2010-01-18[n年前へ]
■少し損な話も高座にかけて、腕を磨いたらどうなんだと
ミステリー部分以外を楽しんだような感のある、落語ミステリーの愛川晶「道具屋殺人事件──神田紅梅亭寄席物帳 [ミステリー・リーグ] 」から。
「せっかく芽が出てきたんだから、たまには少し損な話も高座にかけて、腕を磨いたらどうなんだと、そこんところさ」
「得な」とは口演が楽なわりによくケる噺。「損な」はその逆で、骨が折れるが、お客にはあまりウケない噺のことを指す。誰でも得な噺が好きに決まっているが、そればかり遣っていると、噺家としての技量が向上しない。そのあたりが難しいところだ。
2011-12-04[n年前へ]
■「高座という名前のナゾ」と「上を見上げる姿勢が持つ力」
林家たい平師匠になぜ「高座」と呼ぶのでしょうか?と尋ねてみました。「高座」に座布団をひき正座して、噺家は落語を話します。あの場所をなぜ「高座」と呼ぶのだろうか?ということを尋ねてみたのです。
すると、たとえば、高座説法という言葉もあるように、元々はお坊さんなどが「高いところから説法をしていた」ところから始まっているんです、と教わりました。お坊さんが、高い場所から、面白くありがたい「はなし」をしていたところから、「高座」で噺をすることが始まった、と聞きました。
それと同時に、けれど、上方(関西)では、つまり上方落語は、路地などに座り・(自分の前に)机などを置き、大道芸やバナナの叩き売りのごとく、音などを出して人を集めながら、面白話をすることから生まれたんです、とも聞きました。上方落語で使われる、見台(小さな机)や小拍子(拍子木)などはその名残だ、教えてもらいました。
さらに、だから「客席は平らで、その前に高座がある」「客席から、客は上を見上げつつ”噺家のおはなしを聞く”のが、本来の(関東の)寄席なんです」と聞きました。そして「最近は、客席がせりあがっていて、お客が下にいる噺家を見下ろしながら落語を聞く寄席もあるけれど、あぁいった寄席は苦手です」「だって、そうでしょう?上を向いたら、自然に喉が開き、笑い声も自然に出るでしょう?けれど、下を向いていたなら、喉も閉じてしまうし、自然に笑うのは難しいでしょう?」と言われます。
そうか、「”上を見上げる”という姿勢をとるだけで自然に笑い声も出しやすくなる」ということもあるのか、そして、その逆のこともあるのか、と何か少し考えます。毎日の生活をする中でも、下を向いて歩くよりも・上を向いて歩くのは、もしかしたら良いものなのかもしれない、それが単にカタチだけのポーズだとしても、その”姿勢”が何か笑いや楽しさを自然に感じさせることもあるのかもしれない、と感じます。
”高いところに座る”と書いて高座と読む理由謎を林家たい平師匠に聞き、さらに「上を見上げる」姿勢が持つ効果を教えられたのでした。
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