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2010-01-21[n年前へ]

消えた、「財布」と「夢」と「景色」 

 落語「芝浜」へのコメントから。

 人類は夢を見ることで、想像力を掻きたてられ、時には妄想と非難されながらも夢を追い続け、実現を試みてきた。また手近なところでは夢の実現のために宝くじやギャンブルで「夢を買う」行動をとることがある。予期せぬ金を手にしたとき何に使うか、金額の多寡により現実的な使途からはじまり、生活費の足しにする、頭金にする、焦げついた借金を返済する、海外旅行に行く、働かずに余生を過ごす、出来なかったことを試みる、新たに人生をやり直す等々を考え、使途や想像が現実とかけ離れていればいるほど「夢」は広がり、心地よい。しかし、いつか目覚めてしまうのが「夢」である。

 鉄道好き・古地図好きの人には、「芝浜は現在の東京都港区東部の田町駅の JR線路沿い(浜松町側)である。元々、新橋-横浜の鉄道は海岸線沿いに堤防を作り、その上を線路としたものである。芝浜の近辺に限ると、線路の内陸側にも海が残り、その上を跨ぐように線路が橋のようにして作られていた。三代目三木助が現役で芝浜を演じはじめているころは、浜や海岸線の痕跡がまだあったが、東京オリンピック以降、埋め立てが加速度的に進み、痕跡が完全に消えた」という一節も、芝浜に描かれた景色とともに読むと、味わい深い。



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