2009-11-05[n年前へ]
■経済成長率下のゼロサムゲーム
小島寛之「数学で考える 」から。
どんなに個人が有望そうな投資戦略を取ったとしても、経済成長率がゼロなら、国民全員の投資収益を集計するとゼロになる。つまり、国民全員で見た場合、投資とは単なるギャンブルによって現資産の再分配をしているにすぎないことになる。
以下は、「数学で考える 」の中で引用されている村上春樹の「パン屋再襲撃」から。
つまり世の中には正しい結果をもたらす正しくない選択もあるし、正しくない結果をもたらす正しい選択もあるということだ。
2009-11-20[n年前へ]
■ほんとうに大事なものを選び、それ以外は捨てる
結城浩「数学ガール/フェルマーの最終定理 」から。
「本質が同じかどうかは、抽象化しなければわからない。抽象-抜き出すというのは、本質以外を捨象-つまり捨てることだ。ほんとうに大事なものを選び、それ以外は捨てる」
この言葉が心に残ってしょうがない。「何かを表現する」というということは「何かを捨てる」ということだ。何かを捨てて何かを残し、その残した何かが「表現」となる。
「選ぶ」ということは「捨てる」ということとイコールだ。この恒等式を、とても切ないと感じる人もいれば、きっとそうでなく感じる人もいる。
2009-12-03[n年前へ]
■NEWS今昔物語「他人と自分」編 (2004年06月00日)
5年前のNEWS(未来)を振り返ってみて思うこと
この時、つまり5年以上前のNEWSは「評価」「比較」ということを主題に集めたように思う。NEWSを書きながら、他者との評価・比較や他者からの評価・比較といったことが念頭に浮かんだ。だから、「他人と自分」編というサブタイトルを付けた。
最近のNEWSのひとつに「事業仕分け」がある。これもひとつの「他者による評価」「他者との比較」である。5年前の記事中にスーパーコンピュータに関する記事もあるが、今現在、次世代スーパーコンピュータも俎上(そじょう)に上がっている。一体、スーパーコンピュータに関する「事業仕分け」では、どのような「評価」「比較」がされていくのだろうか。
ところで、「自分への視線を発見・記録するメガネ」だが、自分への評価を眺めることができて、さらに、「自分を対象とした事業仕分け」まで解析・表示することができる「新カメラ」すら、いつの日か生まれるかもしれない。まるで、SFのようだが、これまでの科学技術の歴史はSF本の中のものをたくさん具現化してきた。もしも、そんな「個人対象の事業仕分けカメラ」が生み出されてしまったら…考えるだけで恐ろしい。
(記事を書いた時の)ひとこと
「他人」と「自分」という「人」と、「機械」や「機械ができること」についてのNEWSを集めてみました。
「センター試験」と「2次試験」の数学の得点は無関係?
東北大学の理学部志願者の「センター試験」と「二次試験」の各教科成績を調べ、外国語などはセンター得点が高ければ2次得点も高いという相関が表れたが(例:基礎統計学から見た入試)、数学では相関が極めて低かった、との 森田康夫氏による分析結果が5月30日に報告された。 その点数のズレの原因は、大学が重視(評価)する二次試験は「論理的思考能力」を重視し、センター試験は「計算能力」を重視(評価)しているためであるという。
最近は、エンジニアに対する評価をどのように行うか、という論議もよく見かける。 しかし、誰もが納得するような評価を行うということは極めて難しい問題である。少なくとも大学入試には解ける問題しか出題されないが、この評価制度の場合は解くことが未来永劫できない難問だったりするのかもしれない。
自分への視線を発見・記録するメガネ
「赤外線を投光し、角膜からの反射光が瞳の中心に位置するかどうかを解析することにより、自分への視線を発見・記録する」というメガネの研究が5月4日に視線入力に関するシンポジウムで報告された。このメガネをかければ、自分が何を眺めたかだけでなく、誰が自分を見つめたかまで記録される(MPEGビデオ)。逆に言えば、自分の視線が何処を向いているかを記録されてしまうのだから、サングラスをかけて自分の視線を隠す人が増えるかもしれない。
そういえば、携帯電話で撮影した顔写真を送信すると、その「顔」がどの芸能人に似ているか評価・採点してくれるサービスなどもある。同じように、他人が自分を眺めながら「どんな評価・採点をしているか」まで視線から知らされてしまったら…? そんな「評価スカウター」があったら、人の視線・評価が気になってたまらなくなってしまうに違いない。
高性能計算用途のWindowsと2テラFLOPSのGRAPE-DR
先日、Microsoftが「高性能コンピューティング向けのWindows」の計画を開始した。 並列計算をWindowsで行いやすくする、という計画である。とはいえ、私たちの手元にあるようなクライアント用のWindowsではなく、あくまでサーバー用のWindowsの話だ。ExcelからグリッドPCを用いた演算機能を利用できるようにするという製品もあるが、残念ながらそういった環境はまだ一般的にはなっていない。一般的でもお手軽でもないからこそ、「スーパー」コンピュータなのである。
当初は「20万円で作ったスーパーコンピュータ」という売り文句で有名になったGRAPEだって進化を続け、先日は2ペタフロップスを実現しようとするGRAPE-DR計画も発表された。汎用計算ができるわけではなく、あくまで専用計算機であるから、比較するわけにはいかないが、2テラFLOPSというのはスゴイ世界だ。何しろ、一秒間に2千兆(2000000000000000)回もの浮動小数点演算を行ってしまうのだから。
