2012-07-23[n年前へ]
■「雹(ひょう)」を降らす雲は「入道雲」限定の理由
「雹(ひょう)」を降らす雲は「入道雲」限定の理由 を書きました。
もちろん、(直径5mm以上という)大きな「雹(ひょう)」を降らす雲が積乱雲、つまり入道雲とか雷雲と呼ばれる雲に限定されているのには理由(ワケ)があります。 入道雲のような強い上昇気流を伴う雲でなければ、直径5mm以上もの大きな「氷の塊」を作り出し、地上に降らすことができないのです。
2012-09-02[n年前へ]
■「入道雲が空高く届くためのエネルギー」はどこから来るか!?
夏の終わり、青い空に白い入道雲が立ち上り、色のコントラストがとても綺麗です。地表近くで暖められた空気が上昇気流を作り、ある程度の高度で雲を作り出して…といっても、どうして、あんなに空高くまで上昇していくことができるなんて不思議だ、とも思えます。
上空で入道雲が生まれると、その入道雲が生まれたことでさらに上昇気流を生み、その上昇気流がさらに雲を作り、その雲がさらに上昇気流を…という具合に、入道雲は「大きく育ち・成長する」運命を持っています。
上昇気流ができ・空気が上に上がっていくと、高度が上がるに連れ気圧が低くなるため、その空気は膨張するとともに温度が下がっていきます(100m上昇するごとに約1℃)。そして、空気の温度が下がり・空気の中に含まれていた水蒸気が水滴に変わる高度まで(もしも)辿り着くことができたなら、空気中の水蒸気が水滴に変わるにともなって熱が放出され、その水滴=雲を生み出した(水蒸気を含んでいた)空気を暖めます。
そんな、空気が雲が生み出しつつ上昇しているような状態では、高度が100m上がるごとの温度低下は0.5℃程度になりますが、その一方で周りの空気は高度100mごとに約0.65℃温度が低下していくので、相対的に、周囲の空気の高度に対して温度がどんどん高くなり、さらに上昇気流を生む、というわけです。
蒸し暑い中、空高く伸びる入道雲を眺めつつ、「地表近く、自分の周りを取りまく暑い湿気た空気が上昇していったとき、どの程度の高度まで届くことができるだろう?」と感じたので、それを非常に大雑把な計算で見積もってみることにしました。
まず、地表の温度が30℃で湿度50%だとして、周りより2℃ほど暖かい空気の塊が生まれ上昇していくことを考えます。計算を簡単にするために、空気塊に含まれている水蒸気が雲に変わるときに発生させる熱エネルギーを(いきなり地表で)空気に対して与えてしまうことにします。…すると、空気塊は30+2+30=62℃相当になります。そして、高度100m上昇するごとに1℃づつ断熱膨張で温度を低下させ、周囲の空気(100mごとに約0.5℃づつ温度が低下する)と温度が一致する高度を求めてみましょう(右図)。
すると、地表から高度にして9kmほどの上空で「入道雲」の温度と周りの空気の温度が一致することになります。つまり、気温30℃・湿度50%程度で、周りより2℃暖かいくらいの上昇気流は、(とても大雑把な見積もり方をすると)入道雲になって10km程度の高さまでモクモクと立ち上っていくことができそうだ、というわけです。
上昇気流が入道雲を生み、その入道雲が生まれることで上昇気流をさらに作り出す、雲を生み出す水分がある限りモクモクと上昇し続ける…入道雲のポジティブ・フィードバック・ループ・システムは安定からはかけ離れた限りなく不安定なシステムです。けれど、それも何だか「夏」らしくて気持ち良く思えます