■音階を勉強する
単音シンセサイザーをつくる
今回は、音階そのものについて勉強をしてみる。世の中には色々な音階がある。いわゆる12音階の中でも、純正調、平均率などいろいろある。12音階でないものもある。どのような音階があって、それぞれどのような音程になっているのか調べてみたい。といっても、まずは7音音階、すなわち、ダイアトニックスケールだけを考える。
参考文献は手元にあった、「音楽の不思議」 別宮貞雄 著 音楽之友社である。なお、江尻氏の音律周波数表、音律について、音律実験(http://www.tg.rim.or.jp/~ejiri/)では色々な音階についての情報を知ることができる。5音階、すなわち、ペンタトニックスケールについての情報もある。同様なWEBサイトととしては「調律法ききくらべのページ」(http://www.top.or.jp/~murashin/index.htm)がある。ARATA氏の「MIDIで古典調律を」(http://www.nifty.ne.jp/forum/fmidicla/htmls/kotenj.html)にもかなりの情報がある。
ここでは、簡単にピタゴラス音階、ツァルリーノ音階(純正調音階)、12平均率だけを考える。
まずは、ピタゴラス音階を作る。Aという基準音を作る。その音に対して振動数が3/2倍の音をEとする。更に、Eに対して振動数が3/2倍の音をBとする。また、Aの振動数に対して、3/2倍の音をDとし、Dの4/3倍の音をGとする。そして、CGの3/2倍の音をCとする。最後に、Cの4/3倍の音をFとする。
各音の倍、あるいは1/2の音のオクターブ違いの音を考えると、結果としてC,D,E,F,G,A,Bのダイアトニックの7音音階ができあがる。このピタゴラス音階は旋律が良く響くという性質がある。よく響くという言い方は誤解を生じるかもしれない。「うまく旋律がおさまる」といった方がいいかもしれない。
D/C | E/D | F/E | G/F | A/G | B/A | C/B | |
ピタゴラス音階 | 9/8 | 9/8 | 256/243 | 9/8 | 9/8 | 9/8 | 256/243 |
ツァルリーノ音階(純正調音階) | 9/8 | 10/9 | 16/15 | 9/8 | 10/9 | 9/8 | 16/15 |
12平均率 | 2^(2/12) | 2^(2/12) | 2^(1/12) | 2^(2/12) | 2^(2/12) | 2^(2/12) | 2^(1/12) |
次に、ツァルリーノ音階(純正調音階)は、各音の間の振動数の比を見てもわかるように、和音はよく響く。しかし、旋律として聞いた場合には、必ずしも良いわけではない。しかも、転調はできない。現在、一番使われている12平均率は振動数比をみてもわかるように必ずしも、和音の響きが良いわけではない。しかし、周波数を見てもわかるようにピタゴラス音階とツァルリーノ音階(純正調音階)の中ほどであり、和音の響き、旋律どちらも悪いわけではない。
ただし、1曲の中で厳密に音階が同じというわけでもないらしい。プロの弦楽四重奏などでの演奏では、必ずしも12平均率でなく、曲の中でも意識して音程を変えるという話だ。
また、ツァルリーノ音階(純正調音階)用に曲を作って聞いてみても、それほど良くなるとは思えない。確かにきれいに響くのだが、(私の感じでは)それだけなのである。
セントで表したものも示す。セントは基準音の振動数Nに対して、振動数Mである音を、1200x log_2(M/N) と表す単位である。 セントで表せば、12平均率は当然きりのいい数字になる。
C | D | E | F | G | A | B | C | |
ピタゴラス音階 | 0 | 204 | 408 | 498 | 702 | 906 | 1110 | 1200 |
ツァルリーノ音階(純正調音階) | 0 | 204 | 386 | 498 | 702 | 884 | 1088 | 1200 |
12平均率 | 0 | 200 | 400 | 500 | 700 | 900 | 1000 | 1200 |
