hirax.net::Keywords::「スカートの中」のブログ



2001-04-07[n年前へ]

スカートの力学 予習編 

風に吹かれるスカートは

 四月になって、春風が強く吹き始めた。春風と言えば聞こえは良いけれど、コンタクトレンズを使っていたりする人は強い風が吹くとゴミが入ったりしやすくて辛いだろうし、まして花粉症だったりすると涙が止まらなかったりしてきっと辛いことだろう。

 そんな辛い季節でも、たまにドキドキするような気持ちになる瞬間がある。もちろん、それは春風にスカートが舞い上がった瞬間だ。スカートが風に吹かれた瞬間に、私は理由もなく(いや理由はちゃんとあるのだが)心と体がドキドキする。それはもちろん私だけでなくて、男なら間違いなく誰しもがそんなドキドキを味わったことがあるはずだ。もっとも、そんな男心を理解しないヤカラはそんなドキドキを軽蔑するに違いないのだが、それが男というものなのだからしょうがないのである。

 とはいえ、男心は「男の心」という位だから、女性にはなかなか判りづらいことだろう。「女子高生なんかはどうせスカートの下に短パンを履いているのに、それでもドキドキするものなの?」などと言う女性も多い。しかし、「それでもドキドキしたりする」ものなのである。いや、もちろんスカートの下にジャージを履いてるなんてもっての他ではあるが、短パンくらいならドキドキ度は全然減らないものなのである。それが、つまりは男というものなのだ。

 そして、逆に「スクール水着の秘密」ではないが、女性には常識でも我々男には全然判らないことが世の中にはたくさんあるに違いない。ちなみに、私にとってはスカートもその一つである。何しろ、あまりスカートについて自分のこととして考える機会がなかったのである。いや、実際のところそんな機会は全然無かったのである。そこで、今回は「春風に吹かれるスカート」について考えてみることにした。(本題に入る前に一応書いて置くけれど、今回も「スクール水着の秘密」と同じく、女性から見たら「なんて当たり前のことを」とか「それちょっと違うんじゃないの」ということを書いている。そんな風に感じた方は是非、メールででも私に情報でも頂けたら、と思う次第である。)
 
 

 さて、本題である。

 この右の図のような「風に吹かれながら女性がスカートを押さえている風景」をよく見かける。もっとも、「よく」見かけるなんていうと、私がさぞそういう風景を探し求めているように聞こえるかもしれないが、そんなことはない。風が強い季節であれば、そんな風景は満ちあふれているのである。

 さて、この女性のスカートのように風に吹かれたスカートについてちょっと考えてみよう。
 
 

 

「風に吹かれながら
女性がスカートを押さえている風景」
(animeBODY)

 まずは、体の前方から強い風が吹いているものとする。つまり、強い向かい風が吹いている状態である。ちょっとその女性にとってはツライ状態である。そこで、うすみどり色のスカートを履いている女性は、スカートがめくれ上がらないように、スカートの前部を両手で膝近くで押さえているわけだ。しかし、それでも風に吹かれてスカートの後ろは舞い上がってしまう。例えば、下の右図で女子高生の体の後ろでスカートがめくれ上がっている。それをもっと単純にしたのが左で、この図中ではスカートはCの位置まで上がってしまっている。
 

女性に強い向かい風が吹いている状態
M.H.Tさん画

 もちろん、男心からすればCどころではなくて、Aくらいまでスカートには高く高く舞い上がって欲しいわけであるが、女心からすればそれはとんでもない話だろう。

 さて、このスカートのめくれあがる位置Cは何で決まるだろうか?もちろん、流体力学・弾塑性体力学などを総動員して解かなければならないわけではあるが、それは次回以降のお楽しみということにしておいて、予習編の今回は単純にスカートがOC方向には曲がらないものとしてみよう。だとしたら、話は簡単だ。ただスカートの裾の広さでCBの長さは制限されるわけである。スカートの裾が広ければ、スカートの端は高くまでめくれあがってしまうし、スカートの裾が狭くなっていれば、スカートは比較的低いところまでしかめくれない。

 だから、この下の色々なスカートの中でプリーツ・スカートのようなフレアタイプの場合は、スカートは高隈でめくれ上がってしまうだろうし、タイトスカートのようなスカートの裾が狭いものであれば、強い風にも負けず、スカートはめくれ上がることはないだろう。
 

