2009-12-24[n年前へ]
■現実の物理現象速度を再現してしまうと、違和感のあるアニメになってしまう
画像電子学会研究会予稿 09-03-08 の栗田・青木「リアルバーチャリティー -映像の中のウソー」の中の「アニメーションの中では、現実の物理現象の速度をきちんと再現した映像は現実的に見えなくなってしまう」という話が面白かった。この予稿の内容は、コマーシャル用のアニメーション作成中に、アニメーションを作るプロでない人が感じた興味深かったことをまとめたものである。
木に積もった雪がドスンと落ちる様子や、温泉の湯気が立ち上るようすを実際に撮影し、それをコンピュータ・グラフィクスでアニメーションにしてみると、今一つ感覚と違うという。現実の物理現象速度を再現してしまうと、違和感のあるアニメになってしまうというのである。
現実の速度と同じ湯気では「湯気の動きが早すぎて、寒く感じてしまう」し、現実と同じ速度でドスンと落ちる雪は「遅すぎて、(登場人物が)驚くような感じにはできない」というのだ。つまり、現実とアニメの中での「速度感覚」というものは、何かしら異なっている、という。(自然とは異なる)非等時的なデフォルメがなければ、「自然なアニメーション」にはならない、というのである。
逆に、アニメーション世界の時間感覚を現実に持ち込んだらどう感じるものなのだろうか。もしかしたら、それは「現実よりもさらに現実的に見える世界」になっていたりするのだろうか。
2012-02-18[n年前へ]
■ベートーヴェンが(もしも)○×デニールの黒ストッキングを頭にかぶったら?
「シェーダ」と呼ばれるコンピュータグラフィックスで色や座標を計算させるための専用関数/プログラムがあります。日暮れ過ぎ、「特定用途向け」シェーダのアルゴリズム設計&効果確認をしていました。
作っていたのは、「黒網タイツや黒ストッキング」の色や質感を再現表示するシェーダー・プログラムです。基本的には、黒色と肌色間の中間色に見えるけれど、視線ベクトルが法線ベクトルに近いような方角からは「肌色っぽく」見えるというオトコ・ゴコロ!?をくすぐるシェーダです。
シェーダのアルゴリズム設計&効果確認が終わったので、「黒網タイツ・黒ストッキング」シェーダーを使って、大作曲家ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンを描いてみました。
題して「ベートーヴェンが(もしも)○×デニールの黒ストッキングを頭にかぶったら?」です。左から、5デニールの超薄黒ストッキング、10デニールの黒ストッキング、30デニールの黒タイツ、そして、60デニールの黒タイツ…をかぶった、お笑い芸人風・ちょっと変態風・ちょっとお茶目な…楽聖ベートーヴェンです。
あなたの心をくすぐるのは、何デニールのストッキング(タイツ)をかぶったベートーヴェンでしょうか?
2012-12-31[n年前へ]
■デジカメ内部でレイトレーシング計算をさせてみる!?
「デジカメにレイトレーシングをさせてみませんか?」という声が聞こえたので、コンパクトデジカメ用ロシア製ファームウェアCHDKにレイトレーシング(光路追跡計算)のコード(aobench)を挿入した上で、デジカメの上でコンピュータグラフィックス(CG)コードを動かしてみました。
計算(レンダリング)を行った画像サイズは64x64ピクセルで、レンダリングした結果をデジカメの液晶画面(左上部分)に表示してみたところが右の写真です。
レンダリング計算実行部中の浮動小数点処理を雑に端折ってみたり・液晶画面への表示処理(減色処理)で大幅に手抜きをしてみたり…というわけで品質は良くありませんが、下の画像のようにコンパクトデジカメ内部でのレンダリングルーチンはそこそこまともに動いているようです(左:コンパクトデジカメ内部でレイトレーシングさせた結果、右:PCでJavascript+HTML5でレンダリングした結果)。
現実にある光をレンズで集めたり・整えたりして像を浮かび上がらせているカメラも、将来、実際にある光だけでなく計算上の光を作り出し、何かを浮かび上がらせたりしているのかもしれませんね。