hirax.net::inside out::2010年01月21日

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2010-01-21[n年前へ]

手書きの「ピタゴラ・シミュレータ」  (初出:2006年01月15日) 

 コンピュータの液晶画面上を直接ペンで操作する「タブレットPC」は、とても直感的に使うことができます。例えば、アイコンをクリックしたければ、「そのアイコンをペンで触るだけ」です。もちろん、ウィンドーを動かしたければ、「そのウィンドーのタイトルバーをペンで触れ(つかみ)、そしてそのままペンを動かすだけ」です。そうすれば、ペン先にくっついたウィンドーが動くわけです。コンピュータ画面の中のさまざまな「モノ」を、まるで現実にあるもののように手(に持ったペン先)で操作することができます。

 そんな風に、直感的に使うことができるタブレットPCならではのソフトウェアが「Physics Illustrator for Tablet PC」です。これは、ラクガキをすると、その描いたラクガキで「物理シミュレーション」をすることができるソフトウェアで、マイクロソフト・リサーチ(Microsoft Research)が公開しているものです(ちなみに、この Physics Illustrator for Tablet PC のソースコードは Microsoft Research のサイトで公開されています)。このソフトウェアがどういったものであるかは、研究紹介ページやデモンストレーション動画(WMVフォーマット 20MB)などを眺めてみれば、きっとわかると思います。ペンで「○」を描けば、それは自動的に「球(正確には円柱ですね)」に変身し、そして転がしたりすることができます。もちろん、壁を描いたりすることもできます。そして、バネを描いて、「壁」と「球」をバネでくっつけたりすることもできるのです。壁や球や全てのものに重力を与えたり、摩擦力や弾性を設定したり…などと色々遊ぶことができるのです。しかも、それが全部ラクガキで簡単にできるわけです。

 ちなみに、右上の画像はそんなラクガキ物理シミュレーションの実効例です。「ピタゴラスイッチ」のカラクリ仕掛け「ピタゴラそうち」のようなものをラクガキで作ったサンプル・ファイルです。こういったラクガキ・シミュレーションで遊んでいるうちに、「車が凍結の坂道を登ることは難しいこと」や「四輪駆動の自動車が二輪駆動の自動車より上り坂に強いこと」などを直感的に理解することができるのです。実に楽しく、素晴らしいソフトウェアです。

 このPhysics Illustrator for Tablet PCのインストーラは、残念ながらTablet PC上でしか動きません。ですから、Microsoftのサイトからダウンロードしてきても、Tablet PCユーザ以外はPhysics Illustrator for Tablet PCのインストールはできないのです…。しかし、実は"Physics Illustrator for Tablet PC"のアプリケーション自体は、通常のWindows XP上でも動作するのです…。ですから、もしもアプリケーション(及び付属ファイル)を探し出し、そしてダウンロードしてくることができれば(補足:リンク先にあるフォルダ内のファイルを全部コピーし、このインストールメモを参考にして下さい)、Tablet PC ユーザでなくても色々遊んでみることができるかもしれません(それに、ソースも公開されているわけですから、他OSだって何とかできるわけですし…)。というわけで、このソフトをもしもいじることができた人がいたならば、きっととても楽しめるだろう、と思います。