2011-05-01[n年前へ]
■「誤解させるための立体グラフ」の作り方!?
グラフを眺める人を誤解させる、値を勘違いさせることを目的とした、”悪い”立体棒グラフを作ってみました。「○×電力と△□電力の一月あたりの電気料金を比較する」と題したグラフです。グラフを作ることだけが目的ですから、データ自体にはまったく意味はありません
「一月あたりの電気料金を比べてみると、△□電力は○×電力の2倍(前者が1万円で後者が2万円)」なのですが、その「2倍」の違いが「3〜5倍程度」に感じられます。それはもちろん、このグラフが「電球の高さ」を用いて電気料金を表現しているのに、その高さに応じて電球の幅まで変えているからです。
電球の高さで2倍の違いが、電球の面積では4倍の広さの違いになり、もしも電球の立体感まで忠実に感じてしまったなら8倍もの大きさの違いに感じられてしまう…というわけです。
ただし、感覚というのは対数的に働くでしょうし、それと同時にグラフの軸を眺め・判断をすることもありますから、実際には「8倍」というほどの違いは感じないように思います。だから、大雑把に見て「3〜5倍程度の違いに感じてしまう」という辺りになるわけです。
下のグラフは、上の棒グラフをさらに「三次元空間内の物体」として認識させやすくしてみたものです。もともとのグラフが、棒グラフを3次元物体と感じさせることで「誤解」をさせることが目的のグラフでしたから、これはつまり「さらに誤解しやすくさせたグラフ」です。
遠近感(パース)も利用して誤解させることを目的としたこのグラフ、「感覚的に」眺めたとしたら「△□電力は○×電力の電気料金はどの程度の違い」として感じられるでしょうか?
2011-05-03[n年前へ]
■Thinkpad X120eにSnow Leopardを載せてみたい!?
お値段399ドルというThinkPad X120eを買い、モバイル用のOSXマシンにしたくてたまりません。
ThinkPad X120eというのは、こんなスペックのB5ファイルサイズのノートPCです。
- CPU:E-350 1.6GHz
- グラフィック:RadeonHD6310
- RAM:最大8GB
- 11.6型ディスプレイ:1366x768ピクセル
- 重量:約1.3kg
- 2.5インチHDD:160GB/320GB
- トラックポイント付きキーボード
値段が399ドル〜と安いので、トータルハードディスクを2.5インチの256GB SSDに載せ替えたり、RAMは最大の8GBまで増設して…というようなことをしても、10万円以下に納めることもできそうな気がします。
といっても、Thinkpad X120eは日本では(ラインナップの都合上)販売されていません。だから、輸入代理店を通して買ってみたり(41280円)、あるいは、ThinkPad X120eを買うのはあきらめて(その前の機種である)ThinkPad X100eを買う…といった選択をすることになりそうです。
ThinkPadといえば、かつての日本アイ・ビーエム大和事業所を思い出します。日本アイ・ビーエム大和事業所とアップルが組んで作ったPowerBook 2400cを思い出します。そんな組み合わせのモバイルPCを仕立ててみたくなります。
2011-05-04[n年前へ]
■鉄分100%「鉄っちゃん」のための「放射線講座」
私たちの身の回りにの世界はすべて元素が作っている…と書けば、「もしかして 放射性元素」とGoogleが推測してしまうような今日この頃です。けれど、身の回りにいる人たちの中に一番満ちあふれている元素がフェライト、つまり「鉄分」です。もっと端的に言えば、過剰に「鉄道が好き」という奇妙な衝動を抱える人たちの、血液の中に流れている「鉄」という名の元素です。
「未来の科学者との対話—第1回神奈川大学全国高校生理科・科学論文大賞受賞作品集 」の中に収録されている、二松学舎大学附属高等学校 理数科研究部の「身近な放射線計測ー種々の乗物内での放射線−」という論文を読みました。これは、(財)放射線計測協会が貸し出している簡易型放射線計測器「はかるくん」を使い、さまざまな状況下での放射線量を計測した結果を、高校生たちが報告する論文です。
私達は毎日、自然の放射線を浴びながら生活している。それら自然放射線による被曝量は、1時間あたり合計で約0.27μSvである。…今回は主に飛行機内、新幹線電車内および船内における放射線量を計測した。さらに、本校の研究紀要第一集ですでに報告した東京近郊の地上電車内、バス車内および地下鉄電車内での計測結果を含めて、いろいろな乗物内における放射線量を比較した。
下のグラフは、彼らが修学旅行や一泊の京都旅行をする中で「はかるくん」を使い、東海道新幹線「東京駅から京都駅まで」の区間で測った放射線量です。
明らかなトレンド(傾向)もあれば、局所的に放射線量が強い場所もあります。その放射線量の強い場所を生み出す原因は、…ひとたび「どの辺りで放射線量が強くなった」ということを眺めれば、「鉄分の高い人」ならすぐに見極めることができるはずです。
たとえば、箱根を過ぎる辺りから(つまり静岡県に入ったあたりから)何回か放射線量が強い辺りがある…というデータを眺めれば、血液に(鉄道大好きの)鉄分が流れている人ならばきっとわかるはずです。
東海道新幹線に乗ると、名古屋から大垣を過ぎ関ヶ原に入る辺りから放射線量が増えます。そして、その放射線量とは独立に、(場所路見れば鉄っちゃんならわかるはずの)長いトンネルがある辺りではさらに強い放射線が乗客に向かって降り注ぎます。
京都周辺の放射線量は東京周辺の2倍であった。…一般に花崗岩中のカリウム40・ウラン238・トリウム232の含有量は、他の岩石に比べてかなり多いことが知られている。関西地方では関東地方にくらべて花崗岩質が多いため、その土壌や岩石からの放射線が強いものと考えられる。また、トンネル内では岩石で囲まれた状態であるため、岩石中の放射性物質からの放射線の影響を強く受けるものと考えられる。
私たちが暮らす世界には、色んな元素があふれています。その中には、もちろん放射性元素もあるわけです。高校生たちが計測器を手にして調べた「乗り物放射線比較」…血液にフェライトが流れている人であれば、必ず面白く楽しむことができると思います。
そして、世界を形作るものが「元素」なら、この本に登場する学生たちは、みな明日を作る原石です。未来を切り開いていく鉄分100%「鉄っちゃん」たちが計った放射線量を眺めた時、あなたはどんなことを考えますか?
