2009-12-24[n年前へ]
■現実の物理現象速度を再現してしまうと、違和感のあるアニメになってしまう
画像電子学会研究会予稿 09-03-08 の栗田・青木「リアルバーチャリティー -映像の中のウソー」の中の「アニメーションの中では、現実の物理現象の速度をきちんと再現した映像は現実的に見えなくなってしまう」という話が面白かった。この予稿の内容は、コマーシャル用のアニメーション作成中に、アニメーションを作るプロでない人が感じた興味深かったことをまとめたものである。
木に積もった雪がドスンと落ちる様子や、温泉の湯気が立ち上るようすを実際に撮影し、それをコンピュータ・グラフィクスでアニメーションにしてみると、今一つ感覚と違うという。現実の物理現象速度を再現してしまうと、違和感のあるアニメになってしまうというのである。
現実の速度と同じ湯気では「湯気の動きが早すぎて、寒く感じてしまう」し、現実と同じ速度でドスンと落ちる雪は「遅すぎて、(登場人物が)驚くような感じにはできない」というのだ。つまり、現実とアニメの中での「速度感覚」というものは、何かしら異なっている、という。(自然とは異なる)非等時的なデフォルメがなければ、「自然なアニメーション」にはならない、というのである。
逆に、アニメーション世界の時間感覚を現実に持ち込んだらどう感じるものなのだろうか。もしかしたら、それは「現実よりもさらに現実的に見える世界」になっていたりするのだろうか。
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