2002-04-27[n年前へ]
■視線のベクトルは未来に向くの? from jun hirabayashi
という二つの意見が面白かったので載せてみました。「BSマンガ夜話」は見たことがないのですが、本屋にその本が置いてあるので今度その回を探して買いってみます。
2002-05-19[n年前へ]
■風上に向かう「しょんべん小僧」
「しょんべん小僧」の物理学 逆風編
近所の海辺で、不思議なお堂を見つけた。迷路のような曲がりくねった裏小路を抜けて行くと、小高く鋭い丘があって、その上に小さな八幡宮が建っている。そして、その丘(というより小高い岩)の中腹には小さな不動堂が建っている。かつては不動堂がその丘のヌシであったらしく、その丘は不動岩と名付けられている。とにかく、本当に小さいけれど、とても不思議な空間なのである。そして、その不動岩のてっぺんで潮風に吹かれて体が冷えたワタシは、バチ当たりにも立ちションをしてしまったのだ。
恥ずかしい話ではあるが、ワタシはトイレが近い。長〜い重要な会議中、カリカリと鉛筆の音が響く試験中、ビアグラスがぶつかる音が溢れる居酒屋で、あらゆる時、あらゆる場所でソレをもよおすワタシは、あらゆる場所でソレをする。もうそれは散歩中の犬並といっても良い位にソレをしまくるのである。
思い起こせば、観光バスで首都高速を走っているときに、いつものようにソレをもよおしたワタシは、観光バスに満載された同級生達(もちろん男女共に満載である)の視線を背中に浴びまくりつつ、首都高速の道路沿いで立ちションにいそしんだことすらあるくらいだ。そして、さらに真相を書いてしまえば、その時にはあまりの背中に降り注ぐ視線のイタさに(膀胱に押し寄せる強風波浪に関わらず)ろくに放水活動ができなかったことも、今となっては懐かしくも哀しい思い出なのである。
海辺の不動岩の上で潮風に吹かれながら、そんな「立ちしょんべん」にまつわるエトセトラを思い出したワタシは、久々に「しょんべん小僧」の物理学パートツー- 風に向かって「立ちしょんべん」をするにはどうしたら良いか -を考えてみたい、と思うのである。逆風に負けずに立ちションを遂行するためにはどうすれば良いかを考えることにより、時と場所を選ばず立ちションを遂行したいと思うのである。
そこで、まずは、「立ちションベン」のパラメーターを決めてみよう。もちろん、立ちションには色々なパラメータがある。もちろん、人によっても違うだろうし、状況(観光バスの視線を集めたワタシのソレは明らかに「普通の立ちション」ではなかった…)によっても違うことだろう。しかし、ここはひとまず「しょんべん」の初速と放水を行う「銃筒」の角度を適当に決めてみる。つまり、立ちションがどの向きにどれだけの速さで放出されているかを決めてみるのである。
「しょんべん小僧」の物理学- あともう一歩、前に出ろ - (2000.10.29) |
下左のグラフは「銃筒」を水平撃ちする歳の「しょんべん」の初速と、その場合の「しょんべん」の軌跡である。「銃筒」から「しょんべん」が秒速2,3,4mで飛び出すときの「しょんべん」の軌跡を計算してみたモノだ。縦軸が鉛直軸、横軸は立っている場所を0とした時の水平距離を示している。単位はいずれもメートルである。ショーという感じで放水中の立ちションの様子がよく判ると思う。「しょんべん」を放つ「銃筒」の高さは70cmとちょっと低めにしてしまったが、普通もう少し高い場所にあるのが自然だろう。
飛翔中のしょんべんが受けるの空気抵抗も、この計算中では考慮してあるが、この段階では未だ特に風が吹いているわけではないので、しょんべんの軌跡は大体放物線と似通っているものになっている。このグラフを眺める限りでは、しょんべんの初速は秒速3m位に設定するのが自然に思われる。場合によっては(どんな場合だ!?)、もう少し違うような感じもするのだが、とりあえず平均値としては「しょんべん」の初速は3m/s位で良いように思われる。
青 : 2m/s | 青 : 下向き30度 |
