2003-10-25[n年前へ]
■Live on Earth
Night and day
カムチャツカの若者が色んな朝の空を背景にして、谷川俊太郎の詩「朝のリレー」が朗読されるCMがTVで流れている。ネスカフェのコーヒーのCMである。丸い地球を太陽の光が照らして、その地球の回転に合わせて次々と世界中が朝を迎えていく様子を生き生きと描写する谷川俊太郎の詩は、地球全体を遠くから眺めつつも同時に地球上の何処かにいる一人一人の生活を近くで眺めている。遠いところからだけでなくて、近くからも地球を眺めまわす視点で「朝のリレー」の様子が謳われると、丸い地球がたくさんの人を乗せて、そして太陽に照らされながら回っている様子が心の中に浮かび上がって来るに違いない。
きりんの夢をみているとき
メキシコの娘は
朝もやの中でバスを待っているニューヨークの少女が
ほほえみながら寝がえりをうつとき
ローマの少年は
柱頭を染める朝日にウインクする
この詩をTVで眺めていて思い出したのがNIGHTAND DAYというサイトである。これは、世界各地のウェブカムを経度方向一周分のサークルに並べ、いま地球に落ちている太陽の影や日向・夜や昼を見てみよう、というプロジェクト・ページである。今では、ウェブカムの画像が取得できていないらしく、残念ながら太陽の光が次々と地球上を照らしていくさまを眺めることはできない。かつて動いていた頃の様子を眺めることができるのみである。
そこで、「朝のリレー」を自分の目で眺めてみたくなった私は自分用に世界各地のウェブカムを経度方向一周分のサークルに並べてみることにした。それがこの"Liveon Earth"だ。24時間で一回りする地球上のウェブカムを24(今のところ-1)個並べて、夜と昼が地球上を駆け抜けていく様子を眺めてみることにしたのである。ただ、世界中の街の景色が貼り付けてあるだけの、だけど世界の街中を遠くから近くから眺めることのできるページを作ってみることにしたのである。
40 Moscow | 30 HELSINKI | 20 Thessaloniki | 10 Koeln | 10 DUBLIUN | |
50 Tehran | 60 Prince Edward | ||||
70 Karachi | 24 hours a day | 70 New York | |||
100 Nong Khai | Live on Earth | 80 UF | |||
110 HongKong | 90 UM | ||||
120 Taiwang | 24 views an earth | hirax.net | 100 SiouxFalls | ||
130 Fukuoka | 110 SaltLake | ||||
140 Sappro | 150 Melbourne | 170 Dunedin | 160 Hawai | 180 | 20 San Francisco |
このページを色んな時間に眺めてみれば、丸い地球が回転していくと同時に太陽の光が照らす領域が次々と動いていくさまを目にすることができる。
もちろん、世界には街の灯りが見えない地域があるように、この"Liveon Earth"の上には実はアフリカや南米はないし、人のいない地域だってこの"Liveon Earth"の上では眺めることはできない。それでも、朝起きてコーヒーを飲みながら、せわしく人が歩き回る何処かの昼の街並みを眺め、昼に一息つきながら、眠りについている地球の裏側の街を眺めてみる。そして、夜眠る前のひとときに朝コーヒーを飲んでいる誰かの街を眺めてみる。地球が回っている様子を遠くから眺めつつ、生き生きとした何処かの街の誰かの様子を眺めてみるのもきっと面白いんじゃないか、と思う。
この地球では
いつでもどこかで朝がはじまっているぼくらは朝をリレーするのだ
経度から経度へと
そうしていわば交替で地球を守る眠る前のひととき耳をすますと
どこか遠くで目覚時計のベルが鳴ってるそれはあなたの送った朝を
誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ
2008-10-31[n年前へ]
■趣味サーバのカスタマイズ・稼働方法
「F&Fのサーバ」を興味深く読んだ。10年以上続く趣味サーバをどのようなシステムで、どのように動かしているのか、どのように使う技術を変えつつ使っているのかを知ることができて面白かった。どんな技術をフォローしているのか、そして、どんな技術をスルーしているのかといったことをおぼろげに眺めることができるような気がして、とても参考になった。
そんなことがきっかけで、hirax.netのコンテンツ・サーバ・アプリケーションも少し書き加えました。今悩んでいるのは、携帯電話対応させるかどうか、というところです。そして、させるなら「どの程度の作業・対応」をするか、というところです。
