2011-04-19[n年前へ]
■「空気」という「妖怪」
東京工業大学の学生たちに向けて、猪瀬直樹が行った「時代に流されずに生きる」ための授業内容をまとめたのが「空気と戦争 」です。最初の言葉は、「空気と戦争」中で引用されている「空気」の研究から。
『空気』とはまことに大きな絶対権をもった妖怪である。一種の『超能力」かもしれない。(中略)こうなると、統計も資料も分析も、またそれに類する科学的手段や論理的論証も、一切は無駄であって、そういうものをいかに精微に組み立てておいても、いざというときは、それらが一切消しとんで、すべてが『空気』に決定されることになるかも知れぬ。そして、「空気と戦争 」お中で書かれている、太平洋戦争に突入する理由ともなった「需給予測」「南方石油の取得見込み量」を作り上げた技術者が振り返る「悔恨」が、次のような言葉。
これならなんとか戦争をやれそうだ、ということをみなが納得しあうために数字を並べたようなものだった。赤字になって、これではとても無理という表をつくる雰囲気ではなかった。そうするよ、と決めるためには、そうかしようがないな、というプロセスがあって、じゃあこうなのだから納得しなくちゃな、という感じだった。
考えてみれば、石油のトータルな量だけで根拠を説明しているけど、中身はどのくらいが重油でどのくらいがガソリンなのかも詰めていない。しかも数字の根拠をロクに知らされていない企画院総裁が、天皇陛下の前でご説明されるわけですから、おかしなものです。
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