そして上右は試しに、「しょんべん」を放つ「銃筒」の放出角度を変えた場合の「しょんべん」の軌跡を計算してみた場合の「しょんべん」の軌跡である。ここでは下向き30度、水平撃ち、上向き30度の三種類をやってみた。この三つの場合の結果、そして色々な「しょんべん小僧」を見る限りでは、「しょんべん」の狙い方としては水平撃ちが普通だろう。自らの経験と重ね合わせてみても、「しょんべん」は水平撃ちが「安定度・飛距離」共に優れており、それ故にそのやり方が一般的ではないかと思うのである。
さて、こんな感じで大雑把に初速度を決めてみたところで、本題の風が吹いている場合の「しょんべんの軌跡」を計算してみた。下のグラフが、潮風に吹かれながら風上に向かって放水作業を行う場合の「しょんべんの軌跡」である。つまりは逆風に晒されたしょんべん小僧のしょんべんの軌跡である。
左は吹いている風の風速を0〜28m/sまで変えてみた場合のしょんべんの軌跡を計算してみたものだ。しょんべんはもちろん風上に正確に狙いを付けている。このグラフを見ると、風が強くなるに従い、しょんべんの軌跡が風に吹かれて自分の足元に吹きながされているのが判ると思う。風速3m/s位では、「しょんべんの飛びが何だかちょっとなんか違うかな?」という程度であるが、風速28m/sにもなると、自分の足元に押し戻される程度では済まず、何と自分の足先に「しょんべん爆弾」が見事に誤爆してしまっている。何とも恐ろしい事態である。秒速28m/sの風= 時速50kmの風圧と言えば、それはすなわちCカップバストの感触(擬似オッパイに関するhiraxの関係式)であるわけであるが、その「天使のCカップバスト」を装う魔の風に銃筒を向けて「しょんべん」を撃った瞬間に、何と自分の足先に天罰が下ってしまうのである。恐るべき、逆風なのだ。
黒 : 0m/s (時速0km) |
|
そこで、もちろん、そんな強風の中での立ちしょんべんをする場合に誤爆しないようにするためには、いくつかの対策がある。もちろん、誰でも思いつく一番判りやすい方法が「しょんべん」が銃筒を飛び出す初速や構える銃筒の角度を変えるというものである。風に負けない強さでしょんべんを放水したり、飛距離が出なくても良いから、風に流されにくいような銃筒の角度に狙いを変えるというものだ。右のグラフは、例えば銃筒の角度を水平撃ちを止めて、「しょんべん爆弾」が風に流されて誤爆しないように、下向き30度の速射タイプに変更してみたものである。自分の足に見事に命中していたしょんべん爆弾が、なんとか誤爆せずに地面に吸い込まれていることが判ると思う。
ところで、実は立ちションベンにはたくさんのパラメーターがある。ションベンの初速度と銃筒の角度だけではないのである。実は地味だが、大きなパラメータが数多くある。その内の一つが、しょんべんを撃つの銃筒の口径なのである。風が吹いていないような場合にはあまり関係ないが、風が強くて空気抵抗がとてもとても無視できないような場合には、この銃筒の口径は大きく効いてくるのである。空気抵抗の大きさ自体が口径の二乗で効いて、ションベンの質量は口径の三乗に比例するから、結果として口径に比例して空気抵抗の影響が小さくなる。すなわち、口径が小さいと風の影響を強く受け、口径が大きいと風の影響を受けにくいのである。つまりは、細くショワァーと放水するか、太くジョワァーと放水するかどうかはとても重要なのである。
というわけで、下のグラフが風速28mの逆風下で「しょんべんを水平に撃つの銃筒の口径」を変えてみた場合の計算結果である。口径を大きくすることで、風の影響を受けやすい水平撃ちをしているにも関わらず、しょんべん爆弾の誤爆を楽々と防ぐことができているのが判るだろう。風吹く中で立ちションを力強く安定してするためには、何より放水口の口径を大きくすることが大切なのである。
黒 : 半径 3mm 赤 : 半径 2mm (風速28/s = 55km/h下における水平撃ちの場合) |