2009-03-18[n年前へ]
■凸版印刷、大型ファッションイベントと雑誌、Webとモバイルを使った女性向けクロスメディア事業に参入。
凸版印刷、大型ファッションイベントと雑誌、Webとモバイルを使った女性向けクロスメディア事業に参入。
凸版印刷株式会社は、日本メイクアップ技術検定協会と共同で、日本の美容・ファッションのコンテンツを核としたクロスメディア事業を展開すると発表した。
第一弾として、原宿系雑誌の読者モデルを起用したファッション・メイクアップの総合イベント“原宿スタイルコレクション(仮)”を開催。イベントに合わせて雑誌やWEBなどとも連動、より多くの消費者をイベント、出版物、即売会、EC、店頭などで結びつけることで、これまで以上に効果的な販売促進を実現する。
2010-02-25[n年前へ]
■「WEBコンテンツの変化」 (初出:2005年11月20日)
twitterなど、マイクロブログが主流になっていますが、時代はいつも移り変わるものです。そろそろ、次のWEBコンテンツが現れても良さそうな気がします。
2010年の初春に、5年前に書いた記事を眺め、過去の未来の現在に立つ私たちの、その私たちの先にあるだろうWEBコンテンツの変化について、思いを馳せてみたいと思います。
「個人の"ホームページ"の時代」
私が「インターネット」を眺めるようになったのは、WWWブラウザのNCSA Mosaic が登場した1993年過ぎからでした。その直後、使うブラウザは Netscape Navigator へと変わりました。そして、1996年くらいから「さまざまな個人が書いているページ」を楽しむようになりました。例えば、その1996年に始まったサイトで例を挙げてみると、「今日の必ずトクする一言」や「我が妻との闘争」といったサイトを眺め楽しむようになったのです。その二つで代表されるような「個人が趣味的記事を書く"ホームページ"」が盛んだ、と言われた年がそれから2.3年くらい続いたような気がします。今でも、細く長く続く素晴らしい「個人の"ホームページ"」がその頃生まれました。その頃、私も自分でもサイト hirax.net を立ち上げ、そこで雑文を書くようになりました。
「WEB日記の時代」
その直後、おそらく1998年頃からだったと思うのですが、時代は(今度は)「日記サイト」だということになっていました。「個人の"ホームページ"」の時代は終わり、「個人が書くWEB日記」の時代が始まった、というのです。私のサイトが雑誌に初めて取り上げられた時も、実は「日記サイト」という扱いでした。(今でもなぜそうなったのかはよくわからないのですが…) その時代を代表するサイトは、間違いなく「ちゃろん日記(仮)」でしょう。「WEB日記の時代」からは、そんな素晴らしく高い密度の文章が生まれました。
なぜ、「個人の"ホームページ"」の時代は終わり、「個人が書くWEB日記」の時代だと言われたかというと、「個人が多くの人に読まれるような記事を書き続けることは難しい」せいだったと思います。インターネットの世界で「アクセス数が多くなる」ためには、多くの人が繰り返しそのサイトに人が訪れるためには、「続ける」ことが欠かせません。しかし、「個人が自分のオリジナルの記事を書く」「ある程度の長さの文章やコンテンツを作る」ということを頻繁に更新し、それを長く続けるのは難しいと思われたのだろう、と感じました。そしてさらに、「(けれど)個人が自分のことに関する日記を書く」ことなら、頻繁な更新もできるだろうし、それを長く続けることもできるに違いない、と考えられたせいだったような気がします。
「掲示板の時代」
そして、またしばらくして、今度は「個人のWEB日記」の時代が終わり、「掲示板」の時代がやってきました。「自分の毎日に関することでも、やはり(個人が)頻繁にある程度の長さの文章を書き続けることは難しい」けれど、複数の集団であれば「(いくら頻繁であっても)多数の人が感想文を書き連ねるなら簡単」だし、「それを長く続けることも容易だ」ということだったような気がします。似たような趣味の人が「感想やコメントを付け合う」「掲示板の時代」(という風に記事などで取り上げられる)時代が少しの間続いていたような気がします。もちろん、その頃生まれた「2ちゃんねる」は、(言うまでもなく)今では超巨大な空間になっています。「色々な問題」が指摘されたこともありましたが、そのような掲示板が色々な多くのものを生み出してきたことも確かな事実に思えます。
「ニュースサイトの時代」
