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2010-08-02[n年前へ]

30msの間に、コンピュータ内で行われる証券売買 

 あたかも、証券取引所を動かすコンピュータ内インサイダー情報を100%活用しているかのような「30msの間に行われる証券売買 高頻度トレード」の記事を読みました。

 米株式市場の多くは、大量の取引を行う市場参加者を優遇、手口情報などを他の参加者よりも100分の3秒ほど早く伝えている。ゴールドマンなどは、こうした情報を一瞬で分析できる高速コンピューターを取引所内部に設置し、自己勘定で有利な取引を行い巨額の利益を上げているという。
 GSのような大手は超高速コンピューターで、「100ドルの成行き買い」と「100ドルの売り板」があるのを察知すると、100 ドルの売りを全て買って、即座に105ドルで市場に売りに出します。
 個人投資家は本来100ドルで買えた株式を105ドルで買うことになります。

 以前、経済学者の小島寛之先生(「大学への数学」の執筆者としての小島寛之先生を覚えている人も多いかもしれませんね)に、「インサイダー取引」に関して聞いたときの言葉を思い出しました。

小島: あたかもインサイダー取引が”倫理的”に悪いかのように、世の中では言われていますが、株式市場っていうマーケットで倫理を持ち出すのは、経済学的にいえばヘンな話なんです。どうしてかというと、”カンニングをしている”インサイダー取引株取引者があり得ることを見越したうえで、「じゃあ、損をする可能性が高いそんな市場に参加して株を売り買いするのはやめよう」と、合理的に行動すればいいだけですから。
 ところが、そうすると株式市場というマーケットが成立しなくなってしまいます。つまり、必要なものを取引する場がなくなってしまって、社会として大きな損失になってしまうわけです。
Q:「経済学で”悪い”というのはどういうことですか?」
小島: ”社会的損失を生む”っていうことでしょう。
Q:「なるほど、経済学は”(社会の)損得”が基準なんですね。だから、社会的損失を生むインサイダー取引は”悪い”。そう考えると納得できるように思います」

理系サラリーマン 専門家11人に「経済学」を聞く!

 「今や全米の株式取引の60%以上がフラッシュオーダー(高頻度取引)といわれてますし、規制して損するのは米国民なわけですから規制に賛成する人は少ないでしょう」というスラッシュドットの一文を読み、奥村宏先生から聞いた「機関投資家が”みんな”の代理としてマネーを動かす時代」の話を思い出しました。

 社会的な損と得を天秤にかけながら、未来はどんな方向に舵(かじ)がとられて行くのでしょうか。



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