hirax.net::Keywords::「遠藤健治」のブログ



2010-04-07[n年前へ]

中国名産「コピー商品」のヒミツ 

 前に、「純正A-bike より 8インチ空気タイヤ版 A-bicycle の方が断然イイ!の不思議」で、「(パッチモン=コピー商品の)8インチ空気タイヤ版 A-bicycle はさまざまな部分で改善がされていて、純正品A-bikeより(現時点では)遥かに"良い移動道具"になっている」と書きました。その時に感じたこと・その時コピー商品って面白いな、と感じたことを、遠藤健治の「中国コピー商品対抗記 (日経ものづくりの本) 」を読んでいて、思いだしました。

 コピー商品の中には、オリジナルの真正品をそっくりそのまま模倣したものだけでなく、そこに造り手のいろいろな意思や、考え、工夫が盛り込まれたものもあるからです。
 中国でコピー商品を作るたくさんのメーカが、どのようにVE(Value Engineering)を行い、どのように、(開発費や金型や工場建設費をすでに回収しきった)真正品メーカーよりも、必要な性能をできる限り落とさずに、どのように低価格を実現するかといったことや、純正品の足りないところ、たとえば、価格が高いとか、機能が今一つ足りない、といった点をいかに補い魅力的な商品を作りだすための努力を行っているかということが、この本には書かれています。
コピーメーカーは作業性よりも、とにかく低コストになる設計を重視するのです。人件費が低い中国では、作業の効率が多少落ちたとしても、コストが下がるのであれば躊躇せずに部品を削り、その分、人手でカバーする方法を採ることがわかりました。
 上の文は、そのほんの一例ですが、こんな例が具体的にたくさん書かれていて、「あぁ、なるほどそういうことなのか」と今更ながらに実感させられたのです。

 「(パッチモン=コピー商品の)8インチ空気タイヤ版 A-bicycle はさまざまな部分で改善がされていて、純正品A-bikeより(現時点では)遥かに"良い移動道具"になっている」は、たとえば、こんな感じの良い例です。

 まず、コピー商品メーカーは、真正品メーカーの手の届かないところや、企業努力が足りずにつくれなかった市場を見つけ出すことに長けており、その「見えない市場」にコピー商品を投入して市場を開拓すること。
 そして、将来、現在はコピー商品を作っている中国メーカーが、いつかオリジナルの製品を作り、世界を席巻する日を身近に感じたのです。
 もう一つは、コピー商品そのものよりも、それで荒稼ぎした利益を再投資するコピー商品メーカーの方が、真正品メーカーにとって脅威であり得るということ。



■Powered by yagm.net