■A3用紙の広さの世界
Mosaicism
ここ数年、毎日色々な画像をプリントアウトする日が続いている。本当のことを言えば、そんな毎日に時々は飽きたりもするのだけれど、そんな風に思う時間がそんなに長いわけではなくて、結構そんな毎日が好きなのもまた事実だ。
そんな毎日なので、CRTをみながら画像を編集・加工したりする作業をすることも頻繁にある。仕事柄、割に大きな画像を処理していることも多くて、例えば最近はA3用紙程の大きさの画像をせっせと加工したり出力したりしている。しかも、単にサイズが大きいだけではなくて、解像度も高い時には4800dpi程とかなりの高解像度で作業をすることもある。A3用紙で4800dpiともなると、8000x 57000 = 46億 pixel 程になるので、いくら速いPC(WS)でもやはり処理待ちの時間があまりに長くなってしまい、モニタの前でぼんやりとしてしまうことも多い。少し前、やはりそんな作業をしている時に、モニタの前でおかしなことを考えていた。
今眺めている画像の中に含まれている46億 pixelというとほんの少し前の地球の人口くらいだろう。今の地球の人口は60億人強くらいだろうが、数としてはやっぱりそれほど違わないように思う。つまりは、A3用紙を4800dpiで出力する時には、地球の全人口に近いくらいの点がA3用紙の広さの世界に塗り込められていることになる。それはまるで、A3用紙の広さの世界に、地球上の人間一人一人がそれぞれの色を出しながら立っているのと同じようなものかもしれない。なんてそんな風に考えてしまったのである。ほんの小さなA3用紙の中に、地球上の人間全員で描くモザイク画を想像してしまったのである。
だけど、「地球上の人間全員で描くモザイク画」の中では一人のドットは遥かに小さくて、4800dpiの小さなドットはの情報なんか消えてしまって、やっぱりそんなA3用紙の中に立つ一人一人は見えないのだろうか、とも冷静に考えたのだけれど、やっぱりそれは違ことに気づいた。
何しろ、その「地球上の人間全員で描くモザイク画」をよくあるプリンターなどの600dpi程度の解像度に縮小してみたところで、元のごく小さな4800dpiの1ドットの情報が消えてしまうわけではない。600dpiは4800dpiの1/8ということで、4800dpiの8x8=64ドットが600dpi1ドットに縮小されることになる。4800dpiの1ドットの本来の色が64分の1の薄さにはなるけれど、それでもそんなちっちゃな点の情報もちゃんと残っている。だから、A3用紙の広さの画像を虫眼鏡で眺めてみれば、そんな狭い世界の中にでも、やっぱり地球上の人一人一人そのものが点描となって描かれているモザイク画が見えるのかな、とか考えたりした。