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2008-12-05[n年前へ]
■希望と挫折の「やさぐれたメルヘン」
「私も安心だよと言って欲しい。私も大丈夫だよと言われたい。(けれど)それはもう自分でやらなければいけない事で、まだ子供の私はそれを誰かがしてくれるのを待ってばかりいた」
「あの頃の私の所にちょっとだけ行って、絶対信じないだろうけどあんたの人生、これからちょっとちょっと楽しいよって教えてあげたい」 この作品(西原理恵子の「上京ものがたり」)のテーマは、上に挙げた二つのモノローグに集約されている。
紀田伊輔 希望と挫折の「やさぐれたメルヘン」
'05.01.20 P.129
2008-12-10[n年前へ]
■技術と練習
演劇なんてのは技術で、技術系のものはなんでも、「やればやるだけ、うまくなる」のです。
逆に言えば、「やらなければ、下手になる」というもので、「こいつ、このセリフをまともに練習していないな」ということが手に取るようにわかるのです。
技術系のものはすべて、やったかやらなかったかが、びっくりするくらいわかるのです。
鴻上尚史 ドン・キホーテのピアス 695
2008-12-13[n年前へ]
■つながることへの信頼-加納朋子論
加納朋子のミステリとは、メッセージが届かないという<郵便的不安>に陥って、忘却に伴う孤独の淵に立つ人々に、発信されたメッセージは必ず届くのだというしっかりとした確信を与えることで、その精神を癒す物語だということができる
横井 司「つながることへの信頼-加納朋子論」
p.301 「虹の家のアリス (文春文庫)」
2008-12-18[n年前へ]
■「刺激的ニュースの寿命」
堀井憲一郎 「ホリイのずんずん調査」 671 「刺激的ニュースの寿命」
ゲリラ豪雨という単語がリアルに使われたのが8月以降であることがわかる。(その後)遡って過去の雨もゲリラ豪雨と名付けられたのだ。
歴史はうっすらとわかりやすいように塗り替えられていく。
秋葉原がトップニュースだったのは6日間。それから7日は地震報道がトップになった。
つまり、おれたちは、どんな大きなニュースでも、他人事であるかぎり一週間で消費してしまう、ということなのだ。
ニュースは情報だから頭の中で処理される。頭の中は7日間で飽きる、ということだ。そういう21世紀を生きている。
2008-12-19[n年前へ]
■クロスロード
新海誠 「手の届かない誰かを見ているあなたに」 asta 2009/1
「私はそこはかとなく悲しい」という主人公の独白から、濱野京子の小説『トーキョー・クロスロード (teens’best selections)』は始まる。
五反田、日暮里、神田、浜松町。栞と耕也は、デートとも探索ともつかぬ東京巡りをぎこちなく続ける。文章を追っているうちに、東京の色と音と匂いが鮮やかに蘇ってくる。そうだ、東京は確かにこういう街だった。そして、自分もかつてこのように誰かを好きになっていた、ということを続けて思い出すのだ。
東京で、もちろんそれ以外のあらゆる街で、そういう思いを抱えた人々がクロスロードを歩いている。だから街はこんなにも美しく見えるのだと、この小説は教えてくれる。