*今回の話は「「加速度センサ」で「人に迷惑な電車男」::(2005.07.19)」と一緒に眺めるのが、鉄っちゃん的に良いかと思います。
2011-05-05[n年前へ]
■「30秒間で眺める東京・京都間の車窓」と「放射線量グラフ」
東京と京都間を新幹線で移動する際の「放射線量」を、二松学舎大学附属高等学校 理数科研究部が簡易型放射線計測器「はかるくん」を使って計測した結果を鉄分100%「鉄っちゃん」のための「放射線講座」で紹介しました。
京都周辺の放射線量は東京周辺の2倍であった。…一般に花崗岩中のカリウム40・ウラン238・トリウム232の含有量は、他の岩石に比べてかなり多いことが知られている。関西地方では関東地方にくらべて花崗岩質が多いため、その土壌や岩石からの放射線が強いものと考えられる。また、トンネル内では岩石で囲まれた状態であるため、岩石中の放射性物質からの放射線の影響を強く受けるものと考えられる。
血液中に鉄分溢れる…つまりは鉄道大好きな「鉄っちゃん」ならば、「新幹線電車内での放射線量の変化(東京-京都)」というグラフを一目眺めれば、グラフの各箇所がどの辺りであるかがわかるだろうと思います。たとえば、東京駅側(グラフの左側)から行くと、最初の放射線量の多い辺りが小田原から三島までの長いトンネルが続く辺りだとか、その次の放射線量ピークが蒲原から由比…とトンネルが続く辺りだろう…とか、そして京都駅前の最後の放射線量ピークは、琵琶湖横からトンネルに入り山科から東山に抜ける最後のトンネル辺りだろう…と車窓を思い出しつつ考えるのではないでしょうか。
しかし、奇妙なことに、血液中の鉄分が足りない人も世の中にはいます。フェライトが足りず、東海道新幹線の車窓を思い浮かべたりはしない、という人も不思議なことにいるのです。
そこで、下に東海道新幹線の車窓を微速度撮影した動画を貼り付けてみました。これは東海道新幹線の「上り」の車窓を撮影したものです。14秒辺りが京都駅になります。それから東京駅までの車窓を「30秒ほど」で眺めることができます。この東海道新幹線からの車窓を眺めれば、高校生たちが計測した「新幹線電車内での放射線量の変化(東京-京都)」をより実感できるのではないか、と思います(たとえば、動画で37秒あたりが小田原と三島の間のトンネル群ですね)。
ところで、彼らの論文は第一回神奈川大学 全国高校生理科・科学論文大賞で 努力賞をとった論文群の一部です。校舎内や通学路で放射線量を計ったり、「甲子園までの道」や「ありとあらゆる旅先」で計測をし続けたり、あるいはJCO周辺で計ったり…ということをずっとし続けていたようです。
1999年9月30日、東海村で臨界事故が起こり、地域への放射能汚染の映像が生々しく報道された。そのとき私は中学3年生で… 在学しての3年間、修学旅行の新幹線内を含め至るところで放射線測定をした。…
石原利臣さんの「受賞のコメント」から。
「はかるくん」を手にする高校生たちは、きっと今でも色々なものを計っているのだろう、と思います。新緑を目にするこの季節、高校生たちは、どんな場所でどんなものに「はかるくん」を向けているのだろう?と考えます。
*今回の話は「「加速度センサ」で「人に迷惑な電車男」::(2005.07.19)」と一緒に眺めるのが、鉄っちゃん的に良いかと思います。
2011-05-06[n年前へ]
■どこに不具合があるかが明記してある「ジャンク」は素晴らしい!?
