、そして、その重み関数は時に応じて変化して行きそうです。人生は実に不確実なものです。・・そんな風に考えを進めていくと、この“Fiancee Formula(婚約者の公式)”による「最適プロポーズ年齢」は一体どう変わるものなのでしょうか。

2010-02-15[n年前へ]

高速動作版!「本城直季」風ミニチュア写真作成ソフト (初出:2006年11月26日) 

 もう今は、あるいはようやくと書くべきか、とりあえず、こういった「ミニチュア写真風」写真撮影機能を搭載したデジカメが増えてきました。今は、こうした(リアルタイム)画像・動画加工機能が豊富なカメラ付ケータイを待ち望んでいる、2010年の今日この頃です。


image  以前、「本城直季」風ミニチュア写真を作り出すソフト 叩き台バージョンというものを作ったことがあります(「本城直季」風とは名付けていますが、こういった写真の原典に近いものとしてはMiklos Gaal による写真集などがあります)。 こんな風に 実際の写真を「まるでミニチュア模型風にする」処理を行うソフトウェアです。このソフトウェアには大きな問題がありました。つまり、動作があまりに遅かったのです…。そこで、今回は気持ちよくサクサク動く高速動作版を作ってみました。動作環境は、(以前と同じく)Windows版ですが、Mac OSX版・Linux版などを順次公開していく予定です。今回作成したアプリケーションはToyImage2.20061126.lzh (2.4MB)に置いてありますので、ダウンロード・展開して使ってみて下さい。

 このソフトウェアの使い方は、下記のようになります。

Miklos Gaal

  1. 画像ファイルをExeアイコンにドラッグ&ドロップする
  2. 画像中からマウス(クリック&マウス移動)でピントを合わせたい領域を選択する
  3. キーボードの"s"ボタンを押すと、結果画像が"○×の処理.00.jpg"というようなJpegファイルとして保存される
  4. ソフトウェアの終了はキーボードのESCを押す

 あなたの撮った写真を、色んなミニチュア写真にしてみると面白いかも知れません。そして、そんなミニチュアの景色をブログなどに張って、みんなに見せてみるのはいかがでしょうか。

2010-02-16[n年前へ]

「コンドーム」開発秘話に涙しろ (初出:2006年08月11日) 

 昼休みに外を散歩していると、ゴム風船のようなものが落ちていました。男性のアレにつけるゴム風船、つまりは、コンドームが落ちていたのです。箱根の山中というロマンチック?な場所柄、そんなグッズが転がっていることもよくあります。
 ダッチワイフの下半身部分だけが転がっていたこともありますが(最初は死体かと思ってビックリした)、さすがにゴム人形と対面したのは一度だけです。

 コンドームと言えば、コンドームの代名詞ともなっているオカモト株式会社(オカモトコンドーム)が自社WEBサイトに掲載している「世界最高品質のコンドーム開発秘話~40ミクロンの壁を突破せよ!~」は必見です(2010年現在では、下記の本でしか読むことはできません)。「栄光なき挑戦者たち~NHKには絶対できないもうひとつのプロジェクトX~」という本に収録もされている文章で、一見"プロジェクトX"のパロディに見えるタイトルです。しかし、内容はパロディどころか、本家"プロジェクトX"を遥かに超えていて、ちょっと眺め始めた途端、

初めてコンドームを吉原の遊廓に持っていったときのことだった。それを見て、吉原のお姐さんはウンザリした表情でこう言った。「使えば、オソソ(陰部)が傷つく。使わなければ梅毒で鼻がもげる。さてさて、どっちを選ぶべきか。ま、どっちを選んでも地獄だわねえ」

という第一章から、

今日、世界に冠たる日本の製造業は、中国やインドなどの猛追で喘いでいる。トップメーカーは相次いで外国に生産拠点を移し、産業の空洞化も懸念されている。文部科学省は日本人の創造性を高めようと、「ゆとり教育」を導入した。

 会社は、そこで働く者すべてのもの。経営者も従業員より偉い存在ではない。ただ社長は企業の方向性を考える役割を与えられているだけ。

という最終章まで、とても真剣に読んでしまうだろうと思います。

 そういえば、以前八方尾根スキー場で「ポシェットの落とし物が届きました。男性向けのデザインで、はオカモトさんが中に入っています。心当たりの方は、案内所までお越し下さい」というアナウンスを聞いたことがあります。