色々なスカート (http://www.onward.co.jp/

プリーツ・スカート

タイト・スカート
 
 

巻きスカート

ボックス・スカート
 
 

 しかし、しかしである、スカートの裾を狭くすれば春風にスカートが舞い上がってしまうことはなくなるかもしれない。だけど、スカートの裾の長さが制限するのはスカート自身だけでない。スカートを履いている女性の動き自体も制限してしまうのである。それではずいぶんと窮屈になってしまうことだろう。スカートの裾が狭いせいで歩幅も狭くなって、走り回ったりすることもできなくなるに違いない。だからこそ、脚を蹴り上げる藤原紀香のJ-PHONECMのスカートも、脚の動きが制限されないように、スカートの後ろに切れ目が入っているのだろう。

 ということは自由に駆け回ったりしようとすると、つまり、スカートが足枷にならないような裾の広いスカートを履いていると、そんなスカートは風に吹かれて舞い上がりやすいわけだ。そして、そんなスカートを履いていると春風に困らせられることになる。

 とはいえ、実際にスカートを履いたことがあるわけじゃないから、私には実際のところよく判らない。だから、女性の方々の「本当はこうなのだ」という教えでも請うしかないのである。結局、スカートの話は、スカートを履く人には常識きわまりない話だろうが、私はこれまで考えたこともなかったので全然よくわからない。これが、男と女の常識の違いなのかもしれない。いや、単に私の常識知らず、という可能性が一番大ではあるのだけれど…
 

 そういえば、辞書でskirtを引いてみると「女;女の子」なんていう風にも書いてあった。なるほど、風に吹かれるスカートも走り回るスカートも、確かにその女性そのものなのかもしれないなぁ、と少しばかり思ったりしたのである。だとしたら、風に吹かれるスカートは向かい風には負けないで欲しいな、と柄にもなく思ってみたりするのである。ホントに私の柄じゃないのだけれど。

2001-06-21[n年前へ]

二十一世紀の「ミニスカートの幾何学」 

可愛いAIBOはちょっぴりエッチ

 「面白い記事がありましたが、読みましたか?ふふっ(笑)。」というメールが先日私に届いた。さてさて、一体どんな記事だろう?うむむ…?と見に行ってみると、それはZDNNのこんな記事だった。

SONYが"AIBO Navigator"というソフトウェアを製品化し、そのソフトウェアを使えばAIBOをPCから遠隔操作することができるというのである。なんでも、無線LANを使って、AIBOの頭部に搭載されたカメラの画像をPCで見ながら、AIBOを自由に動き回らせることができるらしい。しかも、それだけではなくて、音声を聞いたりAIBOが見ている映像を静止画撮影をしたりすることもできるらしい。なるほど、面白そうだ。鉄人28号もビックリである。さすが、二十一世紀になっただけある。

 しかし、しかし、である。これだけでは、先のメールの書き主が私にわざわざこのニュースを知らせてくれる理由がわけ判らないではないか。私はお茶ノ水博士のようなロボット博士でもなければ、TVチャンピオン常連のおもちゃオタクでもないのである。ましてや、先のメールの「ふふっ(笑)」は奇奇怪怪としか言いようが無い。もしかしたら、これは新手のAIBOの売り込みだろうか?あのSONYもついにSPAMを出すようになったか、あのSONYがなぁ、と思いつつ記事を読み進んでいくと、記事の終わり近くになってやっと疑問は氷解したのである。その部分を少し引用してみると、

