hirax.net::Photohoの落とし穴::(1999.01.28)

Photohoの落とし穴 

ノイズフィルタに要注意

 Phtoshopは大変巨大なソフトである。巨大すぎてよくわからないところも多い。巨大な割にはマニュアルは薄い。性能の割には安いと思うのだが、もう少し詳しいマニュアルも作って欲しい。Adobe(アドビでなくて)からなら入手できるのだろうが。

 今回はPhotoshopの「ノイズフィルタ」について考えてみたい。 ノスタルジックにしたい時など重宝するフィルタである。

Photoshopの「ノイズフィルタ」
図.1
 上のようにメニューからノイズフィルタを選ぶと、次のようなダイアログが出る。
ノイズフィルタのダイアログ
図.2
 まずは、第一の疑問がわく。分布方法の「均等に分布」、「ガウス分布」とは何だろうか?まずは、それぞれのノイズ画像を見てみる。
 まず、「均等に分布」のノイズを見てみる。
「均等に分布」のノイズ
図.3
 次に、「ガウス分布」のノイズである。
「ガウス分布」のノイズ
図.4
 一見した印象はさほど変わらない。それでは、ヒストグラムを見てみる。
図.5: 左が「均等に分布」、右が「ガウス分布」
 これならば、「均等に分布」、「ガウス分布」の意味がわかりそうである。左が-均等-であり、右が-ガウス-分布-であるというのは実感できる。

 両方とも、「ノイズの量」を55にしてある。左上の「均等に分布」の画像を見ると200から255までの間にノイズが-均等に分布-していることがわかる。ということは255 から ( 255-「ノイズの量」 ) までのレベルにノイズが-均等に-分布していることがわかる。ただし、「ノイズの量」の最大値は999であるから、さらに、何らかの処理が加えられているのだろう。
 同じように、「ガウス分布」の方もガウス分布の分散、中心値、ノイズ量を「ノイズの量」の数値に従い適当に導いているのだろう。大雑把にはわかった。

 今回は濃度の分布に対する考察はここまでにしておく。次は位置分布である。今回のメインはこちらである。
 まずは、下の図.3の拡大図を見て欲しい。

「均等に分布」のノイズ画像の部分拡大図
図.6
 妙に周期性が感じられないだろうか? 少なくとも私は感じる。これは気のせいなどではない、と思う。それは「ガウス分布」で同様である。
そこで、Photoshopのノイズフィルタの位置分布に何らかの周期性があるのかどうかを調べてみたい。

そこで、それぞれのノイズ画像をフーリエ変換し周波数領域に変換する。
左が「均等に分布」のノイズ、右が「ガウス分布」の周波数領域
「均等に分布」
「ガウス分布」

 すると、縦線が見える。つまり、どちらも横方向に周期性があることがわかる。またそれよりレベルは小さいが縦方向にも周期性がある。それぞれの分布で周期性は異なっている。
 横方向で一番レベルが大きいものは周期128ピクセルである。これはどちらの分布に関しても言えそうである。128とはいかにも納得できる数字である。
 縦方向は85ピクセル位か?100位のもあるな? いずれ、より詳しい解析を行ってみたい。

 さて、以前PhotoShopの乱数Pluginを作ろう。----FilterFactory編---(1999.01.08)で作成したプラグインはこんな周期性を持っていないことを保証しておく。以下がその証拠である。

JRnd2Redで作成したノイズ画像とそのフーリエ変換
 こちらには、周期性はないのがわかると思う。

 今回の結論:Photoshopのノイズフィルタには要注意である。
 今回の教訓:何はともあれ疑ってかかれ。

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