 「ポシェットに人が入ってるの?」と誰もが一瞬首を傾げた後、「あぁ!(コンドームか!)」と周りで失笑・爆笑が起こりました。まさに、「考えオチ」です。オカモトさんの持ち主は、あの後どうしたんでしょうか。

2010-02-17[n年前へ]

「寄せて上げるブラ」 v.s. 「飛び出すブラ」  (初出: 2006年02月26日) 

WonderBra vs PushUp bra! :: AdLand ad-rag.com :: by the adgrunts for the adgrunts advertising blog commercial archive 寄せて上げる広告 - Engadget Japanese  人は誰でも「自分が持っていないもの」に憧れる。だから、男性は女性の胸に憧れ、興味を惹かれる。だから、というわけではないが、自分とは関係のない「ブラ」に関するニュースがあると、なぜか目がそちらの方向に行ってしまう。

 今日見かけたのは、寄せて上げるブラジャー、ワンダーブラの雑誌広告「 寄せて上げる広告」だ。この広告を見た時には、思わず笑ってしまった。なぜかというと、それはまさに「寄せて上げると、胸がぐっと前にせりだして大きくなる」というワンダーブラの特徴を見える形にしていたからだ。

 雑誌広告の見開きページにブラジャーをつけた胸が印刷されていて、そのブラジャーの前をギュッと締めると、印刷された女性のバストが(ページとともに)グッと前にせりだす仕組みだ。これは、印刷された雑誌本というメディアの特性を120%活用した素晴らしい印刷広告だと思う。

 ブラジャーの凄い広告と言えば、赤青の立体メガネを使った「 ブラジャーの立体広告 」も面白い。寄せて上げる「ワンダーブラ」もトリンプの「ブラジャー」もいずれも、そんな立体広告を出したことがあると聞く。だとしたら、そんな「立体コマーシャル対決」を並べ・比べ・眺めてみても面白いはずだ。

 女性なら、立体的なバストをいかに演出するかという視点から、そして男性なら…客観的な視点から、ぜひじっくり眺めてみてもらいたいと思う。

そういえば、私も 「人間工学を利用したブラジャーの研究」を行ったこともある。実際、テレビ番組で試作をしてもらったこともある。そろそろ、(右に示した)「科学のブラ」あるいは「科学のビキニ」を開発・発売したいという下着メーカーが現れてくれないものだろうか?

2010-02-18[n年前へ]

Thinkpad X61tのメモリーを8GBに拡張する。 

 格安メモリを購入することで、Thinkpad X61tのメモリを8GBにしました。Thinkpad のX6xシリーズでは、X60で使われているチップセットは4GBまでしかメモリを認識することができませんが、X61からはメモリを8GBまで認識することができます(OSの種類による制限はまた別にありますから、OS内から直接8GBのメモリ空間を認識するためには、64bit OSが必要になります)。

 だから、オークションなどでX60とX61を見かけても、それらは似ているように見えて、メモリを拡張して長く使いたいと考えると、結構大きな違いがあります。長く使おうと思っていて、(その二つの機種の間に)少しの値段の差しかない場合には、X61を買った方がおトクかもしれません。

 とりあえず、これでThinkpad X61tはまだまだ余裕で使うことができそうです。VMwareで2台くらいの仮想マシンを立ち上げながら作業をしても、大丈夫そうです。

 しかも、「使うことができる」どころか、幸か不幸か、12インチで高解像度SXGA+の小型軽量マシンという類の機種は、登場しそうにありません。X61tの足りない点を補いながら、(故障しないことを祈りつつ)ずっと使っていくことになりそうです。

Thinkpad X61tのメモリーを8GBに拡張する。






2010-02-19[n年前へ]

VMware Converterで簡単に仮想環境に移行しよう (初出:2006年10月0日) 

Title   VMware Converterはとても便利で愛用している。VMware Converter はVMware 社が無料公開しており、実際のPC環境などから仮想マシンの環境を生成するソフトウェアである