 今回,遠隔撮影を可能にするAIBO Navigator開発にあたって,ソニー社内でも盗撮問題が再浮上。AIBOを担当するエンターテインメントロボットカンパニー内に「倫理委員会」を設置するなど,盗撮問題に対して真面目に取り組んだという。
 「AIBOのアタマが,ある角度以上に上を向くと,見てはいけないものが見えてしまう」(ソニー)ということで、倫理委員会では、まず盗撮される側のデータを収集。女性の平均身長の調査から始まり、短いといわれているミニスカートの丈の長さを実際に定規で測って調べ、AIBOの頭部カメラがどの角度までなら大丈夫かをさまざまな角度から調査。その結果、可動角度を最大20度とし、首の位置が20度以上動くようなモーションをしなくてはいけないときは、動画が止まる機構までも装備した
ということだそうだ。なるほど、これはまさにである。理系学生の憧れナンバー1といえばソニーであるが、そのソニーの「真心」とも言うべきソニーの「倫理委員会」と私は同じような「研究」をしていたわけである。「女性のためのミニスカート理論の構築を目指していた」ミニスカートの幾何学はまさに「真心・倫理」を具現化した研究と言っても良いくらいであるが、やはり判る人には判るのである。先のメールの主は私に「あなたのレポートはまさに日本の倫理のために役立っているのですよ」と教えて下さっているに違いないのである。もっとも、残念なことに私はソニーの倫理委員会と違って「短いといわれているミニスカートの丈の長さを実際に定規で測って調べたり」する機会には恵まれなかったのである。

 が、そんなことはさておき、「角度で20度までなら、見てはいけないものが見えない」というのは本当だろうか?それは、ミニスカートの幾何学で調べるとどういうことになるのだろうか?というわけで、このナゾについて少し考えてみたい、と思うのである。

 というわけで、まずは「ミニスカートの幾何学」の復習をしよう。ミニスカートの内側の下着が見えるか、見えないかを考えるには次のような図を考えると判りやすい。ここでは女性の真下の地点を原点にとり、水平方向にX軸をとり、鉛直上向きにY軸をとっている。
 

ミニスカートの幾何学 (縦軸=鉛直方向、横軸 = 女性からの距離)

 スカートの内側の「見てはいけないもの」が見えてしまうのは、上の図で緑の線よりも下側に入って、その緑の線より上を見上げた場合である。そして、ここでその緑の線は

  • 女性の下着の一番下の部分の位置
  • ミニスカートの一番端の下の位置
を結んだ直線ということになる。AIBOがこの緑の線よりも下の位置に可愛くトコトコ歩いてきて、そして、緑の線の角度よりも首を見上げた瞬間に、スカートの内側の「見てはいけないもの」がAIBOの目を通してAIBONavigatorを操るPCの画面に写ってしまうわけである。その角度が、可愛いAIBOがチョッピりスケベに変身してしまう限界角度なのである。

 それでは、その「限界角度」を調べるために、とっても簡単「ミニスカートの幾何学」を活用しよう。まずは、例えば女性のヒップ周りが88cmとしてみた場合に、スカート中央から端までの長さ(rcm)は、女性のヒップを円と近似すると、

2πr = 88cm
であるから、スカート中央から端までの長さ(r cm)は
r = 14cm
となる。すると、図を見ればわかるように、緑の線 -> 「下着防衛ライン」はスカートの丈を未知数として、
y = - ((スカートの丈 - 25)/14) x + 股下長さ
という式で表すことができるわけだ。ここで、「AIBOがそれ以上上を向くと見てはいけないものが見えてしまう」という緑の線の角度
ArcTan[ (スカートの丈 - 25)/14 ] / (2 π)*360
で表されるから、それを計算してみて、「スカートの丈」に対する「見てはいけないものが見えてしまう」限界角度を計算してみると、その結果は次のグラフのようになる。
 
 
「スカートの丈」に対する「見てはいけないものが見えてしまう」限界角度
横軸 : スカートの丈 (cm) 
縦軸 : 「見てはいけないものが見えない」限界角度 ( ° )

 このグラフを見れば判るように、女性のスカートが長くなれば長くなるほど、「見てはいけないものが見えてしまう」限界角度は大きくなる。当り前である。長いスカートの中を覗こうとしたら、AIBOはそのスカートの中へ入り込んで、かなりの上を見上げなければならない。もちろん、スカートの丈が短くなればなるほど、スカートの中身は覗きやすくなる。そうすると、AIBOがそれほど上を見上げなくても、「見えてはいけないもの」が見えるようになってしまうのである。

 さて、前回の「ミニスカートの幾何学」では女性達が履くスカートは短くても32cmまでであって、その長さであれば角度が30°ほどにもなる急な階段でも女性のスカートの中の「見えてはいけないもの」は見えることが無い、ということを明らかにした。というわけで、それを知ってか知らずか女性達の履くスカートは短くても32cmまでなのである。だとすれば、その32cmに対応する限界角度は「見てはいけないものが見えるための必要角度」ということになるわけである。

