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2008-07-06[n年前へ]

食玩「フィンガー・ベル」の生産技術 

 モノを大量に安く生産する技術には、驚かされることが本当に多い。たとえば雑誌の付録、たとえば「学研の科学の付録」「学研の大人の科学の付録」にいつも驚かされるように、上手く手抜きをし、大量生産を可能にし、安く大量にモノを作り上げる技術にはいつだって驚かされる。数年前の食玩を見直して、そんなコスト・エンジニアリング技術の素晴らしさを今更ながらに感じさせられた。

 下の写真は、ペットボトルのコーラに付いていた食玩のハンド・ベルだ。スヌーピーのキャラクタが付いた「ハンド・ベル」、いや実際には手で持つというより指でつまむくらいの大きさなので、「フィンガー・ベル」とでも言うべきこのベルは、それでも一つ一つきちんと違う音階を奏でる。

 「フィンガー・ベル」が奏でる音の高さを変えようとしたとき、まず思いつくのは、ベルの大きさを変えるということだろう。あるいは、ベルを形づくる金属の厚みを変える、という辺りだろう。しかし、この食玩の場合、大きさはどれも同じだし、「ベルの金属の厚み」を変えるというのも、生産時の精度バラツキを考えれば、とても大量生産にはそぐわないように思える。

 そこで、この「フィンガー・ベル」をよくよく見直してみると、「低い音」と「高い音」を奏でるベルの形状が違うことに気づかされる。低い音を発するベルは、確かに低い周波数で共振しそうな剛性の低そうな「まあるい」形をしている。そして、高い音を発するベルの方は、いかにも「角度を持ち」鋭角な形で固い剛性を持っている形に見える。

 厚みなどで音の高さを変えるのではなく、ベルの形で音の高さを変えているのだと思うと、こんな小さな食玩の中に構造設計のエキスが詰まっているような気がして、とても楽しく面白く感じる。

食玩の「フィンガー・ベル」食玩の「フィンガー・ベル」食玩の「フィンガー・ベル」






2009-04-30[n年前へ]

純正A-bike より 8インチ空気タイヤ版 A-bicycle の方が断然イイ!の不思議 

 「(A-bike型自転車の)8インチ空気タイヤ版A-Bicycle のツーリング・ビデオ」などで書いているように、ギミック満載の折りたたみ自転車A-bike のパッチモン自転車(つまりは偽物の)8インチ空気タイヤ版A-Bicycle を買って乗っている。それを見たリッチな知人が純正A-bikeを公式サイトから購入した。サイトで「購入ボタン」を押してから、5日ほどで香港から自転車が送られてきたという。

 そこで、「純正A-bike」とパッチモン「8インチ空気タイヤ版 A-bicycle」を比べてみた。(参考までに、楽天で売っている税込 13800 円ナリのA-SCOOTER 8インチ RA-A8シルバー も、ショップ・メーカに確認したところ、同じく8インチ空気タイヤでした。もちろん、その他の構造が同じかどうかはわかりません)。また、私が買った8インチ空気タイヤ版 A-bicycleは「体重計」で実測した限りでは5.5kgを少し超える程度でした。7.5kgのものではないと、ここに明記しておきます

 純正品とパッチモン8インチ空気タイヤ版のデザインは全くといってよいほどに同じに見える。とはいえ、やはり純正品の方が純正品がゆえに綺麗で格好良く見える。右上や下の写真で、右側が純正A-bikeで、左側がパッチモン「8インチ空気タイヤ版 A-bicycle」である(フレームの色が違うのは、パッチモンには何種類も色があり、私がブラックを買ったからというだけである)。

 さて、一緒に折りたたまれた状態から組み上げてみた。…すると、なんとコロッと音を立てて、ネジが一本落ちた。ネジが落ちた源を捜してみると、なんと、純正A-bikeのシートを支えるネジだった。ここら辺から、少し「純正A-bike」に不安を抱えながら、「純正A-bike」と「8インチ空気タイヤ版 A-bicycle」を乗り比べてみると、比べようもないほどにニセモノの方が遥かに安定していて、安心して自転車に乗り・走らせることができることに驚かされた。

 少なくとも、今回比べた純正A-bikeは「剛性」「直進性」において、パッチモンに比べてかなり劣っていた。前輪・後輪の直進性、そしてフレームから後輪への剛性感が、全然違うのである。それは、単に個体差かもしれない。しかし、細かな部分の設計が違うことにも原因があるように見えた。それは、たとえば、6インチと8インチというタイヤ径の違い、あるいは、キャンバー角の設計の違いである。そしてまた、同じ寸法・作りのようで、実は結構違う各パーツの剛性・設計の違いである。

 たとえば、前輪と後輪を繋ぐ角型シャフトは、純正品の方が細く、中央部分の折りたたみ部にはかなり遊びがあり、少し曲がってしまう。しかし、パッチモンの角型シャフトは純正品より一目でわかるほどに幅広く、折りたたみ部を伸ばした状態では全く遊びがなく堅いのである。それに加えて、パッチモンのシートシャフトと全部を繋ぐプラ部品には、(右の写真のように)内部にリブが形成され剛性を確保しているのに対し、純正品にはそのようなリブはなかった。つまり、単なるU字断面構造の強化プラスチックである。そこで、ためしにその部分を握ってみると、純正品ではグニッと変形するするのに対し、パッチモンの方は変形しない。材料自体の硬さは違うのかもしれないけれども、作りが違うせいか、力をかけたときの変形具合が違う。もちろん、変形が大きいのは純正品の方である。ちなみに、純正品のプラ部品内部の構成写真が下の写真だ。

 他にも、パッチモンA-bicycleのシートシャフトの部分には、元祖A-bikeにはない(3段階を選ぶことができる)ポッチがついていて、組み立て・折り畳み時に位置出しが簡単で便利に思える。また、純正A-bikeでは、タイヤに空気を入れる時にチューブとバルブ金具の間が捻じれて負荷がかかりがちで少し不安になるのに対し、8インチ版空気タイヤのパッチモンでは、空気を入れるのにバルブ部分をねじる必要がない。この差は、タイヤに空気を入れる時に、バルブ接続部分の負荷が原因によるパンクの発生量を差を生み、パッチモンの方がパンクしづらいのではないか、と思わさせる。

 意外なことに、8インチ空気タイヤ版 A-bicycle はさまざまな部分で改善がされていて、純正品より(現時点では)遥かに「良い移動道具」になっている。個体差は大きいだろうから、一概に判断することはできないが、今日の純正A-bike v.s. 8インチ空気タイヤ版 A-bicycle を実際に眺め、実際に触り、実際に乗ってみた上での勝負結果では、モノとしてはパッチモンの圧勝だった。もちろん、メーカによる保証などは考えない上での話、である。

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