hirax.net::Keywords::「Shiro」のブログ



2008-04-25[n年前へ]

「"複雑極まりない"複素平面」上に「仕事」と「趣味」を描く 

 複素平面"complex plane"は、複素数"complex number"の実部をx軸(実軸=real axis)・虚部をy軸(虚軸 = imaginary axis)にプロットしたものである。3+2iという複素数であればxy平面にx=3,y=2にを示す、そんな平面が複素平面だ(iは虚数単位=2乗した時に-1になる数である)。

 『「仕事」と「趣味」を2次元マップで1分以内に描け』言われたら、あなたならどう描くだろう?(同世代の)"Schemeを愛するプログラマ"が描いた「趣味と仕事の関係を描いた2次元チャート」を眺め、ふと私も「仕事」と「趣味」のイメージを2次元マップに描いてみたくなった。

 趣味を訊かれるといつもちょっと困る。私には趣味と仕事の違いがよくわからないからだ。
   Shiro Kawai

 人によって「仕事」と「趣味」というものの捉え方は違うだろうけれども、できる限り一般的に「仕事」と「趣味」という領域を2つの軸上に配置させるとしたら、どのように「仕事」と「趣味」を描くだろう?そんなことを「クイズの回答者になった気分で」描いてみたら、それは「複素平面」だった。(その人自身に対する)実利的・物質的でまさにリアルな"Real axis"と、イメージ的な「心の軸」を示す"Imaginary axis"というまさに実軸・虚軸で表現された複素平面である。


 この複素平面の縦軸(の上方向)は、自分の心を豊かにする軸と捉えることができるだろう。「虚」という文字よりは、"Imaginary"という文字で捉えたい「(その人自身の)心の満足」を示す軸、である。
 そして、横軸(の右方向)は、その人自身を実利的に満足させる軸である。しかし、その自分への「実利」という軸は、実は他人が何らかの形で価値を感じたことを示す軸でもあると思う。なぜなら、その「実利」は「他者が得た価値」が回りまわって流れてきたものに違いないからである。他人が得た満足が姿を変えたものであるから、である。つまり、この複素平面の横軸は「自分への実利」を示す軸であると同時に「他者を豊かにする軸」なのである。

 ひとことでまとめてしまえば、この複素平面は「本人(自分)の満足」と「他人の満足」という2つの軸で形作られる平面なのだ。

'Cause we are living in a material world. You know that we are living in a material world.
  Madonna "Material Girl"

 その人ごとに「仕事」と「趣味」の位置づけがあると思う。どんな軸を使って、どんな風に「仕事」と「趣味」を捉えるかは、みなそれぞれ違うはずだ、と思う。「自分の中で辛さを感じながら、実利を得る仕事」もあれば(右下の象限)、「自分自身の楽しさとともに実利を得る仕事」もあるはずだ(右上の象限)。そして、さらに言うならば、同じ仕事であったとしても、その仕事がどこに位置するかは、人それぞれ異なっているだろう、と思う。そして、同じ一人の人がする同じ仕事であったとしても、きっと「その捉え方」「その座標」は変化し・移動していくものだろう、と信じている。

俳諧で「虚実」ということがしばしば論ぜられる。数学で、実数と虚数とをXとYとの軸にとって二次元の量の世界を組み立てる。虚数だけでも、実数だけでも、現わされるものはただ「線」の世界である。二つを結ぶ事によって、始めて無限な「面」の世界が広がる。
   寺田寅彦 「無題六十四」

 もしも、上に描いた複素平面="Complex plane"、それを言い換えれば言葉通りの「複雑極まりない世界」の上に、今のあなたが抱えているだろう「仕事」と、あなたが楽しんでいるかもしれない「趣味」は、どんなXY座標上にプロットされるだろうか。"複雑極まりない"複素平面上に、あなたはどんな軌跡を描いているだろうか。


仕事と趣味の複素平面






2009-02-20[n年前へ]

2010-01-12[n年前へ]

ミネルヴァの梟は黄昏に飛び立つ 

 「ミネルヴァの梟は黄昏に飛び立つ」という言葉を、新年早々に読みました。この哲学者ヘーゲルの言葉が、どういう意味なのかということを考えるのは、人それぞれが楽しんでみると良い迷路だろう。

Die Eule der Minerva beginnt erst mit der einbrechenden Dämmerung ihren Flug.
 この「ミネルヴァの梟は黄昏に飛び立つ」という文字を読んだ時、「16才の若い高校生たちに対するアドバイス」を三十代半ば過ぎで読んだ時のことを思い出しました。その時、やはり三十代半ば過ぎの方がこう書いていたことを、思い出したのです。
(16才の頃)知っておきたかったこと 「人生の到達点はそれまでの積分なんだから、同じアドバイスがどの時点でも有効なはずだ。
やりたいことはたくさんある。それなら、絶対後悔しないから、貪欲に、遠慮せずにやればいい。

 今日書きとめたヘーゲルの言葉は、次のもの。

知らないうちからすぐに、すでに知っているという思い込みが忍び込む。



■Powered by yagm.net