最初に手に入れた「ウォークマン」は、1000円程度で秋葉原ロケットで買いました。当時、秋葉原ワシントンホテルの前にあったロケットの「ジャンクコーナー」で、「駆動系動きません」といった張り紙がされているアイワのウォークマン(SONYではないので本当はウォークマンとは言えないのですが)を中学1年生のお小遣いを全部投入して買ったのです。
アイワのウォークマン(モドキ)ジャンクの中身を開けてみれば、駆動モーターに回されているゴムが外れているだけでした。だから、ゴムを張り直すだけできちんと動くようになり、ラジカセで夜のラジオをカセットテープに録音し、何やら難しい言葉ばかり流れる中学の授業時間中、ヘッドホンから流れるステレオの世界に浸ってみたりした記憶があります。
生まれつきビンボー生活が染みついているので、つまり「欲望」と「財布の中身」が釣り合わない日常ばかりだったので、よく「ジャンク品」に手を出します。上手くジャンク品を動かすことができ満足感にひたることもあれば、…どうしても動かすことができなくて悔し涙を流すこともあります。
「駆動系動きません」という張り紙がされた(欠陥)商品も、その正直な張り紙がある限りは、私は満足できるような気がします。もちろん、そういった商品の存在を認めることができない人もいるだろうと思います。
「情報」「リスク」「選択」「安心」…そういったものをどのように手に入れたいかということは、きっと人によって違うものなのでしょう。
「絶対安全なカミソリ」がないのと同じく、(値段という名の欠点も含めれば)どんな商品にも欠点があるはずです。…だから、メリットと欠点(という名のリスク)と値段を天秤にかけつつ、貴重なものをどこに掛けるかを考えなければいけないのだろうと思います。
不思議なことに、「問題点や欠点」を説明することをよしとしない考え方もあるようです。最近、そんな説明をよく聞くような気もします。問題点や欠点を示すことは、売り手や買い手に余計な動揺を与える、という考え方もあるようです。
郊外に行けば(問題点や欠点を商品に貼った)「アウトレット店」が大人気なようです。それは、説明書がないけれど絶対安全だと言われている高い機械よりも、「駆動系動きません」といった張り紙がされているアイワのウォークマン(ジャンク)の方を選ぶベクトルに似ています。
その一方で、問題点や欠点があたかも宇宙に存在し得ない反物質のように捉える「空気」もあるように感じられます。…そんな空気が、一体どこから流れてきているのだろう?とずっと考えています。
2011-05-07[n年前へ]
■「NHKオンデマンド記事(噂記事)への報告」を要約してみる
Fast&First掲示板で「NHKオンデマンドの番組に関する”ウワサ”」を眺めてからしばらくして、そのウワサを「事実」として記事にした電子版DAYS DAYS INTERNATIONALに「NHKオンデマンドについてご報告(5月5日)」というエントリーが書かれていました。
その広河隆一氏による記事内容がわかりにくかったので、書かれている内容を自分なりに整理し・メモしてみました。それが下のスライドです。スライドの左半分が元記事で、右半分が私が記入したメモになります。
記事の要約作業中に感じたことは、「事実」に比べて「伝聞情報」「感覚」「意見」が多いということでした。それらが霜降り肉のように境界なく混じり合っていることが、記事の内容をわかりにくくしているように思われます。
私たちには、「自分が信じたくなること」を「事実」という箱にそのまま入れてしまいたくなるバイアスがあります。そのバイアスを意識しないなら、「ウワサ」と「事実」を識別することは困難になるだろうと思います。それは、貴重な「積み重ねうること」を軽視する”モッタイナイ”姿勢に思われます。
2011-05-10[n年前へ]
■十数年の「日記」の「ラクガキ」
日本のインターネットにおいて、ある時期の日記サイトを支えた「さるさる日記」が終了する、というアナウンスを読みました。「日記猿人」や「ReadMe!」が終わったのは、一体何年前だったろうか…?と感慨深く思い出します。
このサイトも、エディタで生HTMLを書き、HNS(ハイパー日記システム)で」日記を書き、それらをSQLのテーブルにインポートし、右往左往していつつ12年くらい経ちました。
二十世紀が終わる頃からの、5月10日を眺めてみれば、色んなラクガキが残っているようです。…今日は、そんな十数年間のラクガキを少しばかり書き写してみました。
私が文系男性だったなら、「ワケのわからない理系世界」を楽しそうに語る(科学に詳しい)女性との「科学館デート」はとても楽しそうに思えます。「ワケがわからないけれど、何だか不思議で楽しそうだなぁ」と相手を眺めることがなんだか楽しそうで、幸せに思えます。…もちろん、「科学に詳しい女性」からすれば「ただコクコク頷くだけの聞き手」はツマラナイ(夫としてはともかく)かもしれないですけれど…。
科学館でデート
皆様は、日記に書けないことが一体いくつありますか。【虚空に向かっておれカネゴン】
「日記には書けないけれども」
本当の力は、結構地道な努力によって作られる。( 山口英)
「新たな道を歩き始める人へ」
オープンソースマガジンのハッカー養成塾を買った。川合史朗さんが書かれた「パワーハッカーへの道」を読んで、「そうか!(私の勝手なイメージにおける)ポール・グレアムの口調は川合史朗さんの口調だったのか!」と今更ながらに気づきました。
私の中のレイモンド・カーバーは、村上春樹と同じ文体なのですが(この場合は順序が逆でしょうか?)、ポール・グレアムもそれと似たパターンであることに、ようやく気づきました。
「グレアム口調」と「リリースする」
悩みは可能性だ。若い人は悩む。でも、「自分はこれからだ」と思っているおとなは、もっと悩む。「自分はこれからがおもしろい」と想っている、すべての人に本書を捧げる。(山田ズーニー )
「足を進めるには悩む。けれど、そうすることができる力があなたにはある」と力をこめて伝えるこの本は、時折読み直してみるのにとてもいい。
可能性は悩みで、悩みは可能性だ。
Delphi(Object Pascal)を久しぶり(10年振りくらい)に触りました。何だか、時の流れを感じます。その時間が(自分自身にとって)長いのか一瞬に過ぎないのかは、まだよくわかりません。
参考までに書けば、Delphiという名前は、(今はDelphiと名付けれたプロダクトが)そもそもデータベースソフト Oracleと接続するために作られたことによります。つまり、ギリシャのアポロン神殿で得られる神託(Oracle)=「デルファイ"Delphi"の神託」に由来しています。そんな、個人を離れた悠久の人類の歴史から見れば、10年はまさに刹那なのだろう、と思います。
蛇足をさらに書けば、「刹那」は現在では10のマイナス18乗(100京分の1)を示す言葉です。
山本式Virtual Sound System ソフトウェア(デバッグ版)を作る
2011-05-13[n年前へ]
■ネオジム磁石を片手に「静磁気」で物体検出をしてみる!?
