■絵馬
どこにもいないよ
京都の吉田山界隈の神社で撮影した写真だ。中央の絵馬には、
「どうかもう一度
二人で幸せに
なれますように」
と書いてある。ずいぶんと長い間悩んだ末に撮影したものである。
最近、欠かさず見ているWEBサイトがいくつかある。面白いとか、そういうことではない。読まずにはいられない何かがある。
そのいずれのサイトもが読み手を期待していない、あるいは、どこにもいない人に対して何かを伝えようとしているように感じる。それらの文章はWEBで公開されているのだから、そこで吐露されている文章はWEBを通過する全ての人の目に触れるはずだ。しかし、それらの人に向けて発せられたものではない。
それは、絵馬と同じだ。絵馬もまた通りかかる人全ての目に触れる。しかし、そこに書かれた「人の願い」もやはり人に向けて発せられたものではない。人に向けられていない、あるいは、どこにもいない人に伝えようとしたものだからこそ、なのだろう。
絵馬は日や風雨に晒された後に燃やされて消えていく。WEBサイトもそれは同じだ。消えていくものは一体何だろうか。残るものは何だろうか。