というわけで、「逆風に負けずに立ちションを遂行するためにはどうすれば良いか」「時と場所を選ばず立ちションを遂行するためにはどうしたら良いか」を考えてきたワタシは、「しょんべんを撃つの銃筒の口径を太くするべし」という結論を得たわけである。と、書きつつ「そんなことできるかぁー」と叫びたくもなるが、日々鍛錬をすることで、いつ日かそんなワザを拾得し、あらゆる時と場所で、雨ニモ風ニモ負ケズ、そして「天使のCカップバスト」を装う魔の風にも負けないワタシになりたい、と思うのである。
ところで、そんな「しょんべんを撃つの銃筒の口径を太くしたりする」ことが既にできるヤツラもいるのである。それはもちろん、ションベン小僧達である。だから、街中に立っているションベン小僧達、強い逆風に晒されりすることの多いションベン小僧達は、「銃筒の口径」がきっと太いのではないか、とワタシは想像するのである。なかなか、彼らのソレの口径を計ったりする機会には恵まれないのではあるが、きっと彼らは太くジョワァーと放水をすることで、風に負けない立ちション生活を貫いているのではないか、とワタシは想像したりするのである。ワタシもいつの日か、力をつけて彼ら逆風に負けないションベン小僧のようになりたいと思うのである。 …どう特訓するのか判らないけど…。
2002-06-25[n年前へ]
■「肘と掌の高さが観衆の視線の最下限を決めるのだ」
だから、肘の高さを肩と同じくらいに上げるべし、とのこと。なるほど。
2002-08-25[n年前へ]
■オッパイ星人の力学 巨乳アナライザー 編
有限要素法でおっぱい変形シミュレーション
地球を侵略しようとしているオッパイ星人達は、世界各地のありとあらゆる町に潜んでいる。そして、街を歩く「可哀相な子羊(巨乳)」の揺れ動く胸に視線をロックインさせ、その視線を不自然なまでに上下左右にスイングさせている。
ワタシは地球を、そして可哀相な子羊(巨乳)達をこの手で守るために、そんなオッパイ星人達と日夜人知れず戦い続けている。東に「可哀相な子羊(巨乳)」がいると聞けば、「巨乳ビジョン」を装着して出動し子羊を見守り、西に強風が吹くと聞けば、青少年達のために「風圧を頼りに疑似オッパイの研究」をしてきた。雨ニモマケズ、風ニモマケズ、田舎の母はオネガイダカラカラヤメロトイヒ、ヒトリノトキニハナミダヲナガシ、ミンナニオッパイニンゲントヨバレつつも、それでもワタシは戦い続けてきたのである。
そして、単純な「半円モデル(松坂季実子項)+バストに関するフックの法則」の研究から始まったオッパイ星人との戦記は「オッパイ星人胸のヤング率編」「揺れる胸の動き編」「パラメータ励振編」「バスト曲線方程式編」「仏の手にも煩悩 編」「あなたのオッパイ星人度編」「求む未来のヒロイン編」「禁断の最終兵器 編」と長く続き、今ではワタシは高度な画像処理技術を駆使した「巨乳ビジョン」を開発したことにより、街中で目にしたオッパイの大きさ・形状を定量的に把握することさえできるようになった。
しかし、「巨乳ビジョン」を装着し街中をパトロールし、可哀相な子羊達をワタシのこの手で守ろうとしたとたんワタシは気づいたのである。街中に「可哀相な子羊達(巨乳)」がやたら歩いているのである。「可哀相な子羊達(巨乳)」が多すぎるのだ。あまりに大きな谷間が多すぎて、一体どの谷間をガードすれば良いのやら、皆目見当がつかないのである。いつの間にか、街中には「天使のブラ」やら「ウォーターパッド」やら、「シェルフカップ」などが溢れてしまい、外見からだけではその中身は何がなんだかよく判らなくなってしまったのだ。「巨乳ビジョン」を装着したワタシは、そんな谷間を見ながら途方に暮れてしまったのである。
真のオッパイ星人ならともかく、BreastTest IIなどの「オッパイ・テスト」でも満点を取れないワタシは単に大きさに惑わされてしまったりして、どれがホンモノだかニセモノだか皆目見当がつかない。こんなことでは、自然食グルメ志向であって、ホンモノ・ニセモノなど即座に知ることができるだろうオッパイ星人達に勝つことなどできるはずがない。そこで、色んな矯正(天使のブラ・詰め物…)がされている時に、一体バストはどんな形状になるのかを詳細に調べて、「どんな谷間が自然で、どんな谷間が不自然か」を調べてみることにした。まず今回は、さまざまな矯正技術が駆使されている場合にもバストの構造・形状をより詳細に知ることのできるように、バストの形状変形を有限要素法(FiniteElement Method = FEM)を使って計算する「巨乳アナライザー」を作ってみることにしたのである。
