hirax.net::inside out::2010年06月

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2010-06-02[n年前へ]

iPadやタブレットPCを背中に…楽しく背負う。  share on Tumblr 

 iPadを背中に貼り付けて、自転車に乗る。そして、加速度センサの値に応じて、iPadの画面に方向指示のマークを出す。そんな「アプリケーション&バック付きファッション」" Sprocket Pocket: iPad Turn-Signal for Cyclists"がいい。それはとても楽しそうで、面白そうで、そして何より「自由」の力を感じさせる。

 Slide the iPad into the see-through plastic pocket and load up the custom software. The iPad then uses its accelerometers to work out what you intend to do next and flashes a signal on its screen accordingly. Thus, by sitting up straight you’ll show drivers a stop-sign, and by leaning left or right you’ll display a turn-signal.

iPad Sprocket Pocket from MAYAnMAYA on Vimeo.

 タブレットPCをリュックに入れて、その重みをいつも背中に感じている。けれど、同じ背負うにしても、もっと楽しく背負っても良かったのかもしれない、とふと思う。こんなアイデアを見ると、そしてアイデアを具現化した映像を眺めれば、そんな思いに襲われる。

2010-06-03[n年前へ]

VMware WorkstationからPlayerに乗り換える  share on Tumblr 

 普段持ち歩いているのは、Thinkpad X61 tabletで、OSはWindows 7 64bit である。サーバ上で作業するときは、X61 tabletを介してリモートログインするし、それ以外の作業をするときは、VMware上で動く仮想マシン上で作業をする。Windows 2000のマシンもあれば、Windows XPのマシンもある。Redhatもいれば、Ubuntuもいる。ハード移行の苦労もないし、互換性に悩むこともない。こうして…かつて使っていたPCを、すべて仮想PCに変換して動かしている。

 これまで、VMware Workstation 6.5を使っていた。ずいぶん前にWorkstation版を購入し、アップグレードをし続けて使っていたが、環境をすべてVMware Playerに乗り換えることにした。無料で使うことができるVMware Playerと有料版のVMware Workstationの機能の差が、値段の差に比べて小さくなってきたように感じたからである。逆にいえば、Workstation版の値段が機能の差に見合うものではないと感じてしまうようになったからだ。

 VMware Workstation のユーザは、みんなどうしてるのだろう?アップグレードをし続けているのだろうか?それとも、VMware Player(あるいは同様の無料仮想PCソフトウェア)に乗り換えているのだろうか。

2010-06-04[n年前へ]

赤青メガネをかけて、iPhoneを立体ディスプレイにしよう  share on Tumblr 

 iPhoneやiPad(もちろん、いつも使っているタブレットPCも)を物体が画面から飛び出す立体ディスプレイにしたくなり、赤青メガネをかけて立体を表示できるプログラムを作ってみることにしました。共通のソースで動くようにしたいということで、OpenGL ES をいじってみることにしました。

 まずは、地球を回転表示するOpenGL ESのサンプル・プログラムを、glFrustumを使うことで左右の目から液晶表面を介して見える画像を自然な見え方にした上で、両眼分の画像を作成し、さらに、アナグリフ(赤青メガネ)用画像として色変換をした上で、iPhone画面にアニメーション描写するようにしてみたののが、下の動作画面になります。

 コードを書き、そして、ビルドしたアプリケーション走らせ、赤青メガネをかけて画面から飛び出す「立体的な地球」を眺めていると、何度もビルド&実行をさせたい欲望にかられます。

 OpenGL ESでのプログラミングに慣れたなら、以前作った、「(加速度センサ対応)体感・実感バストシミュレータ」のC++ソースを流用し、モバイル用(加速度センサ対応)体感・実感"3D"バストシミュレータでも作ってみることにしましょうか。

赤青メガネをかけて、iPhoneを立体ディスプレイにしよう






2010-06-05[n年前へ]

リスクを背負いつつその可能性に賭けることができる人たち  share on Tumblr 

 川合史朗さんが、「選ばなかった人」の物語(「選ばなかった道」)に続き、その逆の場合、ある「選んだ人」のことについて書かれていました(「選べる人が選べばいい」)。

 でも正直に言って、自分が食えるかどうかという不安など、「従業員に来月の給料を払えるかどうか」という不安に比べたら、吹けば飛ぶような悩みにすぎない。その点で、私は人を雇って事業をしている人は尊敬している。
 「このチャンスに乗ることを選んだら大変な思いをして、きっと選んだことを後悔する。けれども、選ばなかったらもっと後悔するだろう。」

 そう心底思える人だけが、選べば良いのだと思う。

 ふと、以前考えたこと、経済学者の栗田啓子先生に話を聞きに行った時に手帳に記した内容を思い出しました。その内容をもとに、書籍用のコラムに変えたものの下書きを引用すると、このようになります。

「賭けることができる人」が経済を動かしてる

 「経済学88物語 」(根井雅弘 編)で栗田先生がカンティロンの著作「商業試論」を紹介されています。読んでみて、とても興味を惹かれたのが「市場の動きとなる企業者(アントレプレナー)の本質は、不確実な利益のチャンスを選択するということだ」という内容の部分でした。
 ”成功するかどうかわからないチャンスに賭けて、そこに向かって走り出すことができる人たちが、企業者であり・経済の市場メカニズムを動かし続けている軸なんだ”という280年も前に書かれた言葉は、今の時代をも、やはり的確に表現しているように思います。
 いろいろな技術分野で、確実ではない可能性があるときに、リスクを背負いつつその可能性に賭けることができる人たちが社会を回し続けているのかもしれない、となぜか納得したのです。
 「アントレプレナー」の訳語としては、「企業者」という言葉を使う人が多いようです。本来、意味が同じで、発音も同じである「企業者」と「起業者」ですが、経済学素人の私には少し違う言葉に見えてしまいます。
 「自ら会社を興し、新たに事業を手がける人」(Wikipedia)というアントレプレナーの意味を考えると、「起業者」という言葉の方がふさわしいようにも思えます。 私のような経済学素人には、歴史の中の「企業者」という言葉は「起業者」と置き換えながら考えた方が、わかりやすいのかもしれません。
 ここで登場するリチャード・カンティロンは、18世紀に生き、放火事件で亡くなり、召使に殺されたとも言われている人です。