 たとえば、SonyのノートPC上でVMware Converterを走らせると、VMware Converter は、その「SonyのノートPC上のシステム」から (VMware社の仮想PC環境ソフト)VMware用の「仮想PCの設定・ディスク」を作り出してくれる。つまり、SonyのノートPCで動いていたシステムを、他のPC上(のVMware上)で動かすことができる、というソフトウェアである。また、このVMware Converter は、実機からの仮想マシン作成だけでなく、他社の仮想PC環境からの移行もサポートしている。

 「実機から仮想的なPC環境を作り出す」というのは、実に便利な機能である。VMware converterを使ってノートPCの環境移行をしてみると、移行(仮想環境作成)作業はとても簡単で、しかも、作成された仮想環境も何の問題もなく動いた。

 まず、古いPC上でVMware converterを動かすと(右上の画像が動作画面例)、2時間ほどで、100GB弱のシステムドライブから完全に仮想環境が生成された。そして、その仮想環境を新しいPC上のVMwareで読み込むと、何の問題もなくこれまでの古い環境がVMwareで動き出した。古いPCから新しいPCへのソフト移行もデータ移行もする必要がなく、あっけないくらい簡単にPC移行作業は終わる。なぜなら、新しいPC上でこれまでのPC環境とほぼ同じ仮想システムがそのまま動いているからである。

 もちろん、「これまでの古いPC環境」は仮想PC環境上で動いているので、新しい高機能なPCに移行しても、それらの恩恵をそのままの形で100%享受することはできない。しかし、過去の環境を失わずに使い続けつつ、新しいPCの機能も使う、という選択があっても良い。自分が(ハードとして)触るPCを直接扱うのではなく、そのPCの中で用途に応じて仮想PCをいくつか切り替えて使う、という使い方が先々のことまで考えてみるに、私にとっては一番良い。

 そういう使い方が良い、という人は必ずしも多いとは思わないし、仮想化PCをいつも使いたいという人も多くないかもしれない。だから、誰にでも勧めることができるソフトウェアではない。けれど、仮想化PCという形を経ることでPCの環境移行をするのは、よい選択ではないかと思っている。そんな風に考える人にとっては、(仮想PCを走らせるためには、これまた無料の(Windows上で動作する)VMware Playerもあることであるし)VMware converterはとてもすばらしく便利なツールだと思う。

2010-02-20[n年前へ]

Mathematica Playerで任意の多面体の展開図のペーパークラフトを作ってみよう 

 さまざまな多面体を眺めて、その展開図を自由自在に眺め、そして任意の(お好みの)サイズで印刷することができるノートブックをMathematicaで作ってみました。自分の手で触れる・実感できることを形にしてみたくて、ふとそんなものを作ってみました。

 そのノートブックを使っているようすを映したものが、下の動画になります。無料で使うことができるMathematica PlayerをWolframからインストールして、 ここからMathematica Playerに対応させたノートブックをダウンロードすれば、実際にありとあらゆる多面体を眺め、そしてその展開図を扱うことができます(展開図を作成することができない多角形もあります)。

 (起動すると現れるスライダーで)サイズを丁度良いサイズに変化させて、そして、印刷して適当にのりしろをつけて、ペーパークラフト多角形を作ってみても面白いのではないでしょうか。

2010-02-21[n年前へ]

「ブラジャー肥満」の恐怖!?  (初出: 2006年10月15日) 

 ブラジャーが引き起こす「ブラジャー肥満」という問題が、女性たちを襲い始めているというニュースを読みました("'Bra' Fat Causing Concerns For Some Women"  )。なんでも、「ブラジャー肥満」というのは、背中に回されたブラジャーのストラップの周囲に脂肪の塊ができてしまう…というものだといいます(ニュース動画)。

 ブラジャー肥満というのは、どうやら、肩の下~背中の「ストラップで押さえつけられた部分」には脂肪がつかずに、ストラップの圧力を受けない部分に脂肪が集まるためにできる、脂肪塊のことを指すようです。

