2009-02-06[n年前へ]
■「旅/旅行」と「性/性交」
酒井順子「入れたり出したり (角川文庫) 」を読み、目から鱗が落ちるように感じた数節の続き。
「旅」と「旅行」。この二つの単語の関係は、「性」と「性交」の関係と似ているような気がします。
私たちが持つ「旅」に対する思いも「性」に対する思いも、人間本来の根源的欲求というか、消し得ない魂というか、その手のものでありましょう。・・・その精神には何ら濁りがないからこそ、「旅」も「性」も、単体で見ると崇高な感じすら漂わせる文字なのです。
しかしそれに「行」なり「交」なりといった文字をつけて、具体的な行動を示す単語になると、印象は変わります。「旅」と「性」に比べると「旅行」も「性交」も・・・精神がいくら崇高でも、実際の行動はえてして精神通りにはならないのですよ、ということを「行」や「交」の文字は示すのです。
一人でする旅行為は「一人旅」と言い、「一人旅行」とは言いません。対して複数人数で旅行為は、「団体旅」とか「修学旅」とか「新婚旅」とは言わないように、「旅」ではなくて「旅行」になる。同じように、性交は一人で行うものではなく、二人もしくはそれ以上が関わる行為に対して使用される言葉なのです。
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