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2016-03-28[n年前へ]

(他の硬貨ではダメだけど)100円玉を落とすと…チャンネルが変わる昭和のテレビジョンのナゾ!? 

 花見に行った先で若い学生さんと話していると、彼女のお父さん(どうやら1960年代後半生まれくらいらしい)が「昔のテレビは、近くで硬貨をじゃらじゃらと落とすとチャンネルが変わったものじゃ」と話していたという。しかも「そのリモコンを誤動作させることができる硬貨は、100円玉限定だった」と語っているらしい。…この不思議な話、探偵!ナイトスクープ的な謎を昨日(twitterで尋ねつつ)調べてみた。
 すると、まずわかったことは、そのテレビはおそらく昭和46年(1971)発売の三洋(サンヨー)が発売した超音波式リモコンの初代ズバコン(もしくは二代目)だろうということだった。三洋が出したTVリモコンたるズバコンは、特定周波数の超音波を頼りにリモート制御をするので誤動作が多く、発売されたもののいくつもの問題を起こした機種である。…なにしろ、”硬貨や鍵をチャラチャラさせる音などでもリモコンが勝手に動くなどという重大な欠陥が・・・その誤動作で切ったはずのテレビが留守中に勝手につき、加熱で火事になりかけたという苦情があった。これは国会でも取り上げられるほどの問題になった”というくらい、日本のワイドショーを賑わしたテレビ・リモコンなのである。

 初代ズバコンは右上写真のような感じの超アナログリモコンで、この機種は誤動作が非常に多く、およそ1年あまりで市場から消えたらしい。そして、三洋ズバコンの(次の写真のような)2代目は超音波を周波数変調することで誤動作を防いだはずだったが…誤動作をゼロにすることはできず(しかし結構売れたので)やはり誤動作に悩まれたらしい。

 問題は、なぜ「そのリモコンを誤動作させる硬貨は100円玉限定だった」と彼女のお父さんを振り返らせるに至ったか、だ。それは、純粋に物理的問題として考えるべきだろう。

 …当時は、500円玉なんて無い時代だから、1,5,10,50,100円玉くらいを考えれば良いだろう。すると、まず、アルミニウム製で(他の硬貨に比べて密度が数分の一程度と)低い1円玉では超音波発生量は、少ないだろうということがわかる。なぜかというと、固有振動周波数は(記憶が確かなら)大雑把には密度のルートに反比例するからだ。

 そして、残りの5,10,50,100円玉を考えると、銅にニッケルを混ぜた(あるいは時代的にはその前の使われていた、銀が入った)100円玉が一番密度が高い。つまり、銅に錫や亜鉛を混ぜた5円玉や10円玉より密度が高いし、同じ素材の50円玉よりは、穴が開いていない分だけ、低周波の(周期が長い)固有振動は生じにくそうに思える。…ということは、100円玉同士がぶつかる状態が一番超音波が発生するのが自然だろう…ということになる。

 という話をしていたら、iPhoneアプリで硬貨がぶつかった時の音波周波数分布を試し計測をしてくれた人がいる(右画像)。これは、超音波帯に決して感度はないiPhoneマイク(&回路)で解析した結果だけど、先入観100パーセントな目で見れば、100円玉は確かに高周波が多そうだと感じられてしまうデータでもある。

(他の硬貨ではダメだけど)100円玉を落とすと…チャンネルが変わる昭和のテレビジョンのナゾ!?(他の硬貨ではダメだけど)100円玉を落とすと…チャンネルが変わる昭和のテレビジョンのナゾ!?








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