 すると、このグラフを見れば一目瞭然、スカートの下限「見てはいけないものが見えてしまう」限界角度は20数度よりも大きいことが判るのだ。ということは、先の記事の通りに、AIBOの首の上限角度を20度にしておけば、もうどうやってもAIBOはスカートの中身を覗くことができなくて、AIBOが盗撮者の手先となってしまう危険は防ぐことができるのである。それより上を眺めれば、見たことのない映像が見ることができるハズなのではあるが、ロボット三原則に基づいて(大ウソ)、AIBOの首はそれより上には上がらないように設計されているわけである。

 というわけで、こんな風にソニーの「倫理委員会」がうらやましいばかりの数々の実験を重ねて調べたことも、このミニスカートの幾何学から導き出すことができるのだ。あぁ、なんて社会の役に立つ研究なのだろう。こんな女性のため、社会正義のための幾何学がこの他にあるのだろうか…。しかし、そんな社会正義のための研究だったハズなのに、この「ミニスカートの幾何学」をきっかけにしてhirax.netが色モノサイト扱いされ、さらには有害サイト扱いされるようになるとは… 思いもしなかったなぁ…   ふっ… (涙)…。
 
 

2002-06-03[n年前へ]

カードサイズの「画像探偵セット」!? 

お手軽線数メーターを作るのだ

 「どんなものでも、自分の目で眺めてみた〜い」と、ワタシはいつでも思う。世の中スベテのものを、自分の目で眺めてみた〜いと思う。しょんべん小僧が空中に描き出す放物線巨乳ギャルにロックオンするオッパイ星人の目の動きビデオにかかるモザイクの向こう、はたまた田代まさしが恋い焦がれるミニスカートの結界の秘密、とにかく世の中のものスベテを何でもかんでも眺めてみたい、覗いてみたい、とワタシはいつも思っているのである。(とはいえ、誤解されると困るので念のために書いておくが、もちろんミニスカートの中を覗いたりはしないのだ)

 そんなわけで、ワタシのケータイのストラップには「ちっちゃなちっちゃな虫メガネ」がついている。この虫メガネを武器にして、ワタシは色んなモノを覗くのがクセになっている。スーツ姿で出張している時だって、おもむろにこの虫眼鏡を取り出して、色んなものを覗いてみたりしているのである。
 

ワタシのケータイのストラップには「ちっちゃなちっちゃな虫メガネ」がついている

 だから、毎朝届けられる新聞に折り込まれているチラシやカタログを眺めるときだって、そんなカタログに「ちっちゃなちっちゃな虫メガネ」を向けてみて、その「虫メガネ」を通して、カタログがどんな風に印刷されているかをよく眺めてみる。下の左のようなカラーの綺麗なカタログだって、「虫メガネ」を通して眺めてみると、右の拡大写真みたいに、四色(シアンマゼンダイエロー、ブラック)が規則正しく並んでいるようすが見えてくるのである。離れてみればキレイな写真が「虫メガネ」を通して眺めてみるだけで、こんな風に様子が変わるなんてとても不思議な気分になったりするのである。まるで、女性の化粧のように不思議で、こんな四色の手品はとても面白いのである。
 

「虫メガネ」を通して眺めてみると、
四色(シアンマゼンダイエロー、ブラック)が規則正しく並んでいる
カタログの一部
 
 

左の青い矩形部の拡大写真
(左上と右上部分はマゼンダシアンだけを見やすくしてみた)

 で、こんなカタログの拡大図を眺めていると、四色に分けられた色がどんな風に並べられ形作られているかを、知りたくてたまらなくなったりする。つまり、「どんな間隔でこの色は配置されているのだろう?」とか「一体、どんな角度でこの色は並べられているのだろう?」とか思うわけである。もちろん、この画像に二次元フーリエ変換などをかけさえすれば(周波数解析をすれば)、「どんな角度で・どんな間隔で色が並べられているか」ということは知ることができるけれど、まさかワタシの頭の中でそんな作業ができるわけはない。かといって、このカタログを読み込むための「画像読みとり装置」や「解析をするためのコンピューター」を毎日持ち歩くなんてこともできるわけもない。