 コラム以外の部分では、アントレプレナーの訳語としては、(翻訳語句が作られた)歴史的な背景もあり、企業者という語句を使いましたが、私は「起業」者という言葉の方が今でも「わかりやすい」と感じています。

 だから、企業者という言葉を起業者と置き換えて、もう一度、その前半の言葉を書き写してみることにします。
 ”成功するかどうかわからないチャンスに賭けて、そこに向かって走り出すことができる人たちが、起業者という存在であり、その起業者が、経済の市場メカニズムを動かし始める軸なんだ。”

2010-06-06[n年前へ]

ただの「キーワード重複度」が作りだす、ただの「関連記事」繋がり  share on Tumblr 

 今は、記事を書いた後に、その記事に対して適当にキーワードを付けるシステムにしています。そういうシステムにする前に書いた記事に対しては、(新しいキーワードを作るたびに)含まれているキーワードを自動的に結び付けるようにしています。そして、それらのキーワード重複度を用いて算出した、「関連記事」を記事下部に貼り付けるようにしています。

 色々な人が書いた記事を、キーワードで結びつけるシステムがあったとき、そのシステムにはきっと「人それぞれ、同じ言葉を使っていても、その言葉に対して思うこと・方向がひどく違う」ことから生じる「うまくない動き」が生じてしまうに違いない、と思っています。そういう風に動く(現存する)システムには、今もそんな人と人との違いから生じる問題が今なお解決されないままにつきまっているのだろう、と感じています。

 ひとりで書く記事群であれば、つまり、あまり視点が変わらない類似の感覚から書いてる記事群中であれば、どんなに単純なシステムであっても、そういうシステムは意外なほど有効に働くのではないかと思っています。「意外なほど」というのは、人の記憶は複雑で緻密だけれども非常に限られたものだと思っているからです。人の記憶の足りない部分を、自動的なシステムンが補うことで、「有効に働いてくれるのではないか」と思って降りのです。だから、たとえば、はてなグループのキーワード・システムは容易に上手く動くだろうけれども、一般的なはてなダイアリーのキーワード・システムは上手く動くには課題が多いだろう、と思っています。

 「憂歌団からレベッカまで、バンドはいつか解散するの?」という記事を書くと、その下にはこんな記事、たとえば「強く生き抜くためのユニコーンのアドバイス」といった記事が関連記事として表示されています。

阿部:僕はそうだな……努力するしかないかな、やっぱり。努力は絶対に裏切らないからね。あと、自分の意志と関係なく降りかかってくる余計なものは、一瞥して流す!

奥田:俺は……好きなことって、簡単に決めちゃダメなんじゃないか、と思うんですよ。「夢を持とう」というのはいい言葉ですけど、それが叶わなかったときに、「そもそもなんで俺はこの道が正しいと思ったんだ?」と考えてみる。
 「憂歌団からレベッカまで、バンドはいつか解散するの?」という記事単体に対しては、「少しは繋がっているかなぁ」と思うくらいの記事ですが、ここ数日の間に書きとめた記事群を考えてみれば、何だかとても「繋がり」を感じるような言葉に感じます。

 …というわけで、『この記事の「関連お勧め記事」』も読んで頂ければ幸いです、ということを遠まわしに長々と書いてみました。

2010-06-08[n年前へ]

「平行電極に挟まれた水」はどう動く!?  share on Tumblr 

 「やってみたい」と思っている実験があります。それは、水道の蛇口から落ちてくる水流に対して、平行電極を設置してみる、という実験です。平行電極に挟まれた水流が(平行電極の)中央辺りで、どんな動きをするかを眺めてみたいのです。あるいは、色んな形状の電荷を帯びた電極を近づけたときの水流の動き方を眺めてみたいな、と思うのです。

 「摩擦帯電されたプラスチック定規やストローを、水道の蛇口から落ちる水に近づけると、水が曲がる」というオモシロ実験があります。実際にやってみると、確かに面白いくらいに水が曲がります。そんな実験の手順書には、「水分子の分極により、水分子は静電気に引きつけられる」という言葉が書き添えられていることが多いように思います。

「なるほど」と考えると同時に、その説明だけでは、何だかきちんと納得することができないような気にもなるのです。なぜそのように感じてしまうかというと、たとえば、もしも、「電界がどの場所でも同じ向き・大きさだったとしたら」、水分子が向きを変えることはあったとしても、一方向に動くことはないように思えてしまうわけです。プラスを帯びた部分(分けられないものに対して部分ということは間違っているかもしれませんが)がある方向に動きたがるとすれば、マイナスを帯びた部分はその逆の方向に動きたくなり、全体としてはプラスマイナスゼロ・・・ということになってしまいそうに思えてしまうからです。

 しかし、「電界がどの場所でも同じ向き・大きさでない場合」には、プラスを帯びた部分とマイナスを帯びた部分でにおける電界が異なるので、全体に働く力は差し引きプラスマイナスゼロとはならずに、特定方向への力を受けるだろう、と思うのです。だから、たとえば、電荷を帯びたストローや定規がつくる電場は、そのストローや定規からの距離に応じて電界が弱まるようなものであり、つまり、「電界がどの場所でも同じ向き・大きさでない場合」に相当するために、電気双極子である水分子が力を受けるのではないか、とも想像してしまうのです。

 すると、平行電極に挟まれた水流の動きを眺めてみれば、平行電極に挟まれた中央部のような「電極間に電位差があるけれども、電界の場所ごとの違いがほとんどないような部分」では、水流があまり曲がることがないさまを見ることができるのではないだろうか、と思えます。…とはいえ、それは「思える」だけで、実際に実験をしてみれば、その想像が正しそうか・間違っていそうかの見当がつくことでしょう。

 というわけで、水道の蛇口から落ちてくる水流に対して、平行電極を設置してみる、という実験を、「やってみたい」と思っているのです。さてさて、一体水流は電極の中心部では曲がるのでしょうか、それとも曲がらないのでしょうか?

 感電しないように気をつけながら、こんな水道の蛇口の前でエレキテルな実験をいつかしてみたいのです。そして、想像が見当違いだとしても、頭の中に「スッキリ」をひとつ増やしてみたいのです。

「平行電極に挟まれた水」はどう動く!?