 ブラジャー肥満になる人は太目の若くない女性が多いということですが、若くて痩せている女性であっても、ブラジャー肥満になってしまう人もいると書いてあります。

 胸の周りの肉を「力いっぱい」寄せて上げるブラジャーでは、ストラップの張力が(昔の”古き良き時代”のブラジャーよりも)高くなっている、という話を聞きます。もしも、そんなブラジャーを四六時中装着しているのであれば、たしかに、脂肪がストラップによる圧力を受けない部分に集まってしまうことでしょう。

 「ブラジャー肥満」にかからないためには、体をむやみに締め付けるようなブラジャーは使わないようにした方が良いのかもしれません。寄せて上げるブラジャーは大きな胸も作り出す”魅力的な”効果もあるのかもしれません。しかし、その一方で、とんでもない副作用もあったりするのかもしれませんし…。と、そんなことを考えているうちに、ふとこんな妄想をしてしまいました。

 もしも、胸の近くの脂肪に「力(ちから)いっぱい」圧力をかけ続けていたとしたら、その部分から脂肪が周りへ逃げてしまったりはしないものでしょうか?つまり、胸の脂肪量が減ってしまったりしないものでしょうか?その結果、大きな胸を作るためのブラジャーが、実は(未来の)小胸さんを大量生産していたり…なんていう想像を妄想したのです。

 そして、大量生産された小胸さんたちは、「大きな胸を作り出す寄せて上げるブラジャー」からみると、最良の顧客になるわけです。ということは、マッチポンプ的なメーカーの罠がそこにあるのでは…というのは妄想を意味もなく思い浮かべ、そんな自分にあきれ果ててしまったのでした。

2010-02-22[n年前へ]

片肺飛行でサーバ稼働中です。 

 先週、サーバ引っ越しをしようとしたところ、SQL(と一部の画像処理を行わせていた)用サーバ(といくつかの分散処理をさせていた)に繋がっているディスクが、ファイルシステムが読めない状態になり、OSも起動しなくなってしました。

 しょうがないので、何とか破損ディスクから、データ部分だけでも復旧させて、今はサーバPC1台のみの構成でhirax.netは動かしています。サーバ1台では、メモリが非常に不足してしまうため、いくつかのサーバ・アプリは止めた状態で動かしています。それでも、メモリスワップが激しく、実によろしくない状態になっています。

 そこで、新しいサーバ用PCを購入し、サーバ環境を再度引っ越しすることにしました。新しいサーバを組み動かし始めるまでは、不安定な状態が続くと思います。

 サーバの応答が遅かったり・動かしていないサーバがあったりするわけですが、そこら辺は、新しいサーバを組み上げるまで気長にお待ち下さい。

2010-02-23[n年前へ]

「学術論文」と「特許」の間に流れる深くて暗い河 (初出:2006年04月30日) 

 asahi.com: 実験データ捏造、過去の論文も調査へ 神戸大が記者会見 asahi.com: 神戸大教授、実験データを捏造 特許出願取り下げ神戸大教授、実験データを捏造 特許出願取り下げ 」「 実験データ捏造、過去の論文も調査へ 神戸大が記者会見 」という朝日新聞の記事を読みました。「特許の出願書類に、実際は実験していないデータを記載していた」ということが記事になっているものです。

 関連ニュースを読みながら、「深くて暗い河」を感じました。特許に長く関わったことがある人たちと、そうでない人たちとの間に流れる「深くて暗い河」です。

 前者の「特許に長く関わっている人たち」としては、たとえば、企業の中で特許を書いたりする技術者たちや知的財産関連業務の方々、あるいは、特許事務所の弁理士の方々、はたまた、特許庁の方々などです。そして、後者の人たちは、「学術論文」と「特許」を同列に扱っているような記事を書いた新聞記者の方などです。

 日本特許取得企業ランキング米国特許取得企業ランキングを見ると、多くの企業がそれぞれ多くの特許を取得しています。ここに挙げられているのは「登録された特許」なので*1、この影にはさらに膨大な「登録されていない出願特許」があるわけです。登録されていない出願特許は「特許庁に認められなかった」というものもありますが、企業(出願者)側が「特許庁に特許をチェックしてくださいね、という依頼(=審査請求)をしていない、というものもあります。つまり、(現時点では)特許を出願して一般に公開しただけ、というものもあります。これら膨大な特許申請はおそらく特許書きノルマのせいでしょう。

