hirax.net::Keywords::「可視化」のブログ



2008-04-02[n年前へ]

意外な「丸い磁石」の「着磁」分布 

 パーティションやホワイトボードに、紙などを張り付けたりするための「丸い磁石」を使ったことがある人は多いと思う。ところで、そんな「丸い磁石」はどんな磁石だろうか。磁性体を磁化することを「着磁」というが、あの「丸い磁石」には一体どんな風に着磁されていると思うだろうか?あの、まるで「コイン状の磁石」は一体どんな磁石だと想像するだろうか?

 多分、2人に1人は、「コインの表側がN極で、裏側がS極なのだろう(あるいは、その逆なのだろう)」と想像するのではないだろうか、と思う。磁石の表から裏側へ、あるいは裏側から表側へ磁力線が繋がっているのではないか、と想像したりするのではないだろうか。

 しかし、実はそんな風に磁力線が繋がっているわけでない磁石が多いのである。言葉ではうまく表現できないので、よくある「丸い磁石」の着磁状態を可視化した結果が右の画像だ。それを、大雑把に一言で言ってしまえば、N極とS極が何層にも(厚み方向とは直交した方向に)重ねられたバームクーヘンのような具合に着磁されているものが多い。2人に1人は「そんなの当たり前じゃないか」とも感じると思う。けれど、残りの2人に1人は「少し意外」に感じると思う。同じような「コイン状の磁石」でも、小さい頃に「算数セット」に付いていた「小さな小さなコイン状」の小さな磁石とは違うのである。

 身の回りにあふれている「丸い磁石」の着磁状態を知ってから、下の動画を見てみれば、二つの磁石のくっつき方をとても納得することができると思う。「あぁ、なるほど、そういうことだったのか」と実感することができるのではないだろうか。

磁界分布マグネット






2008-04-06[n年前へ]

「銀スクラッチ」と印刷の「見当違い」 

 小学一年生 四月号の冒頭は、「人気もの 入学おいわい! 4大ぎんはがし」というプレゼントコーナーだった。きらりん☆レボリューション / 恐竜キング / たまごっち / ポケモン という4大人気者を題材にした、銀スクラッチを使ったプレゼント特集である。イラストの中に、12~15個程度「銀スクラッチ」で隠された部分があって、そのうちの8割くらい(たとえば、10個程度の部分)の銀スクラッチをセロハンテープで剥し、「あたり」が多く出ればプレゼントに応募することができるのだ。

 こういった「銀スクラッチ」は、後ろから強い光を中てると「(銀スクラッチの下に隠されている)こたえ」が浮かび上がって見えるものが多い。この小学一年生 四月号のプレゼントクイズの場合も、やはり後ろから光をあてると、答えが透けて見えてくる。右の画像は、きらりん☆レボリューション のイラストを白色LEDで背後から照らすことで、「あたり」と「はずれ」を透かし見た場合である。朱色インクで印刷された「あたり」と藍色インクで印刷された「はずれ」という文字が、やはり浮かび上がって見えることがわかる。  また、右の画像は、恐竜キング の場合である。やはり「(あたりを示す)ディノテクターのイラスト」と「はずれ ×」の違いを明瞭に見て取ることができている。それは、他の2つの たまごっち / ポケモン クイズでも同じである。


 そんな風に、強い光などを使って「銀スクラッチ」の下にあるものを見ることができるわけだが、小学一年生 四月号の「銀スクラッチ」プレゼントクイズの場合は、そんなことをするまでもなく、実はこたえがわかるのだった。通常印刷部分と銀スクラッチの印刷がズレてしまい、位置が合っていないのである。つまり、「見当違い(何色も色を使う版画で「色合わせ」するための印を「見当」と呼ぶ)」なのである。だから、右の画像のように「あたりを印刷した朱色インク」と「はずれを印刷した藍色インク」が見えてしまっているのである。

 しかし、実はこんな銀スクラッチの「見当違い」が、わざと行われているものだったりすると面白い。「小学一年生」たちに、考える力・想像する力を付けさせるために、正統派ミステリの「読者へのヒント」のごとく、わざわざ「見当違い」を行っていたとしたら…とても面白いと思う(もちろん、そんなことは現実にはないのだろうが)。