 そこで、「どんな間隔でこの色は配置されているのだろう?」とか「一体、どんな角度でこの色は並べられているのだろう?」とかいう疑問の答えがすぐ判るように、先日こんなカード、ぴったりクレジットカードサイズの透明シートに規則的なパターンを印刷したカード、を作ってみた。名付けて、Peco-Chartなのである。
 これはもちろん、判る人には判るだろうが、ハンディ「線数メーター」というモノである。一言で言えば、画像の周波数解析をとっても簡単にすることができる手品の小道具のようなカードなのだ。
 

Peco-Chart

 例えば、さっきのカタログの上にこのPeco-Chartを重ねて置いてみると、アラ不思議、何やらヘンな模様、不思議なモアレ模様が浮かび上がってくる。下の左の写真、あるいは右の拡大写真を眺めてみればマゼンダシアンの同心円がハッキリと浮かび上がっているのが見えるだろう。例えば、シアン色の場合は75°の角度で175線(175線/inch)位の位置、そしてマゼンダ色の場合は45°の角度で同じく175線位の位置を中心として、同心円状のモアレ模様が浮かび上がっている。

 つまり、「このカタログはシアンは75°の角度方向に1インチ辺り175個のドットが並べられていて、マゼンダのドットは45°の角度方向に並べられている」、ということを、このPeco-Chartを重ねて置いてみさえすればたちどころに知ることができるのである。
 

さっきのカタログにPeco-Chartを重ねてみると…!?
何やらモアレが見える
左の写真の拡大図
 
カタログの拡大写真

 こんなペラペラのカードで周波数解析ができるなんてとても不思議に思えたりもするけれど、ちょっと考えてみればこれはごく当たり前の話である。

でも似たようなことをしたように、モアレというものは「二種類以上の何らかの模様(パターン)が干渉して発生する」ものである。つまり、ある意味「二つのパターンの相関をとる」ということである。そしてまた、少し考えてみれば「画像の周波数解析」というものは「対象となる画像」と「基準関数(三角関数etc.)」の間で相関を調べることと同じである。だから、「基準となるパターン」を「対象となる画像」の上に重ねてみた時に見えるモアレのパターンは「対象となる画像」の周波数解析結果を実は示していると考えてみても良いのである。だから、このPeco-Chartはクレジットカードサイズのペラペラなちっぽけなヤツではあるのだけれど、実は色んな画像の周波数解析をしてくれるスゴイヤツだったのである。そして、こんなポケットに入るほど小さい線数メーターははなかなか無いので、、カード入れからコイツを華麗に取り出してみせたりすると、うらやましがる人もとても多く(仕事柄、画像出力に関わる人達が多いから)、なかなかに気持ちが良いのである。

 とはいえ、自慢してばかりでは何なので、さらに大量に配布すべく新たなPeco-Chart二号機をデザインしてみた。それが、下の名付けてPecochartproである。
 

Pecochartpro

このPecochartproの謳い文句はその名の通り「プロ仕様」というわけで、画像出力に関わっている何人ものベータテスター達(自分も含めて)の感想をもとにして、

  1. 70線から350線までの線数とスクリーン角度の測定ができる「線数・角度メーター」(分解能を2線単位から1線単位へと二倍向上スクリーン角度のガイドは2.5度刻み
  2. 90線から410線までの線数を高精度(0.25線刻み)に計測することができる「線数メーター」(新機能
  3. 線・文字の太さを計測できる「線幅スケール」(新機能
  4. 〜30級、〜30ポイントまでの文字サイズ(級数、ポイント)測定ができる「文字スケール」(Peco-Chartと同じ)
  5. 「8cm定規」(Peco-Chartと同じものを使い勝手はそのままにコンパクト化)
  6. そして、便利な「画像に関する換算表」(内容を従来比75%増量)
をこれまでと同じクレジットカードサイズに満載してみた自慢の品なのである。とはいえ、こちらのPecochartproの方はまだデザインしてみただけで、フィルムへの焼き付けなどはまだしていない。だから、もしこのPecochartproを欲しい〜とか、こんな機能が欲しい〜とか、印刷屋さんのノベルティグッズに使いたい〜とか思うような人がもしもいるならば、ワタシ(jun@hirax.net)までぜひ連絡して欲しいと思う。とりあえず、画像出力機器に携わる人には必携の自慢ツールになること間違いなし、と勝手に思っていたりするのである。

