2009-03-08[n年前へ]
■ベンゼン環と6つの炭素
海沿いの防波堤に立つ赤い灯台をが見える公園で、戯曲「戯曲 半神 」を読み直した。この半神には色々なものが詰まっているけれど、その中で、大きなモチーフに使われているのことの一つがベンゼン環だ。ヒトを作り上げている主たる元素、炭素が6つが輪になり形作っているベンゼン環だ。
その6つの炭素は、謎・欲望・誘惑・秘密・後悔、そして、優柔不断の先にある決断の結果の孤独だ。その6つの角を持つ世界で起きる物語、繋がっていた二人の双生児の分離手術を巡る物語は、魅入られてしまうと同時にとても哀しい。けれど、すべての答えを与えてくれるような、そんな気さえする奇跡の一編だと思う。
どうしても、わり切らないではいられない話だと知ったとき、そう思ったとき、孤独が生まれた。
2009-08-30[n年前へ]
■「愛よりももっと深く」愛すると同時に「憎しみもかなわぬほどに」憎んでいた
永井均「マンガは哲学する (岩波現代文庫)」の、下記の(萩尾望都「半神 」の言葉を使った)文章から始まる数節がとても面白い。
(松本大洋の「鉄コン筋クリート 」の)クロはシロを「愛よりももっと深く」愛すると同時に「憎しみもかなわぬほどに」憎んでいたはずである。
この後に続けられていく文章を読みながら、「ナナ」と「ハチ」という分身の物語に引いた、中村うさぎがNANAを語る言葉を思い出した。
2009-11-02[n年前へ]
■「マンガ」と「物語」
「ニッポンのマンガ (アエラムック―AERA COMIC) 」に収録されている、萩尾望都×浦沢直樹×夏目房之介という3名による座談中から。下の言葉は、その中にある萩尾望都によるもの。
ではなぜ、人間は物語に魅かれるのか。なぜ物語を求めるんでしょう。生きてると、矛盾したことがいろいろと起こる。「どうして生きてるの」とか、(中略)…ということが日常的にある。
そこに正しい答えはない。でも、物語の中ではさまざまなことが一応整って見えてくる。答えがあるわけじゃないんだけど、道筋は分かる。
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