小学一年生四月号の銀スクラッチ小学一年生四月号の銀スクラッチ小学一年生四月号の銀スクラッチ小学一年生四月号の銀スクラッチ小学一年生四月号の銀スクラッチ小学一年生四月号の銀スクラッチ小学一年生四月号の銀スクラッチ






2009-05-04[n年前へ]

道路上に記録された「靴裏との摩擦帯電跡」 

犯罪鑑識の科学―計測と情報 (ポピュラーサイエンス)  警察の鑑識課の人たちが捜査をしているようすを放送するテレビ番組を見た。その番組中で興味を惹かれたのが、ビル荒らし事件か何かの犯人の足跡をアスファルト道路上で捜す捜査員たちの作業過程だった。

 一体どのような作業をしていたかというと、

  1. アスファルト上に黒いシートを広げ、その上に白い微粒子粉末を振りかけ
  2. さらに透明な大きなテープを貼り付け
  3. 最後にテープをはがしている
のである。説明によると、アスファルト上を犯人が歩いた部分が帯電していて、こんな作業をすることで(付着した粉末によって)浮かび上がるのだという。

 つまり、アスファルトと靴裏がこすれた部分がプラス(あるいはマイナス)に摩擦帯電し、アスファルト上の帯電分布を帯電した粒子で可視化する、というのである。摩擦帯電した微粒子によって可視化された靴あとを透明テープに写し取ることで、アスファルト上に電荷分布として残された犯人の足跡を記録・解析することができるようになる、というわけだ。

 摩擦帯電をなるべく防ぐような、たとえば、カーボンなどをたソールに混入することで、摩擦帯電しにくいように電気抵抗を下げ(同時に磨耗性・形状なども上手く作られた)靴というのは、工場作業用などでよく見かける。もしかしたら、”足跡を残さない”ということでは天下一品のビル荒らし御用達の靴があったりするかもしれない。

 とはいえ、もしもそんな摩擦帯電防止靴があったとしたら、たとえば靴のソールゴム中にカーボンを入れたとしたならば、黒い靴裏が必須になる。すると、「黒い靴裏」を見た警察官は「この人は、ビル荒らしかもしれない」と思うかもしれない。

 そういえば、私はよく職務質問に会う。それが私が履いている靴がことごとく黒い靴裏のせいだと思うことができたなら、つまり、「黒い靴裏の人たちは職務質問に遭いやすい」ということがその背景にあるのなら、納得できるのだが…。

道路上に記録された「靴裏との摩擦帯電の跡」






2009-10-13[n年前へ]

MathematicaとMathematica Playerの描画関数の違いを調べてみる 

 引き続き、無料で使うことができるMathematica Playerでどれだけのことができるのかを、色々調べています。

 Mathematica Playerに付属するMathematicaKernel.exeが表示・出力機能以外は、ほぼ機能制限がない理由が少しわかってきたような気がしてきました。

 Mathematica Playerは、Mathematicaのノートブックを閲覧することはできても、変数などを変えるなどの変更作業はできません。そのため、Mathematicaで作成されたファイルをMathematica Playerで閲覧するだけであれば、計算・評価機能が必要ではないように思えます。

 しかし、Mathematica Playerではユーザー・インターフェースを用いて動的にインタラクティブにグラフなどを表示する機能を使うことができます。すなわち.nbp形式に変換されたMathematicaノートブック上でグラフを自由度高く変化させることができるのです。

 Wolfram(ウルフラム)のサイトでMathematicaノートブックを.nbp形式に変換し、その.nbpファイルの中身を眺めてみると、表示されたグラフの一部はGraphic要素の内容が圧縮された形式として保存されています。つまり、2次元画像ならば圧縮された2次元画素のリスト(にRaterize関数をかけた)形式に、折れ線グラフなどは圧縮された二次元座標のリストデータ(にLine関数をかけた)形式として保存されています。そして、それだけではなくて、Plot関数なども使われているのです。