音階についてあまり長々と考えてもきりがないので、ひとまずここまでにしておく。なにしろ、奥が深すぎる。最後に各音階の周波数表を示す。なお、Cの音はいずれも440Hzにしてある。ここでいうCは音名ではない、階名である。つまり、絶対的な音の高さを示すもの(音名)でなくて、相対的な音の高さを示すもの(階名)である。むしろ、よく使われるドと言ったほうが良いかもしれない。「Aをドにして歌ってみよう」という時の「ド」である。ところで、ドレミファソラシドの語源はどこにあるのだろう?SoundOfMusicがdoeの歌のイメージから"do a dear ..."と鼻歌を歌うことはあるが、語源は一体?次の宿題にしたいと思う。
さて、使用した周波数は全て江尻氏の音律周波数表、音律について、音律実験 (http://www.tg.rim.or.jp/~ejiri/)に記載されていたセントから最初の音を440Hzとし、周波数に変換してある。
Hz | C | D | E | F | G | A | H | C | |||||||||
平均率 12Equal | 440 | 494 | 554 | 587 | 659 | 740 | 831 | 880 | |||||||||
純正律 Pure(5-3) | 440 | 495 | 550 | 587 | 660 | 733 | 825 | 880 | |||||||||
純正律 Pure(5-3)' | 440 | 495 | 550 | 594 | 660 | 743 | 825 | 880 | |||||||||
純正律 PureQ-39(3-5) | 440 | 489 | 550 | 587 | 652 | 733 | 815 | 880 | |||||||||
純正律 PureT-71(5-3b) | 440 | 495 | 570 | 594 | 660 | 760 | 855 | 880 | |||||||||
メルセンヌ純正律 | 440 | 495 | 550 | 587 | 660 | 733 | 825 | 880 | |||||||||
ピタゴラス律 | 440 | 495 | 557 | 587 | 660 | 743 | 835 | 880 | |||||||||
中全音律 | 440 | 492 | 550 | 588 | 658 | 736 | 822 | 880 | |||||||||
キルンベルガー 第2 | 440 | 495 | 550 | 587 | 660 | 738 | 825 | 880 | |||||||||
キルンベルガー 第3 | 440 | 492 | 550 | 587 | 658 | 736 | 825 | 880 | |||||||||
キルン-ヴェルク | 440 | 492 | 552 | 587 | 658 | 736 | 828 | 880 | |||||||||
ヴェルク 第1技法第3番 | 440 | 492 | 551 | 587 | 658 | 735 | 827 | 880 | |||||||||
ヴェルクマイスター 第3' | 440 | 495 | 553 | 589 | 660 | 740 | 830 | 880 | |||||||||
ラモー | 440 | 492 | 550 | 588 | 658 | 736 | 822 | 880 | |||||||||
ヴァロッティ-ヤング | 440 | 493 | 552 | 588 | 659 | 737 | 826 | 880 | |||||||||
ヤング 第2 | 440 | 493 | 552 | 587 | 659 | 737 | 826 | 880 | |||||||||
43平均律 | 440 | 493 | 551 | 588 | 658 | 737 | 825 | 880 | |||||||||
53平均律 | 440 | 495 | 550 | 587 | 660 | 733 | 824 | 880 |
National InstrumentsのLabViewのExample例の中でWindows環境でSoundを入出力するViがあったのでこれを利用する。また、その使用例としてプッシュホンの発信音を出力するものがあった。これを適当にいじって作ってみる。今回は簡単のために単音のみの出力である。いずれ、もうすこしちゃんとしたものを作ってみたい。
作成したアプリケーションをここにおいておく。
Onkai.lzh 1,176kB(配布終了です。)
LabViewのライセンス上、ダウンロード数が50近くになったら削除する。(配布終了です。)
まずは、赤丸部分のボタンを押して実行モードにする。 |
このように色々な音階を 選ぶことが出来る。 |