 それにしても、何か自分に役に立つツールを作るというのは本当に楽しい作業だった。手作りツールぎゃらりい脇色彩研究所ではないけれど、こんな「hirax.netオリジナルグッズ」をいっぱい作って「探偵セット」ならぬ「できるかな?セット」として、面白メールをくれた方にプレゼントとかしてみたら楽しいんだろうなぁ、と思うのである。というわけで、そんなツールをせっせと作るのだぁ、なんてことを実は計画中なのでした、ハイ。
 

2003-06-17[n年前へ]

アルキメデスのパンチラの式 

「スカート円錐」の明るさを探れ

「スカート円錐」の明るさを探れ

 以前、「ミニスカートの幾何学」として、女子高生の間などで流行っていたミニスカートの丈の短さの限界について考えてみたことがある。階段を上ろうとしているミニスカートを履いた女性(別に男性でも構わないが…)の下着が見えてしまうかあるいは見えないのかを、女性達が履くミニスカートの丈の長さから考察をしてみたのであった。

 その「ミニスカートの幾何学」の考察をした結果、ミニスカートの丈がちょうど32cmの時に、ミニスカートで下着が隠されはじめる境界線がちょうど階段と平行になる、ということが判ったのである。そして「下着が隠されはじめる境界線がちょうど階段と平行になる」結果、ミニスカートの丈が32cmより短いと下着が階段下を上る人達から見えてしまうようになり、逆にミニスカートが32cm以上の丈であればスカートの中の下着はなんと幸か不幸か見えることはないのだ、ということが判ったのである。ミニスカートをはいた女子高生が急な駅の階段なんかを上るときでも、ミニスカートの丈が32cm以上であれば、パンチラの恐怖に怯える必要はないということが判ったのであった。


 ところで、ミニスカートの中が見えてしまいそうになる場所というのは、必ずしも急な階段だけではないらしい。最近の東京の有名スポットなどでは、「吹き抜け構造の建物内で階下から階上を見上げられる場所」や「建物内外の渡り廊下を見上げられる場所」なんかがたくさんあったりするというのである。そして、そんな場所では、真上にいる「スカートを履いた女性」を急角度で仰ぎ見ることができて、スカートの中の下着がチラリと見えてしまうことがあるというのである。

 しかし、である。角度的にスカートの中の下着が見えるからといって、果たして本当に下着が見えるものなのだろうか?角度的には見えるはずでも、実際には人間の目には見えないことだってあるのではないだろうか。なぜなら、スカートが「私たちの視線から下着が見えるのを遮っている」のと同じように、スカートは「照明の光が下着にあたるのをも遮っている」のである。スカートの中というのはスカートに光が遮られて(たぶん)かなり暗いハズなのである。いや、実際に覗いてみた経験があるわけでは決してないので自信を持って「ハズ」と断言することはできないのだけれど、スカートの中が明るいわけはないと思うのである。もし、スカートの中が明るくなければ、仮にその中身を覗くことはできても結局暗くて何も見えないわけで、「スカートの中が(見えるくらいに)十分に明るいかどうか」が肝心だと思うのである。そこで、今回は「下着が角度的に見通せる条件」ではなくて、「スカートの中の下着が十分明るく見える条件」を考えてみたい。


 まずは、スカートをはいた女性を下の図のように簡単に示してみよう。スカートを下向きに開いた円錐として考えてみる。もちろん、スカートの中の下着はこの円錐の頂点に位置するわけだ。そして、スカートが広がる角度をΘとでもしてみることにしよう。その時、円錐の頂点にはどれだけの光が当たるものだろうか?