iPadやiPhoneから特定物体がどの方向にあるかを検知したいと考えました。まず思いつくのは液晶側に配置されたカメラ画像で(対象物体に適当な色マーカーを取り付けたり顔検出などで)物体の検出を行って、カメラ座標から空間座標に変換するという方法です。…けれど、この方法ではカメラが搭載されていない初代iPadでは実現できないという問題や、計算量が多いというデメリットがあります。
そこで、次はこんなアイデアを思いつきました。まずは、検出したい物体に磁石を貼り付けます。そして、iPadやiPhoneに搭載された「方向検知のための磁気センサー」の値を頼りに磁石ならぬ検出対象物体の方向を見つけ出す、というわけです。(発想の手順は「計算量削減のために検出物体にカラーマーカを取り付ける?→それなら可視光という名前の電磁波でなく静磁界的に強力磁石で代用してもいいかもよ?、という流れです)
さっそくガラクタ箱をあさり、強力極まりないネオジム磁石を見つけ出し、開発用のiPhone4の周りで色々な方向から近づけ・遠ざけ、実験にいそしんでみました(ソースはここに置いておきます)。実験をしながら、ふと6年ほど前のことを思い出しました。
6年前の今頃、デバイスを持つユーザの位置を検出するために、Thinkpadに搭載された(ハードディスク保護のための)加速度センサをハックするアプリケーションを書き、Thinkpadをひたすらシェイク(揺らしまくり)しつつデバッグ/テストをしていました。ハードディスク保護設定をアクティブにしてしまうと、シェイク(揺ら)している時にハードディスクにアクセスできなくなってしまうので、ハードディスク保護のオプションを切り、そんなテストを続けていた結果、…私のThinkpadのハードディスクは不良セクタだらけになりました。
iPhone4に強力一番ネオジム磁石をこすりつけ・テストデータを取りながら、不良セクタだらけになったThinkpadを思いだし、「このiPhoneは壊れないと良いな。壊れないでいて欲しいな。お願いだから、壊れないでね」と願いつつ半泣き状態でテストを行っています。(以前、同じように願いながらテストを行ったThinkpadのハードディスクは不良セクタだらけになったわけですが…)
「下らないアイデア」は「軽く笑いながら」「賢く上手くやり抜く」ものだと奥田民生の歌から教えられました。…けれど、愚かに・泣き笑い状態で実験することが多い自分を振り返ると、頭を抱えたくなります。…その一方で、「崇高な考え」を遂行している気になるよりは「下らないアイデア」を実現している方がずっといい、と思ったりもするのです。
2011-05-14[n年前へ]
■個性溢れる(密かにやってる)「バストアップ」テクニック
ワコールの「からだと下着に関する 1 万人白書」 日本女性の “見過ごせない下着選び” と“バストケア” ~日本人女性 1 万人を対象とした大規模調査から見えてきた実態~の中にある、「バストの形を維持するために実践したバストケア」に対する「その他 自由回答例」が楽しめます。それは、たとえばこんな具合です。
- 逆立ちする
- ジャンプする
- 昆虫採集や川遊びで網を振る
- 口を閉じてイーとする
一番目の「逆立ちをする」は「重力がバストの形を変えてしまうなら、体に対して重力を逆さに働かせてやれば良い」という考え方でしょうか。2番目の「ジャンプする」という答も上向きの強力な力を与えてやろうという、同じような考え方をして生まれたアイデアかもしれません。
…もしも、そういう考え方をするのであれば、無重力状態に近くするのが一番良くて、ジャンプしたり逆立ちしたりしてしまうと、余計に垂乳根の母になってしまいそうにも思えます。
「昆虫採集や川遊びで網を振る」というのも、具体的で楽しめます。この考え方のベースにあるのは、網を振ることで胸筋を鍛えることでバストアップしよう、というアプローチでしょうか…。網を振る女性の心の中をのぞいてみれば、実は「バストアップ!」という吹き出しが浮かんでいたりするのかもしれません(笑)。
「口を閉じてイーとする」…これは、本当にわかりません。これは、何かの黒魔術なのでしょうか?口を閉じてイーとすると一体何が起きるのか…ご存じの方がいらっしゃいましたら、ぜひとも教えて頂けないでしょうか?
2011-05-15[n年前へ]
■あなたは「どこまで」なら「ノーブラ」でOKですか!?
「からだと下着に関する 1 万人白書」 日本女性の “見過ごせない下着選び” と“バストケア” ~日本人女性 1 万人を対象とした大規模調査から見えてきた実態~を読んでいると、こんな質問とそれに対するアンケート結果が書いてありました。
ブラジャーを着用せずにどこまで出かけることができるかどうかを質問したところ、距離に差はあるものの、全体の 27.0%の女性が「ノーブラで外出が可能」と回答しました。また、普段着用しているブラジャーのカップサイズ別に意識を比較してみたところ、AA&A カップの人の割合が一番高いものの、E、F カップ以上の人でも 20%以上がノーブラで外出が可能と回答しており、バストの大小で大きな差は見られませんでした
そのアンケート結果を示すグラフが実感じづらかったので、作り直してみたグラフが下に貼り付けたものです。横軸はカップの大きさで、向かって左が微乳さん(Aカップ以下)で右が巨乳さん(Fカップ以上)になります。
2011-05-16[n年前へ]
■エクセルでコンター図を作るなら「条件付き書式」を使うべし!?
わかりやすく綺麗なグラフを作ろうと思うと、エクセルのグラフ配色には誰しも悩まされます。だからこそ、Excel 2010のチャートを綺麗な色で仕上げるためのアプリケーションを作ってみたり、エクセル2003のグラフをわかりやすくするためのアプリケーションを組んでみたりするわけです。
エクセルで「2次元のコンター図(密度図)」を描こうとするならば、グラフを使って配色指定に苦労するよりも、セル自体を「条件付き書式」で色づかせる方が楽であるように思います。「条件付き書式」というのは、セルの値に応じてセル配色(など)を変化させる機能です。それはたとえば、「最小値はこんな色、真ん中辺りの値はこんな色、そして最大値はこんな色」というようにして配色などを指定できる機能です。
下の図は Excel Mac2011で非定常2次元熱伝導計算をするセルを「条件付き書式」で色づけたもの(左側)とそのセルをコンター図にしてみたもの(右側)です。どちらがわかりやすいか…は言うまでもないでしょう。
こういった(左上図のような)セル配色による疑似グラフは、「条件付き書式」を使えば一瞬で作ることができます。こうしたグラフでは、横軸・縦軸はキャプション無しでも理解できるのが普通だったりしますから、グラフの横軸・縦軸描画機能は不要だったりすることも多いように思います。
二次元的に配置されたセルを直感的に操作できるのがVisiCalcで始まるスプレッドシートの特徴であるならば、こうした機能こそが未来のスプレッドシートを形作っていくような気がします。
2011-05-17[n年前へ]
■「植え込みの照明灯近く」には綺麗な花が咲いている!?