学生時代に、ボーリングした穴の形状変化を計算するために、有限要素法(FiniteElement Method = FEM)を勉強した。その時に参考書代わりに使った「森博嗣著、 C言語による有限要素法入門」。 まさか、その後この本の作者がミステリーを量産し、そしてまさか自分がFEMでオッパイの計算をし、「巨乳アナライザー」なんかに挑戦することになるとは思いもしなかったのである。時の流れはオソロシく、そして時にほろ哀しいものなのだ。 |
まずは、立っている女性のバスト部がどう変形するかを計算してみた。判りやすいように、モデルとしては二つの場合
- 小振りな微乳の場合
- 大振りな巨乳の場合
それほど垂れない | 自然に垂れてしまう |
大振りなバスト(巨乳)の場合、重力の影響で下に大きく垂れてしまっていることが判る。これでは、確かにブラジャーをつけるのが自然だろう。それに対して、小振りなバスト(微乳)の場合には、それほどは垂れていないのである。これなら、ブラジャー無しでも大丈夫だろう、いや、そもそも「少なくともオッパイが垂れるのを防止するためには」ブラジャーを着ける必要もないだろう。
そして、単にバストの大きさだけでなく、hirax.netが提唱する「バストに関するヤング率(若いと力に対して伸びが小さいが、年をとると伸びが大きくなってしまう)」の考えに基づき、ヤングなバスト(=「堅い」バスト)とそうでない柔らかいバストの場合の比較をしてみたのが、下の比較図である。左のバスト中の水色の部分は少し堅い(=ヤングな)物性を持っていて、少し「堅い」バストになっている。それに対して、右側は先ほどの平均的なヤング率を持つバストなのである。
全然垂れない | 垂れる |
右側に示したノーマルなバストでは重力の影響を強く受けて垂れてしまうのに対して、やたらヤングなヤング率を持つバストの場合には不自然なほどに形が崩れていないことが判るだろう。まるで、アニメやマンガに描かれる女の子のようなバストになってしまっているのである。逆に言えば、アニメやマンガに描かれている女の子は「やたらにヤング(=やたらに肉が堅い)」という物性を持っていることが判るのである。
そして、せっかく今回有限要素法を用い始めたのだから、もう少し複雑なものを計算してみた。それが下の中央である。小振りなバスト(微乳)を大きくするために、バスト内部に少し「堅い(=ヤングな)」物質を入れてみたのである。もちろん、「柔らかい(=アダルトな)」物質を入れてみても良いのだけれど、それではどうしても大きくなった分、下へ垂れてしまう。ここでは、「大きい巨乳」と「きれいな美乳」を両立させるために、あえて自然のバストよりも不自然なくらいヤングな物質をバスト内部に入れて、バストアップしてみたわけである。ちなみに、下の左側はバストアップ前の「小振りなバスト(微乳)」であり、右側は自然度100%の柔らかい巨乳の場合である。
少し「堅い=ヤングな」物質を 入れてみる | 柔らかいオッパイの場合 |
中央の少し「堅い(=ヤングな)」物質を入れてみた場合、バストアップしつつそれほど不自然でない垂れ方をしており、「大きい巨乳」と「きれいな美乳」が両立していることが判る。逆に、このような形状のバストを見かけたならば、そのバスト内部に隠されている「ヤングなバストアップ層」の存在を感じ取ることができるのだ。
つまり、今回開発を開始した「巨乳アナライザー」により、バスト内部の構造によってバストがどんな外形状に変形するかをこれから色々と解析し続けていくならば、「バストの外見を見ればその内部に一体どんな構造が隠されているかを感じ取ることができる」ようにすらなるハズなのだ。そうすれば、「天使のブラ」やら「ウォーターパッド」やら、「シェルフカップ」などのせいで街中に溢れる数え切れない大きな谷間の中から、オッパイ星人に狙われそうな「可哀相な子羊(巨乳)」を見つけ出し、ワタシのこの手でその巨乳を子羊を守ることができるようになるのである。
