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2008-04-06[n年前へ]

笹下研究所 

 笹下研究所

2008-11-10[n年前へ]

「ボールレンズ」のネックレス 

 たとえば、凸レンズの形を描いてみると、その形が球形のガラス玉とよく似ている形であることがわかります。つまりは、ガラス玉は一種の凸レンズです。球形の形をしたプラスチックやガラスは、ボールレンズという名前のレンズであるわけです。曲率が極めて高い凸レンズなのです。

 ボールの直径に応じて拡大率が大きくなるので、大きなボールレンズを使えば、大きくものを拡大することができます。・・・といっても、もっとも、球面収差がとても大きいので、周辺部はボケてしまいます。

 ちなみに、屈折率が2.0のもので作ったボールレンズが球面収差が一番小さくなります。ランタン系ガラス材料のS-LAH79は屈折率が2.003と2.0にとても近いので、球面収差が小さなボールレンズを作ることができます。

 ところで、光学カタログを眺めていると、サファイヤやルビーで作られたボールレンズも載っています。サファイヤ/ルビーは屈折率は1.8弱なので、球面収差は小さくないのですが、その硬さからキズがつきにくいということで、商品化(つまりはよく使われている)されているのです。

 サファイアで作ったボールレンズも、ルビーで作ったボールレンズあっても、どちらも直径1cm程度で七千円くらいです。拡大鏡・マイクロスコープを持ち歩く人も多いと思いますが、サファイア・ルビーで作ったボールレンズを持ち歩いてみるのはいかがでしょうか。透明なサファイアで作った「ボールレンズ」をネックレスにしてみたら・・・あるいは指輪にしてみたら・・・お洒落な光学技術者になれるかも?・・・それとも、単に変な光学技術者になってしまうかも?

2010-12-12[n年前へ]

「カシオは、デジタル技術で光学性能を凌駕する」 

 「カシオは、デジタル技術で光学性能を凌駕する

——実の話、コンパクト機の光学的な性能は頭打ちに近付いているでしょう。従来技術の延長上でオマケ機能だけ付加していっても、それ以上前進できなくなる。その点に、カシオさんは早くから視点が定まっていたということですね。
 私たちはレンズメーカーでもセンサーメーカーでもありません。したがって、デジタル技術で光学性能を凌駕しなければならない。もちろん、光学部分の研究も欠かしませんし、最善を尽くしていますが、こと画像処理エンジンや処理ノウハウに関しては注力の度合いが違う、という自負があります。

2011-01-15[n年前へ]

「いつも思考し創造的仕事をする」という非人間性 

 「現代科学思想事典 (講談社現代新書) 」中に収録されている、中山秀太郎「オートメーションへの錯覚」から。

 骨の折れるくりかえしの単純労働は人間のやるべき仕事ではない。創造的仕事こそ、人間のする仕事であるということがいわれ、自動化へと進み、ホテルの入り口のドアまで自動化された。はたして単純労働は人間のやるべき仕事ではないか。いつも思考し、創造的仕事をするのが人間性回復なのか。人間も動物である。動物は、単純労働も必要であるし、それがまた創造性を助けることにもなる。

中山秀太郎

2017-11-14[n年前へ]

ライフルで照準前に空を見る動作…それが何で狙いを正確にするのか? 

 今の韓国大統領、文在寅がライフルを扱う様子について、「文在寅が、照準する前に一瞬空を見る動作をしてるけど…空を見ることで瞳孔を小さくし、照準しやすくする効果があるらしい「軍人」としての文在寅・韓国大統領~なぜ彼は銃を構えた時、一瞬空を見上げるのか?)」というtweetを読んだ。けれど、その言葉だけでは今ひとつ納得できなかったので、何がわからなかった(何に落ちこぼれた)のかを書いてみる。

 高性能なライフルに備えられるような光学照準器の場合、レンズ群を通して、ライフルで狙うターゲットの光学像を照準線面で一旦結像させた後、照準線とターゲットが同じ焦点面に一致するようなさらなる光学系が組まれている。つまり、それは、ある一定距離の場所にあるものを眺める「一般的な視力検査」のような問題に思われる。

 人間が備える目の構造は、比較的単純な光学系であるが、そのレンズ絞りに相当する瞳孔は、瞳孔から目に入る光量に応じて約2mm〜8mmに調整される。…といっても、眼の光量調整は、絞りと視覚系の感度とがそれぞれ調整される機構となっているので、感度に関して、絞りが一義的に支配をしているわけではない。

 瞳孔の径は、視覚系の感度が入ることにより、通常状態では3mm弱程度である。そして、瞳孔径がそれより小さいと、回折により(たとえ焦点を正確に合わせても)光学性能は劣化するし、瞳孔系がそれより大きくても、その場合には光学収差で、やはり光学性能は低下してしまう。光学系を絞りすぎてもダメだし、大きくてもダメ…という単レンズ系の「当たり前の制約」である。

 レンズ枚数が少ない人間の眼はまだまだ光学的に改善の余地があるとも言えるかもしれないし、「人間の眼は、通常状態で最高の性能を発揮するように進化してきた」と言うこともできるかもしれない。それは、眼の光学系(瞳孔径)が最高の性能を発揮するように、撮像素子側の感度調整が自動でされる…ということである。…ちなみに、1秒とかいった短い時間で調整されるのは、瞳孔径であり、視覚系の感度特性はそれより長い時間で動く制御システムとなっている。

 人間の眼が、生物進化の過程で、瞳孔径にして約3mm弱で最高の合焦・光学性能を発揮するとなると、それはつまり「対象物を普通に眺めている状態が最高の状態」だということになる。ターゲットをライフル照準に合わせる時、その光学解像精度を最高にしたければ、「対象物をただ普通に眺める」ということが最高の結果をもたらすのではないか…と考えられる。決して、対象物とは異なる輝度の「空」を眺めるべきではないように思われる。

 もちろん、スナイパーは眼が悪く、焦点を合わせる性能に不自由していて(目が悪くて)、瞳孔径を小さく・あたかもピンホールカメラのようにしないといけない状況だというのであれば、ライフルで照準前に空を見る動作はプラスの効果をもたらすように思われる。…けれど、今回の話の場合には、そんなピント外れのスナイパーを題材にした話ではないに違いない。『眼が悪ければ、眼を細めればいいよ!」という話では、全くもって凄い話ではない。

 ライフルで照準前に空を見る動作…それはどういう過程で狙いを正確にするのだろうか?



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