2008-01-16[n年前へ]
■「七味唐辛子」を見てみよう
七味唐辛子には、麻の実や芥子の実が入っている。学生時代、「七味唐辛子を買って、楊枝で実を集めタバコに詰めて吸うとトリップできる」という話を聞いたことがある。トリップできると言っても、どの七味唐辛子でもOKというわけではなく「○×」という商品でないとダメだ、などと妙に具体的なウワサだった。
それはさておき、七味唐辛子をきちんと眺めたことはないような気がする…と思い、七味唐辛子を拡大して眺めてみた。拡大写真を撮ってみると、麻の実の周りに、細かく砕かれた赤唐辛子や黒ゴマがたくさん付いている。素人目にも、「七味」の分散状態は実に均等であるように見える。
ところで、この写真はS&Bの「七味唐辛子」だ。じっくり眺めているうちに、この七味は赤唐辛子の量がとても多いような気がしてきた。今度、他の七味唐辛子も拡大して眺めてみることにしよう。
2008-01-17[n年前へ]
■老舗「七味家」の七味唐辛子を見てみよう
七味唐辛子の「七味」といっても、その七種類の原料には色々あるらしい。そこで、今日は明暦年間に創業されたという、京都・清水寺門前の老舗「七味家」の七味唐辛子をじっくり見てみた。すると、ずいぶんと色合いも内容も違うような気がする。赤というより薄緑がかった茶色で、S&Bの「七味唐辛子」と比べると、実に山椒の味が強い。舌にピリピリくる。
七味家の七味唐辛子ならうなぎにふりかけても、とても美味しそうだ。けれど、関東の鉄道ホームの立ち食いそばに振りかけるには、物足りないような気がする。他の七味唐辛子は一体どんな原料で、どんな味や香りなんだろうか。
2009-05-11[n年前へ]
■七味唐辛子イリュージョン
よく見かけるS&Bの「七味唐辛子」の瓶のサイズは、実はひとつではありません。たとえば、下に張り付けた動画は、最初は、同じ「七味唐辛子」の瓶がふたつ並んでいるように見えますが、実はそうではないのです。大きなつづらと小さなつづら・・・じゃなくて、小さな七味唐辛子の瓶と大きな七味唐辛子の瓶が並んでいるようすを、方向を変え・便の位置を変え、撮影した動画です。
瓶の大きさと距離感は決してイコールではないのにも関わらず、私たちの脳はそれをあまりに単純化して感じてしまい、「瓶の大きさ」が等しければ「等しい距離に同じ大きさのものがあるものだ」と勘違いしてしまいがちです。・・・少なくとも、私の視覚と脳には、そういう傾向があるように思います。
上野例は、七味の瓶が二つだけの構図を撮影したものですが、サイズの異なる「七味唐辛子」の瓶が、微妙な配置で並んでいるようすを撮影したら、きっと絶妙なイリュージョン・錯覚動画を作り出すことができるような気がします。異なるサイズの七味唐辛子の瓶を使い、楽しくて・不思議で、そして心惹かれるイリュージョンを作ることができるに違いない・きっとそれはとても面白いに違いない、とふと感じた今朝の午前3時過ぎ、です。
2009-05-28[n年前へ]
■七味唐辛子の「普通サイズ」と「大サイズ」の穴径は同じ
S&Bの七味唐辛子には、「普通サイズ」の小瓶だけでなく、 「大サイズ」の瓶もある。右の写真のように、瓶のサイズはずいぶん違うけれども、七味唐辛子が出てくる穴の径は実は同じだ。ためしに、計ってみると、両方とも、つまり、「普通サイズ」も「大サイズ」も、穴の直径は5mmほどである。