そしてまた、バスト内部の構造を見ただけで知ることができるワタシは、街中を歩く女性に「そのウォーターパッドなかなか良いですね!どんな感じなんですか?」と賛辞の言葉をかけることだってできるようになるのである。そんな意見を聞くことができれば、その言葉をかけられる方だってきっとウレシイはずなのでる。
そしてそれだけでない、「巨乳ビジョン」+「巨乳アナライザー」により、チラっと見ただけでバスト内部の脂肪組織のヤング率(=柔らかさ)の分布すら感じ取ることができるようになったあかつきには、ワタシは街中を歩く女性に「おや?キミの右のバストの少し奥に、ちょっと堅いしこりがあるようですね。念のため乳ガンの検査をしてはいかがでしょう。」とアドバイスすることだってできるかもしれない。オッパイ星人に襲われそうな可愛そうな子羊達を守るだけでなくて、世界の全女性のための乳ガン早期発見にだって貢献できるようになるかもしれないのである。
こんなワタシを、「巨乳ビジョン」を装着し「巨乳アナライザー」を駆使して街中で人知れず戦うワタシを、人が感謝することは決してないだろうが、雨ニモマケズ風ニモマケズ、ワタシはこれからも戦っていこうと気持ちも新たに誓うのである。
2002-08-26[n年前へ]
■CleType自主学習(仮)
ちょっと真面目にClearType(仮)
(2002.08.26〜)
- 楽しそうな「iMac」&「電子ブック」風ノートPC用スタンド -はじまり - (2002.08.26)
- 一本道か、分かれ道か - ドキュメントの縦横比について- (2002.08.29)
- 水平思考と垂直思考 - 文字の縦横解像度 - (2002.08.29)
- 細かくすると楽(粗く)になる? - ClearTypeの一番の秘密- (2002.09.09)
楽しそうな「iMac」&「電子ブック」風ノートPC用スタンド -はじまり - (2002.08.26)
Lapvantageという楽しそうな会社を初めて知った。ノートPCをiMac風にするLapvantageDomeやPCを縦置きで使うためのLapvantagePortraitという、とても実用的でいて、それでいて明和電機のような面白い製品を作っている会社である。明和電機は兄弟が運営しているが、こちらのLapvantageの方はビアボーム親子がやっているらしい。iMac風スタンドの方は角度が振れないようのが(特にノートPCを立てられない)残念だが、Lapvantageの方はもう少しデザインがスマートであるならば今すぐにでも欲しくなる。
複数の作業を切り替えながら作業をしたり、あるいはツールバーが多数出てくるようなソフトウェアを使って作業をする時には、左右に広いディスプレイが便利で使いやすい。しかし、単純に一つのドキュメントを読んだり、一つのドキュメントを書いたりする場合には上下に長いディスプレイを使うと、見通しがきいて考えをまとめやすくなる。気のせいか、頭の中の見通しがとても良くなるように感じたりする。だから、以前から横長の画面のノートPC(ToshibaPortege 320)を愛用していたりした私はノートPCの画面を横にして使ったり、縦にして使ったりと、画面を切り替えて使ってみたいと感じていた。AdobeAcrobat Readerであれば、画面を回転させて文章を読む機能があるので、これまでノートPCを回転させて電子ブックのようにして文章を読んだりすることもあった。
Lapvantage PortraitはPivotProのソフトウェア付きなので、Windowsの画面を自由自在に回転させることができる。だから、ノートPCを普通に横置きに使ってみたり、スタンドに載せて縦置きに切り替えて使ってみたり、と好きなように切り替えることができる。「これはなかなか便利そうだ」と思い、私も私も30日有効のPivotProのデモ版をインストールして使ってみることにした。
