2009-05-28[n年前へ]
■七味唐辛子の「普通サイズ」と「大サイズ」の穴径は同じ
S&Bの七味唐辛子には、「普通サイズ」の小瓶だけでなく、 「大サイズ」の瓶もある。右の写真のように、瓶のサイズはずいぶん違うけれども、七味唐辛子が出てくる穴の径は実は同じだ。ためしに、計ってみると、両方とも、つまり、「普通サイズ」も「大サイズ」も、穴の直径は5mmほどである。
瓶の大きさが違うのに、穴の大きさが同じだと、「大サイズ」の七味唐辛子瓶からは、普通サイズの瓶よりたくさんの七味唐辛子が飛び出てきてしまいそうな気がする。たとえば、これが、水を入れた瓶ならば、穴から出てくる液体の量は液体の深さ(高さ)に比例する。それは、液体圧が液体の深さに比例して増加するからである。だから、(少なくとも買った直後の状態ならば、普通サイズの瓶よりも(液体の深さが大きい)大きな瓶の方が、穴から出てくる液体の量が多い。
しかし、瓶の中身が粉体だと、そういうわけにはいかない。粉黛の場合には、粉体圧は深さには比例しないのである。それは、粉体どうし間や粉体と壁面間に摩擦力が働くためである。そうした結果、穴の周りで粒子が詰まるため、結局のところ、穴から出てくる粉体の量は、粉体の量とは無関係に、穴の大きさ(と粉体の密度)で表されることになる。たとえば、穴から出てくる粒子(=七味唐辛子)は穴の大きさの3乗弱くらいに比例した量になる、という具合である。
つまり、七味唐辛子の「普通サイズ」と「大サイズ」の穴径の大きさが同じなら、その二つの瓶から(一振りあたりに)出てくる七味唐辛子の量は同じになる。逆にいえば、大きいから瓶を一回振れば、たくさんの七味唐辛子が出てくるかというとそういうわけでないのである。
香辛料大好きな人が、香辛料の瓶を選ぶ時には、瓶の穴径をじっくり眺めてみると良い。そして、関数電卓でその3乗根を計算してみるのが、科学的な「香辛料入れ」の選び方、なのである。