 実際、特許庁の方の報告会中で、会社ごとの社員数を横軸にとり、縦軸に(各会社の1年あたり)特許申請数をとった散布図を眺めたことがあります。その散布図グラフは、見事なほどに一本の直線状に乗っていたのです。そして、その傾きはほぼ3程度でした。

 つまり、その関係を式にするとこういう具合です。

特許申請数=3×社員数
 この比例定数「3」は、あくまで「予想」ですが、間違いなく、1年辺りの「特許書きノルマ件数」(より実際にはきっと少し小さな値)に違いありません。それが、とても単純に現象を説明できる「自然な考え方」だと思います。

 こうした膨大な特許申請が、きちんと検証された後に書かれたものだと信じている人はおそらくいないと思います。少なくとも、特許を毎年量産し続ける人たちなら、「特許中のデータがすべて検証されている」なんていうことを信じているような人はほとんどいない」と言って良いと思います。

 「学術論文」と「特許」は少なくとも現状は全く違う、のです。

 今回の一連の記事・対応からは、そういった「特許と学術論文は少なくとも現状は全く違う質のものとなっている」という背景がまったく見えてきません。

 そろそろ、そうした「特許という世界の背景」や「特許と学術論文の違い」といったことについて、きちんと解説した記事が出てきても良い頃ではないでしょうか。

*1   ちなみに、特許が仮に登録されたとしても、その特許が「万能の剣」になるわけでもありません。その登録特許に文句がある人や企業が、「おいおい、この特許は○×の理由でダメじゃないの?」と特許をツブす無効審判をかけてくることだって普通によくあることです。特許は申請すればそのまま有効になるわけでもなければ、登録されれば絶対的なものになるわけでもない、ということも「知っている人には当たり前」の話ですが、知らない人だと意外に感じることもあるかもしれません。

2010-02-24[n年前へ]

「サイエンス・ウォーカー」で「科学なデート」 (初出: 2006年03月16日) 

http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060310/eve_____sya_____003.shtml 「文科省がフリーペーパー デートにお勧め!!」という記事が、東京新聞に出ていました。「科学離れ」を防ごうと、20~30代のカップルがデート中に科学の話題を楽しむ手助けとなる小冊子を作ってみよう、という試みを紹介した記事です。A4判16ページの小冊子を百万部作製し、雑誌「東京ウォーカー」などにとじ込んだり、首都圏などの駅やコンビニエンスストアなどで配布したりする予定だということです。

 科学館に行くと、そこには何組もカップルがいる、ということは多いように思います。そして、説明が不足気味の科学館などで、そんなカップルの片方が相手に科学ウンチクを垂れている、という風景もよく見かけます。

 人それぞれだと思いますが、「科学ウンチクを垂れること」は「恋を一歩進める」には効果的なのでしょうか?それとも、逆効果なのでしょうか? 人によっては、「この彼(or 彼女)ってなんて物知りなんだろう!→尊敬しちゃうなぁ→恋しちゃうなぁ」という効果もあるかもしれません。しかし、あるいは、人によっては、「何ワケわからないこと言うんだろうコイツ!?」と思われるかもしれません。

 いつだったか、私は「科学に詳しい男性&科学に疎い女性の科学館デートはOKかもしれませんが、逆のパターン「科学に詳しい女性&科学に疎い男性の科学館デートは絶対駄目そうな気がします」という感想を女性から頂いたことがあります。感想というよりは、それは哀しくも確固とした実体験にもとづいた貴重な名言のようでした。

 さて、あなたの場合、過去の経験を振り返ってみて、「デート with 科学」は一体どんな具合だったでしょうか?