そして、このソフトのインストールをきっかけにして
で調べたClearTypeに関して、ちょっと少し考えてみた。 (続く)一本道か、分かれ道か - ドキュメントの縦横比について- (2002.08.29)
前回書いたように、複数のことを考えるなら「左右に長いディスプレイ」が良くて、一つのドキュメントを読むなら「上下に長いディスプレイ」が良い。その理由を端的に言えば、「目が左右についているから」だと思う。
まず、「目が左右に付いているので、あまりに大きい左右への目の動きは、目にとってとても非対称な作業であるから不自然」だ。だから、左右を眺めるときには自然と頭を左右に振ることになる。その頭を左右に振るという作業は、頭の中での何らかの切り替え作業を伴うような気がする。だから逆に、ツールパレットの切り替えのような「何らかの作業の切り替え」を伴う作業であれば、その左右へ視線を移動する(自然と頭も左右に動かす)ということはとても自然な行為になる。しかし、それは一つのドキュメントを読むような場合には、いたって不自然な行為になってしまう。だから、一つのドキュメントというのは本来「上下に長い=縦長」であるべきだと思う。
そしてまた、「目が左右についているから」、人は上下方向を「一本道」に繋げて考える。例えば、絵画を眺めるとき、上に見える景色は多くの場合遠い景色で、下に見える景色は多くの場合近い景色だ。漱石の文学論の図を引くまでもなく、この「上下の遠さ、距離」というものを例えば時系列上の「一本道」に繋げるのは、いたって自然な連想だと思う。「遠い上」に見えるものは「遠い過去」で、下に来ればくるほど新しいことになる。それは、ドキュメントを読む場合に対応させて考えると、とても自然だ。それに対して、左右に並ぶものは決して「一本道」ではないのである。それは、「選択肢=分かれ道」であって、決して一つの道ではないのである。左右に並ぶものは「複数の何か」なのである。
だから、一つのドキュメントは上下に並び、上下に長いべきなのである。ドキュメントの表示も同じく、縦に長いべきなのである。
漱石 「文学論」より |
最近のPCであると、ディスプレイは通常横に長い。だから、本来縦に長くあるべきドキュメントを眺めようとする場合には、表示を90°回転させてやることもある。そうすると、本の一ページのようにして画面表示を眺めることができる。例えば、AcrobatReaderで表示画面を回転させたり、PivotProなど使ってPCの画面表示自体を回転させてやれば良いわけである。
このように、ドキュメント表示のための縦横比については、単にディスプレイの表示を90°回転させてやれば問題は解決する。しかし、表示のためのもうひとつの条件、表示品質が問題になってくる。そもそも、液晶(二十世紀においてきたCRTは無視しよう)の解像度はまだま低くて、それを改善するための技術としてClearTypeやCool Fontがあるのだけれど、AdobeのCool Typeはともかく、Clear Typeの場合には表示が90°回転しているという情報をClearTypeが取り扱わない(知らない)ために、上手く動かなくなってしまう。ClearTypeにしてもCool Fontにしても、液晶のRGBのカラーフィルターの並び方を利用してやることで解像度を高めているわけで、その並びの変化(表示の回転)に対応できない場合には表示品質を大幅に落とすことになってしまう。
次に、「ファイト!縦文字文化 -縦と横の解像度を考えよう - (2001.04.29)」で考察した、文字の解像度についてもう少しちゃんと考えてみることにする。
水平思考と垂直思考 - 文字の縦横解像度 - (2002.08.29)
ドキュメントを表示させるためには、文字を表示させてやらなければならない。しかし、液晶ディスプレイの解像度は必要十分には高くないから、文字はつぶれてしまうことが多い。例えば、「現実問題春夏雪雹資本主義電計算機」なんて文字を表示させてみるとかなり潰れてしまい、非常に読みにくいのが判るはずである。これが、英語の"RealProblem seasons Snow capitalism Computer"なんて文字であれば、まだマシである。