ツツジが咲き始める季節です。咲き始め…ということは、ツツジが咲いて赤紫色に見える場所とまだ咲いておらず緑色に沈んでいる場所が斑(まだら)模様になっています。そんな赤紫と緑色の斑点を指されながら「この季節ツツジが咲いている場所には、照明灯があるんですよ」と教えてもらいました。
その指先にあるツツジの植え込みを眺めてみれば、赤紫色の花が密集している場所の中央には、確かに照明灯がいることに気づかされます。つまり、埋め込みを照らす灯が、日照時間から開花する季節を知るツツジの開花時期を決めて、街中の植え込みを彩っているのです。
都会にある植え込みには、ツツジが植えられていることも多いように思います(たとえば、上に貼り付けた写真は今日眺めた”マンション前の植え込みの写真”です。照明灯のある場所だけツツジが咲いていることがわかることと思います)。もしも、早く咲くツツジを見たときには、その周りを眺めてみると、生命のメカニズムを実感することができるかもしれません。植え込みの照明灯近くには、きっと綺麗に花が咲いているはずです。そして、そんな因果関係で動かされる世界に気づくのです。
2011-05-21[n年前へ]
■面白い企画が詰まった「恋と童貞 2号」
再開された六角橋商店街の闇市に遊びに行ってみると、手作り感満載のミニコミ誌を並べ売っている人たちがいました。そこで何冊か買った内の一冊が、その名も「恋と童貞 2号」というもので、たとえば、自分の中の理想の乙女像を互いにプレゼンし合う(そしてツッコミあう)「超バトルロイヤル 俺の乙女選手権」や、夢の座談会「決戦!! 我らが夢の おっぱいVSおしり」、あるいは、ヘテロやホモや色んな相互関係を数式モデル化し議論する論文「童貞喪失機会問題に関する試論」といった話が詰まっていて、とても楽しめる一冊でした。
「童貞喪失機会問題に関する試論」の内容を私の解釈で書いてみると、「(人の)魅力」が次のような式で書けるとして、
「魅力」=「伝達力」×「出会う人の数」+「見た目・財力など」
その「伝達力」を「本人が決めるもの」「周囲が決めるもの」という2種に分けてみれば、それらの値域次第で「童貞喪失機会」の確率が決まることがわかる(かもしれない)、というものでした。
「…このモデルのこの部分には改良の余地がある」といったことを感じたりもするのですが、そんなことを読者たちが考え出し始めてしまうこと自体が、「恋と童貞」の作り手たちの狙いなのかもしれません。
「俺の乙女選手権」「おっぱいVSおしり決戦!!」…読み進むうちに私たちの中にある深層心理も考えさせられたりして…「恋と童貞 2号」面白いです。
2011-05-22[n年前へ]
■「童貞喪失機会問題」と「ページランク (PageRank) 」
「異性間(時には同性間の)評価」ということを主題にした「恋と童貞 2号」の「童貞喪失機会問題に関する試論」を読みながら感じたのは、「結局、これはページランク (PageRank) が対象とする問題とよく似ている」ということでした。
女性の評価対象は、大きく分けて二つある。当該男性からの情報発信と当該男性の評判である。…当該男性の評判は、個々人の当該男性に対する評価の集合であると感柄れる。つまり評価は、入れ子構造となっていることが想定される。
岩城僚介「童貞喪失機会問題に関する試論」
任意のページに対して「興味ある、と思えるか・欲しいと考えられるか」を決めるページランク(PageRank)アルゴリズムは、任意の人に対して「興味を感じられるか」という量を算出しようとする「童貞喪失機会問題」と同様の問題を抱えるように思えます。
「興味あるページ」が人次第・状況次第でそれぞれ違うように、「興味ある相手」も人・状況次第で違ます。だから、人・状況次第で情報(ページ)や人の重要さは異なるのに、それを「同じものさし」で計ろうとすると無理が生じます。だから、たとえばソーシャルブックマークサイトを(必ずしも平均的な好みでない人が)眺めたとき「欲しいと思える情報がなかなか見つからない」と感じたりします。
Facebook や Twitterが人を繋げようとするアルゴリズムを試行錯誤していたりする中で、重要さや価値というものが「人次第・状況次第で違う」ということに対応したアルゴリズムはいつ当たり前のものとして登場するのでしょうか。
2011-05-24[n年前へ]
■「エコな自販機をどこに置くべきか?」というジレンマ
節電ということが気になる日々ですが、住宅街を歩いていると「大きな太陽電池が取り付けられた自動販売機」がありました。横に回ってみると「Ecoる、Coca Cola」と書いてある自動販売機で、筐体の上に取り付けられた太陽電池パネルから電線が伸び、自販機の中へと入っています。
後で調べてみると、「ecoる/ソーラー」自動販売機というのは、ソーラーパネルによる蓄電で“夜間照明の消費電力量ゼロ”を実現するというものでした。
ところで、この「ecoる/ソーラー」自販機は、北向きには設置することができないのでしょうか?太陽の光を太陽電池パネルにあてることができなければ、この自販機も活躍できないような気がします。私が見かけたものは、南西向きに設置されていて、その方向には日差しを遮る高いビルなどはありませんでした。 やはり、日差し強く照る場所に、この自販機は置かれるべきなのでしょうか?
