2015-02-01[n年前へ]
■ パーティで役立つ!?「シャンパンやビールの泡」の科学 Vol.1
パーティで役立つ!?「シャンパンやビールの泡」の科学 Vol.1を書きました。
クリスマス・年末・新年会…シャンパンやビールを片手に立食パーティなどに参加する機会も多い時期です。話をするのが苦手だったりすると、そんな場は「手に持ったグラスを眺め、ただ飲み続ける時間」になったりします。けれど、それはあまりにもったいなさ過ぎる!というわけで、手に持ったグラスを眺める時間を新鮮で楽しい発見・研究タイムに変身させる「役立つ知識」をご紹介します。
2015-02-06[n年前へ]
■冬の「スリップ」に関するtweet発生時間推移のナゾ!?
寒い今朝、朝の8時くらいに歩いていると、路面が凍っている。歩きながら、ガードレールを突き破る車を4台見て、交差点で曲がる途中で転ぶ自転車を3台見る。…という、スリップする人や物体を数多く見る。そこで、キーワード「スリップ」でリアルタイムtweet検索をしてみると、今朝は朝の8時くらいにピークがある。
…けれど、他の日を眺めてみると、夜12時にほぼピークがあって、朝方6時くらいに底を打ち、それから深夜12時に向けてまた単調増加なカーブを描いている。このトレンドは、一体どういう現象を意味しているのだろうか?
2015-02-07[n年前へ]
■ギネスビールの泡特徴は、二酸化炭素でなく窒素封入だからこそ(あと粘度の高さ)という話
普通の高圧下でビールに二酸化炭素を溶け込ませるけれど、ギネスビールは窒素を封入する。で、二酸化炭素を溶はビールにたくさん溶け込むけれど、窒素はあんまり溶け込まない。
その結果、二酸化炭素の泡が生まれる普通のビールでは、泡が上昇するに従いビール中に多量に含まれている二酸化炭素が(ビールから)泡中に溶け出して、泡粒径は大きく・泡上昇速度は速くなる。
その一方、窒素が溶け込んだギネスビールでは、泡は上昇中にさほど大きくなることもなく、上昇速度もほぼ一定になる。ビール自体の粘度も高いため、この傾向はさらに顕著になる。
そんなこんなのことを(ビール大好きな)知人がOpenFOAMで計算したシミュレーション結果が、下の動画です。左下が普通のドラフトビールで(違ったかも)、右下がギネスビール(泡がグラスの周辺部で下降するギネスカスケードが生じている)。
2015-02-08[n年前へ]
■名作CM Sony "Balls" の撮影場所に行ってみよう!
サンフランシスコのダウンタウン近く、まるで小高い山のような坂道を歩いていると、不思議な既視感に襲われました。坂の遙か下に白塔が立っていたり、坂道の下に海が会って小さな島が見えていたり…「どこかで見た景色だ」と感じます。
しばらくして、10年前に流された SONY の有名CM "Balls (Sony Bravia Bouncy Balls)"が撮影された場所だと気づく。…あのCMは、(iPodに入れて)何度も繰り返し眺めていたから、まるで既に眺めていたかのようなデ・ジャヴな心地になったようです。
Filbert st.とLeavenworh st.が交わる交差点に立ち、東の方向を眺めると坂の向こうに見える丘の上に白いCoit Tower が立っています。その左、北方向を眺めると、坂道の下には海が広がっていて、そこにはアルカトラズ島が見えています。
ところで…撮影のために生産した25万個のボールを、下にめがけて投げ出したこのCM、放たれたボールの位置エネルギーは一体どれほどの「凄さ」なのでしょうか?そこで、「何と同じくらいのエネルギーだろう?」と予想をしながら計算してみます。
撮影場所の標高(65m)、ゴムの密度(0.9g/cm^3)、25万個のボールを直径2cmとすると…坂の下、海面近くまで転がっていくボールたちが解放する位置エネルギーは、およそ60万ジュール。
1.5キログラムのTNT火薬が爆発する時のエネルギーと聞けば大きいような気もするけれど、成人女性の1日の摂取カロリー(推奨値 1500kcal)とほぼ同じ…だと、何だか意外に少ないような心地にもなります。
…といった妄想や色んなことを想像させられる、SONY "Balls"の撮影現場、ダウンタウンやフィッシャーマンズワーフから近いので、行ってみると結構面白いかも。
2015-02-09[n年前へ]
■実は(まるで左利きのような)少数派で不自然な「自転車の右側ブレーキ=前輪」セッティング!?
