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2007-12-11[n年前へ]

豚もおだてりゃ木に登る 

 東インド会社で働いていたジョン・スチュアート・ミル、経済学者として知られているミルの言葉で有名なものが、「満足した豚であるよりは、満足しない人間である方がよい。満足した愚か者であるよりは、満足しないソクラテスである方がよい(「功利主義」)」という言葉だ。

 この言葉は、「太った豚より痩せたソクラテスになれ 」というフレイズとなり、東京大学の卒業式で大河内総長が発した言葉として、しかし実際には語られなかった言葉として知られている。

 この言葉を見た時に思い出したのは、サイモン&ガーファンクルが歌っていた「コンドルは飛んでいく」だ。「カタツムリよりスズメの方がいい」「もしできるなら 、もちろんスズメになりたい」と歌い始められる「コンドルは飛んでいく」だ。こういった「○○よりは、××な方がいい」という希望の比較には、色んなバリエーションがありそうだ。

A man gets tied up to the ground,
He gives the world its saddest sound.

人は大地に縛られて、
世界で一番悲しい音を奏でる。

I'd rather feel the earth beneath my feet,
Yes, I would, If I only could, I surely would.

足の下に大地を感じていたい。 できるなら、足の下に大地を感じていたい。

 よく何かを作ろうとする時に、こう思う。世の中には最初から「完成形」をイメージできる人もいる。その一方で、「完成形」はイメージできないけれど、「比較をし続け、いいと思うイメージを選び続けることで、完成形を作る」ことができる人もいる。

 「完成」に近いのは、実は「最初から完成形をイメージすることはできないけれど、比較・推敲を続けることができる人」なのではないだろうか。「満足したソクラテス」よりも、「満足しない豚・満足しない人間」の方が、実は何かを完成させることができるのではないだろうか。

ジョン・スチュアート・ミル豚とソクラテス








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