しかし、こうも考えることができます。日差しが強く照る場所に自販機を置いたなら、その強い日差しの中でもキンキンにジュースを冷やすエアコン・パワーも必要になりそうです。…ということは、日差しが差し込まないような場所に自販機を置くと、実はものすごく省エネでエコだったりするかもしれません。
「ecoる/ソーラー」自動販売機を眺めつつ、「エコな自販機のジレンマ」に悩みます。清涼飲料水を売るエコな自動販売機は、エコ的には、日向に置くべきなのか?それとも、そもそも日陰に置くべきか?…それが問題です。
2011-05-26[n年前へ]
■「おっぱいは粘弾性体として取り扱うべき」という最近の主張
「おっぱいは粘弾性として扱うべきではないか」という議論が、ここ数ヶ月参加している「シミュレーション勉強会」で話題になっています。
これまで、「おっぱい」という物体は「弾性体」として取り扱うことが多かったような気がします。それは、年と共に変化する「ヤング率」という弾性パラメータを導入すると、比較的広い範囲のことを説明できるからです。(といっても、それは「年をとるとおっぱいが垂れる」という一点を説明できるということに尽きるのですが)
時には、(数値計算でなく)解析的な解を求めたくて、「理想液体+表面膜」として扱って取り扱ってみることもありましたが、それはごく例外的な取り扱いだったように思います。おっぱいを私は弾性体として、取り扱ってきたわけです。
けれど、「おっぱいは粘弾性として計算するべきだ」という主張には説得力を感じます。弾性体は元の形状を100%記憶しているわけですから、外部からの力がなくなれば、元の形に必ず戻ります。…けれど、「おっぱいは元の形に戻らない」というのが世の通説です。そうでなければ、「形状維持のためにブラジャーをしよう!」といったような広告が打たれるわけがありません。
おっぱいが弾性体であれば、どんなにブラジャーで締め付けても「おっぱいが記憶している本来の形状を未来永劫変えない」はずですし、「無重力空間に行けばどんなおっぱいも元の形状に戻る」はずです。…けれど、現実のおっぱいは、それとは少し違う性質を持つように思われます。
現実のおっぱいが「元の形に戻らない」もの(らしい)ということを考えるならば、背理法的に「おっぱいは弾性体のみとしては取り扱うことができないものである」という結論が得られるわけです。
「弾性体」に力をかけて形を変えたとしても、そのエネルギーは一時的に蓄えられた上で、100パーセント戻ってきます。けれど、それが「粘性体」であれば、それらのエネルギーは熱に変わります。…おっぱいに力をかけて変形を生じさせた後に時に起きる現象を考えてみれば、おっぱいは「弾性体」と「粘性体」を足して割ったような性質を持っているように思われます。
「弾性体」と「粘性体」を足して割ったような性質を持っているということは、「おっぱいは粘弾性を持つものとして扱うべきだろう」という主張が出てくるのももっともです。おっぱいに力を与え・エネルギーを与えると(何かしら)熱に変わる、だとすれば、それはすなわちおっぱいは粘性体であるという証拠なのです。
さて、おっぱいを粘弾性体として取り扱うと、意外に深く面白いことが見えてくるように思われます。おっぱいの生体分子を反映する、その材料力学に近づこうとするばらば、粘弾性体としてのモデルを構築した方が良いのかもしれないと思う今日この頃です。
2011-05-27[n年前へ]
■「30km以上離れて撮影」のヒミツ
NHK放送技術研究所に行くと、ここ何ヶ月か眺めたTV画面に示されていた「30km以上離れて撮影」という文字がパネルとなって張り出されていました。
画面中に映し出される「○×km以上離れて撮影」という文字を見ながら、その処理の中身をずっと知りたいと思っていたので、そうか、あの見慣れた映像はヘリコプターから防振装置付きカメラで撮影した上で、その映像に「映像揺れ補正」+「鮮明化処理」+「2倍拡大」で実現されていたのかと、興味深く感じました。
「鮮明化処理」と短く書かれた処理内容について、もう少し詳しいことを知りたかったりもします。また、最初は不自然だった「○×km以上離れて撮影」映像が徐々になっていったヒミツも知りたかったりします。
果たして「30km以上離れて撮影」の映像には、一体どのような処理がかけられていたのでしょうか。普通によくある処理だろうとは思いますが、その試行錯誤の過程を知りたいものです。
2011-05-28[n年前へ]
■「おっぱい」で学ぶ「CIP法」
「みんなでCカップを学ぼう!」という勉強会に参加しています。Cカップといっても、JIS L4006「女性用ファンデーションのサイズ表示」で定められた「”バストとアンダーバストの差が15cm”で定義されるCカップ」を勉強しよう!という集まりではなく、CIP-CUP法(CIP-Combined Unified Procedure)という計算手法の勉強会です。
とはいえ、勉強会の名前が名前ということもあり、頭の中の誰かが題材をすべて「おっぱい」で解説し始めたりする瞬間があります。それは、たとえば、Cカップ(C-CUP)法の基礎となるCIP法を題材にすれば、…こんな具合になります。
何かしらのものが流れ・動いていくさまを記述するのが移流方程式です。それを差分化して解こうとする時に、差分化された点以外の場所における値を「周囲の”値”を(何かしらの)平均化」をすることで求めようとすると、「平均化処理」は「滑らかにする処理」に他なりませんから、どんどん「(値が形作る波形など)形状」が滑らかになっていってしまいます。これを数値拡散と呼びます。
たとえば、右の図は「等速度で動く”矩形状分布”」が動くさまを、一次風上差分を用いて計算してみたものです。左が元形状で、右が計算が100ステップほど進んだ時の計算結果です。本来カクばったゴツい形状のはずなのに、滑らかな「おっぱい」形状に姿を変えてしまっているのです。ただ動くだけで元の形が変わってしまうなんて、計算処理としては大問題です。
