2009-11-16[n年前へ]
■「勝ち・負け」と「別視点」
「ユリイカ2009年10月号 特集=福本伸行 『アカギ』『カイジ』『最強伝説 黒沢』…賭けつづけるマンガ家 」が面白かった。西原理恵子特集の時も感じたが、本人が描くテキストとは別の第三者が解説する文章を読むと、色々な深読みの仕方・広がりというものが感じられて良いものだ。
たとえば、これは「勝ち負けと、その先」という副題がつけられた、大槻ケンヂと福本伸行の対談で福本伸行が語る言葉である。
福本:例えばヨーロッパの紳士たちがカジノをするんですけど、それはギャンブルで負けたときでもいかに平静にふるまえるかという鍛錬でもあるんですね。これはさらに言うと・・・死ぬための練習にもなるんです。つまりん、人間がいずれ生物として必ず死ぬように、カジノでは必ず負ける時がくる。
福本:ギャンブルである以上は勝ち負けというのがあるんだけど、でも、そうしたなかで「勝ち負けは大切」ということと、「勝たなければならない」というのに差異があることは自覚的でないといけないと思いますね。
福本:どんなに力をつくしても負けることってどうしてもあるわけで、そうして生まれた結果だけを見て批難するのは明確におかしい。この場合は、マンガ家本人の言葉・解説ではあるが、自分が描くマンガのベースに流れているものを自己解説・批評している文章であり、福本伸行のマンガを読んだ後にこういった文章を読むと、さらに二度三度と繰り返し読み返したくなる。
次の「未来は僕等の手の中」という題の川島章弘の文章だ。「THE BLUE HEARTS 」(ブルーハーツ)のバンド名そのままのファーストアルバムの冒頭一曲目「未来は僕等の手の中」を通じ、福本伸行のマンガを解説する。
「賭博黙示録カイジ」第一話冒頭、断ち切りで画面いっぱいに書かれた文字、「未来は僕らの手の中」。カイジの物語はここから始まる。
ブルーハーツは後に「↑THE HIGH-LOWS↓」に移行するが、カイジは作中でハイロウズのTシャツを着ている。福本がブルーハーツのファンであることは周知の事実である。
おもにブルーハーツでは、強さ弱さを兼ね備えている場合が多い。「カイジ」は読んでいるけれど、こう解説されてみると、それは初めて気付かされることばかりだ。
解説というものが好きだ。それは、過剰な深読みであることも多いし、解説者という翻訳者を通した「別物」であることもあるかもしれない。けれど、何らかの価値がプラスアルファされる限りにおいて、言い換えれば何らかの別視点・深みを感じさせてくれる限りにおいて、大元のテキストだけでなく、解説を読むことはとても楽しい。
未来は僕らの手の中
僕らは負けるために 生まれてきたわけじゃない
「未来は僕らの手の中」 真島昌利
2011-10-12[n年前へ]
■「アンダーグラウンド(地下)経済」日本地図を作ってみる!?
データ解析ソフトS-Plusを使いグラフを無料作成するというサービス「かんたんグラフ作成サービス」が立ち上がっていました。そこで、「地下経済規模」を各県毎に色分けしたグラフを作ってみました。それが、下に貼り付けたグラフです。
ここで言う「地下経済」は「日本の地下経済―脱税・賄賂・売春・麻薬 (講談社プラスアルファ新書)」による「申告漏れ所得(脱税所得)」と「暴力団・性産業・窃盗・違法賭博」における非合法所得分の経済活動額を合計した1991年度における(あくまで推定)額です。
こういったデータを眺めるときのコツは、「変な場所」「(周りと)違う場所」を見つけることです。「おや?何だか変だな」「これは単純には説明できないものが隠れているな」と感じるものがあれば「しめたもの」です。そこには、何か(これまで気づかなかった)新しいコトが潜んでいるからです。
今日作ってみた「「アンダーグラウンド(地下)経済」日本地図」を見て私が感じた「(周りと)違う場所」は、たとえばこんなことになります。
(山口組を抱える)兵庫県が低いなんて、アンダーグラウンドな(地下)世界では「県境」なんて関係ないせいやろか〜。
「広島」は「仁義なき戦い」産地だけあって、アンダーグラウンド経済が高いじゃけん〜。ちなみに、(周囲の県に比べて「地下経済指数」が低い)鹿児島県は「地下(アンダーグラウンド)経済」がない日向ばかりの世界かと思いきや、1998年度における推定量では、いきなり県別8位に上位入賞していたりします。…鹿児島県の躍進には(あくまで単なる推定量ですが)何か理由でもあるのでしょうか?