2010-02-05[n年前へ]
■「はるか」のアンテナ
平林久・黒谷明美「星と生き物たちの宇宙―電波天文学/宇宙生物学の世界 (集英社新書) 」から。
「はるか」の最も重要な大きなアンテナの展開はどうだったのでしょう?そもそも、アンテナはどういう仕組みで展開するようになっていたのですか?
この方式を進めたのが、当時宇宙科学研究所で「はるか」アンテナ開発主任だった三浦公亮先生です。折り紙の権威で三浦折りの発明者です。
「はるか」のアンテナは三浦折りだと勘違いされることが多いのですが、全く違う概念です。
著者の片方(私の父)は、何十年来、hiraxという名前を使い・そう呼ばれている。それが、hirax.netの"hirax"の由来である。
2010-03-03[n年前へ]
■地球は止まらんし、反対向きには回らんし
中町綾子「ニッポンのテレビドラマ 21の名セリフ 」の大森美香脚本の「風のハルカ」から。すべて、主人公ハルカの台詞。
「どうしようもないんやな。地球は止まらんし、反対向きには回らんし」
「明日からまたいつもの朝を始めんといかんから。正巳がおらんくなっても、私は生きちょるし、ご飯を食べて、眠って起きて、前に進むしかないんよ」地球は時点を続け、西に太陽が沈めば、やがて、東から太陽が昇る。そして、人は朝版を食べて、また、前に進む。
2013-03-04[n年前へ]
■「観測がひらく不思議な宇宙」
乳が…じゃなかった父が書いた本(ATOKのこの手の誤変換にはいつも困らせされます)「観測がひらく不思議な宇宙 」が手元に届きました。1960年代から2000年過ぎまでの三鷹(東大 三鷹天文台)や長野県 野辺山(太陽電波観測所/宇宙電波観測所)や淵野辺(宇宙科学研究所/JAXA)の話を読むと…登場する人たちの名前索引が欲しい!と心から願うほどに、登場する人たちが何ともエネルギッシュで面白い…と思わされたのです。
(「はるか」の運用計画に関して)科学者というのは、良く言えば知識欲につき動かされてどこまでもがんばる人たちです。一方、功名心も人一倍です。下手をするとどうにもまとまりません。
実験屋や観測屋は、自分の使う装置をよく理解していないと、間違った結果にひきずられてしまいます。大事な発見や観測は、装置のギリギリの性能の中から引き出してくる場合が多いのです。装置の性能振る舞いを理解し、癖を適正に補正してこそ始めて使い物になるのです。仮想の装置と言ったコンピュータ・シミュレーションでもまさに同じことが言えるはずです。基本方程式がわかっているなら、あとはコンピュータが計算してくれると簡単に考えたら間違いです。使われる方程式のセットはいいのか、手法・近似・初期(境界)条件はいいのか、空間・時間を適正に刻んでいるか、個々の粒子数は、結果は適正か?理解できるか?…結果に人がしっかり付いていかなければなりません。
2013-03-08[n年前へ]
■「ミューズという仮名」と「継続するための力」
「観測がひらく不思議な宇宙 」から。
電波天文衛星(はるか)の仮の名前は「Muses-B」でした。Musesという衛星名は、宇宙科学研究所の先進的な工学実験を目指したシリーズにつけられるコード名で、「ミューロケットを使った工学実験衛星シリーズ」を表すMu-Series-Engineering-Satelliteから作られた名前です。
打ち上げまではこのコード名で呼ばれ、打ち上げ成功後に本名が付けられるというのが宇宙科学研究所のやり方でした。
先輩格のMuses-Aは月・地球間スイングバイを実験した「飛天」です。Muses-Cは、2003年に打ち上げ、小惑星イトカワまで行き・サンプルを採取し、2010年に帰ってきた名機「はやぶさ」です。Muse(ミューズ)は学芸を司る9人の女神を指します。
困難を切り抜けて生きているから、次の経験をすることができました。人生もそう、努力して生き続けていないと、次の人生のステップを経験することができません。
研究と運用と実験で結ばれていた衛星ミッションチームは終了とともに霧散していきます。よきチームの存続意義と力は実経験があることでのみ存続できます。小惑星のサンプル採取する次の衛星ミッションは「はやぶさ2」と称されていますが、Musesシリーズでなく、結果を目的とするものとなります。
2013-03-31[n年前へ]
■はるかの寿命が尽きた・電源を切る瞬間
朝日新聞の読書欄「著者に会いたい〜観測がひらく不思議な宇宙 」で、乳…じゃなかった父が(父の)父について語っていました。
(電波天文衛星である)はるかの寿命が尽きた2005年11月30日は忘れられない。
「電源を切る時刻、11時28分08秒が読み上げられた瞬間、体の一部がなくなるような気がして涙が出ました。人の臨終と同じでした」
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