2010-06-09[n年前へ]

3D AVS Player+YouTubeでお手軽三次元可視化をしてみよう  share on Tumblr 

 AVS/Expressを使い、通常は見ることができない物理現象を三次元表示したものを眺めながら議論をするワークショップの開催準備をしている時に、自分のノートPCでも簡単にそんな三次元ビジュアリゼーションを楽しむことができたら良いな、と考えました。個人で楽しむことができるようにしたい…と考えたなら、安く・簡単にできる、ということが必要です。

 そこで、今日はこんなことをしてみました。「AVS/Express や MicroAVS の可視化結果を再生しながら自由に視点変更をしつつ再生できる」無料のソフトウェア"3D AVS Player"を使い専用ディスプレイ用の立体表示を行い、3D AVS Playerの機能を使い表示過程をAVIファイルとして保存し、その動画をYouTubeに"yt3d:enable=true yt3d:swap=true"というタグをつけ立体動画としてアップロードすることで、(3D AVS Player単体では不可能な)さまざまな方法で立体画像として眺めることができるようにしよう、という試みです。

 実験例は下のような具合です。動画をクリックしてYouTubeに飛べば、赤青メガネを使ったアナグリフでフルカラーで眺めたり、見やすく白黒アナグリフで眺めたり・・・と色々な見方ができる、という仕組みです。他にも、(再生時間はごく短いですが)分子構造太陽系も眺めることができます。

2010-06-10[n年前へ]

3D AVS Player用アナグリフ・ビュアーを作ろう  share on Tumblr 

 「3D AVS Player+YouTubeでお手軽三次元可視化をしてみよう」の続きとして、今日は、3D AVS Player"で視差画像を左右表示させているWindowを、アナグリフ(赤青メガネ)表示で時々刻々と眺めることができるようなソフトを作ってみることにしました。そのソフトウェアの動作画面が下になります。動作の仕組みはとても単純で、「選んだウィンドーの左半分と右半分を視差画像であるとして、アナグリフ用画像として合成したものをWindowに(20msに一回の割合で繰り返し)表示する」というだけのものです。

 ところで、良く見ると、上の動作画面ではAVS Playerでなく、ペイントのWindowに対して処理を行っていることがわかります。これは、OpenGLをハードウェア・レンダリングされると、Window描画内容を取得する方法が(私にはわからないのに)AVS Playerはステレオ表示しようとするとOpenGLレンダリングが必須となっていて、私のノートPCではOpenGLのレンダリングをソフトウェアで行うように切り替えることが(スイッチひとつで簡単に、という具合には)できなかったからです。

この問題に対しては…明日にでも対応してみることにしましょうか。これから作るソフトウェアは、ひとまずここに置いておいていくことにします。スタートボタンを押した後、(3秒以内に)任意のウィンドウをアクティブにしてやれば、そのウィンドウの描画内容に対してアナグリフ化を行います。

3D AVS Player用アナグリフ・ビュアーを作ろう3D AVS Player用アナグリフ・ビュアーを作ろう3D AVS Player用アナグリフ・ビュアーを作ろう






2010-06-11[n年前へ]

続 3D AVS Player用アナグリフ・ビュアーを作ろう  share on Tumblr 

 「3D AVS Player用アナグリフ・ビュアーを作ろう」の続きです。3D AVS Player"でステレオ表示をした際の画面を常時アナグリフ画像として合成表示するソフトウェアを作りました。

 3D AVS Player"では、ステレオ表示をOpenGLレンダリング・モードでないと行うことができません。そこで、ウィンドウ描画内容を3D AVS PlayerのWindowのデバイスコンテキストからではなく、デスクトップウィンドウのデバイスコンテキストから引っ張ってくることで、描画内容コピー&加工を行うようにしました。私の二世代くらい前のB5ノートPCでも50Hzで処理を行うことができていますから、処理速度についても問題なさそうです。動作画面は下のようになります。

 作ったソフトウェアは、ここに置いておいておきます。スタートボタンを押した後、(3秒以内に)3D AVS Playerのウィンドウをアクティブにしてやれば、そのウィンドウの描画内容に対してアナグリフ化を行います。

 赤青メガネはひとつ持っておくと便利だと思います。できれば、複数個用意して、自分のノートPCを使って他の人にも立体画像を楽しんでもらうのも良いかもしれません。

続 3D AVS Player用アナグリフ・ビュアーを作ろう続 3D AVS Player用アナグリフ・ビュアーを作ろう






2010-06-12[n年前へ]

ケンシロウ進数とURLエンコーディング  share on Tumblr 

 寝ている時に見る夢というのは、その夢を見ている本人にもよくわからないものだ。その夢の脚本を、誰が書いているのかはわからないが、夢の脚荒唐無稽さと飛躍の度合いにはいつも(起きてから)驚かされる。

 今日見た夢は、WEBサービス提供会社内で、「ケンシロウ進数」の導入の是非を議論している、という不可思議なものだった。ケンシロウ進数のコンピュータ・アーキテクチャ面から議論し、そしてまた、ケンシロウ進数導入によりURLが長くなることのデメリットを受け入れるか否かについて、真剣に話し合っているのである。何とも、意味不明なストーリーだが、夢の中ではその奇妙奇天烈さに気付かないのが、これまた不思議な点である。

 睡眠中に生活経験のごとく生起して目覚めると同時にはかなく消える、一種の幻覚。

新明解国語辞典 「夢」

2010-06-13[n年前へ]

続々 3D AVS Player用アナグリフ・ビュアーを作ろう  share on Tumblr 

 「続 3D AVS Player用アナグリフ・ビュアーを作ろう」で作ったソフトウェアを動かしているようすを VMware workstationでムービーキャプチャしてみました。それが下に貼り付けた動画になります。画面上半分を占めているWindowが3D AVS Playerのもので、画面左下に位置しているのが、3D AVS Player用アナグリフ・ビュアーのWindowになります。残念なことに、VMwareのムービーキャプチャ動画では、カクカクした動きになってしまっていたり、オリジナルのWindowのキャプチャがあまりできていなかったりしますが、およそどんな動作をするかがわかるかと思います。

 これまでにも何度もやってきて、そして、いつもポシャり続けている「立体テレビ・立体ディスプレイの波」がまた訪れています。今回の波の行方がどうなるかはわかりませんが、とりあえず、古くからある技術を使いこなして色々と遊ぶことができたら良いな、と思います。

2010-06-14[n年前へ]

