hirax.net::Keywords::「短所」のブログ



2010-08-10[n年前へ]

「自分」の「長所」と「短所」 

 塩野入忠雄 「昭和の流痕-信州の一教師の哀歓-」 から。

 「自分を実際と違うように見せかけようとする時ほど、人間がこっけいに見えることはない」という言葉がある。外見だけを美しく見せかけようとする努力や、虎の威を借りた狐のように背後の力を借りて威張ってみたり、虚栄や虚勢は、ただ自分を粗末にする何ものでもない。
 誰にも長所がある。誰にも短所がある。(中略)数学ができる人、美術や音楽が好きな人、あるいはスポーツに秀でた人、誰よりも努力をおそれない人、みなそれはその人の長所である。お互いその長所を大事にしようではないか。
 しかし、いたずらに君自身の長所の喜びにおぼれてはいけない。自分の長所や一時の成功に自慢する時は、それはすでに長所ではなく短所となる。自慢やうぬぼれは成長の行き止まりである。自分を愛する者は、それを外に誇るのでなく、内に大事に抱いて、さらにそれを育てる努力を重ねる人である。

2012-01-12[n年前へ]

日本人、ことに知識階級の人々が持つ「バイアス」 

 昭和6年10月「中央公論」に書かれた寺田寅彦の文章から。

 日本人、ことに知識階級の人々の中には、とかく同胞人の業績に対して、その短所のみを拡大し、外国人のものに対しては、その長所のみを強調したがるような傾向を持つものがないとは言われない。そうして、かなりつまらない西洋の新しいものをひどく感嘆し崇拝して、それと同じあるいはずっとすぐれたものが、ずっと古くから日本にあっても、それは問題にしないような例は往々ある。



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