2010-07-17[n年前へ]
■21世紀の「ぼくらの時代」は
100%新しいことなんて存在しないのと同じように、完全に現代に通用しないということも、ほとんどありえない。
古典に描かれたエッセンスは、とてつもなく普遍的であるのが普通だ。
寺田寅彦の言葉を借りれば、たとえば、それは「歴史は繰り返す。法則は不変である。 それゆえ過去の記録はまた将来の予言である」といったような感じだろうか。
And now we watch RealTime,
3-D rendering show.
Now it's one global store
Forget all about who you really are.
このswfファイルは、クリックすれば再生スタートする。フラッシュのファイルを、いつまで使うことができるかはわからないが、技術革新の歴史は実に普遍的な「無限ループ」が続いているように見える。
2010-11-16[n年前へ]
■「虚学」と「実学」
森本雅樹先生の「宇宙経由 野辺山の旅 」から。
「本学はものの役に立つ人間を社会に送り出すことをモットーとし、実学に徹した教育を行っております」(中略)
もしも、私たちの先祖が、そのときの「実学」に徹していたら、もちろん今日の天文学は生まれなかったであろうし、当然その知識と自然の理解をもとにして築かれた物理学は存在しないであろう。
人々が「役に立つ」と言い「実学」と呼ぶ科学技術はそういった過去の虚学の上に成り立っていることを忘れてはならないだろう。
実学・虚学
寺田寅彦が書いたこんな文章を連想し、リアルとイマジナリーのふたつが作る、無限の世界を考える。
俳諧で「虚実」ということがしばしば論ぜられる。数学で、実数と虚数とをXとYとの軸にとって二次元の量の世界を組み立てる。虚数だけでも、実数だけでも、現わされるものはただ「線」の世界である。二つを結ぶ事によって、始めて無限な「面」の世界が広がる。
寺田寅彦 「無題六十四」
2011-03-14[n年前へ]
■二十世紀の科学的・合理的な文明国民の愛国心
寺田寅彦「天災と国防」から。
人類が進歩するにしたがって、愛国心も大和魂もやはり進化すべきではないかと思う。
砲煙弾雨の中に身命を賭して敵の陣営に突撃するのも、確かに尊い大和魂であるが、(中略)二十世紀の科学的文明国民の愛国心の発露には、もう少しちがった、もう少し合理的なやり方があるべきではないか、と思う。
(昭和九年十一月、経済往来)
2011-07-11[n年前へ]
■「頭のいい人は…」
寺田寅彦が昭和八年に書いた文章から。同じ言葉から始まるリフレインが、色々な見方からの、けれどひとつの真実を繰り返し書く。最後の一文までを、繰り返し折りにつけ読み返したい「科学者とあたま」
頭のいい人には、恋ができない。恋は盲目である。
頭のいい人は、富士の裾野から頂上を眺めただけで東京へ引き返す心配がある、富士はやはり登ってみなければわからない。
頭のいい人は、批評家に適するが、行為の人にはなりにくい。
2011-07-22[n年前へ]
■「下を向いて落ちている花」と「上を向いて落ちている花」
台風が近づく雨の中、道路の上に白く大きな花がたくさん落ちていることに気づきました。興味深いことに、その白花はほぼすべてが下向き、俯(うつむ)くようにして落ちていました。雨に濡れた路面に落ちる数多くの白くて大きな花を写真に撮ったのが、下の写真です。たくさんの花びらが、ほぼすべての花びらが、花びらを下に向けて落ちている・茎を空に向けて落ちていることを少し不思議に感じる風景です。
このようなさま・このような結果を生み出すような仮説はいくつも作ることができます。たとえば、「この花の形状から導かれる重心と空気抵抗のバランスにより、路面に落ちる花は必ず下を向いている」とか、「路面に落ちる時には上を向いているものもあれば・下を向いているものもある…けれど、濡れた路面と花の付着力は下向きの場合の方が接触面積が多いために強く、風が吹く状況下では、次第に(落ちた花は)結果として付着力が強い”下を向いた状態”のものが多くなる」といった…たくさんの仮説を作ることができます。
そういえば、寺田寅彦は「椿の花がうつ向きに落ちている」ことを、随筆中で度々言及したように思います。(ある状況下では)上を向いて落ちている花種もあれば、下を向き落ちている花種もあるかもしれなく。その違いを生む形状やメカニズムを考えることは、何の役に立つのかはわからなくとも、少し魅力的です。
今朝も庭の椿が一輪落ちていた。調べてみると、一度うつ向きに落ちたのが反転して仰向きになったことが花粉の痕跡からわかる。
「曙町より(2)」寺田寅彦
自分用に「花辞典」を作るなら、そんな辞典を自分の手で作るなら、開花時期や色といったものだけでなく「下を向いて落ちている花」と「上を向いて落ちている花」といった区別も書き入れようと思っています。…ところで、この花の名前は何でしたっけ?