秋葉原に見る色々な景色  share on Tumblr 

 久しぶりに秋葉原の街をゆっくり歩いた。歩きながら、色々な時代の街並みを思い出し、変わる景色をしみじみ感じた。

 コンピュータのソフトウェアがカセットテープに記録されていた頃、ロケットの近くのビルの2Fにあるロビン電子にはApple][の互換機があって、小さな小さな"5インチ"のフロッピーディスクが高速読み書きを実現していて、NEC Bit-inがあったラジオ会館の中には、色んなコンピュータ・ハードウェア屋があった。そのラジオ会館の横には一体何があっただろう?少なくとも、今はその場所には何もない。

 秋葉原の駅近くを歩きながら、昔、国際ラジオがあったことを思い出す。国際ラジオがその後に移転した場所が確かここだと思いながらその場所に行くと、Laoxの跡地になっている(さらに近い場所でもう一度移転した気もするし、移転の順番は逆だったかもしれない)。Laoxが華々しく開店する頃には、その近くにはオウム真理教が商売を営むマハーポーシャがあって、(まるで魚くんのように)像の帽子をかぶった人たちが大声を張り上げチラシを配っていたような気がする。時代が移り変わることにも驚くけれど、そんな景色が、それほど昔のものではないことも不思議な感覚だ。

 その後、秋葉原の駅の前に行くと、さらにずっと昔の写真が飾ってある。大正時代の写真、万世橋の近くの川面にいくつもの船が浮かんでいる風景、秋葉原の色々な時代の景色を眺めてみる。他の人たちは、どんな秋葉原の景色を眺めているのだろうか。

2010-06-15[n年前へ]

1984年頃の秋葉原マップ  share on Tumblr 

 秋葉原に行く時、ラジオデパートには必ず寄る。何を買うわけでなくとも、秋葉原に初めて行った時のワクワク感に浸りたくて、いつも寄る。表口から入った時には、いつも裏口から金属製のドアを開けて通りへ抜ける抜ける。あるいは、裏通りからラジオでパートに行く時には、自販機とゴミ箱の横にある裏口のドアを開けて、ラジオデパートに入る。それが、何というか、あの場所を通る時の儀式になっているような気がする。

 今日見る景色は、1984年頃の秋葉原マップ。記憶の底に眠っている店がどの場所にあって、どんな名前で店を開いていたか…眺めてみれば、切なくも懐かしい気持ちに襲われるかもしれません。

2010-06-17[n年前へ]

エクセルのグラフを立体(赤青メガネ)出力してみよう!?  share on Tumblr 

 先日、「3D AVS Player用アナグリフ・ビュアー」を作りました。それは、左右の視差画像出力を行っているアプリケーションのウィンドウを勝手にコピー&画像合成することで、アナグリフ(赤青メガネ)出力を行うだけのソフトウェアです。つまり、左右の視差画像出力を行っていさえいれば、3D AVS Playerでなくても良いわけです。

 そこで、今日は同じデータに対して異なる視点から描画した2つのグラフを並べたMicrosoft Excelのウィンドウを、前回作ったソフトウェアで強引にアナグリフ立体画像にしてみることにしました。そのようすが、下(と右上)のスクリーンショットになります。

 そろそろ、表計算ソフトのエクセルも立体動画表示機能を備えても良い頃合いであるような気もします。そういうわけで、そんなアドインソフトウェアを作るために、今日はこんなラフスケッチをしてみた、というわけです。近く、エクセルお気楽簡単三次元アドインを作ることができたらいいな、と思っています。

エクセルのグラフを立体(赤青メガネ)出力してみよう!?エクセルのグラフを立体(赤青メガネ)出力してみよう!?エクセルのグラフを立体(赤青メガネ)出力してみよう!?






2010-06-18[n年前へ]

立体表示のブログシステム始めました!?  share on Tumblr 

 立体表示のブログシステムをやってみたい、と時折思います。バナー画像も、使われているイラストも、もちろん、文章も適切に立体処理されている、というものです。イメージ図を適当に描いてみると、下のような具合です。右目にシアン(青+緑)・右目に赤色の赤青メガネをかけて眺めてみれば、立体的に見えることがわかると思います(この画像-記事-はRSSリーダーでなく、ブログ本体から眺めると面白いと思います)。

 もちろん、立体の表示方法と言ってもさまざまなやり方があるわけですから、たとえば赤青メガネ用に処理されたアナグリフのデータを格納しておくのではなく、データは使いまわしし易いフォーマットとして格納した上で、アクセスがあった段階で(相手の環境に合わせて)適切なレンダリングを行った上で、データを送信する、という具合です。

 一番好ましいのは、送信するデータ自体も汎用的なフォーマットで行い、クライアント側で自身の環境に合わせてレンダリングを行うというものでしょう。胸を張って「立体表示のブログシステム始めました。」と言うことができるような日は、一体いつ頃訪れるのでしょうか?

 未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ。
 未来は我々が決めるものであり、宇宙の既知の法則に違反しない範囲で望んだ方向に向かわせることができる。

アラン・ケイ

 ところで、送料込み120円ほどなら、赤青メガネを欲しいと思われる人はどのくらいいるものでしょう?そんなことが知りたい今日この頃です。

立体表示のブログシステム始めました!?






2010-06-19[n年前へ]

「サラリーマン的アルゴリズム」という名の最適化手法  share on Tumblr 

 遺伝的アルゴリズムもシミュレーティド・アニーリング(焼きなまし法)も、いずれも最適解を求めるための手法である。ふと、結構世の中に満ち溢(あふ)れていそうな最適化(最適解獲得)問題のための手法として、「サラリーマン的アルゴリズム」というものがあるのではないか、と考えた。

 「サラリーマン的アルゴリズム」では、基本的に3つの状態遷移・探索過程がある。その最初のものは、局所的最適化を淡々と追い求める「兵隊フェーズ」である。この過程は、少なくとも局所的最適解を求めるが、ただしそれにより大局的な最適解を求めることができる可能性はかなり低い。

 次の過程が、「船頭多くして、船山に登るフェーズ」である。兵隊だけでなく船頭も多くなり、エネルギーが高くなり、(焼きなまし法ではないが)比較的離れた解探索も行うようになる。ただし、悪く言えば、少し行き当たりばったり法とも言えるような状態になる。

 そして、もう3つのフェーズのうち一番影響の大きいのが、「天の声フェーズ」である。このフェーズはこれまでの最適解から大幅に離れた場所の探索も可能にする、問答無用の(遺伝的アルゴリズムのような)突然変異的な探索である。

 これら3つのフェーズの繰り返しにより、もちろん「兵隊フェーズ」「船頭多くして船山に登るフェーズ」「天の声フェーズ」の比率は異なるが、これが繰り返されることにより最適解を求めようとする最適化手法は意外に多いのではないだろうか。

 「集中化」と「多様化」
 「集中化」 -> 改善力
  良い解の近傍を探索すれば   もっとよい解が見つかるはず...
 「多様化」-> 探索力
  悪い解の近傍に陥らないように広範に探索すればずっと良い解が見つかるはず...