2010-02-25[n年前へ]

「WEBコンテンツの変化」 (初出:2005年11月20日) 

 twitterなど、マイクロブログが主流になっていますが、時代はいつも移り変わるものです。そろそろ、次のWEBコンテンツが現れても良さそうな気がします。

 2010年の初春に、5年前に書いた記事を眺め、過去の未来の現在に立つ私たちの、その私たちの先にあるだろうWEBコンテンツの変化について、思いを馳せてみたいと思います。


「個人の"ホームページ"の時代」

 私が「インターネット」を眺めるようになったのは、WWWブラウザのNCSA Mosaic が登場した1993年過ぎからでした。その直後、使うブラウザは Netscape Navigator へと変わりました。そして、1996年くらいから「さまざまな個人が書いているページ」を楽しむようになりました。例えば、その1996年に始まったサイトで例を挙げてみると、「今日の必ずトクする一言」や「我が妻との闘争」といったサイトを眺め楽しむようになったのです。その二つで代表されるような「個人が趣味的記事を書く"ホームページ"」が盛んだ、と言われた年がそれから2.3年くらい続いたような気がします。今でも、細く長く続く素晴らしい「個人の"ホームページ"」がその頃生まれました。その頃、私も自分でもサイト hirax.net を立ち上げ、そこで雑文を書くようになりました。

「WEB日記の時代」

 その直後、おそらく1998年頃からだったと思うのですが、時代は(今度は)「日記サイト」だということになっていました。「個人の"ホームページ"」の時代は終わり、「個人が書くWEB日記」の時代が始まった、というのです。私のサイトが雑誌に初めて取り上げられた時も、実は「日記サイト」という扱いでした。(今でもなぜそうなったのかはよくわからないのですが…) その時代を代表するサイトは、間違いなく「ちゃろん日記(仮)」でしょう。「WEB日記の時代」からは、そんな素晴らしく高い密度の文章が生まれました。

 なぜ、「個人の"ホームページ"」の時代は終わり、「個人が書くWEB日記」の時代だと言われたかというと、「個人が多くの人に読まれるような記事を書き続けることは難しい」せいだったと思います。インターネットの世界で「アクセス数が多くなる」ためには、多くの人が繰り返しそのサイトに人が訪れるためには、「続ける」ことが欠かせません。しかし、「個人が自分のオリジナルの記事を書く」「ある程度の長さの文章やコンテンツを作る」ということを頻繁に更新し、それを長く続けるのは難しいと思われたのだろう、と感じました。そしてさらに、「(けれど)個人が自分のことに関する日記を書く」ことなら、頻繁な更新もできるだろうし、それを長く続けることもできるに違いない、と考えられたせいだったような気がします。

「掲示板の時代」

 そして、またしばらくして、今度は「個人のWEB日記」の時代が終わり、「掲示板」の時代がやってきました。「自分の毎日に関することでも、やはり(個人が)頻繁にある程度の長さの文章を書き続けることは難しい」けれど、複数の集団であれば「(いくら頻繁であっても)多数の人が感想文を書き連ねるなら簡単」だし、「それを長く続けることも容易だ」ということだったような気がします。似たような趣味の人が「感想やコメントを付け合う」「掲示板の時代」(という風に記事などで取り上げられる)時代が少しの間続いていたような気がします。もちろん、その頃生まれた「2ちゃんねる」は、(言うまでもなく)今では超巨大な空間になっています。「色々な問題」が指摘されたこともありましたが、そのような掲示板が色々な多くのものを生み出してきたことも確かな事実に思えます。

「ニュースサイトの時代」

 そして、次の時代は「ニュースサイト」の時代でした。そういう風に言われた理由を、(強引な理屈ではありますが)作り出してしまうなら、「複数の人であっても、一つの同じ趣味の話では長く続かない」というような意識があったような気がします。「例え、複数の人であっても、自分たちの中の話題だけでは長い期間にわたって書き続けることはできない」けれど、「(種々の)他サイトの記事」に関して、「ごく短い - ひとこと - の感想を付記することで書き連ねる」ことならば、比較的頻度高く更新を続けることができる。しかも、他サイトに「面白い記事」があれば、その「面白さ」へ導くことで読者を楽しませることができる。そして、それを孫引きするなら、多くの人がすることができる。そんな風に「頻度高く・長く続ける」ことができるからこそ、読者も楽しい、というようなものだったような気がします。これも強引に例を挙げてしまうなら、「俺ニュース」「そして、その孫引きニュースサイト」のようなものがその例になるかもしれません。

「ブログの時代」

 そして、次の時代は「ブログの時代」でした。「ブログの時代」を単純に言うならば、

「ブログの時代」 = ( 「WEB日記」 + 「ニュースサイト」 + 掲示板 )

