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2016-01-17[n年前へ]

エッシャーが作り出した3次元球体彫刻を「全天周投影」して眺めてみたい!? 

 不思議な幾何学的世界を描いたオランダの画家エッシャーは、現実に触ることができる立体物つまり3次元体のアートも作り出しています。1940〜1950年代にエッシャーが作った3次元球体彫刻を眺めていると、なぜだか「あまり面白くない」と感じました。

 その理由を考えると、3次元球体を眺めても、そのごく一部しか見通すことができないためではないか?と感じました。球体の表面に「空間を規則正しく埋め尽くす模様」が描かれていたとしても、部分的にしか「見えない」ために、2次元平面に描いた作品で感じるような「空間が不思議に意味を持った模様で埋め尽くされている」という印象を、ほとんど受けないのです。だから、今ひとつ面白く無い…と感じてしまうのではないか?と感じたのです。

 空間表面を規則正しく充填する作品は、手に持てるような物体として表現するのではなく、自分を360度の全方向から包み込む(プラネタリウムのような)全天周画像として投影し、その世界の中に入り周囲4πステララジアンの空間全てが不思議な模様で連続的に埋め尽くされている風景を眺めた方が面白いような気がします。

 「プラネタリウムドームに投影するエッシャーの世界」の上映会…眺めてみたいと感じる人・やってみたい!と思う人たちが少なからずいるのではないか?と想像してみたりします。

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2016-02-20[n年前へ]

フェルメールが描いた「地球儀」「天球儀」をペーパークラフトで作ってみよう!? 

 昨夜、五反田DNPミュージアムラボで開催中のBnF × DNP ミュージアムラボ 『フランス国立図書館 体感する地球儀・天球儀展』を観ました(フランス国立図書館 体感する地球儀・天球儀展』は面白い!)。これは、これまでの歴史の中で、さまざまな貴重な「地球儀や天球儀」を大日本印刷(DNP)がデジタル・スキャニングして、それらの3Dデータをさまざまな方法で展示するとともに、オリジナルも並べて眺めることができる。…たとえば、17世紀のオランダ画家ヨハネス・フェルメールが「地理学者」や「天文学者」で描いた「地球儀」や「天球儀」を眺めることができる…という素晴らしいものでした。

 その展示が、あまりに新鮮で楽しかったので、今日はこんなことをしてみました。まず、DNPがスキャンしたデジタルデータを3D的に(WEBブラウザ上で)眺めることができるフランス国立図書館(BnF)のデジタルアーカイブサイトGallicaにアクセスします、するとブラウザを介して、自分のコンピュータの中に(DNPが作成した)デジタルデータが保存されます。このデジタルデータを使って、たとえば、フェルメールが描いた「地球儀」や「天球儀」を正六面体のペーパークラフトとして、自分の掌の上に乗せて眺めることができるようにしてみました。ペーパークラフト作成用PDFはこちらです。*(「組み立ててみたよ!」という奇特な方がいらっしゃいましたら、組み立てた写真を「展示用」に送って頂けると嬉しいです。)

 ちなみに、フランス国立図書館(BnF)のデジタルアーカイブサイトGallicaでのWEB表示では、地球儀や天球儀の3次元形状も(その3次元データが使われている効用をWEB表示上で識別することは困難ですが)用いられています。そこで、フェルメールが描いた地球儀の形状を3次元的に眺めてみると、たとえば右のようになります。紙を貼り合わせて作ったことによる、表面の凹凸などが手に取るように感じられるかと思います。

 つまり、Gallicaからは3次元的な形状や色に関するデジタルデータを手に入れることができるわけです。それらのデジタル・データを使えば、たとえばヘッドマウントディスプレイやデジタルプラネタリウムでバーチャルリアリティ表示をして眺めることもできるでしょうし、フルカラー3Dプリンタを使うなら、オリジナルと似たようなものを自分の手元に複製品として作り出すこともできることになります。…さてさて、「色々やってみたい!」と思いませんか?**


*テクスチャの座標変換は”ざっくりと”行ったので、適切な位置でない部分もあるかもしれないですが、正六面体として表す程度には問題無いと思います。キューブマッピングするテクスチャデータを幾何学変換して、正二十面体展開による精密バージョンのペーパークラフトなどを作ってみるのも、面白そうですね。
**このデータを使って3Dコンピュータグラフィクスレンダリングした結果は「天球儀」宇宙に浮かぶ「ホンディウスの地球儀」になります。


ライクスミュージアムの「作品画像は自由に使っていいよ。うちはオリジナルがある」という話。…だけど、将来は違うんじゃないかな、と思ってる。作品”画像”データが遙かに詳細にできる数年先の未来、多分「作品”画像”」は強く流出防止管理される。(twitter
「数年後のWEB美術館の細かな実装方法」に個人的な興味がある。微細な三次元形状やSV-BSSRDF程度なら、数年後には測定することができるようになっているだろう。その時、それをWEBで表示する実装は「どうやるだろうか?」 (twitter
ひとつは(データ圧縮や必要部分送信といった細かい方法はさておき)3DデータとSV-BSSRDFをクライアントに送信し、デバイスやインタラクションに応じてクライアント側で表示するというやり方だ。しかし、この方式は… (twitter
しかし、この方式は「3次元構造や見た目を復元するに十分な情報をローカル保存することが可能」となる。数年後の未来には、そのデータがあれば、(それが中国か世界のどこかはわからないけれど)出力できるプリンタもあるだろう。すると… (twitter
…そんな時代に、ライクスミュージアムは、「データは自由に使っていいよ」戦略をとるだろうか。それとも、(おそらくどこかの企業が提供するだろう)囲い込みクライアントソフトを使い、クライアント側にデータが渡らない表示方法をとるだろうか?(twitter

2016-04-10[n年前へ]

フェルメールが描いた「天球儀」の中に没入して、その宇宙に浮かぶ「地球儀」を眺めてみよう!? 