こんな変化は、カップ大好き人間にとっては魅力的かも知れません。けれど、「計算処理よりカップ大好き!」という人にもわかる「大問題な例」を示してみましょう。
それが、右図の例になります。シミュレーションで作成したCカップ形状の分布を、(同じく一次風上差分を用いて)動かしてみた、というものです。初期には「滑らかで魅力的なバスト形状(左図)」であったものが、ただ等速度で動くさまを計算した結果(右図)は、なぜか周囲に伸びて広がってしまい、元の形状の魅力が半減していることがわかると思います。…これほどに、(本来は姿を変えないはずなのに)形状が変わってしまう、というのは大問題なのです。
そこで、登場するのがCIP法です。「疑似おっぱいの感触を説明するために、オイラーの運動方程式に粘性を導入することで作られたのがナヴィエ・ストークス方程式である」ならば「動くカップ形状を正しく計算するために作られたのがCIP法」なのです。
CIP法は、元の形状の各点における傾きがどのように動いていくかも解き、差分化された点以外の場所における値を「周囲の”値”と”傾き”から算出する」ので、「平均化」による数値拡散を防ぐことができます。たとえば、山(単バスト)の中央の値を求めるのに、山(単バスト)の左右中腹の平均値を計算しようとするのが、1次風上差分であれば、山(単バスト)の左右中腹の高さと傾き(傾きの”流れ”も計算するのです)から中央の高さを求めようとするのがCIP法です。その違いを考えれば、「なるほどCIP法を使えば”形”が崩れにくそうだ」と納得させれるのではないでしょうか。
ためしに、「等速度で動くカクばったゴツい形状」と「滑らかで魅力的なバスト形状」を一次風上差分とCIP法を使って移動させてみた計算結果を下に貼り付けてみます。「角張ったものは角張ったままで・滑らかなものは滑らかに」というさまがわかるかと思います。「動くカップ形状を正しく計算するために作られたのがCIP法」なのです。
2011-05-29[n年前へ]
■原発事故関連の処理が適切に行われていない原因
原発事故関連の処理が適切に行われていない原因は、「状況分析・策提案」あるいは「策選択・実行」を行うはずの立場にいる人が「行うべきこと」を取り違えていることに尽きます。たとえば、自らが「行うべきこと」を理解していなかったり、「行うべきこと」をはき違えて「行うべきでないこと」をする専門家がいるがために、多くの問題が生まれています。ちなみに、ここでいう「問題」というのは、適切でない選択・責任の不在という2つの弊害を生む原因を指しています。
「再臨界の可能性はゼロではない」という原子力安全委員会 班目春樹委員長の言葉は「行うべきこと」を理解していないことによるものであるように思えます。また、「(年間の許容被曝量)20mSvから引き下げたら、(大勢の人を)避難させなければならないでしょう?これだけ大勢の人を、何処に避難させるというんですか?(だから、年間の許容被曝量を20mSvから引き下げるわけにはいかない)」という福島県放射線健康リスク管理アドバイザーたる長崎大 山下教授の言葉は、「行うべきこと」をはき違えて「行うべきでないこと」をしている端的な例に感じられます。
何かしら大きなことを為そうとする場合、個人の力で対応できるわけがありません。だから、多数の専門家が(その担当分野での職務を遂行しつつ)関わることになります。その職務は、「行う策を決める」「策を行う」という2つの側面に分かれますが、これらの2側面のうち、問題になるのは「行う策を決める」という側面です。なぜかと言えば、「策を行う」段階で問題が起きるのであれば、それは「策選び」の段階で「(策遂行の段階で生じる可能性がある)問題発生を予測できなかった」という点において、適切でない選択をしたと判断されるからです。
「行う策を決める」ということに関わる人たちは、「各々が担うべき観点から状況分析と策選択を行う」という職務を担います。策を実行する権限がなければ、その策を提案します。つまり、「どうすべき」という提案をします。そして、策を実行する権限があれば、策を選択した上でさらに実行する、ということになります。それを端的に言えば「どうする」という判断を行った上で「行う」ということです。
ここで重要なのは、「状況分析」の段階では可能性・確率を使うことができる、つまり、長い目で見れば(もしかしたら)正確に合っているかもしれないことを語ることができるかもしれないのに対し、「策を選択する」ということは、「合っているかもしれない・けれど間違っているかもしれない」という「結果的には良くないことをするかもしれない」という「ひとつの選択」のみを顕在化させるということです。そして、その選択の結果生じたことの責任を負う、ということです。「状況分析」から「策選択・提案」をするという白線を越えた瞬間に、責任が発生するのです。
「○×が起きるのは、何パーセントの確率だ」という正しいけれど安全な場所を過ぎ、「○×は起きないと判断する」と言わなければならない(必ずしも正確でなく・しかも自らの責任を問われる)理不尽なことこそが「”選択”をするという立場」です。
「再臨界の可能性はゼロではない」という原子力安全委員会 班目春樹委員長の言葉から感じるのは、「状況分析」に留まっていて、「各々が担うべき観点からの策選択を行う」ということを自らが担うべきことだとは認識していない姿勢です。「状況分析」を間違うことによって評判を落とすことを気にはしても、その先にある選択・提案(さらには責任)までを担うものとは考えない意識です。
…再臨界の可能性はゼロではない、きっとそれは100パーセント正しいのでしょう。問題は、100パーセント正しくない可能性があるにしても、「再臨界はしない(あるいはするかもしれない)、だからこうすべきだ」という提案をしなければいけない立場なのに、それをしない(それをしなければいけない立場であることを意識しない)態度です。評論や解説をするという無責任な立場と、そうでなく「選択・提案・実行」をするという責任を負う立場の違いを理解しない意識です。