集中化と多様化」から

「サラリーマン的アルゴリズム」という名の最適化手法






2010-06-20[n年前へ]

理想の「電脳文房具」は、いつも手に入らない  share on Tumblr 

 「欲しいもの」をそのまま形にしたような、理想の「電脳文房具」は、もう手に入らないのだな、と思う。たとえば、自分の思うようにカーソルを動かすなら、旧IBMのトラックポイントや東芝のアキュポイントが一番良かったと思う。指先の動きを素早く自然に楽にPCに伝えようとするなら、ポインティングデバイスの配置は東芝のアキュポイントが最高だったし、動き具合は旧IBMのトラックポイントが安定していてとても良かった。

 東芝のアキュポイントが良かった理由は、とても自然の摂理にもとづいていて、人差し指でカーソルを動かし、親指でカーソルボタンを押す時に、その親指が関節に繋がっている以上、同心円状にボタンが配置されているべきだ、という考えのもとに作られていたことにある。だから、自然に親指を動かすだけけで、何の無理もなくPCを操作することができた。その自然を実現している技術が、ひとつのメーカーの製品に留まらざるをえなかったことは、とても残念に思う。そしてまた、カーソルを自然に動かすことに関しては、旧IBMのトラックポイントはとても優れていて、思った場所に瞬時にカーソルを動かすことができる。これもまた、その自然さを他メーカーが実現する上での(きっと)障害があっただろうことを、少し残念に思う。

今ある文房具の中で、一番最高のものは、Thinkpad X61 tabletだ。それは、小さくいけれど高解像度でいて、ペンで気楽に書き込みができるからだ。けれど、何年か前は、それは(似たような、けれど違うメーカーの)Portege 3490CTが最高だと感じていたような気もするし、何年か先には「一番のもの」は、きっと違うものへと変わっているはずだと思う。もしもそうでなかったしたら、何だかとても残念だ。

 特許とか、さまざまな制限がなかったとしたら、理想の「電脳文房具」を手に入れることができるのだろうか。それとも、人間の行動原理・社会を発展させるための原理からすれば、そう単純なわけにはいかないのだろうか。

理想の「電脳文房具」は、もう手に入らない






2010-06-21[n年前へ]

エクセルのグラフをマウスでグリグリ動かしながら赤青メガネで飛び出す立体動画で眺めよう!?  share on Tumblr 

 マイクロソフトのエクセルでチャート(グラフ)を作り、そのチャートをコピーして同じチャートをふたつ横に並べさえすれば、それを外部からマウス操作で自由自在に動かしつつ・アナグリフ立体動画として眺めることができるソフトを作ってみました。その動作のようすが、下のようになります。三次元グラフをマウスでグリグリ動かしつつ(しかも複数グラフを同時に)、さらに、赤青メガネ(アナグリフ)立体画像として眺めることができてきるのがわかると思います。

 この上の動画では、画面上半分にエクセルの画面があり、左下に作成したソフトが表示している(赤青メガネ用の)立体画面があります。赤青メガネ用立体表示祖をしている画面の部分でマウス操作をすれば、立体グラフを自由自在に動かすことができる、というわけです。

 エクセルでは、残念ながら、あまり三次元的に意味のあるチャートを作ることはできません。たとえば、下のグラフはExcel 2010で作った三次元チャートですが、今一つ立体チャートのワクワク感を楽しむことができるようなものではないように思います。

 しかし、どんな道具も使う人次第ということもあるわけですから、うまくエクセルを使いこなせばきっと面白い立体的なチャートを作り出すことができるように思います。面白く・新鮮な立体グラフを、簡易な立体ディスプレイであるアナグリフ表示でリアルタイムに色々眺めることができれば、きっと面白いのではないでしょうか。

 今日作ったソフトは、ここに置いておきます。エクセルのグラフを外部から操作するソースコードのポイントは、近く、適当にまとめて公開しておきます。

エクセルのグラフをマウスでグリグリ動かしながら赤青メガネで飛び出す立体動画で眺めよう!?






2010-06-22[n年前へ]

エクセルで飛び出す"立体"粒子群アニメーションを作ってみよう!?  share on Tumblr 

 21世紀に入った頃から、「表計算ソフトを使って、色んなシミュレーションをしてみる」ということをしています。いつも、夏になるとそんなことをしています。だから、暑い夏が来ると、いつもエクセルの勉強を”少しだけ”します。そして、いつもエクセルを憎み、一年くらいは触りたくなくなります。…けれど、憎みと愛は裏表、というわけで、結局エクセルに触り続ける毎日です。

 さて、そんな年中行事とは関係なく、昨日は「エクセルのグラフをマウスでグリグリ動かしながら赤青メガネで飛び出す立体動画で眺めよう!?」ということをしてみました。そこで感じたのは、エクセルは三次元的に眺める価値のあるグラフはなかなか作ることができない、ということでした。

 しかし、そんな風に限界を感じるときは、そこで感じる限界は多くの場合、自分の限界そのものである、ということもよく感じます。…というわけで、今日は、エクセルで粒子挙動シミュレーションを行い、その結果をアナグリフ立体動画として表示してみることにしました。

 そこで、まずは、(反復計算を用いて)簡単な「粒子挙動シミュレーション」をエクセルで行うことができるようにしました。そして、その上で、その粒子群の動きの計算結果を位置・大きさを(適当に)透視変換をした上で、散布図(バブルチャート)として、アナグリフ立体表示できるようにしてみたのです。そうすれば、左右視差による遠近感に加え、バブルの大きさが遠近に合わせた大きさで表示されることで、自然に立体感をもって眺めることができるわけです。

 その結果を、先日、作ったアナグリフ表示アプリケーションでアナグリフ立体動画にしてみた結果が、下に張り付けた動画になります。ムービーキャプチャーはいつものようにカクカクしてしまっていますが、もちろん、本当は、とても滑らかに動いています。というわけで、今日は「エクセルで飛び出す"立体"粒子群アニメーション」を作ってみました。

エクセルで飛び出す立体粒子グラフを作ってみよう!?