Diagram

 もちろん、円錐状のスカートが上からの光は遮っているわけだから、スカートの中の下着を照らす光というのは、下の床からの反射光だけである。つまりは、上の図で、「色を付けた部分の床」からの反射光のみが下着にまでたどり着き、それ以外の床からの反射光はスカートに遮られて、スカートの中を照らすことはない。ということは、「スカートの中はどれくらい明るいか?」という疑問を考えることは、それは「色を付けた部分の床からスカートの中の下着にまでたどり着く光がどれだけあるか?」ということを考えることと同じなのである。

 そしてまた、床上での光の反射に方向性が無く、光が完全に等方的に周囲に拡散するとするならば、円錐の中心(つまりはスカートの中の下着部分だ)にあたる光の量は、下の左図の色を付けた部分球の面積に比例する。つまり、「スカートの中の明るさ」は「スカートの広がり角」で決められる「部分球」の面積に比例するのである。


Diagram2

 つまり、角度Θで広がるスカートの中が「どれくらい明るいか?」という疑問は、「下図で色を付けた部分球の面積はどのくらいか?」という問題に変わるわけである。「半球全体の面積に対して、スカートの広がりで決められる部分球の面積はどのくらいの割合か?」ということの答えが、それすなわち「スカートの中の明るさ」を決めているのである。

 ところで、アルキメデスが発見したように、球(もしくはその一部)の面積はその球に外接する円筒の面積に等しい。つまり、上の図の左で色を付けた部分の面積というのは、右に示したような(色を付けた)円筒の面積に等しいわけだ。ということは、右の円筒部分の面積は
円筒の面積 = 2 π (1-cosΘ)
であって、左の半球の面積が(直径=1とすると)2πだから、円錐状のスカートの中の明るさは、スカートの広がる角度をΘとするならば、「スカートの中の明るさ」は
Equation
という実に簡単な式で表されることになる。アルキメデスも、まさか自分の球と円筒の表面積に関する発見が「スカートの中の明るさを示す式(ここでは仮に『パンチラの式』とでも呼ぶことにする)」を導くために使われるとは想像だにしなかっただろうと思うが、とにかくアルキメデスのおかげで私たちはスカートの中の明るさを知ることができるのである。

 試しに、このくアルキメデスの『パンチラの式』を使って、スカートの広がり角度Θに対して、スカートの中の明るさがどのように変化するかを計算してみると、その結果は下のグラフのようになる。このグラフは、横軸が「スカートの広がる角度」で、縦軸が「スカートの中の明るさ」を示している。周囲の「照明に照らされている床」の明るさを1とした時の「スカートの中の明るさ」を示しているのである。

Grap0

 基本的にはスカートが広がるにつれて「スカートの中の明るさ」は明るくなるわけであるが、このグラフを眺めてみると、スカートの広がる角度が20°を超えるあたりから次第にスカートの中が明るくなることが判るだろう。例えば、スカートの広がる角度が30°の時には、スカートの中は「床の明るさの10%程度の明るさ」しかないが、スカートの広がる角度が60°にまで広がれば、スカートの中は「床の明るさの半分程度の明るさ」になる、ということが判るわけだ。


 ところで、人間の目というものは「見るものの明るさ」に合わせて順応する。例えば、暗いものを見るときには目の感度は自動的に上がる。だから、スカートの中がほのかでも明るかったならば(例えば床の明るさの5%程度にでも明るければ)、自動的にその明るさに目が順応してスカートの中が見えてしまうかと思いきやそうはいかない(ハズだ)。なぜなら、人間の目は明るいものを見る時には、目の感度が逆に自動的に低下してしまうからである。スカートの中以外の明るい場所(例えば照明や、照明に照らされた明るい壁)だって、自動的に視界の中に入ってくるわけで、目の感度はそういう明るい部分に自動的に合ってしまうハズなのである。

 例えば、下の画像は周りの明るさに対して、
  1. 5%の明るさ
  2. 10%の明るさ
  3. 20%の明るさ
を持つ三種類のロゴである。この三つの画像を眺めてみれば、明るさが5%のものはなかなか判別しにくいが、20%以上の明るさのものであれば比較的容易に判別できることが判るだろう。明るいものが視野に入っている限りは、人間の目は「一番明るいものの10%以下程度の明るさのモノ」はなかなか識別することはできないのである。

5 %
5 percent
10 %
10 percent
20 %
20 percent

 ということは、先のグラフで「スカートの中の明るさ」が10%を超えていないと、つまりは周囲にある明るい床(や照明や壁)などの明るさの10%を超えているくらいでないと、スカートの中が仮に幾何学配置的に見える条件であったとしても、実際には目の感度的にその中のようすを判別することができないに違いないのである。その場合、おそらく明るい床や壁の明るさに目の感度が合ってしまい、ほの暗いはずのスカートの中は真っ暗にしか見えず、幸か不幸かスカートの中身は識別することができないハズなのだ。

