2011-02-13[n年前へ]
■ガチンコと八百長を俯瞰した時の「ソン」と「トク」
「貴乃花が八百長相撲を嫌い、ガチンコ相撲を貫き通していたこと」を書いた記事を読み「なるほど、相撲の道を追求し続けた貴乃花だ」と感じ入りました。けれど、それと同時に、中島隆信「 大相撲の経済学」の第六章の中の「八百長は本当に悪か」という一節を思い出したのです。
ここで問いたいのは角界の八百長を絶滅することが本当に社会にとってプラスになるのかどうかという点である。(中略)力士のケガは、体重増など体力的な原因が確かに大きいだろうが、一面では真剣勝負の現れともいえないだろうか。そして、この一節と同時に、第九章で書かれている、(平成14年当時)7場所連続休場していた横綱貴乃花に対して、「土俵に上がり出場した上で、横綱の責任をまっとうできないときは、自ら身体を決してもらいたい」と横綱審議委員会が引退勧告に近い注意を貴乃花に対して行っていたことを書いた一節も思い出したのです。ガチンコを続けたという横綱は、史上で一番、土俵に上がることができなかったのでした。
大相撲が興行を続けて行く上で、「八百長」と「ガチンコ」のどちらかだけが100%だとしたら、きっとうまくないのだろう、と感じさせられます。貴乃花はひとつの頂点だけれども、みんなが貴乃花だったとしたら、定期的な巡業をすることもできない相撲集団になっていたのかもしれない、とも思わされるのです。