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2008-05-20[n年前へ]

「ネイティブ言語」の意外性 

 「DAPDNA」は、IP Flexダイナミック・リコンフィギュラブル・プロセッサ「DAPDNA」だ。ダイナミック・リコンフィギュラブル(動的再構成)技術、つまり、チップの処理内容をns(ナノ秒)単位で切替えることで、多種機能を自由度高く比較的小規模なチップで実現することができるチップである。

 私は去年、日本ですごい異世界を発見してしまいました。手話です。ネーティブの人、つまり「ろう者」の先生から直接手話を習っているんです。福祉に目覚めたわけでは全然なく、それが言語だと知ったからなんです。
  高野秀行

 このDAPDNAの統合開発環境には2種類ある。一つは、C言語のような「高級言語」を使う DFC Compiler で、もう一つが演算器をドラッグ・アンド・ドロップで繫げるGUI 形式の開発環境 DNA Designer だ。

 DAPDNAの紹介文書を眺めていると、”DFC Compiler ではC(風)言語で手軽・簡単に記述することができます””DNA DesignerはGUIを使った開発環境で、ハードウェアの能力を最大限に活用した細かなチューニングをすることができます”というようなことが書いてあった。一瞬、「おやっ?」と不思議に感じた。「C言語なら簡単・手軽で、GUIプログラミングではハードウェアの能力を活かしきるチューニングが可能だ」というフレーズに意外性を感じた。たとえば、「Windowsのアプリケーションを作るのに、APIゴリゴリのプログラミングより、GUI開発環境でプログラミングする方が、チューニングできる」と聞いて、「あれっ?」と感じるような意外性を感じたのである。

 言語が違うということは世界の見え方が違うということです。

  高野秀行

 しかし、これは少し考えれば当然のことだ。行いたい処理を、「C言語」で記述した内容から演算器群を用いて自動生成するのと、演算器を回路図として記述するのでは、後者の方が「ハードウェアの能力を最大限に活用した細かなチューニングをすることができる」のは当たり前である。GUI開発環境上でドラッグ・アンド・ドロップされ、それらの繋がりが描かれた演算器群こそが、こういったチップの動きを一番素直に記述する「ネイティブ言語」なのである。並列化が進んだシステム上で動くものを作るときには、GUI言語こそがネイティブ言語と言えるのかもしれない。

 手話も、手話ネーティブもほんとに面白い。福祉の話題にしておくのはもったいなさすぎます。こんなに文字かなところに異世界があるんだから、一人でも多くの人に楽しんでほしい。

  高野秀行

CGUICIRCUIT






2011-04-22[n年前へ]

「二流のプロをめざして全力でニッチを狙え」 

 斉藤哲也「R25的ブックレビュー」の「間違う力 オンリーワンの10か条(高野秀行) 」に対する書評から。

 本書の最大のメッセージはおそらく”全力でニッチを狙え”ということだろう。(中略)理想やプライドが高い人は、一流を目指すあまり「なかなか第一歩が踏み出せない」 それなら二流のプロでよいと原をくくり、適当でもいいから「今、はじめる」
 長くやっていればなんとかなる可能性が高い。

間違う力 オンリーワンの10か条(高野秀行)

2011-05-09[n年前へ]

「オリジナリティ」と「スピード」は確実に繋がっている 

 高野秀行「間違う力 オンリーワンの10か条 」の「一流より二流を目指す」を読んでいると、こんなフレーズに出会う。

 私の知る限り、ユニークなことをしている人ほど動きが早いのだ。オリジナリティとスピードはどこかで確実につながっているように思える。
 共通しているのは、そういう人は何かアイデアを思いつくと、興奮していても立ってもいられなくなることだろう。

 「この人いいなぁ、凄いなぁ」と感じるさせてくれる人を順を追って思い浮かべてみれば、その誰もが、「ユニークなことをしている人ほど動きが早い。オリジナリティとスピードはどこかで確実につながっている」という言葉を連想させるような人ばかりだ。たぶん、あの人たちはみな「間違う力」を獲得した人たちだったのだろう、と思う。

 この本の「おわりに」はこんな言葉で終わる。「ワクワクする毎日」を生む駆動力に思いを馳せれば、ワクワクしない毎日への予防薬になるかもしれない。

 正しいかどうかより面白いかどうかで決めること。他人がやっていない新しいことをやるのに、正しいかどうかなどわかるわけもない。そんなことを考えるより、自分がワクワクしているかどうか確かめることが先決だ。実際のところ、何をやるにもワクワクしているかどうかがいちばん肝心なのだ。

2011-05-11[n年前へ]

「間違う」ための行動パターン 

 高野秀行「間違う力 オンリーワンの10か条 」の章立て、つまりは『「間違う」ための行動パターン』はこんな具合です。この行動パターンを10点満点で採点するならば、10ポイント満点中であなたは一体何ポイント獲得できることでしょうか?

  1. 他人のやらないことは無意味でもやる
  2. 長期スパンで物事を考えない
  3. 合理的に奇跡を狙う
  4. 他人の非常識な言い分を聞く
  5. 身近にあるものを無理矢理でも利用する
  6. 怪しい人にはついていく
  7. 過ぎたるは及ばざるよりずっといい
  8. 楽をするためには努力を惜しまない
  9. 奇襲に頼る
  10. 一流より二流をめざす

 この『「間違う」ための行動パターン』は実は意外にマトモです。合理的で、努力家で、戦略を考える堅実かつ"いわゆるひとつ"の「マトモな人」にも(一瞬)思えます。

 けれど、…よくよく眺めてみれば、肝心要(かんじんかなめ)の「評価関数」だけが、ちょっと標準からは外れているのかもしれません。他の人が手を出さない無意味なことを、(過ぎたる)過剰に目指す…それは少しアウトローで、その「評価関数」は誰しもが認める多数派ではないように感じられます。

 多くの場合、「多い」側には多くの人が押し寄せます。…だからこそ、数少ない「多くない側」「少ない側」を選ぶ人たちが、勝ち残ることがあるのだろうと思います。



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