 というわけで、先ほどのグラフに「識別できる明るさか否か」を書き入れてみると、次のグラフのようになる。

Graph

 つまり、スカートの広がる角度が25-30°を超えていないと、スカートの中身は周囲の床や壁の明るさに比べて相対的に暗すぎて人間の目ではおそらく見ることができないのだ。


 例えば、スカートの広がる角度が30°以下に制限されるようなタイトスカートを穿いて、明るい壁や照明などが視界にどうしても入ってしまうような場所にたたずんでいる限りは、もし仮にスカートの中を覗かれたとしてもスカートの中は(人間の目からすると)真っ暗で何も見えないわけで、スカートの中身を見られたりするような被害にあうことはまずないだろう、ということが先のアルキメデスの『パンチラの式』から判るわけなのである。「吹き抜け構造の建物内で階下から階上を見上げられる場所」や「建物内外の渡り廊下を見上げられる場所」なんかであったとしても、背後に明るく輝くものがある限りには、見る人の目を眩ませることができて、スカートの中身は安全なわけである。

 ところが逆に、床が白かったりして明るいクセ(つまり下からの照明が強いクセ)に、周りに明るい壁や照明が何故かあまりないような場所がもしあったとして、もしそんな場所で(下から)スカートの中を覗かれたりしてしまうと、(下から覗く人の視界に入る)周囲の明るさに比べてスカートの中が十分明るく見えるせいで、しっかりとパンツの模様をチェックされてしまうということになるだろう、ということも予想することができてしまうのである。だから、そんな場所をもしも短いスカートをはいて歩かなければならないような場合には、例えば何かの「ピッカピッカ輝く光りモノ」でも身につけて、その光りモノの明るさを「スカートの中身をのぞこうとするスナイパー」の視界に入れて、彼らの目を眩ませてしまえば良いだろう、というアルキメデスの知恵さえ授けてくれるのだ。

 
 ところで、今回は「スカートの中の明るさを示す=パンチラの式」を考えてみたわけであるが、この式は考えるまでもなく実にアブナイ式である。パンチラの被害防止に役に立ちそうな気もするし(全然役に立たないような気もするが)、逆に単なる「パンチラの科学」になってしまっているような気もしてしまう。「スカートの中身をのぞこうとするスナイパー」の魔の手から逃げるためのバイブルになるような気もするし、「スナイパー」のための手引き書になってしまいそうな気もする。ギリシャ神話で、あらゆる災厄が入っていたという箱がパンドラの箱だったけれど、このパンチラの式だって案外そんなパンドラの箱のような、色んな災厄の元になってしまうものかもしれないのである。しかも、パンドラの箱の場合には最後に箱の中に『希望』が残っていたわけでまだ良い(?)のである。しかし、アルキメデスの『パンチラの式』の場合には「スカートの中にだっては『希望』が入っているのだぁ」などと口に出したりしたら単に変態扱いされてしまうだけなわけで、そこはパンドラの箱よりもずっとたちが悪いのである。つまりは、科学もアルキメデスの『パンチラの式』も使う人次第なのである。

2005-06-10[n年前へ]

品川 

 コクヨホールへ。「電子写真の光沢と形状」というアリガチな煙幕を張りつつ、「強引に電子ペーパーまで繋いだ未来」にたどり着けたかどうかは、…怪しいところです。とはいえ、良くも悪くも他の人にはやれない(単に「やらない」ともいう)タイプの報告ができたのなら良いな、と思っています。そして、それが何かしら楽しんでもらえたのであれば嬉しい限りです。

 というわけで、一番右の画像中の*は

*As tilt detection and image display software, VR-Display (provided by hirax.net) is used.
という注意文です。ラストから4枚目にあたる「As “HANDHELD PRINTS” System」と題したスライドの一部ですね。

 ちなみに、ついでに会場で見せた立体ディスプレイを見ながら、「俺は下から(スカートの中を)覗きたいな」と言っていたのはR社のI氏。ロゲルギストの今井功(=I2)氏の御子息です(あっ、イニシャルで隠した意味がない…)。草葉の陰で泣いているんじゃないでしょうか、お父上が…。

品川品川品川








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