米国防省の検閲語句がフォント解析で解読される
米国防省のイラクに関する文書から「検閲により消されてしまった文字」を、消された単語の幅を推定し、フォント(字体)の種類を考慮して(その単語の幅になる)文字の組み合わせを調べだし、妥当な単語・名称をしらみつぶしに検索することで、消された文字を復元したという5月13日の Natureで報告された。コンピュータ上の電子辞書と文章解析ソフトだけで、米国防省の検閲を突破できたわけである。
ところで、こんな風に機密保持のために塗り潰した部分が解読されてしまったのも、そもそも紙資料の画像で機密文章を公開したからである。いつまで紙文化が続いていくのだろうか。
2010-11-13[n年前へ]
■とても面白い「トランプ・マジック」パズル(回答例付き)
少し前、こんなパズルに挑戦しました。そのパズルの内容は、およそこんな具合です。
観客の前にマジシャンと助手がいる。マジシャンが(ジョーカーを抜いた)トータル52枚のトランプを観客に渡し、観客はその中から5枚を選んで助手に渡す。助手はその5枚の中身を手に取って、その5枚から好きな1枚を選ぶ。そして、残りの4枚のカードを順番にマジシャンに見せる。
マジシャンと助手は一体どのようなルール(カードの向きを細工するとか、出し方に細工するとか、そういう類いの仕掛けは一切しないものとする)を決めておけば、マジシャンは「助手が選んだ一枚のカード」を必ず当てることができるだろうか。
この問題が面白いのは、答えが複雑なものでもなく、小難しい数学的知識が必要とされるものでもない・・・つまり、考えさえすれば、誰でも楽しむこと・解くことができる、というところです。
「答えとなるルール」は何通りもありますが、どの答えの場合でも、「あともう一歩(1bit)」をどんなルールで渡りきるか(その1bitをどう表現・限定するか)、という辺りがパズルとしてのクライマックスであるように思います。そして、たぶん、その山場は「こうすれば越えることができるだろう」とわかる(比較的最後の答えがカチリと上手くはまる)・・・けれど、結構悩むのが実に面白いパズルです。回答例のいくつかをここに書き留めておきますので(不十分な説明ですが、この問題に挑戦した後に読めば、容易に中身は理解することができると思います)、答えを思いついたら、似たような答えか・それとも全然違うアプローチをしたか、など確かめてみると面白いと思います。
・・・ところで、「答えとなるルール」は何通りもある、と書きましたが、本当のところ、そこにある「ルール 」はひとつだけであるのかもしれません。ただ、その「本来はひとつの姿のルール」を異なる表現の仕方をしているがために、何通りものルールがあるように見えるだけのような気もします。
このトランプ・マジック・パズル、どんな答え(群)が思いつくでしょうか?そして、それらの統一的に表現するとしたら・・・それは一体どんなものになるでしょうか。
2010-12-02[n年前へ]
■数学(コーディング)パズル、大好き!?
ここのところ、数学パズル||コーディング・パズルにハマっています。きっかけは、国際情報オリンピック(International Olympiad in Informatics)の予選問題にもなったことがあるという「入門レベルの問題」で、「200個以内の長方形の上左および右下座標(32bit floatで表現できるような実数)が与えられる。長方形は相互に重なりが許されるとき、与えられた長方形群により覆われた部分の面積を求めるコードを書け。今すぐ書け。あっ、実行時間が2秒を越えるようなコードはダメだかんね」というお題でした。
あなたなら、このお題に対して、どんなコードを書くでしょう?VisualBasicでも、Perlでも、C++でも、Lispでも・・・、自分の言葉で問題を書き綴り・解き明かす「数学(コーディング)パズル」はっても楽しくスリリングなことなのだろう、と思います。きっと、それは固くなりがちな頭を柔らかくし、何らかの瞬発力を与えてくれるものであるような気がします。
ちなみに、そのお題を与えられたとき、適当にRubyで書いたコードが下のものになります。あなたなら、どんなコードを書きますか?
def makeRect(n) data=[] n.times{ data<<[rand(),rand(),rand(),rand()] } return data end def makeMesh(rects) xg=[] yg=[] rects.each do |xt,xb,yt,yb| xg<<xt<<xb yg<<yt<<xb end xg.sort! yg.sort! mesh=[] (xg.length-1).times do |x| (yg.length-1).times do |y| cx=(xg[x]+xg[x+1])/2 cy=(yg[y]+yg[y+1])/2 area=(xg[x+1]-xg[x])*(yg[y+1]-yg[y]) mesh<<[cx,cy,area] if area>0 end end return mesh end rects=makeRect(200) mesh=makeMesh(rects) area=0 mesh.each do |x,y,a| rects.each do |xt,xb,yt,yb| if xt<x&&x<xb&&yt<y&&y<yb area+=a break end end end puts area