2010-06-23[n年前へ]

水風船をライターの炎であぶると何が起こるか考える!?  share on Tumblr 

 「はやぶさ」が宇宙から帰ってきた今日この頃、そんなことと関係があるのか・あるいはないのか、ここ数日、あるメーリングリストで、こんな話題に花が咲いています。その話題とは、こんなような話です。

 水で満たされている水風船がある。その水風船を下からライターの炎で火が広く当たるようにあぶってみることにする。ライターの炎で水風船を10秒あぶったとき、そのときどのような事態が起きているだろうか?60秒ならどうだろう?水風船の大きさや各種条件や、もちろん、実験をする「環境」をも色々な状況下で想像したときに、どのようなことが・どのように生じるか答えなさい。

 あなたなら、どんな風に考え・どんな内容を答えるでしょう? 10秒とか50秒とか、色々な条件・環境下を具体的に考えてみた場合…ということは、そうそう簡単に答えることができるような話題ではなさそうな気がします。つまり、数字を挙げながら、「こういう場合はこのようなことがこういう量で生じる」という具合に説明できなければダメな感じの場なのです。

 さてさて、あなたなら、どんな「答え」を書くでしょう?ちょっと、単純そうで・実は奥深い面白い問題だと思いませんか…?(>>「続 水風船をライターの炎であぶると何が起こるか考える!?」を読む)

水風船をライターの炎であぶると何が起こるか考える!?






2010-06-24[n年前へ]

続 水風船をライターの炎であぶると何が起こるか考える!?  share on Tumblr 

 「水風船をライターの炎であぶると何が起こるか考える!?」の続きです。舞台となっているメーリングリストでは、その話題に花が咲き続けています。

 その話題が出てすぐに、トム・クルーズ似のハンサムなシミュレーション専門家が計算を行い、結果レポートをみんなに配ってくれました。それは、下図のイラスト(Copyright. トム・クルーズ)のようなモデルにもとづいた伝熱シミュレーション計算でした。水の潜熱や対流は無視したものですが、イラストを眺めるだけでも何だか楽しそうな雰囲気が伝わってきます。

その計算結果は、水風船を800℃の炎で熱し始めると、10秒後には水風船のゴムの外側は60℃で、水風船のゴムの内側は50℃になる、という結果でした。つまり、「ライターの炎で水風船を10秒あぶったとき」には、水風船は温かくなるけれども、風船が割れたりはしない、という結果でした。そして、ライターの炎で水風船を40秒あぶると、水風船ゴムの外側は120℃になり、ゴム内側に接している水部分は100℃に達する、という具合です。

 あるいはまた、とてもシンプルに、

 水の熱伝導率は樹脂と大差ありません。だから、水が対流しないと、すぐに100℃を超えてしまいそうですから、対流の効果は無視できそうにないですね。
 また、水風船のゴム境界における熱伝達係数をαとすれば、風船ゴムへの流入熱量qは炎の温度とゴムの温度差にαを掛けた程度で,もし、α=20[W/m^2/K]で炎が800℃強なら、qはおよそ16000[W/m^2]程度になりますね。これが風船を通過する熱流束ですから、風船の熱伝導率をλ,厚さhとすれば、ゴム外部表面と内側表面の温度差は ΔT=qh/λ より大きくはなることはありません。ですから、λ=0.16[W/m/K],h=200E-6[m]ならΔT=20℃で,水が100℃になっても表面温度は120℃止まりとなります。
という解説が、十年近く私たちに伝熱計算を教え続けている方からされたりしたわけです。

 そんな平穏が訪れたかのように思われた瞬間に、メーリングリストに一通のメールが流れたのでした。

 偶然、手元に水風船があったので、シミュレーション計算を信じてライターの炎であぶってみたら、20秒ほどで破裂してしまい、水浸しになりました…(泣)。部屋の中がずぶ濡れです…ひどい目に遭いましたorz。
 この衝撃的なメールをきっかけに、”トム・クルーズ似のハンサムなシミュレーション専門家”は、「え”~、シミュレーション計算なんてしなければよかった(--)」という、身もふたもない言葉を吐き、ちゃぶ台がひっくり返されて、どんな現象が起きているのかについてのさまざまな議論が始まり、仕事帰りに水風船を買って今夜は絶対実験をするぞ、という一派も生まれ…という具合に、何だかみんな”科学の実験と計算”に燃え始めているのです。

 こんな風に、口でなく、楽しそうに、手を動かし解析(数値)計算なり・実験なりを行っている人たちを見ると、何だかとてもうらやましく楽しくなりますね。…というわけで、この話題(も)まだまだ続きます。(>>「続々 水風船をライターの炎であぶると何が起こるか考える!?」を読む)

続 水風船をライターの炎であぶると何が起こるか考える!?






2010-06-25[n年前へ]

続々 水風船をライターの炎であぶると何が起こるか考える!?  share on Tumblr 

 「水風船をライターの炎であぶると何が起こるか考える!?」「続 水風船をライターの炎であぶると何が起こるか考える!?」の続きです。

 水で満たされている水風船がある。その水風船を下からライターの炎で火が広く当たるようにあぶってみることにする。ライターの炎で水風船を10秒あぶったとき、そのときどのような事態が起きているだろうか?60秒ならどうだろう?水風船の大きさや各種条件や、もちろん、実験をする「環境」をも色々な状況下で想像したときに、どのようなことが・どのように生じるか答えなさい。
という問題が出され、それに対してシミュレーション技術に通じた講師陣が(何しろすでに7年連続で表計算ソフトを使った各種シミュレーション実習講習会を続けている方々ですから)、すぐさま手を動かし答えを出したと思いきや、その講師陣の一人がさらに手を動かして、
 偶然、手元に水風船があったので、シミュレーション計算を信じてライターの炎であぶってみたら、20秒ほどで破裂してしまい、水浸しになりました… (泣)。部屋の中がずぶ濡れです…ひどい目に遭いましたorz。
と、シミュレーション計算に反する実験結果を提出したのでした。

