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2009-11-15[n年前へ]

樹の下のテントに暮らす 

 春の終わりに京都大学に行き、夕方過ぎの時計台の下で、カフェの窓際の席に座りワインを飲みつつ食事をした。少し不思議な繋がりを持ち合う3人の人と会い、そして、数時間多岐にわたる話をした後に別れた。たぶん、もう会う機会も時間もないのだろうな…とわかる、そんな不思議で珍しい集まりだった。ある先生がこれまでの研究生活を振り返り、自分が教えた学生のうちある3人を呼び寄せた、というものだった。一人は、理学部を経て経済学部へ転身した人で、一人はカメラマンを経てベンチャー企業の社長へ転身した人で、もう一人は、中途半端を画に描いたようなやつである。

 その時、食事を共にした人たちに対して失礼にあたるくらい、私は窓の外を何度も何度も眺めていた。それは、夕暮れに映える時計台前の樹がとても綺麗だったことと、その夕日に照らされた木の下にテントが張られ・(多分)立て看板が存在感を主張していたからだ。その時は、「あぁ、懐かしい景色・文化だなぁ」とただ感じながら、眺めていたような気がする。あまりに綺麗で、そして懐かしくて、夕暮れの木の下にカメラ向け、シャッターを押したようにも思う。

   水月昭道「アカデミア・サバイバル―「高学歴ワーキングプア」から抜け出す (中公新書ラクレ) 」を読んでいて、それが「首切り職員村」「くびくびアイランド」「くびくびカフェ」というものだったと知った。確かに、東大路通り沿いにも、そんな立て看があったような気もする。

 今は、あのテントはどう姿を変えているのだろうか。一度、あの「竜宮城」(に思える吉田寮)に住んだことのある人たちが過ごしているというあの小屋は、今はどうなっているのだろう。



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