サンフランシスコのフィッシャーマンズ・ワーフ(Fisherman's Wharf=漁師の波止場)に行くと、左利きの人たち用のモノを売るお店 Lefty's, the Left Hand Storeがあった。なるほど、たとえば、ほぼ全てのカメラのシャッターボタンが右側に位置しているように、多くの商品は右利き用に作られている。右利きの私は、その便を享受しているが、少なからずいる左利きの人たちは、もっと左利き用の商品もあったら良いのに…と思うに違いない。
Lefty'sを眺めつつ思い出したのが、米国で自転車を借りるとき、「左が前輪ブレーキで、右側が後輪ブレーキだ。英国から来た人が、間違えて、右側で急ブレーキを掛けて、大変なことになったからな」という説明を受けたことだ。売られている自転車のブレーキのセッティングが右側=前輪・左側=後輪なのは、英國や日本といった比較的少数の国で、他の多くの国では逆のセッティングになっている。
だから、(日本国内向けのみに製造されているものを除けば)世界市場を視野に作られている自転車は、右側ブレーキ=後輪・左側ブレーキ=前輪用に作られている。実際、普段乗ってる自転車を撮影してみると、本来の設計とは左右逆に取り回されたブレーキワイヤーが異常な曲がり方になってしまっている。たとえば、持ち手の左側ハンドル根元から出たブレーキワイヤーは、急激に曲がった後にフレーム本体の左側に回されているし、右側ハンドルの根元から出たブレーキワイヤーも前輪右側に急カーブを描いている。物理的には、不自然極まりないワイヤーの取り回しだ。
普段意識することはないけれど、日本で(世界向けに作られた)自転車に乗っているということは、右利き用製品を左利きの人たちが使うような状況だ。日常生活で身の周りにあるモノたちが、意識せずとも多数派だった自分たち向けに作られていることもあるが、実は少数派の自分たちが不自然な使い方をしていることもある。円グラフの「多数派」「少数派」どちらに自分がいるかを意識してみるのも、結構面白いものだ。
2015-02-17[n年前へ]
■身近な「レンタル撮影スタジオ」で非日常体験をしてみたい!?
「レンタル撮影スタジオ」…さまざまな状況・場所の撮影を行うための場所が、意外に身近な街角にあったりする(参考:レンタル撮影スタジオ)。たとえば、東京山手線駅チカな場所でさえ、軍艦島・廃病院病室と美術室が隣り合う建物・刑務所・サイバーなローマ宮殿…といった未知なる場所が一時間5千円ナリくらいのお値段で、借りることができたりする。
ずっと昔、カラオケなんて存在ができる前は、素人が歌を他人に聴かせる一般的な場なんて存在しなかった気がする。それと同じように、極端な例だけれども、刑務所や廃病院やローマ宮殿なんて、一般的ではない場所だ。…そんな非日常な場所を、月に一回くらいの頻度で借りてみて、そこで飲み会とか勉強会をやってみるのも面白いかも。
2015-02-20[n年前へ]
■福岡伸一のフェルメール 光の王国展 2015で展示していた「リ・クリエイト絵画」を特殊撮影・復元し、ライクスミュージアムのオリジナルと比べてみた。
『福岡伸一のフェルメール 光の王国展 2015 - 彼は画家ではなく科学者だった。 フェルメールの秘密を解き明かす世界初のリ・クリエイト*絵画展』が開催されているというので、特殊カメラをリュックに入れて東京日本橋に行き、特殊撮影・VR復元してみました。その一例、たとえばMilkmaid(牛乳を注ぐ女)を眺めてみた例がこちらです。(しまった!画像を反転させちゃった)
オランダのアムステルダム国立美術館(ライクスミュージアム)でオリジナルを撮影した結果と比べると、オリジナルとは全く異なるキャンバス地の上に絵作りがされていて、何だかずいぶんと見え方が違います。額は本物と同じように見えますが、額に収まった中身がずいぶん違うような印象を受けます。このリ・クリエイト絵画は、たとえばMilkmaid(牛乳を注ぐ女)の場合だと15万円程度で販売されていますが、(ビンボな私からするととても高い金額なのに)とても安っぽい印象に見えてしまいます。
…なんてことを考えながら、その足で秋葉原近くに行くと、美術品を売る店があって、そこに置かれていた2万5千円くらいのフェルメール復元版画の方が、よほど本物に近いように見え、お買い得でとても豊かに感じられ、思わず買いたくなってしまいました。
2015-02-21[n年前へ]
■「おっぱいに対する複数指を使った接触状況をセンシングするユーザーインターフェース」を千円くらいで作ってみた!?
