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2015-08-16[n年前へ]

「天津の爆発事故」と「デルフトを描く3枚の絵」 

 中国 天津市で爆発事故が起きた。その映像を観て、オランダのデルフトを描く、あるいはデルフトで描かれた3枚の絵画の話を連想した。

 オランダのハーグにあるマウリッツハイス美術館というと、フェルメールが描いた「真珠の耳飾りの少女」が有名だ。その少女が飾られているフェルメールルームの反対側の壁には、フェルメールの「デルフトの眺望」が飾られている。薄暗い曇で陰った近景の先に、印象的な青空とその下で輝く街が広がる、印象的な一枚だ。

 この絵が描かれたのは1660年頃だが、その数年前の1654年10月12日、大規模な火薬爆発がデルフトの街で起きて、街のかなりの部分が失われた。爆発事故が起きたデルフトを描いた、エグバート・ファン・デル・プールの絵を眺めると、その悲惨さが感じられる。

 「デルフトの眺望」が描かれたのは、デルフトの街が爆発事故から復興する途中だ。そんなことも相まり、街を上から照らす青空と、眩しい光を反射する建物の壁が、とても美しく思えてしまう。

 フェルメールの絵が飾られている隣の部屋、Steen Roomには、外から光が差し込む2枚の窓の間で「小鳥」が一羽たたずんでいる。この小品を描いたカレル・ファブリティウスはデルフトの爆発事故で若くして亡くなった画家だ。

 窓辺にとまる小鳥を少し眺めた後で、もう一度「デルフトの眺望」を眺め直すと、遠景で輝く街の壁に、柔らかい光に照らされた「小鳥」がとまっているような気がしてきてしまう。

「天津の爆発事故」と「デルフトを描く3枚の絵」








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