hirax.net::Keywords::「泪橋」のブログ



2008-01-25[n年前へ]

「泪橋」と「思川」 

 「泪橋(なみだばし)」といえば、ボクシング漫画「あしたのジョー」の舞台となった場所だ。東京都北区王子の王子神社と南の飛鳥山の間から、石神井川の水をせき止め東へ流した石神井用水(音無川)が、王子→田端→西日暮里→日暮里と流れ、三ノ輪まできたところで流れが分かれ、その一つが思川として隅田川に白髯橋付近で注ぐ。その思川にかかっていた橋が「泪橋」だ。


 泪橋という名前にはこんな由来がある。

 浅草方面から来てこの水路にかけられた橋を渡ると、そこには当時「仕置場」と呼ばれた千住小塚原の処刑場がありました(今の回向院あたり)。処刑場に運ばれる囚人達がもう二度と戻ることのできないこの橋で、皆、泪を流したとも、見送りの人たちとここで泪で別れた、とも言われ、この橋が囚人達が「娑婆」と最期の別れを告げる場所となっていたようでした。このような成り行きで、この橋が「泪橋」と呼ばれるようになったのだそうです。


 思川は荒川区と台東区の区境となっている。しかし、思川を見ることは、今はもうできない。思川の水の流れの上に「明治通り」が作られたからだ。泪橋も、現在では明治通りの上に掲げられた交差点の名前「泪橋」に姿を変えている。


 冒頭の「あしたのジョーの一こま」を見たとき、ふと、あしたのジョーの「丹下拳闘クラブ」が思川の千住小塚原の処刑場側の橋下にあったことに気がついた。つまり、思川の「浅草と反対側の川辺」に丹下拳闘クラブが建てられていた、ということである。


 ジョーが「あっ…」と叫び丹下拳闘クラブを見つけるシーンで、川の水は右から左に流れている。川の流れが「右から左に流れている」と見える理由はいくつかある。その中で一番大きな理由は、「漫画ではあらゆる”流れ”は右→左に進む」というルールである。ストーリーも読者の視線もすべてが右から左に流れる中では、描かれた思川も右から左に流れていると見るのが自然だ。思川は西から東に向かい隅田川に注ぐから、丹下拳闘クラブは、思川の北、かつての仕置場側にあったことがわかる。鑑別所・少年院を経て、浅草の山谷のドヤ街近くで練習をする「あしたのジョー」は、思川(おもいがわ)の仕置場側にいる。そして思川を越え泪橋を渡る。


 「あしたのジョー」と、「娑婆」と「仕置場」の間に架けられた「泪橋」を渡る人たちを重ね眺めてみる。横断歩道に姿を変えた泪橋の交差点を眺め、道の下の思川を歩いて渡る人たちを見る。「思い(おもい)」と名づけられた川の上にかかる泪橋を渡る人を見る。


大きな地図で見る

泪橋






2008-01-26[n年前へ]

江戸時代の地図で見る「泪橋」 

 「泪橋」と「思川」を江戸時代の地図で眺めてみる。今の東京が、昔の海や川や沼の上に浮いていることがよくわかる。大きく姿を変えている場所もあれば、変わっていない神社や池もある。

山谷堀江戸時代の台東区女武芸者江戸名所図会と神社散策橋場の渡し・思い川グーグルアースで古地図を見よう!






2010-08-21[n年前へ]

不思議にインターナショナル感あふれるアジアの街角 

産経新聞の「簡易宿泊所がオシャレなホテルに…変わるドヤ街」という記事を読みました。東京・山谷のドヤ街の簡易宿泊所が姿を変え、色々な人たちが滞在するようになっている(たとえばKANGAROO HOTEL)という話です。

 山谷の簡易宿泊所約160軒で構成する「城北旅館組合」の帰山哲男さん(59)によると、周辺の宿は、1泊1000円代から高くても3500円。宿泊所には生活保護を受給している元労働者が多く暮らしているが、10年ほど前から外国人を受け入れるようになり、今や節約志向のビジネスマンや就職活動中の大学生らも山谷を目指すという。

 日雇い労働者の街として知られる山谷が急速に変化している-。そんな声を聞き最寄りの南千住駅に向かった。山谷の姿を3回でルポする。
 「ドヤ街」という言葉を知らない人のために、こんな「ドヤ」の説明を貼り付けておきます。
 かつては通称ドヤと言われていた。これは宿(やど)を「人が住むところではない」と自嘲的に逆さまに読んだのが始まりといわれる。

 東京近辺では、ドヤ街の代名詞になっていたのが、山谷、今でいう南千住の辺りです。「あしたのジョー」の中の地名を思い起こさせる(あしたのジョーの舞台がどこかは諸説ありますが)「泪橋」交差点を中心とする街です。

 以前、「泪橋」交差点を中心とする南千住の街にあるホテルのことを、「2700円以下で泊まれるベスト宿はどこだ!?」でこんな風に書きました。

 不思議にインターナショナル感あふれるアジアの街角に、ふと迷い込んだような気になったりするかもしれません。
 記事を読んで思うこと・考えることは人それぞれ違うでしょうが、とりあえず、まずは何日か泊まってみると良いかもしれません。特に、南千住では、夕方と朝を過ごしてみるのがお勧めです。
 私のように、とても気に入る人も少なからずいるのではないでしょうか。・・・責任は持てませんが、ためしに泊まってみるのも良いと思います。



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