秋葉原でプラズマボール(ガラス球に触れると内部のプラズマが美しく輝く玩具)を980円で買い、100円ショップで税込み100円以下で買ったUSB 3D カメラを使って、半球面マルチタッチインターフェースを作ってみました…というか作り始めました。…半球形状に触ることができるというのは、つまりいわゆるひとつの「おっぱいに対する複数指を使った接触状況をセンシングするユーザーインターフェース」です。単純に言うと、球状のプラズマボールに指で触れたことによるプラズマ光をUSBカメラで検出し、その接触状況をセンシングして、半球形状の物体を複数の指でそのように触れているかをリアルタイムに検出しよう!という仕組みです。
こんなユーザーインターフェースが何かの役に立つことがあるかどうかは…実際のところよくわかりません。けれど、なにはともあれ、「おっぱい(その他半球形状物体)に対する複数指を使った接触状況をセンシングするユーザーインターフェース」を千円くらいで作ってみました!?…あとは、タッチ状況に対してリアルタイムに応答する側を作り出させば、インタラクティブに反応する「何か」を作り出すことができるかも!?
2015-02-22[n年前へ]
■「ディズニーアニメの主人公に母親がいない」理由は「ウォルトディズニーが母を亡くしたから」じゃない
「ディズニーアニメの主人公に母親がいない奥深い理由は実は…」という話は、以前からよく書かれてきた話だけれど、客観的に眺めてみれば、この説は全く本当のことではない…という話(「ディズニーアニメの主人公に母親がいない」理由は「ウォルトディズニーが母を亡くしたから」じゃない)を書きました。
この「ディズニーアニメの主人公に母親がいない奥深い理由は実は…」という話は、以前からよく書かれてきた話です。しかし、客観的に考えると、この説は本当のことではないようです。
2015-02-27[n年前へ]
■フェルメール「真珠の耳飾りの少女」…実は「耳飾りは真珠じゃない」
フェルメール「真珠の耳飾りの少女」…実は「耳飾りは真珠じゃない」…という記事を書きました。フェルメールが描いた少女が身につけている耳飾りは「真珠じゃない」というのが定説ですが、その紹介記事を書いてみました。
17世紀オランダの画家、ヨハネス・フェルメールが描いた「真珠の耳飾りの少女」は、美しい少女が口元に微かな笑みを浮かべるように見えるさまから「北方のモナリザ」とも称される名画です。オランダのデン・ハーグのマウリッツハイス美術館が所蔵する「真珠の耳飾りの少女」は、日本でも人気高いフェルメールの中で、最も愛されていると言っても過言でない名画です。現在では「真珠の耳飾りの少女」と呼ばれているこの作品ですが、少女が身につけている「耳飾り」は、実は「真珠じゃない」というのが定説です。
右に貼り付けた画像は、新潟県工業技術総合研究所の阿部 淑人氏が、「フェルメールが描いた少女が、ティアドロップ形状のガラス製耳飾りを付けていたら、どんな風に見えるかを試しにレンダリングしてみた」コンピュータグラフィック画像です。青と黄色のターバンのように、エキゾチックでミステリアスで、何だかとても魅力的ですね。
2015-02-28[n年前へ]
■科学が解き明かす「ウォーリーを探せ」の必勝法
「ウォーリーを探せ(原典版7冊)」でウォーリーが出現する場所の分布を調べてみると、面白いことに偏りがあります。そこで、効率的に素早くウォーリーを探すにはどうしたら良いかという探索最適化を、これまでの研究者たちの研究報告を踏まえて(これが結構あるんです)、研究してみたのがWolfram BLOG の Find Waldo Fasterです。ちなみに、これまで報告されている研究結果においては、上限端と(上下の)中央を除いた2箇所で横方向に対してウォーリーを探す、というのが最適解とされていました。たとえば、下のアニメーションは、見開きページのウォーリーが隠れてる場所が、上限端と(上下の)中央を除いた2箇所辺りに集中している…ということを示した例になります。
今回の最新最適解は、ページ上下は探さなくて良くて、左右の見開きページに渡って2.8インチ(7cm)幅の逆V字を描くように探していけばウォーリーを素早く見つけ出すことができる…というものになっています。
ちなみに、左右ページでのウォーリー出現分布、なぜか上下反転した類似形状になっているようにも見えます。描く上での事情なのか、探しにくさを考えたためなのか、あるいは印刷安定性を考えたせいなのか…そんなことを考えてみたりするのも、何だかとても面白いです。