「(年間の許容被曝量)20mSvから引き下げたら、(大勢の人を)避難させなければならないでしょう?これだけ大勢の人を、何処に避難させるというんですか?(だから、年間の許容被曝量を20mSvから引き下げるわけにはいかない)」という福島県放射線健康リスク管理アドバイザーたる長崎大 山下教授の言葉に思うのは、「各々が担うべき観点から状況分析と策選択(提案)を行う」という責任を色々なことをごっちゃ混ぜにしてしまうと、「放射線健康リスク」という担当分野から最善策を提案するという立場を無視する姿勢です。健康リスク以外の状況を鑑みて「策を選ぶ・選ばない」という政治・経済的選択に悩み・責任を負うのは、放射線健康リスク管理アドバイザーとは別の立場を担うものであるはずです。
「政治的・経済的」な判断に対し、それが正しかったのか・間違っていたのかという判断を下せる人はこの世に存在しません。けれど、「射線健康リスク」という担当分野からすべき「選択」を、そんな政治的・経済的な選択の陰に混ぜてしまうことは、適切でない選択・責任の不在を生むに違いないと思います。山下教授の言葉にあるようなことは、年間の許容被曝量を前にこれからどうすべきかという健康面からの解決指針ではなくて、それ以外のコスト・メリットとリスクをも天秤の上に乗せた選択の話です。…けれど、それは「福島県放射線健康リスク管理アドバイザー」にまかされることではないのです。自分が持つべき天秤とは異なる定規を、振りかざしているのです。
「発生確率」「現状解析」で説明すれば良い世界もあれば、何かしらの「提案・選択」をし、それに伴って未来への責任が生じる世界もあります。原発事故関連の処理が適切に行われていない原因は、そんな世界・立場に対する認識の(間)違いがあるようにも思えます。
蛇足ながら書けば、広い範囲のことを考えるなら、 十年程度の前の文章「リスクをめぐる専門家たちの"神話"」をプリントアウトして読めば、良いように思います。この一片の文章があれば、もうそれ以上の文章がなくとも良いと思います。その文章に書かれている問題が必然的に生じるものであるとしたら、それを生じさせる理由を考えてみたくなります。
2011-05-30[n年前へ]
■テレビ画面に「ビジュアル系」ツッコみをしてみよう!?
テレビを眺めつつ、思わず「なんでやねん!」「そんなわけあるかい!」とツッコミを入れてしまう人も多いと思います。今日のテーマは、テレビにツッコムなら、「ビジュアル系」のツッコみを入れてみよう!?というものです。
テレビは「画(え)の文化」を具現化したものです。ラヂオのような「声で物語られる世界でなく、画像で描かれる世界」です。そんな世界に、声でツッコミを入れるのは、無粋でもありますし・間抜けでもあります。…そういう思いをベースにして、テレビにツッコミを入れたくなるときには、私はいつも「ビジュアル系」ツッコみを入れることにしています。
TVに写る現代の政治家を見て、時代劇で「悪代官」を連想したら、連想したことを手元のホワイトボードに書き込んで、テレビ画面に重ねてみます。たとえば、TV番組を見るときには、いつも持ち歩いている「吹き出し型」のプレゼンボードを使い、下の画像のようなツッコミをTV画面に重ねて入れたりします。
あるいは、音楽番組を見ながら脳裏に浮かんだことを、テキトーにホワイトボードに書き込んで、やはり、記念撮影をしてみたりします。それは、たとえば、右の写真のような具合です。
冷静に眺めてみると実にクダラないものばかりですが、色んなツッコミ写真が手元にあります。飲み屋で赤い酔目をした人たちに重ねた「吹き出し」や、無生物の鉄筋建造物に重ねた「吹き出し」や、散歩する犬や猫の口元に「吹き出し」を重ねた写真が、数多く溜まっています。
こんなラクガキをするのなら、一体どんなセリフを書き込みたくなるでしょうか? 含蓄ある言葉、ナンセンスなギャグ、あるいは…世相を反映した言葉、どんな言葉を書き込みたくなりますか?
2011-05-31[n年前へ]
■懐かしき「Microsoft オフィスの黒い人(Screen Beans)」を100セット集めたパワポ・スライドを作ってみました
昔のMicrosoftオフィスで作られた、特にPowrePointのスライドには、ありとあらゆるところに「黒い棒のような人」が登場していたものです。"Screen Beans"という名を持つこの「黒い人」たちは、Microsoftオフィスの文章の中で、腕を組んだり・何かを指さしたり・走って見たり…ありとあらゆるアクティビティをしていました。だから、「オフィス文章に挿入されている図」といえば「それはもちろん黒棒人間だ!」と言う人たちもきっと多いはずです。
しかし、そんな「黒い人(Screen Beans)」たちをいつの間にか見かけなくなってしまいました。お洒落なデザインのスライドを見かけることはあっても、何とも人間味溢れる「黒棒人間」を滅多に見かけることがなくなってしまったのです。
そこで、懐かしき「Microsoft オフィスの黒い人(Screen Beans)」を100枚集めたPowrePointスライドを作ってみました(ScreenBeans.pptx)。このパワポ・スライドを開いてみれば、Windows95やWindows2000を使っていた頃の「あの頃のOfficeドキュメント」が帰ってきた心地に襲われるはずです。このスライドをめくり、お好きな頁で踊る黒い人をコピーして、あなたのパワポ・スライドにペーストすれば、「あの頃のパワポ・スライドを手に入れる」ことができるのです。
色々大変なことが続く今日この頃ですが、こんな時だからこそ、まさに”黒子”を具現化した姿を持つ「Microsoft オフィスの"黒い人"」が活躍するはずだ!という(何の根拠もない)確信があります。
この確信のお裾分けをしてみたくて、今日は「Microsoft オフィスの黒い人(Screen Beans)」を100枚集めたパワポ・スライドを作ってみました。