 そこで、「燃焼反応が起きているときに、伝熱問題として解けるのか?」とか「熱伝達だけでなく、輻射熱も考えなければいけないかもしれない」とか、「高温微小粒子がゴム表面に接触したかもしれない」「昇温で加硫が進み変性しているかもしれない」とか、ケンケンガクガクとさまざまな可能性が提出され、口から唾が飛び、灰皿が飛び交う状態になったのです。

 どうやら、材料状態や実験過程に依存するところも多そうだ、と思えてきたので、私も(100円ショップで必要な材料を買い)追試実験をしてみることにしました。その実験の様子を撮影したのが、下に張り付けた動画になります。夜の林の中で炎を灯し、その上に綺麗に透けて見える風船をかかげてみたので、ただただ眺めるだけでも面白く幻想的な映像になっていると思います。(もちろん、口だけで何かの可能性を言う人はひとりもおらず、みな数字を挙げつつ定量的な話をしているわけです。

 私が行ってみた実験では、風船が割れることはありませんでした。炎を華やかに大きく広げるパーティーキャンドルで水が入った風船を炙(あぶ)り続けたり、ライターで延々と水風船の下を熱し続けたのですが、水風船は割れず、また、水風船の下を触ってみても、40度にも達していないような感じでした。

 ただし、炎で炙(あぶ)り始めてから10秒後には、風船から水がにじみ始め、15秒後には風船にピンホールが空いたようで、水がその穴から飛び出し始めました。…とはいえ、風船が割れることはありませんでした。…ということは、材料の均質性の原因か、風船ゴム内に生じた気泡の原因か、けれど、応力集中で割れなかったことを考えると、他の考え忘れている要因に影響されているような…とまだまだ完全に理解するためには奥が深そうです。

 もうひとつ面白かったのは、パーティーキャンドルで風船を炙(あぶ)っていたときには、風船は綺麗なままでしたが、ライターで炙(あぶ)ったときには、風船の下側に煤(スス)がみるみるまに広がり付着していったことでした。ライターではガスを完全に燃焼させることができていないようです。

 さて、水風船を火であぶってみても、材料次第・条件次第でさまざまな現象が起きるようです。20秒ほどで風船が割れるときもあれば、何分も割れない場合もある。…ものごとは簡単にふつうの言葉で説明できるほど単純ではありませんし、かといって、正確に説明しきろうとしたら、もしかしたら、その説明を最後まで読んでくれる人はいないかもしれません。けれど、何はともあれ、手を動かし計算をしたり、手を動かして実験をしたりするその過程はとてもスリリングで楽しいものです。…というわけで、まだこのシリーズ(も)まだまだ続きます。(>>「水風船をライターの炎であぶると何が起こるか考える!? 第4回」を読む)

2010-06-26[n年前へ]

水風船をライターの炎であぶると何が起こるか考える!? 第4回  share on Tumblr 

 「続々 水風船をライターの炎であぶると何が起こるか考える!?」の続きです。実験に使った水を入れた風船を観察してみることにしました。風船の中に水が満ちていた時にはわかりませんでしたが、水がある程度抜けたときのようすを撮影してみたのが下の写真です。写真を眺めてみると、火に炙(あぶ)られていた部分が何だか伸びていることがわかります。横から見ると、その部分がプックリ膨らんだ姿になってしまっています。

 ということは、炎にあたっていた部分は、(実験している時にはわかりませんでしたが)熱せられる間に厚みが変わっていたようです。また、ススがついていない部分がヒトデのような形になっていますが、その(ススがついていない)ヒドデ模様の先端がピンホールになっていることが多いようにも見えます。ただし、これはそういう印象を受けるというだけで、確かではありません。応力集中し、薄くなっている部分に高温の微粒子か何かが付着して、ピンホールが生じたのでしょうか…?

 実験に使ったゴムは保存してありますから、顕微鏡で観察してみたり、ススの付着状況を観察したり、ススの付着状況とピンホールの位置関係など、証拠品をもとに「どんなことが起きているのか・どんなことが起きる可能性があるのか」について、まだまだ色々と確かめてみたり・その過程を考えてみたりしたい、と思います。

水風船をライターの炎であぶると何が起こるか考える!? 第4回水風船をライターの炎であぶると何が起こるか考える!? 第4回水風船をライターの炎であぶると何が起こるか考える!? 第4回水風船をライターの炎であぶると何が起こるか考える!? 第4回






2010-06-27[n年前へ]

水風船をライターの炎であぶると何が起こるか考える!? 第5回  share on Tumblr 

 「水風船をライターの炎であぶると何が起こるか考える!? 第4回」の続きです。今日は、「炎であぶると何が起こるか考える!?」中の解説、

 水の熱伝導率は樹脂と大差ありません。だから、水が対流しないと、すぐに100℃を超えてしまいそうですから、対流の効果は無視できそうにないですね。  また、水風船のゴム境界における熱伝達係数をαとすれば、風船ゴムへの流入熱量qは炎の温度とゴムの温度差にαを掛けた程度で,もし、 α=20[W/m^2/K]で炎が800℃強なら、qはおよそ16000[W/m^2]程度になりますね。これが風船を通過する熱流束ですから、風船の熱伝導率をλ,厚さhとすれば、ゴム外部表面と内側表面の温度差は ΔT=qh/λ より大きくはなることはありません。ですから、λ=0.16[W/m/K],h=200E-6[m]ならΔT=20℃で,水が100℃になっても表面温度は120℃止まりとなります。
に沿った解析計算を行うJavascriptフォームを作ってみました。各パラメータに適当な数値を入れて(最初に入力されているのが上旬的な値です)、「計算してみる(クリック)」ボタンを押せば、「横軸=風船ゴムの厚み、縦軸=ゴム風船の炎側表面の温度(℃)を計算して、表示します。計算を適当にはしょっている部分もありますが、大雑把な数値を算出することが目的ということで、ご容赦ください。

 ただ、この問題に関しては、色々な状況下における現象をすべて説明しようとするならば、ゴム内側にある水のミクロな状態・ゴム内部の均質性や・熱せられた材料の変形の話・そして炎から出る微粒子なども、さまざまな影響を与えているでしょうから、単純に説明するのは難しいかもしれませんね。