 そして、そのPlot関数の中身を動的に変化させることができるようになっているように見えます。内容をきちんと理解できてはいませんが、ざっと眺めた限りでは、そういう風に動いているように見えます。つまり、すべて通常のMathematica構文により、(Mathematica Playerで再生される)動的なコンテンツも実現されている、という風に見えます。

ただし、それらのPlot関数は、通常のMathematicaで使うことができるPlot関数とは第一引数が大きく異なるようです。そのため、Mathematica Playerに付属するmathematicaKernel.exeのデータ描画・可視化関数を通常のMathematicaのデータ描画・可視化関数と全く同じに使うことはできそうにありません。多少工夫をすれば使えそうにも思えますが、単純に同じように使うことはできそうにありません。

 とはいえ、Mathematicaの数値・数式処理/解析機能・各種データ取得機能を使うことができるだけでも、十二分に素晴らしいわけで、もう少し、無料のMathematica Playerを活用してどれだけ凄いことができるのか、その可能性をまだまだ追求してみたい、と思います。

2009-12-09[n年前へ]

NEWS今昔物語 「世界」と「可視化」編 (初出2004年05月00日) 

5年前のNEWS(未来)を振り返ってみて思うこと

 この2,3年後に、自分でカメラ付き携帯とグリッドコンピューティングを組み合わせたシステムを作ってみました。その時感じたのは、画像処理と(サーバ側が保持するPCを用いる)グリッドコンピューティングはどうも、サーバ側にとってあまりメリットがないな、ということでした。クライアントPCの方が性能が良かったり、台数は遥かに多かったり…と、どうもまだもう一皮むく必要があるのではないだろうか、と考えた覚えがあります。

(記事を書いた時の)ひとこと

 かつて「世界」はどんな具合だったのでしょうか。現在、あるいは、未来の世界はどうなっているのでしょうか?そんなことを考えながら、いくつかのニュースを選んでみました。

紛争分布の可視化

 ノーベル財団のサイトの中にConflict Mapというページがある。ここでは、どの時代に世界の何処で紛争が起こっているかを自由に眺めることができ、一目で世界の紛争の歴史を理解することができる。

 まさに、「百聞は一見にしかず」"Seeing is believing"である。情報を上手くまとめどのように他人に見せるか、ということはとても重要だ。この例の場合は、実に深刻な内容をとてもわかりやすく私たちに見せてくれる。そして、そこで伝えられる内容は、とても考えさせられるむずかしいものである。

動画観察が可能な「高速原子間力顕微鏡」

 オリンパスが、製品として世界初の動画観察が可能な「高速原子間力顕微鏡」を開発したと、先月14日に発表した。これまでは、静止画の撮影さえ分オーダーの時間がかかっていたのだから、とても大きな進歩だ。ナノメーター(100万分の1ミリ)サイズのDNA分子が動く様子を眺めたりモータータンパク質が動くようすを眺めてみるとまるで見慣れたオタマジャクシのようにも見えてくる。しかし、その世界はその10万分の一ほどのナノワールドであることを考えると、本当に驚かされてしまう。

ところで、そんな「高速原子間力顕微鏡」が威力を発揮するナノワールドの技術と言えば、先月末には生体分子による計算機製作の報告がNatureに掲載された。生体分子により作られたナノマシンやコンピュータが身近になる日も近いのかもしれない。

カメラ付き携帯とグリッドコンピューティングで「お肌診断」

 化粧品メーカーのエイボン・プロダクツが、顧客の肌を自社員のカメラ付き携帯電話で撮影し、サーバーに送信した肌画像をグリッド・コンピューティング利用で解析するサービス三月に開始した。端末はカメラ付き携帯電話を使い、データ転送は携帯電話から写真添付メールで、そして、解析処理は自宅で稼働する16台のグリッドPCという格安システムだという。

 Googleの種々のサービスの場合も、それらのサービスを支えているものは、つまるところ 独自のクラスタリングPCシステムにより他社には真似できない格安なコストパフォーマンスを実現していることだという意見もある。これからの時代、いかに少人数でローコストのハードウェアを使って何かを作り上げていくかということが、どんな業種であれ、重要になっていくに違いない。



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