■立体音感を考える
バーチャルサウンドソフトウェアを作ってみよう
立体感というものには何故か強く心惹かれるものがある。まして、それが人工的な立体感であるならば、なおさらである。それは、画像・映像であっても、音であっても同じだ。色覚なども同様なのだが、人間の感覚というものを人間自身の技術により再現できたりするのが、実に面白い。
何より、自分が実感できるというのが良い。結果を自分で感じることができるというのは、素晴らしいと思う。よくソフト技術者などで、「もう少し目に見えるものが作りたい」という人がいるが、それと同じである。
小・中学校などでも実感できる教材や授業というのがあれば素晴らしいと思う。最近のWEBを眺めていると、そういう先生方のグループも多いようだ。そういう先生は「えらいなぁ」とつくづく思う。今の学校の先生は、そういうことをすればするほど、仕事としては時間単価が下がってしまうのだろう。それでも、そういった先生方は、きっとそういうことは気にしてはいられないのだろう。ホントにエライ。
さて、立体感を実現するソフトであるが、そういった技術には色々なモノがある。音響の立体感の実現を目指す技術に関しても、古くから数多い技術がある。そういったものを追求しているWEBも多々あり、
「今日の必ずトクする一言(http://www.tomoya.com/)」の
- 山本式スーパーバイノーラルコンペンセーターのナゾ(その2、ソースを考える編)
- http://www.bekkoame.ne.jp/~jh6bha/higa9810.html#981013
- 山本式スーパーバイノーラルコンペンセーターのナゾ
- http://www.bekkoame.ne.jp/~jh6bha/higa9810.html#981008
- 山本式バーチャルサウンドシステムのナゾその2(原理解説編)
- http://www.bekkoame.ne.jp/~jh6bha/higa9804.html#980421
- 山本式バーチャルサウンドシステム(PATPEND.)のナゾ
- http://www.bekkoame.ne.jp/~jh6bha/higa9803.html#980307
また、そういったものを実現しようとする製品は昔から掃いて捨てるほどある。最近の製品では、
- ヤマハ、スピーカー間隔0でステレオ音場を実現するLSI
- http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/990122/yamaha.htm
- ヤマハ デジタルオーディオ用LSI『YSS901』
- http://www.yamaha.co.jp/news/99012101.html
私も出張などで新幹線などに乗っている際には、E-500などでヘッドホンで音楽を聴いていることが多い。そういう時には、先の「山本式スーパーバイノーラルコンペンセーター」などが欲しくなり、音の立体感などについて色々と考えてしまう。必要に迫られているせいか、立体音感については、私もとても興味を惹かれるのである。
というわけで、「できるかな?」でも立体音響について考えてみたいと思う。といっても、考えるだけでは面白くない。それに「ナントカの考え休むに至り」ともいう。私が考えるだけでは、何にもならないし、しょうがない。色々と実験をして遊んでみたい。
そのために、まずはいくつかの道具を作ってみることにした。
今回、作成するのは、山本式バーチャルサウンドシステムソフトウェア(名付けてYVSSS。略称が長いので、以降YVS3と称することにする。)である。先の「今日の必ずトクする一言(http://www.tomoya.com/)」の一連の話しに出てくるそれである。スピーカーマトリックスの程度を小さくしたものである。
バーチャルサウンドシステムソフトウェアというと仰々しいし、ものすごいソフトウェアに思えるかもしれないが、実はそんな大したモノではない。それどころか、実に簡単なモノである。実際には、Waveファイルを開いて、そのファイルの左チャンネル(L)、右チャンネル(R)に対して、
- R'= R - 1/3L
- L'= L - 1/3R
ここに、今回作成したソフトを置いておく。いつものことであるが、完成度はアルファ版以下である。
使い方を示しておく。まず、下が動作画面である。水平方向にスライダーがあるが、チャンネル同士の演算の係数を決めるものである。左端が0%であり、右端が100%である。
すなわち、スライダーが左端であれば、
- R'= R - 0 L = R
- L'= L- 0 R = L
- R'= R - L
- L'= L- R
Load_Convertボタンを押して、WAVファイルを選択し、変換することができる。その際、オリジナルのファイルは"*.org"という名前で保存される。
さて、このソフトを使って、
- 種ともこのアルバム「感傷」から「はい、チーズ!」
- THE POLICEのLive at the "Omni" Atlanta, Georgia During 1983 U.S.A Tourから"SoLonely"
試聴のやりかたは、Cd2wav32.exeを使い、CDからWAVファイルにする。そして、WaveMixPro(YVS3)を使って、バーチャルサウンドシステム構築する。そして、それをヘッドホーンで試聴するわけだ。適当にチャンネル同士の演算の係数を変化させ、聴いてみた。果たして、立体感は増しているか?
さて、試聴した結果であるが、「うーん。」という感じだ。
係数を大きくすると、まるで「カラオケ製造器」である。ボーカルが消えるだけである。しかも、聴衆が頭の真ん中に居座っているような感じである。つまり、立体感がむしろなくなってしまっている。「何故、オマエらはオレの頭の真ん中で拍手をするのだ」、と言いたくなる。頭が変になりそうである。
かといって、小さいとよく違いがわからない。困ったものである。
さてさて、まだまだ第一回目ではあるが、前途多難の気配であるのが心配なところだ。