というような感じです。少なくとも、私の勝手な印象ではそんな感じでした。「長く頻繁に書き続けることが難しい」ということに対して、「個人が自分の近況を書いたり」「個人が他サイトの記事の感想を書いたり」「それに対して、複数の人が(ごく短い - ひとこと - の)コメントを付け合ったり」という、これまでの時代の「メリットの貼り合わせ」をしたシステムです。そして、それがもしかしたら「現在の時代」なのかもしれません。

「コメント付きソーシャル・ブックマークの時代」

 ところで、最近は「コメント付きソーシャル・ブックマーク」の時代なのかもしれない、と思うことがあります。それはつまり、「複数の人が、他のサイトに関して、 - ひとこと - の感想を付ける」というシステムです。「一人の個人が、自分のサイトで長い文章を頻繁に書くことが難しい」のであれば、ちょうど「その逆のもの」ということになります。一例を挙げるならば、「はてなブックマーク」のようなものです。「大勢の人が共同作業でニュースサイトを運営し、大勢の人がその他サイトの記事に対して - ひとこと - コメントをつける」というシステムです。いわば、

「コメント付きソーシャル・ブックマーク」 =  多数の人が運営する「"他サイト"ニュースサイト +  "ひとこと"掲示板」
という感じのものです。実際、WEBの世界で「ニュース」となるような記事は、「はてなブックマーク」のようなところで取り上げられたものが多いような気がします。

 インターネット上のWEBコンテンツは、今のところ、「短く」「繋がる」という方向に動き続けています。これから、先の未来のWEBコンテンツはどうなるのでしょうか? (この記事を図解したものを図解 「WEBコンテンツの変化」に書きました)

2010-02-26[n年前へ]

図解 「WEBコンテンツの変化」 (初出:2005年11月20日) 

 昨日書いた、 「WEBコンテンツの変化」の、「種々のWEBコンテンツの違い」を図解してみました。

 これまでWEBコンテンツとして登場し(参考:教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書 )、「その頃に流行りとされたもの」たちを適当に立体空間に並べてみたのです。昨日の文章は、これらのものが「どう移り変わっていったか」、あるいは、最近のものが「以前あったものをどのように組み合わせたか」の感想を書いたものであったわけです。

 今日描いてみた図は、「コンテンツが取り扱う話題」が「自分独自」のものか「他からの派生物」か、文章の長さが「短い」か「長い」か、そして、書き手が「複数」か「一人」かで、 「WEBコンテンツの変化」に登場した「コンテンツ種」を示したものです。

 前回の文章で書いた、「続けることの大変さ」で言うならば、左下手前が「書き続けることが難しい種類のもの」で、右上奥が「続くことが容易に見える種類のもの」ということになります。

 ちなみに、この図中で一番「書き続けることが難しい種類のもの」とされている「オリジナルWEB日記」とは、「一回だけ、短い期間だけなら、書くことは決して困難なものではない」と思います。けれど、それを続けることはとても難しい、というような「感じ」でそこに配置してみました。もちろん「今この瞬間の私」がふとそう思った、その程度の曖昧な「感じ」です。

 さて、今回作ってみた図は「主観的かつ大雑把に、実に適当に作ってみたもの」です。きっと眺める人ごと・眺める視点ごとに、色んな分類や配置をしたくなるのではないだろうか、と思います。そこで、そんな風に思った方のために、今回作った図のオリジナルファイル(PowerPoint のPPTフォーマット)をここに置いてみました

 こんな図が何の役に立つかは、はなはだ疑問ではありますが、いくらでも思うがままに料理して、好きなように変えて、そして自由に使って下さって料理して下さって結構です。あなたの思うWEBコンテンツの配置図は、一体、どんな感じのものになるのでしょう?