 17世紀のオランダ画家ヨハネス・フェルメールが「地理学者」や「天文学者」で描いた「地球儀」や「天球儀」が展示されているBnF × DNP ミュージアムラボ 『フランス国立図書館 体感する地球儀・天球儀展』(五反田DNPミュージアムラボ)の、大日本印刷(DNP)がデジタル・スキャニングした3Dデータはフランス国立図書館(BnF)のデジタルアーカイブサイトGallicaにアクセスすると(そしてゴニョゴニョすると)、自分のコンピュータの中でも使えるようになります

 今日は、フェルメールが描いた「天球儀」の中に地球儀」を浮かべた上で、その世界の中に自分が入り、(ヘッドマウントディスプレイである)Oculus Riftで眺めてみました。下に貼り付けた動画は、過去の天球儀と地球儀の世界に入り込み(没入し)、Oculus を被った私が眺めている世界をWindow表示している映像例です。下の動画では、没入している感覚はありませんが、Oculusで眺めている本人は、左右視差の立体表示で眺める全方向に…過去の宇宙や地球(世界)が目に見え・没入している状態です。

 過去に生きた人たちが考える世界(Armillary sphere)の中に没入し、その宇宙に浮かぶーその時代に考えられたー地球の姿を近くから、あるいは遠くから眺めるのは…とても楽しい体験です。

 五反田DNPミュージアムラボでも、天球儀の中に入るVR展示はしていますが、こんな風に視点を変化させて眺めることはできなかったり、地球儀を同時に眺めたりすることはできません。…というわけで、フェルメールが描いた「天球儀」や「地球儀」を体験してみたい人は…フランス国立図書館(BnF)のデジタルアーカイブサイGallicaにアクセスしてデータをゴニョゴニョするのが良いかもしれません。

2016-04-12[n年前へ]

機械学習が作り出したレンブラント新作絵画を3D世界で眺めてみる!? 

 オランダ金融機関であるING グループとマイクロソフトが、「レンブラントの作風を表面の凹凸までコンピューターで再現する」新作品を機械学習で生成した上で、それ風のテクスチャ(3D形状)を作り出してUVインクジェットプリンタでプリントした…という”The Next Rembrandt”プロジェクトの成果が数日前に流れました。これは、レンブラントが1632年から1642年までに描いた、白い襟の黒い服を着た右向きの白人の顔の構図や配置(顔のパーツの位置関係比率)を機械学習で再現させて(色画像を眺めると”筆致を再現するスタイル行列的な処理はなされていないように見えます”)、生成された色画像の方向性(と高さ分布の対応)とレンブラントの時代の油絵において用いられていた色種毎の高さ(色重ね)ルールから作り出された画像のようです。

 そこで、”The Next Rembrandt”サイトの説明用として使われている出力画像データから、レンブラントの新作を3D世界で眺めてみた例が上の画像です。こうして眺めてみると、レンブラントの新作というよりは、レンブラント風のレイアウトの画像に適当にテクスチャ(3次元形状)を付加したものにしか見えません。

 しかし、それでは「そんなものはつまらない」かというと…そんなこともないような気がします。なぜならば、こういった処理は今や誰でも(多少のデータアクセスをして・少しのコードを書けば)作り出すことができるものであるからこそ、誰でも「レンブラント風の新作」を作り出すことができる(そして3D世界で”新作"絵画を眺めることもできる)…という面もあるからです。

機械学習が作り出したレンブラント新作絵画を3Dで眺めてみる!?






2018-03-11[n年前へ]

「耳飾りの少女」の時代の「イヤリング(ピアス)の穴」の開け方のナゾ 

 フェルメール「真珠の耳飾りの少女(かつては、青いターバンの少女と呼ばれていた絵画)」が …実は「耳飾りは真珠じゃない」というのは、わりと知られた話です。それは丸い真珠ではなくて、ティアドロップ型の人工材料を使った、当時流行の、耳飾りだという話です。

 この絵画に関する修復経緯の解説本"Vermeer in het licht"を読み直していると、1904年当時の写真(右上冒頭の写真にある左上部分)では、耳飾りが球形ではなくティアドロップ型であることが明らかに見てとれます。耳飾りの輪郭も、反射光を描いたハイライトも、耳から垂れた「水滴」のような形状をしています。

 そこで、現在の画像データでも、たとえば一般に公開されていて誰でも眺めることができる(比較的低品質な)画像データでも、そのさまを眺めることができるかどうか確認してみました。…すると、普通に公開されている「低解像度で階調数が少ない画像」でも、「少女」の耳飾りは球形ではなくてティアドロップ形であることがわかります(画像をクリックして眺めてみて下さい)。1904年当時の姿ほどわかりやすくはありませんが、それでも耳飾りの上部が上へと伸びていることが見てとれます。

 そして、それだけはなくて、耳から飾りが薄い繊維かなにかでぶらさがっているようすも見えてきます。少女の耳たぶには穴が開いていて、どうやら、そこに耳飾りがかけられているようです。

 16世紀から17世紀にかけて、耳に穴を空けるピアス式のイヤリングが流行ったといいます。一体どんな風に穴を開けたのか、どんな耳飾りをしていたのか、当初の本題(少女の耳飾りはどんなものか)から離れて調べて見たくなります。

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