ゴム表面内側の水の温度[℃]:
炎の温度 [℃]:
風船のゴムの最大厚み[μm]:
ゴムの熱伝導率[W/m/K]:
ゴム境界における熱伝達係数[W/m^2 /K]:



水風船をライターの炎であぶると何が起こるか考える!? 第5回熱による水の動きを見る






2010-06-28[n年前へ]

デンマーク戦 本田のフリーキック弾道を眺めてみよう!?  share on Tumblr 

 ワールドカップ、デンマーク戦で本田圭佑が蹴った、ボールが無回転のまま打たれたフリーキックが話題になっていました。しかし、「ボールが強烈に落ちた」といった解説を聞きながらも、今ひとつ、そのボールがの落ち具合を実感することができませんでした。そこで、ビデオ映像をパノラマ合成し・その画像の中に存在するボールの位置を繋ぐことで、その本田圭佑のフリーキックの弾道を描き直してみることにしたのです。それが、下の画像です。パンされている画面を繋いでいるので、多少の歪は発生していますが、それでもどのような軌跡だったのか、ある程度知ることができます。

 なるほど、こういう具合にボールは進み、ゴールネットに突き刺さったのかと納得しました。ビデオ映像からボール弾道を解析する過程を経て、ようやく何だか納得できたような気持ちになることができたのです。

 先日、3Dテレビでサッカーの試合観戦をしました。なるほど立体的だなぁ、とは感じたのですが、だからといって、3Dテレビを欲しくなるほどの価値を感じることは、残念ながらできませんでした。

 けれど、映像を立体として撮影しているのであれば、選手の位置関係やボールの弾道を機械的に「3次元(時間も加えれば4次元でしょうか)解析」することもできそうに思えます。撮影映像に適切な処理をかけることで、ボールの3(4)次元的な動きをさまざまなアングルから眺めることができるなら、何だかそれはとても興味を惹かれる「眺めたいもの」だ、と感じたのでした。3次元撮影された映像を解析すれば、あるいはそれがたとえ2次元動画であったとしても、それらを解析すれば、もっと付加価値のある映像を提供すること・楽しむことができるのではないか、と思います。

デンマーク戦 本田フリーキックの弾道






2010-06-29[n年前へ]

「小さな風船」と「大きな風船」の圧力はどちらが高い!?  share on Tumblr 

 テレビを眺めていると、「空気で膨らんだ大きな風船」と「ほんの少し空気で膨らんだ風船」同士を繋いで、その後一体どうなるか、という問題をやっていました。こういう現象が起きることを、短い時間・言葉で説明するのは難しいだろうなとか、本当のところ欲しがられるのは、「理解するための苦しみ」でなく、「知識を増やしたかのようなお得感・心地良さ」なんだろう、とふと思いながら楽しく眺めていました。

ところで、この前からやっている一連の実験のために、風船がいくつか家にあったので、私もついでにやってみました。つまり、2つの 風船を、(ふくらます大きさは変えつつ)空気を入れたうえで、それらの口を繋いだら、その後一体どうなるかを確かめてみたわけです。…その答えは、小さく膨らんだ風船はさらに縮み、大きな風船はさらに膨らむ、という結果になりました。そして、その逆のことを起こさせようとすると、どれだけ困難な作業化は、四苦八苦する演者の腕を眺めれば想像できることと思います。

 さらに大きく膨らんだ風船を、力一杯押さえて小さくしようとしてみても、全然縮んでくれません。逆側に繋がれた一度縮んだ小さな風船はピクリとも大きくなってくれません。

 ところで、この「風船の力学」を解くためのカギは、これまでの本サイト"hirax.net"の記事にたくさん隠されているように思います。たとえば、「オッパイ星人の力学 第四回::(2001.01.13) バスト曲線方程式 編」のバスト曲線方程式に使われている”張力・曲率と圧力の関係”を示すラプラスの関係式や、「さらば、大艦巨砲主義。::(2003.10.19) 鍵はオトコのヤング率?」や「オッパイ星人の力学::(2000.06.29) 胸のヤング率編」記事中に出てくるヤングな状態…から遥かに離れた「ヤングでなくなった状態」といったものを考えれば、もしかしたら、何かのヒントが見えてくるかもしれません。

 そんなものが、何かしら見えてくれば幸いです。

2010-06-30[n年前へ]

水風船をライターの炎であぶると何が起こるか考える!? 第6回  share on Tumblr 

 「続々 水風船をライターの炎であぶると何が起こるか考える!?」で、水で満たされている風船を炎で炙(あぶ)ってみる実験をしました。実験をしたのは、そこに至るまでの長い(といっても短い時間でしたが)の盛り上がりがあって伝熱シミュレーション計算や解析計算など、予想大会がなされてきたからです。

 今日は、水が入った風船を炎で熱した時に、風船の底近くの水温度変化を計測した猛者が現れました。(シミュレーション計算の専門家なので)伝熱シミュレーション計算もした上で、今回は、さらに自ら実験もしてみたというカッコ良さです。こういった、口だけでなく実際に何かを提供する人のカッコ良さにはいつも憧れてしまいます。

 その(風呂に入りながら行われたという)実験結果を示したグラフが下に示したものになります。グラフの横軸は、炎で熱し始めてからの時間(秒)で、縦軸は風船の底近くの水温度(℃)になります。数値だけ見ると、「大体こんなものだろう」と思える温度変化になっています。前回の伝熱シミュレーション計算結果と結果が異なっているのは、前のシミュレーション計算では対流の影響を考慮していないことなどが大きな原因かもしれません。

 ところで、この実験をした後の風船を眺めてみると、「水風船をライターの炎であぶると何が起こるか考える!? 第4回」と同じようなススの付き方になっています。面白いものです。ちなみに、実験条件に関する情報としては「外気温は約30℃、加熱源はライターで、途中からゴムが焦げる臭いがしていた、風船は(株)タイガーゴム製(世界初、新素材天然ゴムにより、ゴムの材質が非常によくなりましたとの記述あり)」ということです。

水風船をライターの炎であぶると何が起こるか考える!? 第6回水風船をライターの炎であぶると何が起こるか考える!? 第6回水風船をライターの炎であぶると何が起こるか考える!? 第6回