2009-03-31[n年前へ]
■上賀茂の山中で一人暮らす
京都の街中から近い上賀茂の山の中に、レンガで作られた中くらいの建物と、小さな木造の建屋があった。今、それらの建物が以前と同じようにあるとも思えないが、少なくとも以前はあった。近くには、第二次大戦後の砲台跡が残っていて、何だかずっと昔から何の変化もないような場所だった。
そこは、街並みからそれほど離れていないけれど、ちゃんとした道もなくなっていて、人が足を踏み入れるような場所ではなかったけれど、学生時代、実験をするために、よくその場所へ行った。急な藪道を、恐る恐る何度も上り下りした。不思議なことに、その場所は集中して思索にふけることができた、ような気がする。
そんな辺鄙な場所にある木造の家だけれど、これまでに何人もの人たちがその建物に住んでいたことがあると聞いた。元京大総長の尾池和夫も、その建物に数年の間、住んでいたと聞いた。水は雨水だけがたよりで、電気だけはある、そんな生活をしていた人たちの話を聞いて、とても驚いた。
あんな場所で一人暮らしていたら、ずいぶんと色々なことを考えそうな気もする。そして、何だか仙人のように悟りを開くことができそうにも思えてしまう。それくらい、上賀茂の山中で一人暮らしていた人たちの話を聞いて、とても感嘆してしまった。
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