図解 「WEBコンテンツの変化」






2010-02-27[n年前へ]

「男と女のデート大戦略(アルゴリズム)」をプログラムで語る (初出:2006年03月26日) 

Title  「サイエンス・ウォーカー」で「科学なデート」で、「理系ウンチク話」をデートの時に喋るのは、デート成功のために有利なのか・それとも不利なのか?どっちなんだろうか?と書いてみました。

 すると、その後、「本人が楽しそうに話してたら、何が楽しいと思ってるかを伝えようとしたら、きっと受け手も楽しい。けれど、相手に楽しさを伝える前に自分を賢そうに見せたり自分の知識をひけらかしたりしたがる人だと、受け手はあんまり楽しくない」「友達だって、恋人だって、飲み会だって、一方通行の会話(話?)だと楽しくない」「(理系話題に慣れていない)聴き手に合わせて上手く説明したり、話をアレンジできる機転が(話し手に)ない場合には、理系ウンチク話をしない方が良いかも」なんていう意見を頂きました。

 その言葉を眺めながら、私はふと「相手に合わせて上手く理系ウンチク(あるいはそれ以外)を話すデート作戦」をキッチリ考えてみたくなったのです。…「ゴリゴリ理系っぽく」論理的に考えてみたい、と思ったのです。

 そこで、試しに、「男と女の間のデート戦略アルゴリズム」をプログラム言語で考えてみることにしました。例えば、

try {
    if (he.talksAbout(rikei)) { 
        she.likes() 
    }
} catch (Java.she.Exception jse) { 
    she.talksAbout(DISLIKE); 
    he.chagePolicy('otherWay');
}

という感じです。

 実際に、行動をプログラムで実装してみれば、デートの作戦・考え方や、自分が予想する相手の対応がすっきり、明確に見えてくるような気がします。そして、何より、そんな作業はとても面白そうです(あくまで、理系的には、ですが)。

 「男と女のデート大戦略(アルゴリズム)」をプログラムで語る、オープン・ソースの「デート」支援 というのも結構楽しく役に立つかもしれません。「誰もが活用できるデート戦略(アルゴリズム)」や「(いさまざまな)例外・エラー処理に対してどのように対処するか」を、さまざまな言語でオープン・ソース開発する、というハウ・トゥー本なんていうものがあっても、面白いのではないでしょうか。

 さらには、もしかしたら、いつの日か「男プログラム」と「女プログラム」がデート試行をすることで、アルゴリズム・実装の「性能・効果比較」をすることができるようになり、その結果として、汎用的な一般最適アルゴリズム(戦略)すら、できあがったりする時代が来たりするかもしれません!?

2010-02-28[n年前へ]

「ブラジャー大戦争」と「日本人と中国人の体型の違い」 (初出:2005年09月10日) 

 「ブラジャー戦争」が世界で勃発しているという。「ブラジャー戦争」という、何とも奇妙な名称の「戦争」は、中国製繊維・衣料品の米国や欧州諸国への輸出に関する貿易問題のことだという。

 中国が輸出する低価格繊維・衣料品を「(人の目を惹く)ブラジャーに代表させ、それらの貿易摩擦を「ブラジャー戦争」と呼んでいるらしい。

 9月1日には、米国も中国製ブラジャーに対して、緊急輸入制限(セーフガード)を発動したし、EU(欧州連合)も該当製品を税関で足止めさせていた。

 そういうわけで、「ブラジャー戦争」「Bカップ騒動」などという言葉が、連日のように新聞紙面を飾っている。

 中国工場で格安安定生産をを実現したことにより躍進したユニクロの衣料を愛着する人も多いだろうから、この「ブラジャー戦争」の行方に興味を持つ人も多いかもしれない。

 「中国」と「ブラジャー」と言えば、「日本人と中国人とではバストの形が違う」という一節で始まる「中国・北京ワコール」の記事も面白い。

 男性の私には今ひとつよくわからないのだが、「日本人はバージスライン(バスト下部のまるい弧のラインで、カップのカーブにフィットする部分)が狭く、前に飛び出た形。これに対し、中国人はバージスラインが広く、お椀のような丸い形」らしい。

 そんな「日本人と中国人の体型の違い」を理解し、中国市場に向いたブラジャーを生産することで、中国・北京ワコールは、中国の下着市場で生き残っていこうとしているという。

 「ブラジャー戦争」「Bカップ騒動」という名称は人の目を惹く。そんな、「ブラジャー戦争」「Bカップ騒動」から、世界の貿易問題や製品開発の現在を知ってみるのも面白い!?かもしれない。