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2011-04-27[n年前へ]

「手にしたもの」と「指一本触ったことがないもの」 

 こんな言葉を眺めました。

 手に入っても好きなものが、本当に好きなものだと思います。
 この言葉を読んだ直後、久世光彦が向田邦子を思い出しながら綴った言葉を思い出しました。それは、言葉自体が指すことは異なるようでいて、けれど、なぜかどこか似ているような言葉です。
 もし、あなたのまわりに、長いこと親しくしているくせに、指一本触ったことがない人がいたら、その人を大切にしなさい。

久世光彦 「触れもせで―向田邦子との二十年

 似ているけれど違うような言葉で表現されたこれらふたつの「対象」、「手に入っても好きなもの」と「長いこと親しくしているくせに、指一本触ったことがない人」というふたつのものは、実は(何らかの親戚のように)似た存在ではないかと、ふと考えたりもします。

 「手に入っても好きなもの」「長いこと親しくしているくせに、指一本触ったことがない相手」…いずれも長く続く対象です。それは、確かに大切な存在なのだろうと感じます。「手に入った好きなもの」「長いこと親しくしているくせに、指一本触ったことがない人」…そんなかげがいのないものたちを、あなたはどんな塩梅で心の中に抱えていることでしょう。

 あなたの好きなもの、は一体どんな存在でしょうか?



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