2012-02-26[n年前へ]
■レンブラントの「"平均"肖像画」やフェルメールの「"平均"室内画」
「美術室の黒板」は「夕日に照らされる向き」に作られる!?で書いたように、北半球にある日本では、美術室やアトリエの窓は北側に向けることが一般的です。そして、利き手が右手、つまり右利きの人は、そんな北向きの窓からの光を左に見つつ(そうしなければ、絵に利き手の影が落ちてしまいます)、絵を描くことが多いものです。
陰影を強く描いたオランダの画家、レンブラントが描いた人の顔を51枚(顔)集めて「平均画像」を作ってみました(左上)。レンブラントが描く肖像画は、左から光があたるものが多いので、左から光があてられた顔が浮かび上がっています。
西洋絵画で光が左からあてられていることが多いことには、いくつもの・そして曖昧な理由があるだろうと思います。そんな(確かとは言えないけれど)曖昧な理由の中のひとつは、画家たちのアトリエの窓が北側に面していて、そして多くの画家が右利きであった、ということだと言われています。レンブラントも、自画像のX線解析の結果から、右利きだった可能性が高いと考えられていますから、北側の窓から差し込む光を左に受けつつ絵を描いていたのでしょう。
レンブラントと同じくオランダの画家、フェルメールの絵画を思い浮かべてみても、思い出すのは左側にある窓から部屋に光が差してくる風景ばかりです(フェルメールが描いた絵の数は非常に少ないですが)。試しに、フェルメールが描いた室内風景の「平均画像」を作ってみると、それはたとえばこんな具合になります。やはり、「窓は左(北)向き」で、画家の利き手(右手)は「サウスポー(南向き)」になっています。
学校の美術室で悲しいほどに不器用な絵を描いていた私たちも、キャンバスに信じられないくらいリアルに世界を浮かび上がらせる巨匠たちも、同じく北側の窓からの光を受けつつ絵を描いていた…と考えると、何か少し面白いな、と思います。
参考:スライド・デザインにおける「上手と下手」