そして、次の時代は「ニュースサイト」の時代でした。そういう風に言われた理由を、(強引な理屈ではありますが)作り出してしまうなら、「複数の人であっても、一つの同じ趣味の話では長く続かない」というような意識があったような気がします。「例え、複数の人であっても、自分たちの中の話題だけでは長い期間にわたって書き続けることはできない」けれど、「(種々の)他サイトの記事」に関して、「ごく短い - ひとこと - の感想を付記することで書き連ねる」ことならば、比較的頻度高く更新を続けることができる。しかも、他サイトに「面白い記事」があれば、その「面白さ」へ導くことで読者を楽しませることができる。そして、それを孫引きするなら、多くの人がすることができる。そんな風に「頻度高く・長く続ける」ことができるからこそ、読者も楽しい、というようなものだったような気がします。これも強引に例を挙げてしまうなら、「俺ニュース」「そして、その孫引きニュースサイト」のようなものがその例になるかもしれません。
「ブログの時代」
そして、次の時代は「ブログの時代」でした。「ブログの時代」を単純に言うならば、
「ブログの時代」 = ( 「WEB日記」 + 「ニュースサイト」 + 掲示板 )
というような感じです。少なくとも、私の勝手な印象ではそんな感じでした。「長く頻繁に書き続けることが難しい」ということに対して、「個人が自分の近況を書いたり」「個人が他サイトの記事の感想を書いたり」「それに対して、複数の人が(ごく短い - ひとこと - の)コメントを付け合ったり」という、これまでの時代の「メリットの貼り合わせ」をしたシステムです。そして、それがもしかしたら「現在の時代」なのかもしれません。
「コメント付きソーシャル・ブックマークの時代」
ところで、最近は「コメント付きソーシャル・ブックマーク」の時代なのかもしれない、と思うことがあります。それはつまり、「複数の人が、他のサイトに関して、 - ひとこと - の感想を付ける」というシステムです。「一人の個人が、自分のサイトで長い文章を頻繁に書くことが難しい」のであれば、ちょうど「その逆のもの」ということになります。一例を挙げるならば、「はてなブックマーク」のようなものです。「大勢の人が共同作業でニュースサイトを運営し、大勢の人がその他サイトの記事に対して - ひとこと - コメントをつける」というシステムです。いわば、
「コメント付きソーシャル・ブックマーク」 = 多数の人が運営する「"他サイト"ニュースサイト + "ひとこと"掲示板」という感じのものです。実際、WEBの世界で「ニュース」となるような記事は、「はてなブックマーク」のようなところで取り上げられたものが多いような気がします。
インターネット上のWEBコンテンツは、今のところ、「短く」「繋がる」という方向に動き続けています。これから、先の未来のWEBコンテンツはどうなるのでしょうか? (この記事を図解したものを図解 「WEBコンテンツの変化」に書きました)
2010-02-26[n年前へ]
■図解 「WEBコンテンツの変化」 (初出:2005年11月20日)
昨日書いた、 「WEBコンテンツの変化」の、「種々のWEBコンテンツの違い」を図解してみました。
これまでWEBコンテンツとして登場し(参考:教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書 )、「その頃に流行りとされたもの」たちを適当に立体空間に並べてみたのです。昨日の文章は、これらのものが「どう移り変わっていったか」、あるいは、最近のものが「以前あったものをどのように組み合わせたか」の感想を書いたものであったわけです。
今日描いてみた図は、「コンテンツが取り扱う話題」が「自分独自」のものか「他からの派生物」か、文章の長さが「短い」か「長い」か、そして、書き手が「複数」か「一人」かで、 「WEBコンテンツの変化」に登場した「コンテンツ種」を示したものです。
前回の文章で書いた、「続けることの大変さ」で言うならば、左下手前が「書き続けることが難しい種類のもの」で、右上奥が「続くことが容易に見える種類のもの」ということになります。
ちなみに、この図中で一番「書き続けることが難しい種類のもの」とされている「オリジナルWEB日記」とは、「一回だけ、短い期間だけなら、書くことは決して困難なものではない」と思います。けれど、それを続けることはとても難しい、というような「感じ」でそこに配置してみました。もちろん「今この瞬間の私」がふとそう思った、その程度の曖昧な「感じ」です。
さて、今回作ってみた図は「主観的かつ大雑把に、実に適当に作ってみたもの」です。きっと眺める人ごと・眺める視点ごとに、色んな分類や配置をしたくなるのではないだろうか、と思います。そこで、そんな風に思った方のために、今回作った図のオリジナルファイル(PowerPoint のPPTフォーマット)をここに置いてみました。
こんな図が何の役に立つかは、はなはだ疑問ではありますが、いくらでも思うがままに料理して、好きなように変えて、そして自由に使って下さって料理して下さって結構です。あなたの思うWEBコンテンツの配置図は、一体、どんな感じのものになるのでしょう?