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2009-04-05[n年前へ]

光源氏が語る「物語・小説」 

 「源氏物語 」より(リンク先は瀬戸内寂聴 訳)。

 善いこと、悪いことを目撃した人が、見ても見飽かぬ美しいことや、一人が聞いているだけでは憎み足りないことを後世に伝えたいと、ある場合、場合のことを一人でだけ思っていられなくなって小説というものが書き始められたのだろう。よいことを言おうとすればあくまで誇張してよいことずくめのことを書くし、また一方を引き立てるためには一方のことを極端に悪いことずくめに書く。全然架空のことではなくて、人間のだれにもある美点と欠点が盛られているものが小説であると見ればよいかもしれない。

與謝野晶子訳 「源氏物語」 二十五帖 蛍



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