この日本語と英語の文字の解像度の差について考えてみる。比較例は下に示した、「漢字」と「英語」のテキストを用いることにする。
まずは、600dpiで20ptのMS Pゴシックのフォントを展開して上のような画像にした後に縦・横方向のそれぞれの解像度を考えてみる。ここでは、縦・横方向の黒い線(あるいは線でない部分)の太さ(幅)の分布を測ってみることにした(今回解析のために作成したソフトはここ(RunLength.lzh)においておく)。テキストのような二値の画像の「解像度特性」を計測するのであれば、このような解析にしなければならない。「ファイト!縦文字文化 -縦と横の解像度を考えよう - (2001.04.29)」でやったようなフーリエ解析は適切な方法ではないのである。
下の図が縦・横方向の黒い線(あるいは線でない部分)の太さ(幅)の分布である。縦方向に計測した黒い線(あるいは線でない部分)の太さというのは、結局のところ横線の太さ(あるいは線の間隔)であり、横方向に計測した黒い線(あるいは線でない部分)の太さというのは、結局のところ縦線の太さ(あるいは線の間隔)ということになる。どれだけの細かさで「太さ」(あるいは「位置」)を描いてやらなければならないか、を示すグラフということになる。
「漢字」の場合には「Vertical 方向で計測した線の太さ(あるいは線の間隔)、すなわち横線の太さ(あるいは線の間隔)」が「縦線の太さ(あるいは線の間隔)」に比べて、大きく小さい方にシフトしていることが判ると思う。また、横線の量が縦線の量に比べてずっと多いことも判ると思う。後者は「数字文字の画像学 -縦書きと横書きのバーコード - (2000.01.21) 」で考えたことと全く同じで、「日本語は横線が多い」ということを端的に示している。そして、前者は「Vertical方向で計測した(すなわち横)線の太さ(あるいは線の間隔)」が縦のそれより大幅に小さいということは、「漢字」の解像度は縦方向に大幅に解像度が高い、ということを示している。漢字は縦書き文字故に鉛直思考志向なのである。
一方、「アルファベット」の場合には、これも「数字文字の画像学 -縦書きと横書きのバーコード - (2000.01.21) 」で考えたことであるが、縦線と横線の量においてはむしろ縦線の方が多いことが判る。水平方向に対して情報量が多いのである。アルファベットは水平思考志向なのである。「アルファベット」の情報量はそのかなりの部分が縦線によるものなのである。そしてまた、線の太さ(あるいは間隔)は横線の方が細い(あるいは線間隔が短い)が、その横線であっても「漢字」の縦線程度の解像度であることが判る。「漢字」に比べて「アルファベット」の解像度は低いのである。
ただし、文字の解像度を「線の太さ(あるいは間隔)の最小値」だけで論じることはできない。「適切な線の太さ(あるいは間隔)」にすることができるほどに解像度が十分高いか、ということも重要である。もし、そうでなかったら線が妙に太くなったり、細くなったりしてしまったり、あるいは、線の間隔が妙に近づいたり離れてしまったり、つまりは文字のプロポーションが崩れてしまったりするだろう。上の場合は600dpiで文字を表示させた場合の解析例だが、次に現在の液晶と同じような解像度(例えば)150dpiでこの文字を表示(展開)させてみる。こうすることでことで「適切な線の太さ(あるいは間隔)」にできていない様子を確認してみたい。
細かくすると楽(粗く)になる? - ClearTypeの一番の秘密- (2002.09.09)
まずは、「現実問題春夏雪雹資本主義電計算機」という漢字と"RealProblem seasons Snow capitalism Computer"というアルファベットを現在の液晶と同じような解像度(例えば)150dpiでこの文字を表示(展開)させてみた。そして、前回と同じようにそのビットマップ画像の「縦・横方向の黒い線(あるいは線でない部分)の太さ(幅)の分布」を調べてみる。その結果が下のグラフである。また、前回に調べた、これよりも4倍程解像度が高い「600dpiで20ptのMSPゴシックのフォントをビットマップに展開してみた場合」をさらに下に比較用として示してみる。