瓶の大きさが違うのに、穴の大きさが同じだと、「大サイズ」の七味唐辛子瓶からは、普通サイズの瓶よりたくさんの七味唐辛子が飛び出てきてしまいそうな気がする。たとえば、これが、水を入れた瓶ならば、穴から出てくる液体の量は液体の深さ(高さ)に比例する。それは、液体圧が液体の深さに比例して増加するからである。だから、(少なくとも買った直後の状態ならば、普通サイズの瓶よりも(液体の深さが大きい)大きな瓶の方が、穴から出てくる液体の量が多い。
しかし、瓶の中身が粉体だと、そういうわけにはいかない。粉黛の場合には、粉体圧は深さには比例しないのである。それは、粉体どうし間や粉体と壁面間に摩擦力が働くためである。そうした結果、穴の周りで粒子が詰まるため、結局のところ、穴から出てくる粉体の量は、粉体の量とは無関係に、穴の大きさ(と粉体の密度)で表されることになる。たとえば、穴から出てくる粒子(=七味唐辛子)は穴の大きさの3乗弱くらいに比例した量になる、という具合である。
つまり、七味唐辛子の「普通サイズ」と「大サイズ」の穴径の大きさが同じなら、その二つの瓶から(一振りあたりに)出てくる七味唐辛子の量は同じになる。逆にいえば、大きいから瓶を一回振れば、たくさんの七味唐辛子が出てくるかというとそういうわけでないのである。
香辛料大好きな人が、香辛料の瓶を選ぶ時には、瓶の穴径をじっくり眺めてみると良い。そして、関数電卓でその3乗根を計算してみるのが、科学的な「香辛料入れ」の選び方、なのである。
2010-11-07[n年前へ]
■使い切る寸前の七味唐辛子を使うと韓国鍋風味になる理由!?
日本食で確かめる「ブラジル・ナッツ現象」Part.2
大きさや形状などが異なる粒を混ぜ、シャカシャカシャカシャカ振り混ぜたりすると、粒が分離して同じ種類の粒どうしが集まります。そんな現象のひとつが"Brazil-nut Effect"(ブラジル・ナッツ効果)です。
ブラジル・ナッツ効果とまでは言えないにしても、極端な例を出すならば、たとえばポテトチップスの袋を覗いてみれば、ポテトチップスが割れて小さくなった小片チップスが、袋の下の方に貯まっているものです。その一方で、大きなポテトチップスは上の方にあるものです。そんなことは当たり前と言えば当たり前かもしれませんが、こんな風に大きさや形状などが異なる個体同士が分離してしまうということは頻繁に生じます。
そんなことに関する雑談をしている中で、「そういえば、七味唐辛子もラストの方は細かく赤い唐辛子の粉末だけになる」という話題になりました。七味唐辛子容器から七味唐辛子をパッパッと食べ物に振りかけて、その容器を元の位置に戻すたびに(容器の)下の方に細かい粉末ばかりが残り、その結果、大きな粒が先に使われてしまうだろう、というのです。そして、さらには「七味唐辛子もラストの方は細かく赤い唐辛子の粉末だけになる」ために、使い切る寸前の七味唐辛子を使うと韓国鍋風味になる、というわけです。
七味唐辛子も日本食の代表的な調味料のひとつです。日本食で確かめる「ブラジル・ナッツ現象」を考えるなら、柿ピーだけでなく七味唐辛子も必須のような気がします。S&Bの七味唐辛子容器をシャカシャカ振って、上下ひっくり返してみたりして、容器中の香辛料がどんな分布になるかを調べてみると面白いかもしれません。
ちなみに、私愛用のジャンボサイズ七味唐辛子の容器を眺めてみると、容器の下の方には赤朱色の唐辛子粉末ばかりが集まっていました。・・・少なくとも、この使い切る寸前の七味唐辛子を使うと、どんな料理でも韓国鍋風味の食卓になってしまいそうな感じです。・・・あなたの食卓にある調味料の容器を眺めてみてください。そして、その中にどんな風に調味料が詰まっているかを確かめてみるのも、きっと面白いと思います。
あなたの手元にあるコショウや七味唐辛子や山椒は・・・一体どんな残り方をしていますか?