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2009-11-30[n年前へ]

ああ、あんなことを言ってしまった、してしまった。 

 何か気になったものがあれば、そのことに関する本を手に入る限り読むことにしている。だから、たとえば、向田邦子に関する本は、たぶん、すべて読んでいる。

ああ、あんなことを言ってしまった、してしまった。

 何度目になるだろうか、「男どき女どき (新潮文庫) 」を読み返す。「男どき女どき」は、前半の小説でなく、後半のエッセイが良い。

私は、自分の中にこういう要素があることを知っていました。

 彼女が書く本を読んでいると、言葉をそのまま読むのでなく、一人部屋で万年筆を走らせる姿を想像しながら読んでしまう。たとえば本書中の「独りを慎む」を読むのなら、そこに出てくるさまざまなモチーフ、たとえば、ここにこの話になぜわざわざ車の事故をも紛れ込ませたのだろう、などと思い悩んでしまう。

人が見ていないと、してはいけないことをしようとしてしまう癖です。

 書かれたことを、言葉どおりに受け取ってはいけない。けれど、書こうとした思いはそのまま受け取る。それが、こういう随筆の読み方のひとつかもしれない。



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