150dpiでTrueTypeをビットマップに量子化した場合には、漢字・アルファベットの場合共に、縦・横方向とも600dpi単位で4,8pixelの太さ=150dpiで1,2ピクセル幅のパターンが発生していることが判る。このようなパターンは、600dpiで20ptのMSPゴシックのフォントをビットマップに展開してみた場合には見られなかったものである。つまり、、着目すべきは例えばアルファベットの場合、
- 縦方向には幅10pixel(600dpi単位)=2.5pixel(150dpi単位)以下の高い周波数は存在していなかった
- 横方向には幅13pixel(600dpi単位)≒3pixel(150dpi単位)以下の高い周波数は存在していなかった
- 縦・横方向共に幅4,8pixel(600dpi単位)=1,2pixel(150dpi単位)以下の高い周波数が生じている
- 縦方向には幅7pixel(600dpi単位)≒2pixel(150dpi単位)以下の高い周波数は存在していなかった
- 横方向には幅11pixel(600dpi単位)≒2.5pixel(150dpi単位)以下の高い周波数は存在していなかった
- 縦・横方向共に幅4,8pixel(600dpi単位)=1,2pixel(150dpi単位)以下の高い周波数が非常に多く生じている
また、これらの文字の場合には本来18〜15≒12pixel(600dpi単位)の線幅・線間のパターンが多いわけであるが、それを150dpi単位( =600dpi単位で4pixel )で量子化してしまうと、場所により4/12 = 33%もの線幅・線間の位置の誤差が生じてしまうことになる。不必要に狭い幅のパターンが作成されたり、不必要に広い幅のパターンが作成されたりして、これでは文字の線が太くなったり細くなったり、線の位置が狂ったりしてしまい、見にくいことこのうえない。これはすべて、150dpiという低解像度で量子化してしまったためである。「低解像度の表示系の解像度に合わせて量子化(ビットマップ化)してしまうと、ますますその表示系では表示しづらい高周波のパターンが生成されてしまい、結果として読みづらい」という一見逆説的に思えてしまう(しかし当たり前の)現象が生じている。
ところで、本題のClearTypeの場合には横方向(通常の液晶はRGBの3つのサブピクセルが横方向に並べられているから)の解像度を3倍だと仮想的に考えて、横方向を3倍の解像度で量子化を行うことになる。ここで、話の単純のために3倍≒4倍と思うことにすれば、つまりはClearTypeの場合には本来150dpiの解像度であるにも関わらず、サブピクセルを考えて600dpiの解像度で量子化している、ということである。それは結局上の二つのグラフの比較と同じであって、ClearTypeを使うと実は表示すべきパターンが「より表示しやすい低い周波数のパターン」になっているのである。それは、「文字の線が太くなったり細くなったり、線の位置が狂ったりしてしまう」ことがなく、目にとってはとても見やすいパターンになるだろう。この量子化の段階について触れている情報は見たことがないが、実はこの量子化の段階にClearTypeの隠された(しかし、一番重要な)メリットがあるように思う。また、アルファベットの場合にはHorizontal方向に振幅を持つパターン(=縦線)が支配的に多いため、Horizontal方向に仮想的に高解像度の量子化を行うことは非常にメリットを効果的に得られると考えるのが自然である。
次に、このように量子化されたデータをClearTypeで表示する際の問題点・その解決方法について考えてみていくことにしたい。
P.S.ちなみに解析ソフト(RunLength.lzh)をアップロードしました。